ヒロイン 恋愛集 ヤンデレ多め   作:黒猫黒

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探す主人公
探される主人公



探し者 あい

ここは…確か誰かに抱かれて眠った筈

そうだ、きくりがいた筈。

僕に青と言う名前を付けてくれた僕の味方。

がばりと上半身を起こすと体からパサリと、上掛けが落ちる、一体誰の物だろう?

取り敢えず回りを見ても誰も居ない、途端に誰かに会いたい気分になった。

 

「誰か居ない…?誰も居ないの?」

 

心細さがどっと押し寄せてくる、手の中にある誰かの上掛けを肩に羽織る。

僕よりも小さなそれは女の子の物だろう、模様が可愛い小花柄だった。

 

縁側で寝ていたのでそのまま足元の草履に足を通す。

目の前には彼岸花が咲き乱れている、何かに惹かれる様にその中に一歩踏み出す。

 

「早く誰かに会いたいな、此方かな…」

 

・・・・・・・・・・・・・

 

「ただいま青…目が覚めた?」

 

ガラリと縁側に続く襖を開くと、其処には誰も居なく、青の姿も形も既に無かった。

床の木に触れるとまだほんのりと暖かい、そして草履が一足無く、花畑に足跡が続いていた。

 

「あい、もうすぐ雨が降るよ」

 

「ありがとう、お婆ちゃん」

 

あいは足早に花畑に向かって行った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

歩き出してから、どのくらいたったんだろう。

行けども行けども彼岸花が続く、空には夕日がずっと登ったまま夜にはならない。

その事が不気味さを感じさせ不安になって来る。

 

「このまま進むと、何処に行くのかな?」

 

「何処でも無いわ、ただ延々と花畑が続くのよ」

 

後ろから声を掛けられ、突然の事に体が跳ねる

 

「あいちゃん?」

 

「…青帰ろう、もうすぐ雨が降る」

 

「あいちゃん、お帰りなさい」

 

「!ただいま青」

 

僕がただいまを言うと一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに薄く微笑む。

あいちゃんの差し出した手を握ると、二人で並んで屋敷に帰った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

屋敷に帰ると何時も通り、後ろから抱き付きぴったりくっついてくる。

心なしか何時もよりもより、くっついて来ている気がする。

 

「あいちゃん、どうしてくっつくの?」

 

「…少し肌寒くて」

 

あいちゃんは少し考えてから、言い訳っぽくそう言った。

 

「あっそうだ、上掛け借りたままだったね有り難う。

これあいちゃんのでしょ?」

 

「そうよ。でもこれが良いのよ」

 

借りたままになっていた上掛けを返すも、あいちゃんは隣に置きまた抱き付いてくる。

 

「貴方、きくりに名前を貰ったのね」

 

「うんそうなんだ!名前を忘れてしまった僕に、新しい名前を考えてくれて…きくり?」

 

そこまで言ってからハッとする、外はしとしとと雨が降っている、きくりは大丈夫だろうか?

もしも濡れていてはいけないと考え、迎えに行こうと立ち上がる。

 

「きくりを迎えに行かなくちゃ。

雨のせいで、帰れなくなっているのかも知れない」

 

縁側に走り出そうとした僕の体が急に止まる。

振り返るとあいちゃんが服の裾を掴んで止めていた、顔を見ると無表情で感情が読み取れない。

一体なんだろう、急いできくりに会わなくてはいけないのに…

 

「行かないで…」

 

「あいちゃん?」

 

「…!きくりは骨女と出掛けているから、大丈夫よ」

 

「そうなんだ、まだ会えないのかぁ。いつ帰って来るの?」

 

「………」

 

僕が質問すると服の裾を掴んだまま、顔を下に向け答えてくれない。

 

「あいちゃん大丈夫?」

 

「きくりが心配?それとも会いたい?」

 

「勿論心配だし会いたいよ」

 

「私は?私はここに居るわ。

それでもきくりに会いたいの?きくりだけが大切?」

 

あいちゃんの前に座り込み目線を合わせると、僅かばかり悲しそうな表情をしている。

 

「行かないで、ここに居て」

 

寂しそうなあいちゃんを見て思い出した。

僕を最初に地獄行きから拾ってくれたのはあいちゃんだ、きくりには名前を付けて貰ったが、あいちゃんが最初に見つけてくれたんだった。

 

「ごめんねあいちゃん」

 

一瞬泣きそうな顔をしたが、僕から抱き締め返すと驚いて固まっていた。

 

「…青?」

 

「あいちゃんが見付けてくれなかったら、此処には居なかったんだよね。

きくりには感謝しているけど、それ以上にあいちゃんが大切だよ」

 

「私も貴方が大切、何よりも…ね」

 

二人で抱き合いながらポツポツと話していると、暫くすると眠気に襲われた

それに気が付いたあいちゃんがとんとんと、優しく背中を叩いてくれる。

それに誘われる様に眠りに落ちていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「青今帰ったぞ~!」

 

「きくりお帰りなさい」

 

縁側に腰掛けるあいと、膝枕で眠る青が居た

それを目にするときくりが怒り出した。

 

「あー!きくりの青なのにずるいずるい」

 

バタバタと地団駄を踏んでいる

 

「きくり、静かに青が起きてしまうわ」

 

「あい変われ!青はきくりの物だぞ」

 

「違うわ、彼は彼の物よ」

 

「ぐぬぅぅ」

 

あいが頑として変わらないと分かると、きくりは悔しそうにあいの隣に座る。

 

「良いもんね、起きたら遊んでもらうから」

 

「そうね、起きたらね」

 

「あい、なんだか嬉しそうだぞ?何かあったのか?」

 

「ふふっ大切なのは、私だけじゃ無かったのよ」

 

「何だそれ?」

 

「人間には、大切な者が必要と言うことよ」

 

きくりの顔を見ながらも、青の頭を撫でる手は止めない。

その青の寝顔は何処までも安らかだった。




あいちゃんが幸せになる日は来るのか?
来て欲しい

主人公刷り込みの要領できくりに依存気味

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