〈2019年 8月 9日〉
今日は深海棲艦と艦娘の戦争が終わった『終戦記念日』と言う奴らしい。
薄型テレビの電源を入れるとどこのチャンネルも『あの戦争』の事ばかり話題になっている。
番組の映像では、悪逆非道な深海棲艦を糾弾し、それとは逆に艦娘を正義の味方と讃えるまぁ予想通りな内容だった。
当時の映像や写真が解説の声とやたらデカいテロップと共にダイジェストで流れる。
そこには艦娘と深海棲艦の交戦記録や、それによって死んだ深海棲艦、艦娘の日常生活等が映されていた。
ついでに戦闘の映像と写真の幾つかは直ぐに合成だと分かった。
特に開戦当時なんか艦娘があんなに優性な筈がない。
エルメサスの記憶では開戦当初は艦娘はどれも貧弱で攻めて来た所を返り討ちにして砲弾と艦爆で物言わぬ肉塊に変えてやったものだ。
それに写真の中には深海棲艦によって虐殺された罪の無い民間人という解説と共に本物の人間の死体とも言えぬ血肉の塊が写った写真が出てきたが、これも全くの嘘っぱちだ。
彼等は深海棲艦に殺されたのではなく、深海棲艦と対話を試みようとしたが為に反乱因子として艦娘の手によって射殺されたのだ。
過去に東南アジアに潜入した時に同じ光景を見た事がある。
艦娘と深海棲艦の武装は大して変わらない。
だから人間の使う銃で射殺するよりもでっち上げやすい。
これらの番組を見ていく内に怒りを通り越して呆れてくる。
"奴ら人間は我々から地上を奪い、それさえも忘れてのうのうと暮らして自分が最も上であると思い込んでいる"
政府もそうだがそれに踊らされる大衆も愚かなものだ。
溜息を一つ吐きながらテレビの電源をリモコンで消すと、レスタリオスが大きな機械を持ってリビングに入って来た。
「これは?」
長い事戦場で戦ってきたエルメサスは直ぐにそれが無線機だと分かった。
所々造りが甘いことからして恐らく手製だろう。
「まぁ見てな」
無線のダイヤルを回し、周波数を調整し、スケルチで雑音を取り除くと、そこからは若い女性の声が聴こえてきた。
《お、おはようございます!エルメサス殿》
「ん?その声は……」
一瞬何故自分の名前を知っていると言いかけたが、その声には聞き覚えがあったので言わないでおいた。
《第79補給部隊の》
「あっ!!お前もしかして『エリオス』か!?」
彼女の声を遮って叫んだが為に無線の先のエリオスは《きゃあっ!?》と可愛らしい悲鳴を上げ、椅子が倒れたのか大きな音が聴こえた。
「ハッハ!オイオイマジかよ!エリオスお前生きてたのか!!」
《は、はい!今は他の仲間と一緒に中東で武装勢力に匿って貰っています》
エリオスは教育隊時代からの後輩であり、戦争が始まった時には太平洋戦線のエルメサスとは違ってヨーロッパの方へ補給部隊として派遣されていた。
ヨーロッパ戦線もヨーロッパ戦線でなかなか酷い有様だったようだが、彼女が生きていたのは嬉しい誤算だった。
無線越しに再会を喜んでいると、隣にいたレスタリオスが口を開いた。
「俺は毎日こうして世界中に散らばった同胞達と連絡を取っているんだ」
自慢げに話すレスタリオスを驚いた形相で見つめ、問いを投げ掛ける。
「世界中って……そんなに沢山残っているのか?」
「確認出来ただけでもまだ五百万人は生きている」
「艦娘とは違って俺達はちゃんとした生物だ。 繁殖くらいするさ」
我々の戦力は開戦当時は凡そ千万人程だったが、今では桁が一つ下がってしまったようだ。
だが、まだ万単位で残っているのは驚きだ。
「それで?こんな嬉しい再会をさせてくれた目的は何だ?」
レスタリオスの事だからただ仲間と再開させただけという訳は無いだろう。
何らかの目的がある筈だ。
「あぁ、その事なんだが……近い内に世界各地で人類に対して反乱を起こす」
「……成程」
目的を打ち明ける途端に声のトーンが下がり、レスタリオスが本気であることを察したエルメサスも真剣に耳を傾ける事にした。
「まず、俺達の最初の標的は……」
「……横須賀鎮守府だ」
そろそろ感想乞食のタグでも付けようかな?
という事で感想下さい。(意味不明)