シトナイといっしょ!   作:龍翠

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シトナイ視点。
……視点なだけで、一人称ではありません。


片想い(後編)

 

 いつからかなんて分からない。いつの間にかとしか答えられない。それでも、気付けば、いつの間にかあの人の声が聞きたくなっていた。

 声を聞きたい。話をしたい。一緒にいたい。だから、あの人から声をかえてもらえると、だめだとは分かっていてもつい舞い上がってしまう。

 

「ねえ、シロウ。どうしたらいいのかな?」

 

 与えられた部屋で、シトナイはシロウの背中で寝そべって、その背中を撫でていた。シロウは気持ち良さそうにしながらも、首を傾げてくる。

 

「分かってるの。わたしは、マスターさんのことが好きになっちゃってる。マスターさんも、わたしのことを意識してくれてる、と思う。でもこれって、だめなことだよ……」

 

 自分はサーヴァントだ。いずれ終わりのくる、泡沫の夢。そんな自分が、マスターの人生を縛るわけにはいかない。

 だから。だから……。

 

「ああ、もう!」

 

 ぼふん、とシロウの背中を叩く。シロウがびっくりして立ち上がって、慌ててその背中を撫でた。ごめんね、と謝ると、シロウはすぐに横になってくれた。

 

「うん……。今は別のことを考えるね。とりあえず、ちょっと練習してくる」

 

 心配してくれるシロウを撫でて、その背中から飛び降りる。料理を教えてもらうために、赤いアーチャーを探すことにする。

 料理ができないわけではない。依り代となったこの子はともかく、シトナイ自身はちゃんと料理ぐらいできる。ただ、久しぶりだし、それ以上に美味しいものを作りたい。

 だから、まあ、少し話をしにくいというのはあるけれど。とりあえず赤いアーチャーにお願いしてみよう。

 

 

 

 ぐつぐつと。美味しそうな香りを立たせるお鍋。マスターとの約束の時間まで、あともう少し。

 アーチャーは言葉にできない面白い表情をしつつも、しっかりと教えてくれた。教えてくれた、といってもアドバイス程度のものではあったが、十分美味しいものができたと思う。

 あとはこれを、マスターの部屋に持って行くだけだ。

 

 用意しれもらったカートに、炊飯器と鍋、食器を置いていく。少し緊張しつつも、マスターの部屋へと向かう。

 途中、何人かのサーヴァントと挨拶をしつつ、すぐにマスターの部屋にたどり着いた。

 さて、とマスターを呼ぼうとしたところで、急にドアが開いた。そうして出てきたマスターと目が合う。

 

「えっと……。こんばんは、シトナイ。そろそろ来る頃かなと思って」

 

 なんだろう。行動が読まれているような気がする。嬉しいような恥ずかしいような悔しいような、少し不思議な感覚だ。

 

「ま、まあいいわ! マスターさん、中に入ってもいい?」

「もちろん」

 

 マスターの部屋に入る。休憩の時はテーブルに書類などが置かれているが、今は綺麗に片付けられていた。いや、なんだか、心なしか部屋そのものが綺麗になっているような。

 シトナイがきょろきょろと部屋を見回していると、マスターが目を逸らしつつ、

 

「ちょっと、掃除したんだ」

「そ、そうなんだ……」

 

 それはつまり、自分が来るからだろうか。そう思うと、顔が赤くなってくる。マスターも顔が赤い。恥ずかしいなら言わないでほしかった。

 

「と、とりあえず! 約束、だから!」

「う、うん」

 

 夕食に用意したのは、一般的な日本食だ。ほかほかの白いご飯と、お味噌汁。新鮮な魚を使った焼き魚に、こちらは残念ながら冷凍のほうれん草を使った、おひたし。あとは、煮っ転がしも作ってみた。

 

「いただきます」

「ど、どうぞ……」

 

