シトナイといっしょ! 作:龍翠
「ごめんね、シロウ」
シロウの背中に乗って、ダヴィンチの元へと向かう。その道中、シトナイはシロウの頭を撫でながら謝罪する。ジャックやナーサリーたちと仲良くなっていたシロウには、本当に申し訳ない気持ちだ。
謝罪を聞いたシロウは、気にするなとばかりに一鳴きした。ぎゅっと背中からシロウを抱きしめる。自分にはもったいない子だ。ずっと頼りにしているのに、こうして迷惑ばかりかけてしまう。
シロウがまた一鳴き。
「ん……。わたしは、大丈夫。うん……。大丈夫」
自分を案じてくれる。聡くて、優しい子。
次は、いつ会えるだろうか。
・・・・・
小さな特異点を修復して戻ってきたマスターに、ダヴィンチから通信が入った。その内容は少し不思議なもので、何も言わず今すぐ工房に来て欲しい、というもの。しかも共に帰ってきたサーヴァントたちに、連絡するまで待機を指示していた。さらには現在カルデアにいる他のサーヴァントにも待機を指示しているのだとか。
意味が分からない。すぐに呼び出されることはあっても、ここまでのことは初めてのことだ。
せっかく、予定よりも早く終えることができたから、シトナイに会いに行こうと思っていたのに。
少しだけ不満に思いつつも、工房へ。そうして聞かされた内容は、
「シトナイが、退去する……? なんで!?」
「いやあ、まあ理由は本人の希望だから言えないんだけどね? どうにか説得して、もう一日だけ考えてほしいとは伝えてあるよ」
愕然とするマスターに、ダヴィンチは困ったような笑顔で言う。
現在、以前とは違って大きな特異点があるわけではないので、サーヴァントが常駐する必要はない。今もカルデアにいるサーヴァントは、各々の理由にもよるが、そのほとんどがマスターが放っておけないからという善意のものだ。それ故に、退去を引き留めることはできない。
それでも突然退去されると困るということもあり、できるだけマスターかダヴィンチに連絡を入れることになっている。もっとも、今回が初めてのことではあるが。
「説得するなら今のうちだよ。もう一日だけ考える、とは言っていたけど、結局は本人次第だ。後悔しないようにね」
「分かった……。今はどこに?」
「カルデアの外だね。場所はここ」
地図で示された場所は、あまり離れていない地点だった。頭に叩き込み、すぐに踵を返す。
「ありがとう!」
ドアを閉める前に礼を言うと、ダヴィンチは笑いながら手を振ってくれた。
防寒具を着る時間も惜しくて、そのままカルデアから出る。少し、いやかなり寒いが、今はそんなことを気にしていられない。真っ直ぐに、シトナイの元へ。
地図で示されていたのは、覚えのある場所だった。以前、散歩をしていた時にシトナイと鉢合わせた場所だ。本来なら何もない場所なのだが、不思議とはっきりと覚えている。
全力で走ったその先、果たしてシトナイはそこにいた。シロウの背中で、ぼんやりと星空を眺めていた。
「シトナイ!」
マスターが大声で呼ぶ。するとシトナイは驚いたように体を跳ね起こして、マスターを見た。まん丸に目を見開いていることから、マスターが来たことは本当に予想外だったらしい。
「え。え? どうして? 戻ってくるのはもう少し後じゃなかったっけ?」
「特異点が予想より小規模で、簡単に修復できたんだよ」
「ああ……。そっか。それで、一日だけ引き留められたのね」
失敗したなあ、と苦笑いしている。マスターは息を整えると、そんなシトナイへと問う。
「シトナイ。どうして……」
「うーん……。その、こういうこと聞いちゃうのってだめだとは思うんだけどね」
そう前置きして、シトナイは困ったような笑顔で言った。
「マスターさん、わたしのこと、好きでしょ」
疑問系ではなく、確認のように聞いてくる。自分でも正直分かりやすかったとは思っているので、今更驚かない。
「うん。好きだよ」
「だから、かな」
だって、わたしはサーヴァントだから。
そう続けたシトナイは、笑顔なのに今にも泣きそうだった。
「わたしは、人間じゃないもの。役目が終われば消えちゃうから。今を生きるマスターさんを縛るわけにはいかないよ」
「それは……」
「それにね、わたしも、マスターさんのこと、好きだよ」
シトナイがシロウから飛び降りて、マスターの元へと歩いてくる。優しげに微笑んで、手を伸ばしてくる。何も言えないマスターの頬に触れて、
「だから、今ならまだ、あまり苦しくないから。これ以上好きになっちゃうと、消えちゃうこともできなくなっちゃうから……」
