後半、ゆのと宮子
吉野屋先生がこうだと良いなって、作者の願望
ひだまり荘前
夕方ひだまり荘の前を箒で掃除する
ひだまり荘を綺麗に保つのも管理人の仕事の一つだ
「あらっ管理人さん、こんばんは」
振り返るとやまぶき高校の教師、吉野屋先生が居た
「こんばんは、吉野屋先生」
「お久しぶりですね、どうしてもっと会いに来てくれないんですか?」
「卒業生の中でも、頻繁に顔を出してる方ですけどね」
先週も会いに行った多分俺が一番顔を見せに行っている、生徒にも挨拶される様になってしまった位だ。
「そうじゃなくて、毎日会いたいじゃないですか!」
「それでまた、会いに来たんですね」
うっ…と言葉に詰まる吉野屋先生、このやり取りは何回目だ、寂しさが限界になると偶然を装い会いに来る、こんな事をもう何年も繰り返している。
「だってぇ何時も学校から理人さんの部屋が見えるのに、顔が見れなくて…そんなの余計に寂しいじゃないですかぁ」
へにゃりと萎びている、何かあったのかも知れない。
先生は落ち込むと余計に寂しがりになる、甘えてくれているのかも?
「先生今日もご飯、食べて行きますよね」
「はい…ありがとうございます」
落ち込んだままの先生と手を繋いで、部屋に連れて行く
ゆのに晩御飯は要らないとメールする、了解の返事がすぐに返って来た。
先生は何時もの席に座る、部屋の端にクッションを置いて小さくなる、やっぱり何かあったな。
「先生」
「…寂しいですぅ」
小さくなった先生をぎゅっと抱きしめる、弱い所は俺以外には見せられないらしい、もっと周りを頼れば良いのに不器用な人だ。
「ごめんなさい、何かあるとすぐに頼って甘えてしまって」
「先生には学生時代に沢山助けられましたから、その恩返しです」
頭を撫でると肩に顔を押し付けて黙り込む、ここまでが何時もの流れだ、気が済むまで泣いてすっきりしてもらう。
明日には何時もの明るい吉野屋先生に戻る筈
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そろそろ外が暗くなって来た、先生も落ち着く頃か
「ねぇ理人さん…」
「何ですか?」
声は静かだが震えては居ない、もう大丈夫だろう
「やっぱり私と、結婚しましょうよ」
「それは昔から、何回も断っているじゃないですか」
先生は俺が卒業してから、ずっと結婚しようと言い続けている
「もうそろそろ、結婚してくれても良いじゃないですかぁ」
ぷくっと頬を膨らまし、少し元気になった様で良かった
「私が好きとか愛してるって、いくら真剣に言っても、頷いてくれないしぃ」
「結婚やお付き合いは出来ませんけど、こうやって甘やかしてるじゃないですか」
「余計に寂しいんです!」
それは申し訳ないな、俺の意気地が無いのが全て悪い
「それじゃ、甘やかすのを止めます?」
「そんなの、私が死んじゃいますよ?」
死なれちゃ不味い、先生は皆に必要な人だから
「ごめんなさい、俺が意気地無しで…誰かの気持ちに答えるのが怖くて」
先生はふふっと笑う
「分かってます、言いたくなるだけですから
私は大人の女ですからね、待つだけの余裕もあるつもりですよ」
「…ごめんなさい」
「例え私を選んでくれなくても、私はずっと貴方を愛していますからね」
ぎゅっと抱きしめられた、落ち着く、先生は本当に良い人だ
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「それで、今回は何があったんですか?」
「私の兄に子供が居るんですけど、その子を見た両親に私と理人さんの子供はまだかって、言われちゃいまして…」
ううっと泣き真似する先生だが、今俺との子供って言わなかったか?
