日常回
「起きてください、アオイさん」
体をゆさゆさと揺さぶられる感覚がして、うっすら目を開くとアイちゃんがいた
「アオイさん?」
「…おはよう、アイちゃん」
「おはようございます、アオイさん!
朝ご飯出来てますよ、早く行きましょう」
ぐいぐいと手を引き体を起こされる、アイちゃんはこの頃マンホームから引っ越してきた、ウンディーネを目指す女の子で髪の毛を結ぶ赤いリボンが特徴的だ
今アイちゃんはアリアカンパニーの一番新人なので、3階で生活をし、俺と灯里ちゃんは二階のそれぞれの部屋で生活している
「大丈夫ですか?まだ寝惚けてますか?」
「いや、流石に目は覚めたよありがとうアイちゃん」
髪型が乱れない程度に頭を撫でると、アイちゃんは嬉しそうに笑った
「えへへ、今日の玉子焼きは私が作ったんですよ」
「それは凄い」
「冷めちゃう前に早く行きましょう」
机まで手を引かれて進むと、灯里ちゃんは既に席に着いていた
「おはようございます、アオイさん」
「おはよう灯里ちゃん」
「アイちゃんも、アオイさんを起こしてきてくれてありがとう」
「えへへ」
それぞれが席に着くともう既に配膳が終わっていた。
「それじゃあ、みんなでいただきましょう?」
「「「いただきます」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼過ぎ
「あづい~」
アイちゃんが走ってきてペタペタと俺の顔を触ると、急に叫びながら灯里ちゃんを呼びに行った。
「あー!アオイさんがとけちゃいます!」
「アオイさん、大丈夫ですか?」
「じめじめするし、暑いし大丈夫じゃないよ~」
机に頬をくっ付けたまま、暑さでとろけた顔で返事をする。
このネオ・ヴェネチアは四季が二倍の長さがある、すなわち梅雨の期間も二倍になる。体にカビでも生えそうだ
俺の人生の目的かつアリアカンパニーに居る理由である、居心地の良さが脅かされている今、梅雨の間だけでも住みかを変えようかと真剣に考えていた。
「ああっアオイさん、そのお顔は放浪に出る前のお顔ですよ!?駄目です!急いで何とかしないと!」
灯里ちゃんがあわあわしだしたので、俺はそんなに顔に出やすいのかと考えていると…
首筋にピタッと冷たいものが押し付けられた。
思わず振り替えると、氷の入ったコップを差し出すアイちゃんが居た。
「へへっ、アオイさん引っ掛かりましたね」
「これは…」
「お茶です!灯里さんもどうぞ、取り敢えず落ち着いて下さい」
「あっありがとう、アイちゃん」
「ふぅ~もう少しで体が溶ける所だった、ありがとう少し持ち直したよ」
「えへへ、良かったです」
「ナイスだよアイちゃん!」
二人はハイタッチして喜んでいる
「ありがとうアイちゃん、涼しくなったよ」
「やった、アオイさんは暑さが苦手なんですね」
「ふむふむ」
灯里ちゃんはまた俺の事を手帳にメモしている
「そうなんだ、暑さだけじゃなく寒さも苦手で本当に厄介だよ」
「ふえ~大変ですね」
「ふむふむ、寒さにも弱いっと」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「暑い」
先程の氷入りお茶を飲み干すと暫くは涼しかったが、また直ぐに暑さが戻ってきた
駄目だ本格的に頭が回らなくなってきた
「まだ、駄目そうですねー」
「うーん、灯里さんどうしましょうか?」
「そうだ!ちょっと待っててね」
「はい。大丈夫ですかーしっかりですよ、アオイさん」
パタパタと二階から灯里ちゃんの走る音が聞こえてきた
「はい、アイちゃん」
「これは?団扇?」
「そう!涼しいでしょ~?」
「本当に涼しいです」
「で、アオイさんちょっと失礼しますよ?よいしょ!」
「うわ!」
いきなり体を倒されたかと思うと、目の前には二つの膨らみと灯里ちゃんのニコニコ笑顔がみえる。
これは、膝枕されているのか
「どうですか~?涼しいでしょうか?」
「うわー灯里さん大胆!」
「えへへ」
