【完結】ジャミルとダウドの転生記   作:どんぐりヒッター

1 / 5
第一話 ロマサガ1

「あにきー、はい奇麗な腕輪」

「ああ、ダウド。ありがとよ」

 

俺の名前はダウド、あにきはジャミル。南エスタミルの町でコソ泥やってる。

 

「しっかし、しけてやがんなー」

「しょうがないじゃん、まだまだ大物には成れないよ」

「この町に居たって駄目だな、こりゃ」

「どこにも行けないよ?」

「なーに、言ってんだよ。裏技ってもんが有るんだぜ」

「え? 裏技? なになに?」

「ちょっと来い」

 

裏通りに身をひそめる。

 

「冒険者ギルドに入っちまうんだよ」

「盗賊ギルド、抜けたらやばいよ!」

「しーっ! 大きい声出すな。大丈夫だって、俺達みたいな下っ端は居なくなっても誰も気にしやしないさ」

「俺達弱いんだから、町から出られないよ? 船に乗る金もないし」

「だから、裏技があるって」

「どうやって町を出るの?」

「町はずれに下水道が有るだろ? あそこから北エスタミルに行けるらしいんだよ」

「下水道って、あそこモンスター一杯なのに無理じゃん」

「だから、冒険者ギルドに入っちまうのさ」

「それで?」

「冒険者ギルドの登録はパブで名前と親の職業書き込むだろ?」

「うん」

「親の職業、魔術師って書いちまえば魔法が使えるようになるんだよ」

「まさか、それに魔法って高いんでしょ」

「魔法使いになっちまえば最初の魔法はタダなんだぜ」

「冒険者ギルドに嘘ついて大丈夫なの?」

「平気さ、みんな名前だって適当に書いてるって」

 

二人でこっそりパブに行って冒険者ギルドに登録。何故か俺はどうしても嘘が書けなかった。書けたあにきは大騒ぎ。

 

「うおー、魔法だー!」

「俺。どうしても嘘、書けなかったよ」

「なんだよ、だらしねーな。まあ良い、買い物してから出かけるぞ」

 

あにきは傷薬を買って、近所のおばさんに小銭を何度もあげていた。

 

「俺達、一文無しになっちゃったね」

「餞別だからな、あれで良いんだよ。下水道に行くぞ」

 

 

 下水道の入口で装備を確認。

 

「ダウド。お前、アイアンソードと傷薬を装備しとけ」

「あにきは?」

「俺は魔法だ。ほら腕輪も付けとけ」

「わかった」

「途中までは徹底的に逃げていくからな」

「う、うん」

 

下水道の中に入る。必死で逃げまくったが、階段の下にどうしても逃げられない魚が居た。

 

「あいつらは倒すぞ! エナジーボルト!」

「うわっ、一撃! あにきすげー」

「ほら次だ」

 

三つの群れを倒した。

 

「走れ、ダウド!」

「水が!」

「いいから来い」

 

しばらくモンスターから逃げていたが、あにきは途中で立ち止まった。

 

「あそこだ」

「なに? 早く出ようよ」

「あそこの扉、入るぞ」

 

入ってみたらアンデッドの巣。

 

「付いて来い、走れ!」

「骨とかゾンビが一杯だよ!」

「墓だ! あそこまで走れ!」

 

墓に着くと天井が光った。

 

「聖杯だ。情報通り」

「ゾンビとかこっち来てるよ!」

「こいつら倒しまくるぞ!」

「えー!」

「聖杯!」

「なにそれー! 一掃じゃん」

「はっはっは。これが有りゃあ、ゾンビなんか目じゃねーな」

「金貨が一杯貯まりまくりだよ」

「とにかく出るか、魔法の残り回数が心もとないからな」

「今日は美味しいご飯食べられるね」

「出るまで気を抜くんじゃねーぞ」

「わかった!」

 

何とか下水道を脱出し、北エスタミルのパブに向かった。

 

 

