梅雨が大幅に伸びちまって、暑っちい、暑っちい、って嘆いた夏はどこへやら。あっという間に、もう秋だ。
やっぱ、なんてったって秋は魅力的だ。
なー?食欲の秋に、スポーツの秋。
不漁のせいで高くて買えねぇから、食いたくても食えねぇだと?
同感だ。団扇でパタパタしながら七輪で焼く、あの秋の風物詩が見られないのは寂しいよなぁ。
運動会はどうだった?ビリだったか?
昨今は、徒競走がねぇんだって?あのかけっここそが運動会の
一等賞を狙って全速力で走る。それこそが子どもの闘争心を育むのに役立つと思うんだがな。
ま、ものの見方、考え方は人それぞれだ。深入りはやめとくよ。
それから、芸術の秋に、読書の秋だ。
絵は描いてっか?写生の一つもしろ。
本は読んでっか?マンガばっか読んでっと頭がパッパラピーになるぞー。
〈灯火親しむべし〉
なんて、いい文句があるじゃねえか。
格好の季節だ、本をいっぺぇ読みなって意味だ。
えー?読書はスマホでしてるって?
スマホもいいが、紙もなかなか味があるぜ。
“
紙を食う虫のことだ。
なー?なかなかいいもんだろ?
スマホにはそんな乙なもんはねえだろ?
えー?乙はねえが、丙はあるって?
なんでい、そりゃ?
読み終わった後に、「へー」って納得するって?……単なるダジャレじゃねえか。
日本人は幸せもんだ。なぁ、このわび・さびは、ストレート好きな外人さんには伝わらねぇだろうな。
〈目病み女に風邪引き男〉なんて、粋なことわざがあるが、外人さんに直訳したら、「Oh no!ダイジョーブでしゅか?オダイジに~」って、同情されんのがオチだ。
えー?こりゃあ、江戸時代の美意識を言った文句だ。
なー、目を病んでる女は、その潤んだ目が
なかなかのもんだろ?日本語ってぇのは、奥深いやなぁ。
おっとー、制限時間が迫ってらぁ。本題の方が短くなっちまったぜ。やべえ、やべえ。
秋を詠んだ句も
【柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺】(正岡子規)
【菊の香や奈良には古き仏達】(松尾芭蕉)
【秋深き隣は何をする人ぞ】(松尾芭蕉)
なんてな。なかなか味わい深いだろ?
えー?俳句はちんぷんかんぷんで興味ねぇって?
ま、若いうちから俳句に親しんでたら逆にキモいやな。
若いうちはポエムでいいさ。もうちっと大人になったら、十七文字のポエムにも興味を持つようになるさ。
人を好きになったり、失恋したり、突然、季節の草花を愛でたくなったり、ぼーっと空を見上げるようになったら、自然と詠むようになるもんよ。
ここで一つ、
【
どうだ、いいだろ?え?いまいちピンと来ねぇって?じゃ、恋をするまでの宿題だ。
家ん中でケータイ読書ばっかしてねぇで、小さな秋を見つけに散歩でもしたらどうだい。
公園のベンチで読書してたら、もしかして恋が生まれて、十七文字のポエムが閃くかも知れねぇぜ。
え?“落語風”なら、最後にオチがあるだろうって?
オチは言わねぇでも、季節柄、落ち葉の舞い散る頃じゃねぇか。もう、オチてるよ。
幕もそろそろ、オチるぜ。
※語り:
■
■ ■
■ ■ ■
■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■
■ ■ ■ ■ ■
■■■■幕■■■■