続きそう
突然だが朝起きると頭に猫耳が生えていた。
男の猫耳に需要等無いだろうに一体何故?という疑問はドアの隙間から嬉しそうに、こちらを覗くララの姿を発見した事で全て解消された。
「ララ、俺が寝ている間に何かした?」
ベッドから起き上がりドアを開けるとそこにはやはり、嬉しそうにニコニコしているララがいた。
ちなみに起き上がった時に気付いたが、ご丁寧に猫の尻尾までついていた。
「おはよう!セイが寝てる間じゃなくて、寝る前に渡した飲み物に薬を混ぜておいたんだよ!」
ララは何故か胸を張りえっへんと、褒めてオーラを出していた。
「あーそうか、ララは賢いなぁ」
「でしょでしょ!」
適当にララの頭を撫でながら、おざなりに褒めるとそれでもララは嬉しそうに笑っていた。
「で、本題なんだけど何で俺に猫みたいに成る薬を飲ませたの?」
全く意味が分からない、こういう物は普通可愛い女の子に生えて初めて可愛さの意味をなす物じゃ無いのか?
ごく普通の男の子である、俺に生えて一体何の意味が有るって言うんだ。
「私ね考えたの、私の好きなセイと皆が好きな猫ちゃんを掛け合わせたら、もっとセイが好きになるんじゃないかって!」
聞いた所でろくでもなかった。
「ララは俺から猫耳と、猫尻尾が生えてて今までより良くなったと思うの?」
心底疑問なので聞いてみる
「勿論だよ!格好いいセイと可愛い猫ちゃんの要素が合わさって、今すぐ抱きつきたい位だよ!」
「そう…」
そう言うが早いか抱きついて来たララに、最早諦めの声しか出ない。
そこに、俺には不幸を告げる音にしか聞こえない誰かの足音が聞こえてくる。
「ララさーん!セイさん起こしに行ったっ切り戻って来ませんけど、どうかしましたか?」
美柑だ美柑の声が聞こえる、それは足音と共に俺の部屋に近付いてくる。
そしてララは未だに俺に抱き付いたままだ。
「セイさん、起きてますか?入りますよ?」
そして、美柑がセイの部屋で見たものは、猫耳猫尻尾を生やしたセイに抱き付くララだった。
「なっセイさん、その格好はどうしたんですか!
って言うかララさんも!セイさんから離れて下さい!」
美柑がララを引き離し、しげしげとセイを見つめる。
「セイさん、それ本物何ですか?」
「どうやらそう見たい、俺の意思で自由に動かせる」
セイはそう言いつつ猫耳をピコピコ動かしたり、尻尾をピンと伸ばしたりして動きを確かめていた。
「一体どうしてそんな事に…」
美柑も気になるのか、セイの頭の上の猫耳と腰に付いた尻尾との間で視線をうろうろさせていた。
「ララが俺が眠る前にくれた飲み物に、薬を混ぜていたらしくて…」
「あーはい、大体分かりました。
原因はララさんの開発した薬のせいですね」
トラブル経験値の高い美柑は、大体の訳を聞いただけで全てを悟ったようだった。
「ねー美柑、セイの猫耳可愛いでしょ!
格好いいセイに、可愛い猫ちゃんを合わせたら、何倍も良くなると思って、大成功だよね!?」
「うっそれは否定しませんが…」
「美柑も触らせて貰ったら?猫耳のセイは今しか無いんだよ?」
ララの今しか無いと言う言葉に美柑は、う~んと唸りながら考えるも、チラチラとセイの猫耳を見て決心した。
「…セイさん、私も触らせて貰っても構いませんか?