「あにき、ご飯美味しいねー」

「同じエスタミルって言っても、こっちは町中もすげー奇麗だな」

「奇麗って言えば、あそこの女の人、すっごい奇麗だよ」

「なんだ、気に入っちまったのか」

「うん、うんうん」

「しかし、駄目だな。ありゃあ、本物の魔術師だぜ」

「駄目なの?」

「見ろよ、ろくな装備も無いくせに。ドレスなんか着て、お高くとまってるぜ」

「そうなのかなー」

「それに魔法は高いからな。お前の分の魔法買えなくなっちまうだろ」

「でもでもー」

「そんなに言うなら行ってこい」

「やった」

 

ドキドキしながら女の人の所へ。

 

「俺はダウド。お姉さん、冒険者なら一緒に旅をしないかい?」

「あら、こんばんは。あたしはミリアム。うーん」

「俺、下水道で結構鍛えてきたんだぜ」

「駄目ね。あなた主人公適正無いじゃない」

「なにそれ、そこをなんとか」

「あっち行きなさい」

 

戻ってきたら、あにきが笑ってた。

 

「な、お高くとまってやがるだろ?」

「訳の分からないこと言って、あっち行けって。酷いよ」

「ちょっとは金も出来たんだ。明日は船で騎士団領に行ってみようぜ」

「船! 乗りたい乗りたい」

 

 

 騎士団領ミルザブールに到着。町は山にモンスターが出たと大騒ぎ。

 

「おい、ダウド。あの城、家探ししてみようぜ」

「盗賊の血が騒いだ?」

「ふふっ、そういうこった」

 

高い指輪と大量の金貨。

 

「ため込んでやがったな、頂きだぜ。高い指輪はお前が付けてろ」

「ありがとう。何か買う?」

「もう一つ、町が有るらしいな。そっちにも行こう」

「うん!」

 

 

 オイゲンシュタットの町。

 

「おい、パンチとキックは武器だってよ」

「なんで?」

「知らねーよ。でも、お前使ってみるか?」

「強いのそれ?」

「お前、素早いまんまだろ? 行けんじゃねーか?」

「ふーん」

「ほら、剣を振り回しながらパンチとかキックとか、荒くれ物の戦い方みたいで格好いいじゃねーか」

「あ、ミリアムさんも仲間になってくれるかな?」

「そいつはどうか分かんねーけど、やるだけやってみろよ」

「うん、やってみる」

 

オイゲンシュタットの城を家探ししていたら、領主に話しかけられてしまった。何故かそのままミルザブールへ。城の中では、モンスター討伐の会議中で大激論。

 

「討伐の為の資金が失われてしまったのだ、金が無くては兵は動かせん!」

「騎士団の誇りはどうした!」

「背に腹は代えられん、駄目なものは駄目だ!」

 

俺はあにきの袖を引っ張った。

 

「まずいよ。俺達が資金、持ってちゃったからモンスター討伐出来ないって。捕まっちゃうよ」

「大丈夫だ。見てろ」

 

会議の後、ミルザブールの領主テオドール様の部屋に連れて行かれた。オイゲンシュタットの領主と息子のラファエルも居た。

 

「ラファエル、我らだけでも騎士の誇りを示そうではないか!」

「はい、見習いの身ではありますが。騎士の誇りにかけて!」

「俺達も手伝うぜ!」

「あ、あにき」

「なんと、感謝するぞ!」

 

山のモンスターの巣へ一回目の突撃。見習いのラファエルが弱い。どのくらい弱いかって言うと、俺くらい弱い。

 

 

 撤退して宿の中。あにきは皆の装備を確認すると言って部屋に防具を並べてみた。

 

「やっぱ、装備が足りねーな」

「防具高いよ」

「エスタミルの下水道でゾンビ倒して稼ぐか、四人いりゃ早いだろ」

「なんと、モンスターを放置してエスタミルに行くと。そんなことは出来ん。このアイアンソードと騎士の誇りが有れば、どんな敵も粉砕してくれるわ! 行くぞラファエル」

「はい!」

 

二人は防具を残して行ってしまった。

 

