ヒロイン 恋愛集 ヤンデレ多め   作:黒猫黒

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一番はじめの物語
プリマになりたてのアリシアさん

喜んでいただければ幸いです


出会い アリシア 外伝

「人間、いや人類来る所まで来たって感じだな」

 

ターミナルから出た瞬間から、まるでそこは水の都、イタリアのヴェネチアを彷彿とさせる街並み。

元が火星とは思えない、ネオ・ヴェネチアが広がっていた

 

「此れからどうするかな、適当にぶらついて新しい宿でも探すかな」

 

「あら?お客様かしら?」

 

「え?」

 

驚いて顔を上げると、目の前にはゴンドラに乗った女の子が座っている。

そして何故か目の前の女の子も同じ様に驚いていた。

 

「あぁすみません、ターミナルからぼーっと歩いていたら、此処にたどり着いただけで客ではないんです」

 

「まぁ、それなら私がこのネオヴェネチアを案内しますわ、今着いたばかりなんですよね?」

 

「はい、そうですね」

 

俺がそう答えると、女の子は嬉しそうに笑いながら両手を合わせて喜んだ。

 

「じゃあ丁度良かった、私これでもウンディーネなんです」

 

「はぁ」

 

意図する所が分からず、曖昧な返事を返してしまう

 

「それで?」

 

「今さっきまで本日のお客様を待っていたんですけれど、どうやらすっぽかされてしまった様で…」

 

「本日のってもうすぐお昼ですよね?一体何時から待っていたんですか?」

 

「そうねぇ、たしか朝の9時にARIAカンパニーを出てからずっと座って待ってたわねぇ」

 

そこで腕時計を確認するともうすぐで12時だ、3時間も待っていた事になる。

 

「なんで3時間も待っていたんですか!」

 

「もしかしたらお客様に何かあったのかもと思うと、ねぇ?待ち合わせ場所に相手が居てくれないと寂しいじゃない?」

 

「え?」

 

「だって待ちぼうけはきっと、とても寂しい事だわ」

 

まだ春先の冷たい風の吹くゴンドラにたった一人、指先と頬と鼻先を赤く染めた女の子が風に吹かれて待っていた。

 

その事実に胸がぎゅっと締め付けられ、切ない気持ちになる。

 

「…そう、ですね」

 

「だから、とは言わないけれど。

今日の予定は白紙になってしまったの」

 

儚げに笑うこの少女を助けたい、手伝いたいと強く思ったのはこの時からかもしれない。

 

「それじゃあ、ウンディーネとして今日は1日付き合って貰おうかな」

 

少女の顔がパアッと明るくなる

 

「はいっ!是非お願いします。

私は本日のウンディーネを勤めさせて頂きます、アリシアと申します、よろしくお願いいたします」

 

「お願いします、アオイです」

 

二人で笑い会うと不意に手を差し出された

 

「お客様ゴンドラが揺れますのでお手を」

 

「ありがとう」

 

手を繋ぐとやはり長時間待っていたせいだろう、手が冷え切っていた。

それに小さくグゥ~っという音も聞こえてきた

 

「あっ」

 

アリシアが顔を赤くしている

 

「観光より先に、ご飯に案内してもらっても良いかな?ネオ・ヴェネチアに着いてから未だ何も食べてないんだ」

 

小さくありがとうと聞こえたと思うと

 

「はい、取って置きに案内しますね」

 

アリシアはニコニコと笑っていた、やっぱり思った通り笑った方が美しいと声に出さずに心の中でそう思った。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「着きましたよ。ここです、ここのピザが絶品なんですよ」

 

よほどお腹が空いていたのか、楽しそうに少し早口になるアリシアさんに少し笑ってしまう

 

「…?なにか?」

 

「いや、すまない楽しそうだと思って」

 

「あっごめんなさい仕事中でした、何だか貴方と居ると仕事を忘れそうになってしまうわ」

 

「褒め言葉として取っておくよ」

 

「勿論褒め言葉です!」

 

クスクスと、二人で笑うと何だか長年の友達の様で更に可笑しくなってくる

アリシアさんも同じ様に笑っていた

 

「何だか長年の友達の様ですね」

 

