民間デビルハンター佐々木の日常。   作:暗黒の田中

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四話 民間デビルハンター vs. 廃ビルの悪魔 その2

大蔵ビルの中は廃ビルというだけあって見事に廃退し切っていた。

というか、ゴミが至る所に散乱していた。

事前情報にあった通り大蔵ビルはホームレスの溜まり場となっていたようで(中にいたホームレスは恐らく全員逃げ出している)、多種多様なゴミたちが俺たちの目の前に散乱していた。

 

「うえっ、こんなことならマスクしてくるんだった……」

 

野宮は青ざめた顔でポケットからハンカチを取り出し鼻と口に当てた。

皆それには同意しているようだが、なるべくこの空間の空気を吸いたくないためか頷くばかりで口を開くことはなかった。

 

廃ビルである大蔵ビルを一階から散策している俺たちだが、最上階である六階階まで上ったところで遂に悪魔の痕跡を見つけることはできなかった。上り下りの手間があるせいか、五階辺りからは一階ほどはゴミは散乱していなかった。

時間をかけて探索していたこともあり時刻はもう夕方になっていた。大蔵ビルは当然ながら電気が止まっているため、日が沈めば辺りは暗闇とは言わないまでも黒く塗りつぶされてしまう。念のため携帯用の懐中電灯は人数分持ってきてはいるが、いざ悪魔と戦闘ということになれば片手でそれを持ち続けるのは邪魔にしかならなくなる。

 

「……ほ、本当に悪魔いるんですかね? 何かと見間違えとかじゃ」

 

契約している悪魔の特性から先頭を歩いていた工藤が痺れを切らせてか独り言のようにそう呟いた。(ちなみに、工藤、野宮、俺、及川の順で隊列を組んでいる)

 

「工藤ぉ、ゲームや漫画でも大体こういうのは最後の最後に出てくるもんだからよぉ。勿論、頭ぱっぱらぱーのホームレスが見間違えたっつー可能性もないわけじゃないけど、その考えが頭に出てくる時点で油断してると言わざるを得ないというか。ねぇ、及川さ――」

 

俺はそう言い、及川のいる後方へ振り返るが、そこに彼の姿はなかった。

 

「あ、え……、野宮ぁ、及川さんどっか行って」

 

再度前を向けば、そこに野宮の姿もない。不味い。油断していたのは俺だった……!!

声を発するより先に、前を歩く工藤の肩を掴み制止させる。何事かと振り返った工藤は俺と同様に混乱している。

 

「やられた。多分、悪魔にやられたんだ。俺が後ろを向いたら及川さんがいなくなってて、その後すぐに前に向いたら今度は野宮がいなくなってたんだ……」

「や、やられたって……。し、死んじゃったってことですか!? 二人とも!?」

「それは分からんけど、もしまだ生きているならどこか近くにいる可能性が高いと思うぜ。ついさっき起きたことだからなぁ」

 

それに及川さんに関してはいつからかというのは正直分からないが恐らく一分以内。野宮に関しては十秒以内に姿を消している。辺りを見回した限り二人の血痕などは見て取れない。どこかに連れ去られまだ生きている可能性だった十分にあると俺は思っていた。それに――。

 

(それに、デビルハンターを痕跡も残さずものの数十秒で殺せる悪魔がいるとすれば、俺たちはもう息をしていないはずだ。)

 

自分がまだ生きていることこそが、相手が上位の悪魔でないことの証明になるというのはなんとも不思議な話だ。

 

 

 

          ☆

 

 

 

俺たちのいる場所から隠れられる場所は三つあった。

二つは、元はオフィスとして使われていた部屋。これまでの階にあった部屋割りから考えると広くて五〇坪ほどの大きさだ。もう一つは非常階段への出入り口だが、位置的に一番遠い場所に設置されていることもあり、悪魔が隠れている可能性は一番低いように思えた。

工藤を顔を合わせハンドサインで手前の部屋へ行くよう伝えると、工藤は怯えながらもコクコクと頷いた。

 

意を決して部屋へ入ると、首を吊った男が俺たちの目に飛び込んできた。

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