背後からカチャリと引き金を引く音がする、その音に何故こんな事になったのだろうかと空を仰ぎ見た。
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「旅人さん今日は何処に行くんですか?」
この国に入ってから仲良くなったキノさんに話しかけられる。
キノさんも旅人らしく昨日からこの国に居るとの事、一つの国には原則3日しか居ないらしく、出会えたのは運が良かったと言えるのでは無いだろうか。
「今日はね、手持ちの食料や弾の残りが少なくなってきたから、そろそろ補充に行こうと思ってね」
「それなら僕も丁度少なくなっていた所でしたので、一緒に行っても良いですか?
これでも目利きには自信が有るんですよ」
「勿論だよ、誰かと買い物なんて久しぶりで嬉しいな」
「僕もですよ、そう言って貰えて安心しました」
安心と言う言葉に引っ掛かりを覚えたが、そこまで気にする程では無いと話を流す、この時に気付いて居れば何かが変わったのかも知れない。
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「ねえキノ、あの旅人さんがターゲットの人…だよね?」
「そうみたいだね、確か明日彼と依頼者の彼女を運命的に出逢わせれば良いんだよね」
「そうだね、でも運命的って?」
「えっと確かこの紙に…」
キノが懐から一枚の紙を取り出すとそこにはびっしりと文字が書かれていた。
紙の枚数は数枚あり依頼内容の他にも、彼がいかに素晴らしいか、どんなに好きか、出会い方を妄想混じりに事細かに説明する文が並んでいた。
「うわぁキノそれ全部読んだの?こう言っちゃ何だけど、依頼者の彼女本当に大丈夫な人なの?」
「エルメス…僕も少し心配になってきた所なんだよ。
依頼書は一応全部読んだんだけど…読めば読むほど妄想まみれで、話したことも無ければ出会ったのはなんと昨日だって」
「それって…」
「うん…依頼を受けた事を後悔してきたよ、出会ったって言っても一方的に見かけただけみたいだし」
「もしかしてそれって、ストールってやつじゃ無いの?」
「…ストーカー?」
「そうそれっストーカー!っでキノはどうするの?」
「…取り敢えず、この世界で一番の素敵な人に接触してみるよ」
キノはヒラヒラと依頼書を振りながらエルメスとの会話を切り上げた。
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ターゲットに接触すると今日はホテルへと戻る。
旅人さんと話してから暫く経つのに、胸のドキドキも顔の赤みもぜんぜん取れない。
「ねぇエルメス、駄目かな」
「キノ絶対駄目だよ、依頼は絶対だよっ!」
「まだ何を、か言ってないよ?」
まだ何も、誰の事かも言っていないのに。
「見てたから分かるよ、こんなキノ初めてだもん。
旅人さんが、好きになったんじゃないの?」
「ぐぬぅ…当たりだよ」
「依頼はどうするのさ?依頼人の運命の人なんでしょ?」
「ほら言うでしょ?恋は戦争だって、恋は初めてだけど…」
「戦闘なら得意だもんね、何か策は有るの?」
「そう言うこと、勝負は明日だよ」
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ある人通りの少ない、道を歩いていた。
この後はキノさんと買い物に行く予定だ。
「旅人さん…!」
キノさんかと思い振り返ると、全く知らない女性が立っていた。
「え?貴女は?」
「聞いているでしょう、私が貴方の運命の人なんです。だから一緒に行きましょう」
聞いている?誰から?それに運命の人とは、どういう事なんだろうか?
この女性は一見普通に見えて、目が怖い下手に刺激すると刺されそうだ。
その証拠に手には何かが握られていた。
「一緒に何処に行くんですか?」
「愛する二人が行くのは、教会に決まってるじゃ無いですか!」
ジリジリと距離を詰められる、どうしようと思って居ると、後ろから誰かの声が聞こえた。
「大丈夫ですか?!旅人さん!」
背後からカチャリと引き金を引く音がする、キノさんだ!
「助けてください!」
「なんで…」
キノさんは女性に向かって走って行って、何かを話している。
「ここは引いて下さい、これも作戦の内です」
「ちゃんと作戦は進んで居るの?」
「全て完璧ですよ」
話を聞いた女性が走って去っていった。
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「旅人さん!大丈夫ですか?怪我は有りませんか
まさかあんな大胆な行動に出るなんて、思いませんでした」
「キノさんはあの女性が誰か、知っているんですか!」
「妄想癖のある女性で、旅人さんが運命の人と思い込んで居るんです」
「妄想癖…」
「又明日、ここに旅人さんを連れてくると約束して、帰って貰いました」
「そんな…あの女性とまた会うなんて…」
「大丈夫です、今からこの国を出ます。
僕が準備を済ませてますので、一緒に出ましょう」
「キノさん…!」
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何とか国の外までキノさんに連れてきて貰い、事の経緯を聞いた。
なんと、危うく罠に嵌められる所で助けられたみたいだ。
「有り難うございます、キノさん」
「いえいえ、偶々偶然ですよ」
「ここまで国から離れれば大丈夫ですね、それでは有り難うございます。
ここからは各々の目的地に向かいましょうか?」
「え!えーと僕は、目的地の無い旅をしているんです。
だから旅人さんと一緒に、旅をしても良いですか?」
何かを考えていたキノさんは、唐突にそう言い出した。
「キノさん?どういう事ですか?」
「貴方はどうやら騙されやすい様ですので、僕が護衛として旅の仲間になります。
また今回の事の様な事になっては、困りますからね」
「あはは、申し訳無い。そうだね出来れば一緒に来てもらえると助かりますよ」
「はい!」
キノさんは眩しい笑顔で答えてくれた。
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「キノよかったの?」
「良かったも何も、ふふっ全てが順調だよ。
もうすぐで旅人さんが手に入るだろうね、一緒に旅をすればチャンスも多い、旅人さんに振り向いてもらうんだ」
「うわぁ、キノ悪い顔してるよ」
「こんなに胸が熱くて、ドキドキしてるこれは愛だね。
後はもう両思いになれば、ハッピーエンドだよ」
ニヤリとほくそ笑むキノの頭の中には、旅人さんとの幸せな未来の妄想が繰り広げられていた。
それが実現するのは、きっとほんの少しあとの事である。
主人公=旅人さん、普通の話さないモトラドと旅をする
キノ=旅人さん大好き、ヤンデレから旅人さんを救うも結局キノ自身もヤンデレ
依頼を受ける振りをして、旅人さんを持ち逃げ
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