捏造きくり
見た目は一緒で、中身が優しくなっています(主人公には)
性格は子供っぽく、正直
あれから僕は穏やかな生活を送っている、ここは静かで穏やかな時間が流れる平和な場所
僕はする事も無く、日々を無駄に過ごしている
あいちゃんが居るときはずっと一緒に居て、一人の時は庭を眺めてそれの繰り返し
でもこんな暮らしも悪くない、と思うのは何故なのかな?
「おい、そこのお前」
暫く考えていると誰かに声を掛けられた、見ると小さな女の子が三輪車にのっている。
大きな青い目に黒い髪、頭に椿を挿し綺麗な着物を着ている姿はまるで小さな…
「お姫様みたいだ」
「お姫様?」
無意識に声に出ていた様だ
「どんな奴かと思ったが、お前は良く分かっている!」
「えっと何を?」
「私を姫と呼ぶ事を許してやる!嬉しいか?」
この子はごっこ遊びがしたいのかな?だったら少し一緒に遊ぼう
「ありがとうございます姫様、嬉しいです」
「うんうん!お前、名前は?」
「僕の名前は…あれ?名前を思い出せない、なんで?」
確かに僕の名前はあった筈、何十年も使ってきた名前だ忘れる筈がない。なんで?なんで思い出せないんだ!
ついこの間まで、ここに来るまで覚えていたのに!
「どうした?忘れたのか?」
「ここに来る迄はちゃんと覚えてたんだ、でも思い出せない、どうしよう…」
「ならきくりが付けてやる!」
「え?」
「お前は気に入ったから、特別だ!」
名前をくれるの?元の名前を思い出したい、でも今は名前が無い事がたまらなく不安だ
僕と言う存在が無くなってしまう様な気がして、とても怖い
「うーんと、そうだ!」
悩んでいたが、僕の目を見て思い付いたらしい。
「お前の目は綺麗な青色だ、だからお前の名前は青だ!」
「あお?それが僕の名前、僕はあお…青」
「どうだ?気に入ったか?」
姫様をぎゅっと抱き締めて高く掲げる
「ありがとうございます!姫様、僕は青…僕の名前は青です!」
「たかい!たかーい!もっともっと」
涙を流して喜ぶ僕とキャッキャッと笑う姫様、二人とも笑顔で喜んでいる。
名前を貰った事で不安だった足元がしっかりした気がする、僕の存在が確かに在ると言える。
名前ってこんなに大切な物だったんだ、姫様には感謝しかない。
「本当にありがとうございます」
ぎゅっと胸に姫様を抱き締める
「あお、涙が止まらないのか?」
姫様が小さな手で僕の涙をペタペタと拭ってくれる、心配しているのか、眉が下がっている
「嬉しくて涙が止まりません、どうしましょう」
「仕方ない、そんなに泣くなら私をきくりと呼んでも良いぞ」
「きくり?」
「そう!嬉しくて泣き止んだ?」
嬉し泣きしてる人を喜ばせたらもっと泣くのではないか?だがきくりの言う通り涙は止まっている
「凄いですきくり、涙が止まりました」
「そうだろう!きくりは賢いからな」
二人でくるくる回っていると、誰かに声を掛けられた
「なんだい騒がしいね。一体何の騒ぎだい?」
「あっ骨女さん、すみません少しはしゃいでしまいました」
「うるさい!おばさんはあっち行け!」
いきなりのキクリの暴言にぎょっとする、骨女さんにおばさんなんて
「いきなりなんだい!喧嘩うってんのかい!」
「ふんっおばさんうるさい、私はあおと遊んでたんだからどっか行け!」
「あお?」
骨女さんはキョトンとしている
「僕の名前です、きくりが名付けてくれたんですよ」
「元の名前があるだろう?」
「それが思い出せなくて、それできくりが僕に名前をくれたんです」
「あぁ…もう思い出せないのかい…」
骨女さんが何か呟くが、小さすぎて良く聞こえなかった。
抱っこしているキクリの頭を撫でると、気持ち良さそうに手にすり寄る
「なんだい、随分と仲良しだねぇ」
「はいきくりは良い子ですから、僕と仲良くしてくれます」
「ん!あおは好きだ!」
もう一度ぎゅっと抱き締めて、二人で笑い合う
「でもねぇ…お嬢が」
「あいちゃんが、どうかしたんですか?」
「あんたの…あぁもう青か、青の名前を考えてたみたいでね」
「え?ちょっと待ってください!僕が名前を忘れる事を、皆知っていたんですか?!」
僕自身も知らなかったのになんで、思わずきくりを抱き締めたまま後退る
「アタシが何かしたんじゃ無いよ、ここに居るって事はそう言う事さ」
「一体どう言う事ですか?説明お願いできますか」
「ここはね、もう現世とは違うのさ。
現世の頃の記憶は必要無い、だからだんだんと消えて無くなっちまうのさ。
青はもうここの住人だ、現世との繋がりは切れた…
お嬢はそんな青の為に、名前を考えてくれていたんだよ」
「そうだったんですか、記憶が消える…家族も大切な思い出も」
縁側に座り込み立てなくなる。記憶が無くなったらどうなるんだろう、僕は僕のままで居られるのかな?
