『ある程度認識を共有できましたし、一度念話を切ります。』
『あ、うん、分かったよ。そういえばこれってどうやってるの?』
『これは私の霊体をハジメに繋いでいるんですよ。それでは。』
さて、ハジメもきちんと危機感を持ってくれていましたし、あとは勇者(笑)が暴走しなければ愛子先生がなんとかしてくれるでしょう。あの人は普段は押しが弱いので頼りにはならないですが、こういう時は生徒の為に動いてくれますからね。
と言っても今回は勇者(笑)がクラスメイトを纏めていましたが。やはりハリボテとはいえカリスマがあるからでしょうかね。
さて、ハジメが喜びそうな……というか、男子が現に喜んでいるメイドさん達が飲み物を配ってくれた所で、イシュタルが話し始めましたね。
要は、魔人族と戦争してたけど魔人族が魔物を使役し始めて負けそうだからアイツら殺して。それが"神の意思"だから。
ざっくり言うとこんな感じですね。
これを聞いた愛子先生が、
「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
まさにその通りである。
ちなみに彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で、非常に人気がある。百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿はなんとも微笑ましく、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに、庇護欲を掻き立てられる生徒は少なくない……らしい。
まあそれは置いておいて、こういう展開の時のお約束って帰れない、帰らせ方を知らない、知っているが帰らせない等、自力で見つけるか創るかしないといけなかったりします。
私たちの場合は、
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です。」
「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな。」
「そ、そんな……。」
なるほど、自分達の神が呼んだから私達を返すことが出来るのはその呼んだ神だけだ、というパターンですか。
あの壁画がその神─エヒトと言いましたか─だったとすれば少し不味い状況ですね。先程予想したようなタイプの人は基本的に自分に届きうる何かを持つものを嫌いますから、この中に強い力を持っている者がいたとしても、それが適うとは言えないですね。
これで勇者(笑)がおかしな事をすればもうヤバいですね。何人か死ぬことを想定しておかなければ……。