だから。
「今のうちに、ね」
シトナイの言いたいことは理解できた。
理解できたからこそ、鼻で笑った。
「シトナイ。改めて言うけど」
「うん?」
「好きだ。大好きだ。ずっと一緒にいたい。手放したくない。今も、この先も、ずっと側にいてほしい」
まさかマスターがいきなりこんなことを言い出すとは思わなかったのだろう、シトナイは目を点にしてしばし呆けた後、一気に顔を赤くした。
「な、え、あ、う、へ……」
初めて見る表情だ。混乱と羞恥が混ざっていると分かる。かわいい、というよりは、ちょっと面白いと思ってしまう。
思わず噴き出すと、シトナイはむ、と頬を膨らませた。
「マスターさん、からかってるの?」
「いや。本心。紛う事なき本音だよ」
「あう……。えっと……。つ、つまり何が言いたいの?」
「うん。だからね。シトナイは今なら耐えられるかもしれないけど、俺が耐えられない」
「え? それって、どういう……」
「後追い自殺しちゃうかも」
「ええ!?」
まさかシトナイも予想していなかっただろう。他でもない、マスターが自分自身の命を人質にかけるとは。
シトナイの言い分は理解できてしまうのだ。一度はマスター自身も考えたことなのだから。それでも、考えて考えて考えた結果が、今だ。
自分がそこまで考えたのだから、シトナイもきっと考えたのだろう。そうして出した結論なら、説得なんて難しい。それなら、自分のことを好いてくれているのなら、自分自身を賭ける。
「シトナイは耐えられても、俺はもう耐えられない。それぐらい、好きなんだ。だから。一緒にいてほしい」
「うう……」
格好悪い、とは思う。きっと映画とかなら、きざなセリフの一つでも出てくるはずなのだろう。
でも、自分は結局凡人だ。咄嗟でそんな言葉が出るはずもない。だから、自分の気持ちをぶつけることしかできない。それが全て。
「シトナイは俺のこと、嫌い?」
「す、好き、だけど……」
「じゃあ問題ないよね?」
にっこりと笑って、手を差し出す。
「シトナイが欲しい」
「……っ」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるシトナイはすごくかわいい。抱きしめたいけど、我慢だ。我慢。
そうして待っていると、マスターの手をじっと見つめていたシトナイは、おずおずとその手を取ってくれた。すぐにそのまま引っ張り寄せて、シトナイを抱きしめる。
「捕まえた」
「もう……」
腕の中で、シトナイが小さく苦笑する。そのまま、マスターの背中に手を回してくれる。
「マスターさん。本当にわたしでいいの?」
「シトナイがいいんだ」
「ふうん……。ふふ。じゃあ、うん。いいわ。マスターさんと一緒にいてあげる」
この先ずっと。いずれこの夢が終わってしまうまで。
そう言って微笑むシトナイに、マスターは笑顔で頷いて、そのまま強く抱きしめた。
「ところでシトナイ」
「なあに?」
「寒い。死にそうなぐらい寒い」
「え。……よく見たらマスターさんなんでそんな格好なの!? シロウー! マスターさんをあっためて! すぐに帰るよ!」
「ふっ……。シトナイの腕の中で死ねるなら、本望さ……」
「格好いいこと言ってるように聞こえるけど格好悪いからね!? お墓に女の子を追いかけて凍死って書いてやるんだから!」
「それは恥ずかしい。がんばる」
「がんばって! ほんとうに、もう!」
壁|w・)くっさい。でも、とりあえず満足。
シリアスのまま終われなかったよ……!
というわけでくっついたよ!
次からいちゃいちゃするよ! いちゃこらするよ!
ブラックコーヒーの貯蔵は十分か!?
砂糖一瓶ひっくり返すからな!
でもね! 毎日更新は本当にもう最後だよ!
週一更新したいけど、でも私はどちらかというとオリジナルを書く雑種なんだ!
遅くなっても許してね!
その分砂糖はちゃんと増量するから! なんならサトウキビもつけるから!
ではさらばだー!
さっさとくっついていちゃいちゃか、なかなか素直になれないもにょもにょする関係を継続か、どっちがいい?
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いちゃいちゃ(砂糖増量)
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もにょもにょ(砂糖据え置き)
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もふもふ(シロウ増量)