「先生のご両親に、なんて言って俺の話をしてるんですか!」
「え?好きな人だって、もし結婚出来なくても愛してるって説明しましたよ?」
それは宜しくない、なんで先生は平気で説明出来るのか、それが分からない
「ご両親はなんて言ってましたか?」
「そんなに好きなら、子供だけでも作って来いって、それには私も大賛成です、ってもぉ~何言わせるんですかっ」
先生は勝手にくねくねと照れだしたが、凄いご両親だ一度挨拶に行くべきか?でも付き合ってもいないし、うーんと悩んでいると
「それでですね、子供は何人欲しいですか?」
「え?子供を作るのは、決定事項なんですか?」
キョトンとした顔の先生は可愛い、黙っていれば美人とはまさにこの人の事だ。
「はい!私最低でも、3人は欲しいです」
「最低でもって!」
「なので…練習しませんか?」
色気をわざと出して、近寄って来る先生を避ける
立ち上がってキッチンに向かう
「さて、ご飯にしましょうね」
「あ~意地悪~」
「俺は意地悪なので、晩御飯は要りませんね」
「ごめんなさい、何時も優しいです」
やっと何時もの調子に戻ったのでようやく一安心だ。
その後は何時も通りお客様様の布団を出して、それぞれ別に就寝
先生の方から小さく、「ありがとうございます」と聞こえた気がしたけど気のせいと言う事にする。
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「朝ですよ〜起きて下さい」
もう朝か、なんたが昨日は疲れた気がする
「起きないと、ちゅーしちゃいますよ」
チュッと口に柔らかい感触がして、目が覚める
パチッと目を開けると、すぐ目の前に吉野屋先生の顔がある
毎度の事でもう慣れた
「おはようございます、今日も良い朝ですよ」
「おはようございます」
ベッドから起き上がると机に朝食がある
「私が作ったにしては、上出来ですよね!」
「美味しそうですね」
にこにこ笑う先生が待つ机に座る
「いただきます」
「どうぞ」
ふと先生を見ると、昨日と服が違う
俺が寝ている間にお風呂に入ったのだろう、俺のシャンプーの匂いがする
「お風呂お借りしました」
「それより着替えは?」
「私の家から持って来ましたけど?」
それはつまり、元々ここに泊まるつもりだったのか
やっぱり大人は汚い
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「吉野屋先生、いってらっしゃい」
俺の部屋の前ででお見送り、学校はひだまり荘のすぐ目の前だ
「いってきます、あ・な・た」
先生はすっかり元通りの元気になった
「今日もまた、泊まりに来ても良いですか?」
「駄目です」
「えぇ~昨日はあんなに、優しくしてくれたのに~」
なんて人聞きの悪い、先生と全くやましい事はしていないのに
「はいはい、また俺から顔を見せに行きますよ」
「本当ですね、約束ですからね!」
最後に指切りをして、吉野屋先生は元気に学校に行った
ふと振り返るとゆのが居た
「理人さん、おはようございます」
「おはよう」
「昨日も吉野屋先生が来てたんですね」
「ごめんね、騒がしかったかな」
「いえ、でも会えなくて寂しかったです」
吉野屋先生が泊まりに来ると次はゆのが寂しがる、これも何時もの事をだった
宮子も階段を降りて来た
「ゆのっちも私も、我慢してたもんね~」
「昨日は宮ちゃんとお話して、そのまま寝ちゃいました」
えへへと笑うゆのと、宮子
「今日は夜ご飯食べに行っても、良いかな?」
分かりやすく明るい顔になるゆの
「はいっ是非来て下さい!それで…あの…」
ゆのはもじもじと、何か言いたげにしている
「ゆのっち頑張れ!昨日の計画を実行するんだ!」
宮子は何か知っている様だ
「ありがとう宮ちゃん!
あのっ今日は私と宮ちゃんと理人さんの三人で、お泊まり会をしませんか!」
「おお~ゆのっち頑張った!」
凄い凄いと宮子に褒められて、ゆのは照れつつ喜んでいた。
それにしてもお泊まり会か、久しぶりだし明日は土曜日で丁度良い
「そうだね、久しぶりのお泊まり会をしようか」
「やったぁ!私頑張ってご馳走作りますね」
「それなら豪華な材料を沢山持っていくよ、宮子も沢山食べるんだよ?」
「おおっ有難い、満腹になれて寝るときもゆのっちと理人さんと一緒なんて、今日は幸せな日だな~」
学校のチャイムが聞こえる、これは予鈴かな
「わわっ宮ちゃん急ごう!理人さんいってきますね」
「理人さんいってきます!」
二人が学校に走っていく、若者は元気だな
俺も二人が帰ってくる前にひだまり荘をピカピカにしておこう
今日も良い1日になりそうだ
主人公は美術科卒業生
担任は吉野屋先生
好きな作品
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