春香はどうしてそうなっちゃったの?(涙目)
沢庵とケチャップは合わないと思うの
あっきーは不憫
両手で抱える程に巨大な箱を持った美希が、事務所に入った途端にキョロキョロと誰かを探していた。
「あっ居たの!」
僕にその巨大な箱を渡してきた。
「はい!ハッピーバレンタインなの!」
「ありがとう、おっ大きいね」
両手で受け取り、そこそこの重さのプレゼントを机に置く。
「本当は美希の首にリボンを巻いて、美希がプレゼント♥️とか?したかったけど…」
「しなかったんだ」
ホッとしながら続きを促す、美希だったら平気で実行しそうな物なのに何が冷静な判断をさせたのか
「うんだって滑ったらヤダし、ベタかなって思ったの」
「あぁ…」
そうだった美希はこう見えて賢い、失敗しそうなリスクの多い事は自然と避けている
「して欲しいなら美希は全然welcomeなの!今からでもプレゼントになっても良いよ?」
笑顔で両腕で胸を強調する様なポーズで前のめりになる、この子は何時でも自信満々で大胆不敵だなぁ
「それよりも、美希のくれたプレゼントが気になるよ。
開けても良いかな?」
「そうだったの!ぜひぜひ出来立てをどうぞなの!」
「出来立てを?」
何だろう出来立てとは一体?バレンタインだからチョコの出来立て?でもチョコに出来立てなんて無いだろうし…
リボンをほどきプレゼントの箱を開けると、中には真っ黒な三角が沢山入っていた。
「これは?」
「おにぎりなの!バレンタインにちなんで海苔多めで、黒くしてみたの!ちょっぴりチョコみたいでしょ?」
「へぇ!器用だね」
綺麗に海苔の巻かれたおにぎり達は綺麗に箱の中に並んでいる
美希本来の器用さが存分に発揮されていた。
好きな物や好きな事に全力で取り組むのは良いけれど、普段ののんびりとした姿と、今目の前でキラキラ瞳を輝かせている姿は余りにも重ならない
「美希ね頑張っちゃった、一つずつ中身も違うんだよ?これはね、明太子でしょ、おかかに梅干し、お塩に…」
うんうんと説明を聞いて居ると、口元におにぎりが差し出された
そのまま食べさせて貰うと中身はたらこだった。
「あっ美味しい。お塩が丁度良くて、お米も潰れてなくてそれでいてしっかり握られてる」
「そうなの!そこまでわかるなんて流石なの!」
残ったおにぎりを自分の口に放り込みながら話す美希に驚く。今ごく普通に間接キスいや、一つのおにぎりを二人で食べる方が恥ずかしい
「美希今同じおにぎりを…!」
「そうなの食べたの、その為に沢山作ってきたの。
これなら沢山間接チューが出来るでしょ?美希ってば天才なの!」
「天才?今完璧な自分を読んだか?」
「何やら面妖な食べ物が此方に有りますが」
いつの間にか大きく成っていた美希の声に、響と貴音がつられてやって来た
「違うの!美希の完璧な間接チュー作戦が大成功したの」
二人に美希の完璧な間接チュー作戦の説明を真剣にし出している。
「そうなのか美希はもう渡しちゃったのか、自分も一番に渡したかったぞ」
「そうですね、恥ずかしがる響を宥めていて出遅れましたね」
「うぎゃーそれは秘密だぞ!貴音!」
「おや、そうなのですか?」
真っ赤な顔の響が貴音を追い掛け部屋から出ていった、去り際に貴音が美希の鞄と言っていたが…
これで事務所には完全に二人きりに成ってしまった。
貴音の言葉に美希の鞄をこっそり見ると、小さな一つの包みが入っていた。
まるでバレンタインのチョコでも入っているかのような、ピンクと赤色でハート満載の包みが。
「一体なんなのなの、騒がしい二人だったの…あっ!」
「それって…」
僕の視線に気が付いたのか急いで鞄を閉じている。
あれはかなり気合いの入った包装、本命チョコかな?
