暇人主人公
アリスちゃんの初恋
私服のアリスちゃん
出会いのベンチ アリス
ここは水の惑星ネオ・ヴェネツィア
秘密の場所
サンマルコ広場の脇にひっそりとある路地に入り、迷路の様に幾つも枝分かれし曲がりくねった道を暫く進むと陽当たりの良い開けた場所に辿り着く。
誰も居ない場所にポツンとベンチだけが置いてあり、少しでも時間が出来るとこの場所に来る。
ぽかぽかの日差しと体を通り抜ける風が心地好い、暖かなベンチに座ると運河や海を行くゴンドラがよく見える。
すいすいと水の上を優雅に、滑る様に進むウンディーネ達を見るのが、小さな子供の頃から大好きだった。
誰も知らない俺だけの秘密の場所、俺だけの特等席だ
だがその場所にある日から侵入者が現れた
それはとても小さく、俺の足をよじよじと必死に登ろうとしている、気が付いて抱き上げると、それは三毛の小さな子猫だった。
この小ささでこの活発な動きは、火星猫だろうか?
両手のひらに乗せ観察していると、その子猫は「まぁ」と鳴いた、変わった鳴き声だな
俺の顔をじっと見つめたかと思えば、そのまま両手の上で寝始めた。
この子に警戒心は無いのか?
子猫を膝の上に降ろし、ゴンドラを眺める
その日から俺の日常に子猫が加わった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最近の私には、でっかい不思議な事があります
何時もの様にサンマルコ広場で、パフェを食べて居た時の事。
机の上でごろごろしていたまぁ社長が、急に起き上がり辺りをキョロキョロし始めました
どうかしたのかと見ていると、いきなり机から飛び降り広場を走り出しました。
「待ってください、まぁ社長!」
私は、まぁ社長を追いかけて走りました
何時もはゆっくり動くのに、この時はとても素早くてまるでアリア社長を見つけた時の様でした。
広場から路地に入り込み、迷路の様な道をするする走って行きます、見失わない様に付いて行くだけで精一杯です。
薄暗い路地の向こうに、ぽっかり開けた明るい場所がみえました。
その場所にはベンチに座る男性と、持ち上げられているまぁ社長が居ました。
私は急いでまぁ社長を受け取りに行こうとしましたが、驚いた事にまぁ社長は男性と一緒に寛ぎ始めました。
まぁ社長が初対面の人に懐くなんて初めての事で、私はびっくりしてタイミングを逃してしまい路地の影に隠れてしまいました、でっかい不覚です。
一度隠れてしまっては出るに出れません、まぁ社長が戻って来るのを隠れて待っていましょう。
待っている間に男の人を観察する事にします
顔は目が垂れていて笑っている様で優しそうに見えます、見えるだけでなく動物に優しいのでしょうか?まぁ社長を丁寧に撫でています。
…深い笑みが浮かぶその顔を見ると、なんだかそわそわと落ち着かない気持ちになります。
結局夕方にまぁ社長が自分から戻って来て、一緒に帰りましたがその時も男の人はまだそこに居ました。
その日からまぁ社長は、男性の気配を感じるとベンチまで走って行く様になり私はそれを止めず
ゆっくりと後を付いて行き、路地の影から男性を覗き見るのです。
でっかい不思議な事にその男性を見ていると、心がぽかぽか暖かくなり、そして切なくきゅっとして、不思議で幸せな気持ちになります。
まぁ社長が見つけてくれた、でっかい不思議な日課が出来ました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺のお気に入りの、秘密の場所に侵入者が増えた
このまぁと鳴く子猫はもう許容しているが、路地からこちらを覗き見るあの子は誰だ?
壁の影からはみ出ている緑色の髪の毛がピョコピョコ動き、チラチラと顔が見えている。
本人はバレていないつもりなのだろう。
あの女の子に見覚えがある気がする、一体誰だろう?
初めて見掛けてから随分と経つ、そろそろ声をかけてみても良い頃だろうか、寂しそうな顔が何だかとっても気になる。
「あのっ!」
ベンチから少し大きな声で呼び掛ける
女の子はビクッとして影に引っ込んだ
「あの、そこの女の子」
声を落として話掛けると、びくびくしながら顔を覗かせる
「ずっとそこに居るの?少しこっちに来て、話相手になってくれないかな?」
「…わかりました」
暫く待つと観念したのか、ベンチの端に腰かけた
「でっかいびっくりです。
何時から気付いてたんですか?」
心臓を押さえている、驚かせてしまったのか
「何時からかぁ…そう言えばこの子が来る様になってからかな?」
子猫を抱き上げる
「あっ…まぁ社長」
「まぁ社長?」
子猫を指差す、この子はまぁ社長と言うのか
それじゃあこの女の子は、まぁ社長の飼い主かな?
