光が収まれば、そこは大理石のような光沢のある建物だった。目の前には縦横十メートルはありそうなその壁画には、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれている。
背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むかのように、その人物は両手を広げている。美しい壁画だ。
その様は世界を愛し包み込んでいるように見えるが、何故かそうは見えず。世界は自身の腕の中なのだと言っているように思えてしまう。
まあ自分は常人では無いので、怖いとかは思わないのですが。ハジメも同じように感じたのか少し顔色が悪くなっています。が、すぐに周りを確認し白崎さんが無事であることを確認して安堵しているようです。
近くには三十人ほどの豪華な服装をした人達が両手を組み跪いて祈りを捧げているようでした。その集団から七十代に見える一際豪華な服装の老人がこちらに進んできました。
……この人達から私と同じ様な雰囲気を感じます。つまり狂信者。あまり話は信用せずにいましょう。
そんな彼は手に持った錫杖をシャラシャラと鳴らしながら、外見によく合う深みのある落ち着いた声音でハジメ達に話しかけた。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
そう言って、イシュタルと名乗った老人は、
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その後十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通された。この部屋も例に漏れず煌びやかな作りだ。
上座に近い方に畑山愛子先生と光輝達四人組が座り、後はその取り巻き順に適当に座っている。ハジメは最後方なので私もその近くにいます。というか隣です。
丁度いいタイミングなのでハジメと情報を共有しましょう。
『ハジメ、聞こえますか?』
『うん、聞こえるよ。』
『それは良かった。これから情報を共有しませんか?私も知っておいて欲しいことがあるので。』
『分かったよ。』
『とりあえず現状として差し迫る驚異は無いと思っていいと思います。ただ召喚の場にいた聖職者風の人物達は私と同じ狂信者の雰囲気を感じました。なのであまり信用はしない方がいいでしょう。彼らの話は話半分で聞いておいてください。』
『分かった。一つ質問いいかな?』
『なんですか?』
『召喚された時にあった壁画、なんか変じゃなかった?』
『やはりハジメもそう感じていましたか。私はあの絵を、世界は私の腕の中だ、と言っているように感じました。』
『僕も何だか違和感を持ってたんだけどそう言われるとそう感じるね。それでソレを信仰していそうな聖職者……特にまとめ役っぽいイシュタルさんは信用しない方がいいって事だよね?』
『はい、十分に気をつけてください。私も含め狂信者は自身の神の為ならなんでもしますからね。』
『でもヴァンは大丈夫でしょ?えーっと、『生命と愛の女神』ヴィダだっけ?を信仰してた神様だから。』
『えぇ、我が神は無意味な殺戮は望みません。敵には容赦なく、しかし身内は大事に、復讐は自身の幸福のために必要な生産的行為である。身内の神はほぼ無条件で敬い、その主神であるヴィダが望むから博愛を行う。これは私の解釈ですが、我が神の行動はこれに沿っていますからね。元々お人好しな事もありますが。』
『なら大丈夫だね。』