暗い。
苦しい。
痛い。
重力がどこにあるのかも分からない、ただ続く深い深い闇の中。
心がこんなに苦しいなんて……
心がこんなに痛いなんて……
寂しい。
辛い。
悲しい。
負の感情の連鎖、それは逃げ出す事の出来ない、閉鎖されたもの。
別れは辛い。
別れは悲しい。
分かっていたのだが、やはり寂しいものは寂しい。
人は出会いと別れを繰り返している。
出会いがあれば、必ず別れもある。
そして別れがあれば、出会いもある。
それの繰り返し。
今オレは暗闇の中を落ちている。
思い出すのは、フランと過ごした日々。
楽しかった。
嬉しかった。
そしてなにより……好きだった。
「……またな、フラン」
そう言ってオレは目を閉じた。
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(ガシャンッ!)
派手な音と共にオレの腰に激痛が走った。
「いってぇぇ!ったく、あのおばさん……嫌がらせにも程があるだろ」
そう言って腰を摩りながら前を向く。
すると……
「お……お……お兄、様?」
目の前には金髪で、小柄で、とても可愛らしい娘が……
「って!フラン!?どうして!?」
「え?え?」
フランも混乱しているようで、辺りを見渡すだけだった。
「くくくっ……あはははは!はぁ、ナイスリアクションよ」
するとフランの隣にいた紫が腹を抱えて笑っていた。
「え?って……どういう……?」
「はははっ、よかったわねぇ、幻想郷に残れるのよ。いやぁ、ドッキリ大成功ー、てってれーってね」
ドッキリ……という事は……
「全部嘘だったのかよー!」
叫びながら紫……いや、性悪おばさんを睨みつける。
「全部じゃないわよ。均衡が崩れるっていうのは本当よ」
「じゃあなんで!」
「もっと喜びなさいよ。残れるのよ」
「……まず説明してもらおうか、おばさん」
「だれがおばさんよ!……まぁいいわ。均衡が崩れるっていうのは、貴方に関する記憶が人間界に残っていたから……じゃあその原因である貴方への記憶を、すべて消してくればいいのよ」
「……どういう事だ?」
「つまり、貴方の親、友達、貴方に関する人達から、記憶を消したのよ。まぁ……道徳的に考えればどうなんだって感じなんだけど……貴方の意思が本物だったから、そうしたのよ。私も鬼じゃないんだし、もともと貴方に関わる人って少なかったから、そこまで大きな崩れにはならなかったのよ。全く……感謝しなさいよね」
「おばさん……」
「紫よ!」
「……ありがとう」
「……どういたしまして」
そう言うと紫は手を振ってゆっくりと歩いて行った。
「お兄様……」
すると今度はフランがよってきた。
「フラン……ただいま」
「うん!おかえり!」
そう言うとフランは両手を広げ、オレに飛びついてきた。
オレもフランを受け止めてあげる。
「……大好きだよ、お兄様」
「……オレもだよ、フラン」
孤独だった吸血鬼とその執事。
その二人が出会い、そして、孤独に悩むことはないだろう。
二人は見つめあい、そして大きな声で笑った。