「ちっちがうの…これは何でもないの、そう!新しく買ってきたお化粧品で…」
「本命チョコかな?誰に渡すの?」
「え?」
チョコとバレて驚いたのかしどろもどろになる美希に誰に渡すのか聞いてみた、かなり驚いたのかそのまま固まってしまった。
「なっなんで?」
「そりゃ見れば分かるよ、そんなに大切そうに扱っているし、飾り付けも本気で頑張ったみたいだし」
「違うの」
「隠さなくて良いよ、僕も応援する…」
「違うの!」
バンっと机に両手を叩き付けた美希に驚く、顔をみると今にも溢れんばかりに涙が溜まっていた。
「あっごめんなさい…なの…」
そのまま力無くソファーに座り込み「ごめんなさい」と「違うの」を交互に呟いている。
どうやら僕が何かを間違った様だ、美希の隣に座り詳しい話を聞く。
「ごめん美希、僕何か間違ったみたいで」
「違うの!ごめんなさい、美希がちゃんと渡せてれば…こんな事には…」
ボロボロと涙を溢す美希を見てやっと気付いた、これは鞄の中に入っている包みは、僕の…?
「あの違ったら笑ってね、もしかしてその包みは僕に?」
「…そうなの、初めはこっちも渡したかったけど…どうしても勇気が出なくて、おにぎりだけで誤魔化そうと思ったの」
「2つも作ってきてくれたの?」
「好きな人には好きな物を好きになって貰いたくて、沢山作ってきたの…でも泣いちゃった、バレンタインに泣いちゃうなんて…なんて…」
とうとう両手で顔を覆い泣き出した美希に、今度はこちらから勇気を出す番だ。
「美希、チョコを僕に下さい。」
物凄く恥ずかしいけど言い切った。
え?と美希に見上げられる、今度はちゃんと僕が伝えたい
「僕に美希の本命チョコを下さい」
「!はい!なの」
美希は涙で濡れた顔のまま、笑顔でチョコを差し出してくれた。
「想像とは全然違ったけど、渡せて満足なの」
「ありがとう美希、顔が濡れてるよ」
ハンカチで美希の顔を拭いて行くも、美希はされるがまま倒れかかって来る。
「泣いたら少し疲れたの、一緒に寝よ?」
「そうだね少し疲れたよ」
「起きたら一緒におにぎり…食べるの」
「チョコも食べ…ようね」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「あーんなの!」
「美希もう流石に入らないよ、おにぎりもう十個以上は食べたよね?」
「十個なんて直ぐなの。まだまだ有るから、どんどん食べてね?」
おにぎりを差し出して来る美希に、お腹の限界を訴えるも聞いて貰えない。
扉の影にアホ毛が見えたこれは!チャンスだ!
「美希!」
「はい!」
両手で美希の肩を掴むと、何故か勢いの良い返事が帰って来た。
瞳を閉じて所謂キス待ちの顔をしている。
「こんなに美味しいおにぎりを、僕だけで食べるなんて勿体ないよ。響と貴音にも食べて貰いたいな」
「へ?キスは…?」
キョトンとした美希に畳み掛ける
「丁度彼処に響!貴音!」
扉のアホ毛=響に声をかける、貴音は扉の磨りガラスに影が写っている。
「えっこの空気に入って行くのか!」
「はいあなた様、あなたの貴音にございます」
「あー!ずるいぞ自分も自分もだぞ!あなたの響だぞ!」
やっぱり二人とも居てくれた、この頃は何故か必要とした時に何故か側に三人とも居てくれて大変助かるが、何故だろう。
「あーあなのもう仕方ないの、二人のお皿とお箸持ってくるの」
「自分はお茶いれるぞ!」
「私はら~めんを…」
「おにぎりを食べるんじゃないのか?」
「響ら~めんは飲み物なのですよ」
「おにぎりを食べるの!」
三人はかしましく準備をしている様で、美希が何時もの様子に戻ってくれてよかった。
三人が戻って来るまでに少しでも机にスペースを作っておこう、今年はチョコよりもおにぎりなバレンタインだ
新しいプロデューサー達は覚醒美希を知っているの?
ショートカットも似合うんだよ
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