「馬鹿か、あいつら」

「このブロンズアーマーと木の盾、どうする?」

「貰っちまおうぜ」

「大丈夫かな?」

「平気だよ。あっちは貴族様だ、やばくなったら家臣が助けに行くさ」

「俺達どうする?」

「余裕のあるうちに南エスタミルに行って、火と風の術法買いてーな」

「戻ったら、盗賊ギルドに見つかっちゃうよ」

「大丈夫だ。ちょっと武装変えたらわかりゃしないよ」

「本当かなー?」

 

南エスタミルで、あにきはヘルファイアとアイスジャベリンを買った。

 

「騎士団のモンスター倒す?」

「ほっといても良いだろ」

「可哀そうだよー」

「仕方ねーな」

 

 

 二人での騎士団領モンスター退治は難航を極めた。三度四度と撤退を余儀なくされたが、それでも戦う度に俺達は強くなってきたようだ。

 

「お前のパンチとキック、様になって来たな」

「あにきの魔法も回数増えたよね」

「聖杯も強いからな。次はさらに地下に潜るか」

「うん」

 

地下二階ではラファエルが倒れていた。横でテオドール様が勇気づけていた。

 

「助けないと」

「もう、あいつら足手まといだ。ほっとこう」

「でもでも」

「俺達がモンスター討伐しちまった方が早いんだよ。行くぞ」

 

 

 なんだかんだで討伐できた。貴族の二人も帰ってきたようだ。

 

「金貨三千枚超えたよ!」

「冒険者になって良かったよな」

「うん! でも、テオドール様たちはどんよりしてたね」

「精神論者なんか、たまに痛い目見とけば良いのさ」

「次はどうする?」

「南エスタミルに戻るか。パブで情報集めようぜ」

 

 

 南エスタミルのパブ。

 

「おい、ダウド。あそこに踊り子が居るぞ」

「本当だ」

「お前、派手好きだろ。声かけて来いよ」

「えー、俺はミリアムさんみたいに清楚な感じの人が良いな」

「なんだよ。仕方ねー俺が行くか」

 

翌朝。

 

「情報聞いて身ぐるみ剥いでやったぜ」

「冒険者ギルドに怒られちゃうよ!?」

「平気だって。冒険者なんて馬鹿ばっかりなんだから、次に会う頃には忘れてるよ」

「情報ってどんなの?」

「フロンティアの開拓地とローザリア地方の話だな」

「どっち行く?」

「そりゃお前、ローザリアだろ。クリスタルシティって凄いらしいぞ」

「名前からしてかっこいいよね」

「だろ? 開拓地なんてしけた所、行ってられないもんな」

 

 

 クリスタルシティのパブ。

 

「うおー、おっぱいちゃんだ!」

「あっちにもかわいい子いるよ!」

「ありゃ、家出娘だな。面倒くさいからやめとけ」

「えー」

「俺はおっぱいちゃんに突撃してくるぜ!」

 

「なんだい? あんた達、あたしは骨のあるやつしか興味ないよ」

「俺はジャミル、こいつは弟分のダウドだ。俺達、結構やるんだぜ」

「本当かい? あたしはシフ。まあ試しにパーティ組んでも良いよ」

「あの、僕。うぅぅ」

「この子はアルベルト、ちょっとかわいそうな子でね。一緒に頼んでも良いかい?」

「おう、任せとけ」

 

「ちょっとちょっと、あにき。面倒くさいのは駄目なんじゃないの?」

「大丈夫だって、パブの親父に話せば仲間から外せるよ」

「それじゃ、シフさん怒るじゃん」

「だから言ったろ、冒険者なんて馬鹿ばっかりだって」

 

しかし、アルベルトは仲間から外せなかった。

 

「おかしい、こんなバグは無かったはずなのに」

「駄目だったの? じゃ、あっちの可愛い子の所、行ってみても良い?」

「ああ、行ってこい」

 

「俺はダウド、君は?」

「わたしはアイシャ」

「アイシャちゃん、こんな世界だ。一人で冒険は危ないよ、一緒に来ないかい?」

「ごめんなさい。わたしは助けてくれた王子様に会いたくて、この都市に居るの」

 

「あにきー、ふられたー」

「な、面倒くさいだろ」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。