「まあっ私も全く同じ事を考えていたんです、やっぱり気が合いますねぇ」

 

ゴンドラから先に降りアリシアさんに、手を差し出す。

 

「お手をどうぞアリシアさん」

 

「もぅ、それはウンディーネの仕事ですからね」

 

ぷんぷんと怒りながらも、俺の手を取ってくれる

 

「こんな事されたの、生まれて初めてですよ!」

 

「おや?アリシアさんの初めてを貰ってしまいましたか?」

 

「はいっ責任とって下さいね、なんて」

 

また二人で笑い会う

それからはアリシアさんにお任せでオススメの料理を頼んでもらう。

 

「ホントだ凄い、全部の料理が美味しいよ」

 

本当に凄いアリシアさんの注文に外れが無い

アリシアさんは得意気に微笑んでいた、可愛い

 

「本当に美味しいでしょ?お口に合って良かったわ、で本題なんだけれど」

 

「本題?」

 

口の中のピザを飲み込み、水で流し込む

 

「ターミナルから此処に来るまで、何処にも寄ってなかった様だけど今日のホテルは決まっているの?」

 

「…あ」

 

ふと時計を見るともうお昼を過ぎ2時になりそうだった。

カーニバルの近いこの季節では、もうホテルは満室だろう。

 

「やっぱり決めて無かったのね」

 

「ああ、完全に忘れてた」

 

「それなら丁度良いわ、ARIAカンパニーに泊まれば良いのよ」

 

「え?」

 

「ARIAカンパニーは、今は私しか住んでないもの」

 

「え?え?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「大丈夫?もうすぐでARIAカンパニーに着くわ」

 

「え!」

 

レストランで放心してから今まで、全く記憶が無いが。

確かにARIAカンパニーに泊まる様に言われた筈だ、そしてARIAカンパニーは今はアリシアさんが一人で住んでいるとか。

 

常識的に考えて、今日の昼に出会って間もない男を女の子が独り暮らしの家に泊める物では無い。

 

「アリシアさん、やっぱり良くないよ女の子が男を泊まらせるなんて、何か有ったらどうするの?」

 

「あら、それこそ責任を取って貰えるのかしら?」

 

「あれはその、冗談で…」

 

その時アリシアさんが、オールを静かにゴンドラに置いた。

すっと上半身が近づいて来る、顔同士がスレスレで止まる

 

「…アオイさん」

 

「ちょっとアリシアさん、大丈夫ですか?!」

 

「私は待ち惚けの寂しい時にやって来てくれた貴方が好きになったのよ、何をって思うかもしれないけれど…」

 

「…本当に」

 

「初めてアオイさんの顔を見たときに、胸がぎゅっときゅっとしたのよ。

これは初めての経験で、でもすぐに分かったわ…これが一目惚れなんだって」

 

頬に触れるアリシアさんの手が震えている、真剣な気持ちが震える指先から伝わって来る。

 

「責任、取ってくれるんですよね?」

 

「アリシアさん…」

 

「なんて、今は大丈夫です。

私の見える範囲に貴方が居てくれれば」

 

すっと上半身が離れゴンドラのオールを掴むと、スゥーっと流れる様に進み出す

心を決めて話しかける

 

「アリシアさん、今日はお世話になります」

 

「はいお世話します」

 

何が楽しいのかまたクスクスと、笑っている

 

「私が貴方に一目惚れしたのは本当ですから、今日はなんてつれないことを言わないで…

本当は責任なんて関係なく私を貰ってくれても良いんですよ?」

 

「…いやそれは」

 

「取り敢えず二階の使っていない、お部屋が有りますからそこに泊まって頂けますか?」

 

「はい、有り難うございます」

 

「それと今日だけじゃなく、ネオ・ヴェネチアにいる間はずっと…ですからね」

 

笑っているのに目が笑っていない笑顔に押されてこうしてアリシアさんとの暮らしが始まるのだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「で?この顔に張り付いている猫?は何ですか?」

 

「あらあら、もうアリア社長と仲良くなったのね、良かったわねアリア社長」

 

「ぷいにゅー」




アリシアさんの一目惚れ
惚れたらグイグイ来そう

飯より宿

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