名前だって変わって青になった、それはもう元のぼくとは違ってきてるの?元の僕はいなくなるの?
この記憶さえも消えてしまうのかな?
怖い…全てが怖い、何も無い様な気さえする。
心も体もすっと冷えていく、体から血が抜けた様に温度が無くなる。
視界がぐらぐらして気持ち悪い、目の前が暗くなる…
「あお、心配するな!私が居るぞ」
「あ…きくり?」
「そうだ、もしあおが忘れても私が教えてやる。
だから心配するな、この偉大なきくり様に任せておけ!」
「きくり」
僕の顔を両手で挟み確りと目を合わせて話してくれる、きくりの手から温度が伝わる。
そうだ一人じゃない味方がここに居た、良かった。
「ありがとうございます」
きくりを抱き締め、僕の目からは涙がポロポロと溢れる。
「あおは泣き虫だな、私が居るから泣くな」
涙を拭われる、また迷惑を掛けたな…なんだか心が弱わっているみたいだ。
なんだかとても眠い、泣きすぎて眠たくなってきたのか…僕の方がよっぽど子供だな
「きくり、あんたどうしたんだい?別人みたいじゃないか!」
「うるさい!あおが眠そうだ、静かにしろ!」
背中をリズム良く叩かれて眠さに拍車が掛かる、ああもうダメだ
「私が居るからな、おやすみ」
優しく笑うきくりが見えて、僕は安心して眠りについた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おいおばさん、あおの前で余計な事を話すな、不安で泣いちゃったじゃないか!」
眠ってしまった青を起こさない様に、器用に小声で怒鳴り付けている
「本当にどうしたんだい?あんたが他人を気遣うなんて」
「あおだけは特別だ、こんなに綺麗な魂見たこと無い」
眠る青の頬をうっとりと撫でるきくりに、骨女はもしやと嫌な予感がする
「きくりまで、青が好きになったのかい?」
「私が名前を付けたんだ、もうあおはきくりの物だもんね!」
「お嬢が怒るよ、どうするんだい」
「早い者勝ちだ!」
「まったく青も災難だねぇ」
骨女は優しく青の頭を撫でるも、きくりに手を叩き落とされる
「いった、何するんだい!」
「あおはきくりの物だ!触るな、おばさんが移る!」
「失礼なガキだね!私も触る位良いだろ!」
「駄目だ!きくりだけのあおだ!」
「二人とも何をしているの?」
後ろから聞こえた声にピタッと二人の喧嘩が止まる、油の切れた機械の様にギギギッと振り向くと、そこには閻魔あいが居た。
「あっこんな所に居たのね」
あいは青に近付くと顔を覗いて笑顔を見せる
「お帰りお嬢」
「あいお帰り」
「ただいま二人共」
あいは青から目を離さずに返事をする
「疲れたみたいで、今寝たんですよ」
「疲れて?どうして?」
「あおはいっぱい泣いたからな!」
きくりの堂々とした発言に、あいが固まる
「あお?それに泣いたの?」
青の頬を撫でると確かに涙の痕が有る、瞼に触れると少し腫れている
「きくりが名前をあげたんだ、目が青色だから青!」
「青…」
「そしたら喜んでいっぱい泣いて、そのまま寝ちゃった」
「…そう」
「お嬢…」
「良いのよ彼が受け入れたのなら」
「…うぅ」
寝ていた青がうなされ始めた、辛い夢でも見ているのか涙を流している
「大丈夫よ」
あいが涙を拭おうと近付くと、青が何かを呟いた
「きくり…」
ピタリと止まったあいの代わりに、きくりが手を握り涙を拭う。
「あお…きくりはここに居るからな」
すると青は途端に安心した表情で安らかに眠り始め、きくりは微笑んで青を見守っている
二人を見るあいの目に光は無く、無表情で手を握り締めている
そんな三人を見ていた骨女は、ややこしい事になってきたと頭を抱える。
取り敢えず力を入れ過ぎて、手から血が流れているお嬢の手当てから始める事にするか…と骨女は救急箱を探しに行くのだった。
きくりの三輪車に乗ってる姿可愛い
今回は泣き虫な主人公
慰めるきくりママ
主人公は本来天国に行くはずだったので、魂がとても綺麗
地獄の者達が惹かれる程の輝き
主人公の目の色は青色、名前は青
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