それなら心配でまぁ社長を見に来ていたのか、納得だ
まぁ社長を女の子に渡す
「ありがとうございます」
「それで君は?まぁ社長を返して欲しかったの?」
「…………うぅ」
黙り込んだかと思うと唸って考え出した、聞かない方が良かったかな
「私は…オレンジぷらねっとのアリスと言います…」
もじもじしながらも少しずつ話てくれた
「オレンジぷらねっとってあの、ウンディーネの有名な会社だよね?」
「はい!」
ものすごく良い返事だ、自分の会社に誇りを持っているのだろう
「それなら、アリスちゃんもウンディーネなんだね」
「はい!なんと私は、プリマなんですよ!」
プリマと言えばウンディーネとして一人前、もうお客さんを一人でゴンドラに乗せられるプロだ、こんなに小さいのにプリマでしかもオレンジぷらねっとと言えば有名なあの子か。
「黄昏の姫君(オレンジ・プリンセス)」
アリスちゃんがぴくっと反応した
「アリス・キャロルちゃんかな?」
「私の事をご存知でしたか」
頬を少し染めて照れている様だった
これはすごい有名人に出会ってしまった、史上初の飛び級プリマに昇格した凄い人だ、ウンディーネ好きな俺としては一度会ってみたかった。
「俺はウンディーネが大好きで毎日ここから眺めているんだ。
そして俺は君のファンで、一度君に会ってみたかったんだよ」
「私に…」
きゅっと胸の前で両手を握りしめ、顔を真っ赤にしている
自分のファンにあまり会った事が無いのかな?
「ほら、ここからはゴンドラが良く見える。
顔までは見えないけれど、流れるゴンドラに乗るウンディーネ達がとても美しくて、大好きなんだ。」
アリスちゃんも目の前の景色に気付いたのか、見事な絶景に見入っている。
アリスちゃんは、ばっとこちらを振り向いた
「あのっ、姿だけですか?」
「姿だけ?」
「ウンディーネの姿だけが、好きなんですか?
カンツォーネは、歌は興味ありませんか?」
両手をぐっと握りしめ、勇気を振り絞っている様だった
「興味はあるけど、歌はここまでは聞こえて来ないからね、残念な事になかなか聞けないんだ」
「それなら!」
力んでいた顔から力が抜け、パアッと明るい顔になる
「それなら是非、私の歌を聞いて下さい!
そして姿だけじゃなく歌もウンディーネも、もっともっとでっかい大好きになって下さい!」
えっと声をかける間もなくアリスちゃんは立ち上がる
夕日を背に姿勢を正し気合いを入れたアリスちゃんの雰囲気は、がらりと変わっていた。
息を大きく吸い込み、歌い始める。
歌を聞いた途端に体に鳥肌が立った、この小さな体からこんなに凄い音が出るのかと、とても綺麗な歌声と神秘的なメロディ、驚きそして感動した。
まるで初めてウンディーネを見た時の様な、いやそれ以上の感動。
「…どうでしたか?」
すぅっと息を吸い込んだアリスちゃんの雰囲気が、元に戻る、あんなに素晴らしい歌を歌ったのに不安そうに感想を待っていた。
「今まで生きてきて、一番感動したよ」
これからは知り合いにもアリスちゃんを勧めて行こう、そしてアリスちゃんのファンを増やしたい
アリスちゃんは不安そうな顔のままだ
「…でっかい大好きなりましたか?」
「勿論大好きになったよ」
ウンディーネの中で断トツで大好きだ、歌も一番大好きになった、きっとこれからは手の届かない様な凄いウンディーネになるんだろうな。
「本当ですか?大好きだけじゃダメですよ!
でっかい大好きですか?」
「でっかい大好きだよ」
そう言えばやっと安心したのか、にこにこの柔らかい笑顔になり、俺の隣に座りまぁ社長を撫でる
「ふふっ嬉しいです、これからもまぁ社長と来ますね。でっかい楽しみです」
俺の秘密の場所はどうやら、俺だけの場所では無くなる様だった
主人公はウンディーネ達のファン
今のイチオシは飛び級プリマのアリス・キャロルちゃん
好きな作品
-
アイドルマスター
-
ToLoveる
-
ローゼンメイデン
-
ひだまり×スケッチ
-
その他