 なんだろう。妙に緊張する。マスターがお魚を食べ、味噌汁を飲んで……。

 見ていられないのでシトナイも夕食を食べる。……うん、我ながらうまく作れたと思う。ただ、今回はマスターのために作ったのだから、彼の口に合わなければ意味がないわけで。

 マスターへと視線をやれば、先ほどよりも笑顔で食べ進めていた。どうやら口に合ったらしい。

 安堵しつつも、やっぱりちゃんと感想を聞きたいと思ってしまう。

 

「ど、どうかな?」

 

 おそるおそる聞いてみると、マスターは笑顔で頷いた。

 

「うん。すごく美味しい。本当に」

「そう? 良かった」

 

 マスターの笑顔を見ると、それが本心からの言葉だと分かる。ゆっくりと安堵の吐息を漏らして、ようやく心から笑うことができた。

 

 

 

 食後、せっかくだから、というマスターに導かれて、カルデアの外へ。雲一つない空には満天の星空が広がっている。

 

「マスターさん。寒くないの?」

「寒い」

「だよね。戻る?」

「大丈夫」

「そ、そう……?」

 

 本当に大丈夫だろうか。見ていて分かるほどにがたがたと震えているのだが。

 けれど本人がそう言うのだから、しつこくは聞かないでおくことにする。

 

「でも、遠慮はしなくていいわ。寒くなったら言ってね。シロウを呼ぶこともできるし」

「お、男には、危険だと分かっていてもやらないといけない時があるのさ」

「…………。それ絶対今この時じゃないと思うのだけど」

「奇遇だね。俺もそう思う」

 

 軽口を交わしつつ、のんびりと歩く。歩いている間に、少しはぬくもってきたのかマスターの震えは小さくなっていた。特注の防寒具のおかげかもしれない。

 のんびり。のんびり。

 

「ねえ、マスターさん」

「うん?」

「えっと……」

「うん」

「…………。やっぱり何でも無い」

「ええ……」

 

 マスターの気持ちを聞いてみたい。そんな思いに駆られてしまうが、聞いてしまうと後戻りができなくなる。そう考えてしまうと、これ以上は、言ってはいけない。

 今は良くても、きっといずれ、マスターを苦しめることになるから。

 でも、そう。今だけは。

 

「ねえ、マスターさん」

「はいはい」

「手を繋いでもいい?」

「はいは……。うえ!?」

「なにその声」

 

 くすくすと。楽しくて笑ってしまうと、マスターは頬をかきつつも手を差し出してくれた。その手を握る。温かい、人の温もりだ。

 

「えっと……。シトナイ。あのさ……」

「マスターさん」

「え、うん」

「わたしは、サーヴァントだよ」

「……っ」

 

 言葉に詰まるマスターに、シトナイは肩をすくめる。察しのいいマスターだから、きっと今の一言で分かってくれたはずだ。

 

「さあ、帰りましょう。マスターさんが風邪を引いてしまうと、わたしがマシュに怒られるわ」

「ああ……。そう、だね……」

 

 意気消沈して落ち込むマスター。その姿を見ると、罪悪感で胸が締め付けられてしまう。けれど、やぱり線引きは、必要なのだ。

 分かっている。分かっているけど、マスターとの手は繋がれたままで。

 その手を引いて、来た道を戻る。

 

 

 

 だからね、マスターさん。

 この手で、わたしの気持ちも、察してほしいな。

 




壁|w・)一週間以内だとは言ったが、翌日投稿していないとは言ってない!(どやあ!

というわけで後編だったよ! ぱぱっと書いたよ! 満足なのだよ!
次は告白だね! 適当にやっちゃっていちゃいちゃさせないとね!
だからもうさくっとやっちゃうからね!
これも一週間以内に投稿したいな!

アンケは次のお話投稿時に削除するよ!

ではさらばだー!

さっさとくっついていちゃいちゃか、なかなか素直になれないもにょもにょする関係を継続か、どっちがいい?

  • いちゃいちゃ(砂糖増量)
  • もにょもにょ(砂糖据え置き)
  • もふもふ(シロウ増量)
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