膝枕されているまま、パタパタと団扇で扇がれているそこにアイちゃんも加わり二人に扇がれている
なんて贅沢…
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ああ~」
アオイは気持ち良さそうに目を細めて、今にも眠ってしまいそうになっている
「どうですか~気持ち良いですか~」
「…うん、気持ち良いよ~」
うつらうつらしながら返事をするアオイを、二人は微笑ましく見守っていた
「灯里さんアオイさん、寝ちゃいそうですよ」
「そうだね~」
「灯里さん、私約束の時間なので練習に行って来ますね」
「うん、アイちゃん頑張ってね」
「はい!…おっとと起こしちゃいますね、いってきます」
アイちゃんは大声で良い返事をしたあとに、起こさない様に静かにアリアカンパニーを後にした。
「いってらっしゃい」
フリフリと手をふるアイちゃんに、灯里ちゃんも声だけで返事をする。
「ふふっ二人きり…ですね」
「…」
「眠っちゃいましたか~?」
灯里ちゃんの声に反応がなく、頭を撫でる手を黙って受け入れているアオイは完全に眠っていた。
「本当に眠ってますか~?」
ツンツンとアオイの頬をつつけばむずがる様に、眉間にシワがよる。
「…久しぶりの二人きりですね。アイちゃんが来てから楽しい毎日でしたけど、二人きりは本当に久しぶりで何だかどきどきしちゃいます」
「んっ」
その時相槌の様にアオイが寝息をたて、驚いた表情の灯里ちゃんは段々嬉しそうな表情になっていく。
「アオイさんも?二人きりでどきどきしちゃいますか?なら、少しは良いですよね?」
灯里ちゃんは髪を耳に掛け体を近付けていく、眠るアオイの顔に影がかかる。
「…ふふ、これは私だけの内緒です」
チュッと二人の唇がかさなった。
「はっ恥ずかしい行動禁止!」
二人の唇が離れたのを見計らって、入り口から入ってくる。
「藍華ちゃん!見てたの!」
「そいつが暑がってるだろうと思ってアイス買ってきたら、一体何してるのよ!」
「あわ、あ藍華ちゃん、アオイさんが起きちゃうよ~」
「…そうね、ってそれどころじゃ無いでしょうが!」
それでも、一応声を潜める藍華ちゃんは良い子らしい
「それでそのどうなのよ、そいつとは何時もそんな事してるの?」
「そっそんな恥ずかしい、何時もはしないよ初めてだよ~」
顔を真っ赤にさせて否定する灯里ちゃんに、何か考え込む藍華ちゃん
「そう、なら私にもさせなさいよ」
「ええっなんで!」
「そんなの灯里だけズルいじゃない!」
「でっでも~」
「あーもーうるさい」
アオイの顔の前にしゃがみこむと、気合いを入れる
「いっいくわよ、ごめんねアオイ」
「あっあわわわ」
「んっ」
「ホントにしちゃった…」
「灯里だってしたじゃない」
「そうだけど…」
「はい!この話はこれでおしまいっ。
そいつ起こして、アイス食べさせましょ!また旅に出られたらたまったもんじゃ無いんだから!」
「ええー!」
「起きなさいよアオイ!アイス買って来たわよ」
「…んっ」
「ほら早く起きた起きた!」
頬にアイスを乗せるとアオイが飛び起きた。
「うおっ藍華」
「おはよう寝坊助さん、アイス食べるでしょ」
「ああ、梅雨になると毎日藍華が買って来てくれた奴だな」
「覚えてたの?」
「それのお陰で梅雨が乗り切れてたんだよ、忘れるわけ無いよ。
灯里ちゃんも膝枕ありがとう、つかれたでしょ?」
藍華の頭を撫でながら灯里ちゃんに話しかける
「いえ、私は平気でしたよ…むしろ幸せだったような…」
「灯里ちゃん?」
「なっなんでも無いです!ねえ藍華ちゃん!」
「なっなんで私に振るのよ、そうよ何もないわよ!」
「んー?」
二人が声を揃えて何も無いと言うのなら無いのだろう、それよりも今は藍華の買って来てくれたアイスが先だ
暑さにも寒さにも弱い貧弱主人公
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