勿論迷惑なら止めておきますから」
「…引っ張ったり、痛くしないなら、良いよ」
美柑が撫でやすい様に目の前にしゃがんで、頭を差し出す。
「それじゃあ失礼します」
ごくりと唾を飲み込むと、美柑はセイの頭を撫でながら猫耳を触り、尻尾を撫でる。
「ふわぁー、猫耳はふかふかで尻尾は艶々、これは気持ち良いですね」
「でしょー触り心地に拘ったんだよ?」
美柑が撫で続けているとセイの喉付近から、ゴロゴロと音が鳴り出した。
「あっセイさん気持ち良いですか?」
「ああ、こうしてると本物の猫に成った気分だ」
「じゃあセイ、このまま私に飼われてみる?うんと甘やかしちゃうよ?」
「駄目です!セイさんは、誰の物でも有りませんから!」
そう言いつつ美柑がセイに抱き付いていた。
そこで美柑はセイの部屋に来た理由を思い出した。
「あっそうだ!朝御飯を作ってる途中だったんだ、だからララさんにセイさんを起こしてきてって頼んだんだった」
「そうだったね、ごめんね美柑忘れてたよ」
「もう!ララさんたら、私朝御飯の準備がまだだから戻るけど、二人もすぐに来てくださいね!」
そう言うと美柑は名残惜しそうに、セイの猫耳を一撫でしてから、足早にキッチンに降りて行った。
「で、ララこの猫耳を治す薬はあるの?」
改めてララに猫耳を治す薬が有るかを聞く、このまま猫の耳と尻尾を付けたままでは、普通の生活さえままならない。
「え?無いよ、だって猫に成ったセイを私が飼うんだから、治す薬は必要ないよね?」
「それはさっき美柑に、駄目だって言われたでしょ」
ついさっき美柑がララに怒って止めたばかりだ。
「私は本気だよ?さっきは美柑が居たから遠慮してたんだよ。
セイは私に飼われて幸せになるの、私はセイを飼って幸せになる、ね?完璧な計画だよ」
ララは何処か可笑しな所でも有るのかと首を傾げている。
ここで丸め込まれては、俺の人生がララに飼われて終わってしまう、そうならない様にララを説得しなければ。
「ね?良い計画だと思わない?」
「俺は、ララに飼われて暮らすのは嫌だ」
言った瞬間今までのニコニコしていたララの顔から、表情が消え能面の様になる。
「どうして?」
「何が?」
「どうして、私に飼われて暮らすのは嫌なの?もしかして猫ちゃんは嫌だった?それなら、ワンちゃんとか、他にも色々…」
「ララ、俺は人に飼われて暮らすのは嫌だ」
「何で?好きな人同士一緒に暮らせたら幸せだよ?それともセイは私の事好きじゃないの?そんな事無いよね?ねぇ?」
ララは能面の様な表情のまま、抱き付いて来てそのまま俺の胸に嫌嫌をする様に、顔を擦りつける。
「ララの事は勿論好きだよ。
ララ、好きな人と一緒に暮らすのは幸せかもしれないが、それは好きな人を飼うなんて言わないんだよ」
勿論ララの事は好きだ、小さな頃から一緒に過ごして来た幼なじみだし、大きくなった今でもララは大切な女の子だ。
「でも、セイの事を好きな女の子は沢山いるから、首輪でも付けてないと何処かに行っちゃう…」
「行かないよ、ララを置いて何処にも行かないよ」
「本当に?」
「そんなに不安にならなくても、今までララを置いて居なくなった事なんて、1度も無いでしょ?」
「うん、今までずっと一緒に居てくれた。
でもこれからは分からない、やっぱり首輪でも着けないと…」
ララに首輪以外で安心して貰うにはどうすれば良い?
うーんと無い頭を振り絞り考えた結果。
「ララ俺と一つ約束をしよう」
「約束?」
ララは不思議そうに俺の胸から顔を上げた。
「そう約束。もし俺が、約束を破ったら俺をララの好きにして良いよ」
「…私の好きに?」
「煮て食うも焼いて食うも、好きにすれば良い」
「私、セイにそんな事しないよ!」
「言葉の綾だよ、だからララ何か約束をしよう。
ララが内容を決めて良いよ?」
約束の内容は時間がかかるらしいと思ったが、そんな事はなくララの口からスラスラと出て来る。
「今までみたいにずっと一緒に居て、私を置いて行かないで、何処かに行っちゃうのなら私も連れて行くって約束して」
「勿論約束するよ」
俺が約束すると言った瞬間、ララの顔に表情が戻りまた、ニコニコし出す。
「えへへ、二人だけの約束だよ?もし破ったらその時は…」
「ああ、潔くララに飼われるよ」
「これでずっとずっと一緒だね」
セイは約束を守っても、破っても一生ララと一緒になるのだった。
男の猫耳、猫尻尾に需要は有るのか…
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