次はさらに遅くなるかも……。
申し訳ございません。
訓練が終了した後、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのですが、今回はメルド団長から伝えることがあると引き止められました。何事かと注目するクラスメイトに、メルド団長は野太い声で、
「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!
まぁ、要するに気合入れろってことだ!今日はゆっくり休めよ!
では、解散!」
ふーむ、やっとですか。
まあ今のクラスメイト達が生物を《きちんと》殺せるかは微妙な所ですが、まあ人型でなければ大丈夫でしょう。
さて、明日向かう【オルクス大迷宮】は全百階層からなると言われている大迷宮で、七大迷宮の一つ。階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現する……らしいです。
正直この世界は【ラムダ】世界よりも魔物だけでなく全体的に弱いんですよね。ランク5もあればメルド隊長含めこの国の上位陣以外普通に殺せそうですし、もしもを考えてもランク8数体でこの国を滅ぼせますよ。
その事を考慮すると、この百層あると言われている大迷宮も、そこまでの難易度ではないのかもしれません。勿論【ラムダ】世界基準でですが。
まあそんなことは置いておいて、明日に備える事などないので友達の所を回ってみましょう。
「ハジメ、起きていますか?」
「ん?ヴァン?起きてるよ。どうしたの?」
「いえいえ、明日のことで眠れなくなったりしていないか確認しに来ただけですよ。」
「そっかー。まあ僕は大丈夫だよ。」
「では失礼します。
……明日の事をどう思いますか?」
「どうって……不安には思うよ。皆みたいに強くないし、"錬成"は戦闘では使いずらいからね……。」
「そうですか。良かったですよ。ハジメはちゃんと考えれていたんですね、安心しました。
他の人達は戦いについてあまり考えていない人も多いですからね。」
「あはは、まあ生産職の僕は色々考えるぐらいしか出来ることが無いから。」
「……まあハジメがそう思うなら《今は》そう思っていてもいいですよ。
あ、そうです。ハジメ、これを持っていてください。御守りです。」
「ありがとう!大事にするよ。」
「ええ、けして捨ててはいけませんよ?」
「うん。」
「それでは、後のことは彼女に任せるとしましょう。おやすみなさい、ハジメ。」
「彼女……?あ、うんおやすみヴァン。」
さて、後は近くまで来ている白崎さんに任せるとしましょう。ハジメの不安がより減れば幸いです。それに使い魔王と《悪魔を数体》入れた【装影群術】の効果を付与した御守りも渡せましたし、何かあっても大丈夫でしょう。
雫さんや恵里さん、あと愛子先生にも同じ物を渡しておけば、まあ大体のことに対応できるでしょう。