DOKUBARI QUEST Ⅹ   作:ニモ船長

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登場人物整理

レイク…主人公その一
エレット…主人公その二
ユルール…ドラクエ10の主人公に該当するキャラ
ディオニシア(シア)…ユルールの仲間その一
ヨナ…ユルールの仲間その二
アマセ…ユルールの仲間その三
 


第三話

 

 

「うるわしき……マリーンさま……」

 

 

そんなうわ言をのたまいながら、夜のグレン領に湧いて出るくさった死体の如く迫ってくる兵士や冒険者達。マイユとレイクが前衛となって敵の最前線を牽制し、エレットが遊撃手としてブーメランで援護する形で戦いは続いていた。

 

 

「あなたたちっ……あんな魔物の……どこがうるわしいって言うのよっ……!!」

 

 

マリーンの子分と化しているとは言え、相手はそれぞれ一人一人がガートラントでは腕の立つ戦士である。だがそれをものとせずに雨のように降りかかる攻撃を見切り受け流し、反撃として突き殴り蹴り飛ばすマイユの実力には目を見張るものがある。彼女を攫わなかったあたりマリーンも人を見る目がないのではないだろうか。

 

 

(……だけど、レイクさんも予想以上ね。どくばりを見たときはどうなるかと思ったけど)

 

 

そう、そしてもう一人の前衛であるレイクも想定以上の大奮闘をしていた。敵の武器や拳を必要最低限の動きで舞うように躱すと、すかさず相手の身体に両手のどくばりで斬り込む。

刺突を行なっていない以上、はなから急所狙いをするつもりはないのであろう。要は「1ダメージ」で相手を牽制しているのである。

 

 

「ひゅー。レイクの野郎、今日も絶好調みたいだな」

 

 

一人目の兵士の横薙ぎに振られた剣を左斜め前に飛び込んで避けると、身体を捻って相手の右足首を裂く。すかさず繰り出された二人目の冒険者の蹴り足に転がったまま巻きつくように絡みつくと、鉄棒体操をするかのようにくるりと一回転をして体勢を立て直しながら相手の背後に立ち、逆手に握ったどくばりで相手の背中を浅く斬りはらう。

 

 

「言ったでしょ。どくばりは強いって」

 

「いやそれ別にどくばりのおかげじゃないから。オメーがすばしっこいだけだから」

 

 

確かにそれはまるで立ち風や閃光を思わせるような素早い立ち回りだった。マイユが来る敵を片っ端からなぎ倒して行く剛の強さを持っているとしたら、レイクのそれは相手とまともに交戦する前に昏倒させていく柔の強さと呼べるだろう。

 

 

「あっそーれホイミベホイミ、ばあぁ〜にんグヴァァァドォォォッ!!!」

 

 

そしてそんな二人の後ろで可愛く回復魔法を放つや否や、すかさずドス声でブーメランを投げるエレット。彼の放ったバーニングバードという技は、範囲状の敵に多段ヒットする代わりに一発はとても威力が低い。殺してはならない複数対人戦では最適である。

 

 

「く……こんなことになるなんてね……!!」

 

 

そんな自らの手下達の劣勢を見やって、マリーンは焦り始めていた。マイユはともかく、あんな間の抜けた連中二人があれだけ場馴れした戦い方をするとは思わなかったのだ。やっぱりひとを見る目がない。

そして何より、どうやらジュリアンテを倒した張本人らしい眼前の男……ユルールの強さが、彼女の予想を遥かに上回っていた事も劣勢の決定的要因となっていた。

 

 

(そもそも馬鹿力だってのに、頭までよく回るときた……間違いないね、こいつが生き返しを受けた奴だ……だが)

 

 

しかし、マリーンはこんな想定外の事態の中で、不気味にニヤリと笑ってみせた。

 

 

「!? ……何を企んでるんだ!?」

 

「ハッハッハ……仲間の為にこんな所までやって来るなんて、涙ぐましい話じゃないか、ねぇ?」

 

 

魔の呪術師はハンマーを持たない方の手を紫色に光らせると、そこから三つのボールを放り投げる。

 

 

「っ!? まさか……!!」

 

「察しがいいね! これがお前さんのお仲間の成れの果てさ!!」

 

 

なんとそのボールから召喚されたのは、ユルールがここまで取り戻しにきた仲間その人たちだった。一人は砂漠の民の踊り子のような装衣を、一人は虎柄の武道着を、そして一人は燕尾服をまとっている。

 

 

「シア…ヨナ! アマセっ!?」

 

 

だが三人とも返答はなく、虚ろな目をしてぼんやりと立ち尽くしている。そんな仲間に動揺するユルールを見て、マリーンは勝ち誇ったように続けた。

 

 

「無駄さ! あたしの術にかかったが最後、決して解けやしないのさ!!

さあお前たち、ユルールを取っちめちまいな!!」

 

「くっ……!?」

 

 

慌てて防御の姿勢をとるユルールに、アマセと呼ばれた燕尾服を着たエルフの男が右手を上げる。そしてその指先から放たれた攻撃呪文がユルールに炸裂する……。

事はなかった。

 

 

「取っちめられるのは、お前さんだぜ。マリーンさんよ」

 

「何ッ……!?」

 

 

発動した呪文……イオラは狙い違わず、現出したその場でUターンしてマリーンの眉間にクリーンヒットした。まさかの事態に対処できなかった彼女は、思わず大きく後方に転倒する。

 

 

「よっ、ユルール! 悪りぃな、でもこうするしかあのボールから抜け出す方法がなかったんでね……おっとチャージタックルは無しだ」

 

「アマセ!? 無事なんだね!!」

 

「まぁ……アマセの考えそうなことだとは思いましたが」

 

「見事にハマったじゃん、結果オーライだね」

 

「シア! ヨナも……みんな!!」

 

 

そう、実はこの三人、ボールの中に閉じ込められてはいたがマリーンの洗脳にかかっていなかったのだ。

 

 

「ば、馬鹿な……ボールに取り込めばあたしの洗脳が施されるはず……!!」

 

「ところがどっこい、オレにはこのシャボン玉があるんだなー」

 

 

シャボン玉。ユルールのパーティーの魔法使い、アマセの得意技である。

具体的には、魔力を球形に展開し空気を内側に取り込むことで、魔法をその場に長く滞留させるというものである。アマセはマリーンが彼らをボールに取り込もうとした瞬間に、ほかの二人と合わせて三つのマホトーンで作ったシャボン玉を作り、それぞれの体を覆わせたのだ。その結果、ボールから発せられる洗脳の魔力を今の今までマホトーンで封殺させる事に成功したのである。

 少年漫画あるあるのなんでもあり戦術である。

 

 

「お……おのれぇっ……!! どいつもこいつもあたしの邪魔をしおってぇ……!!」

 

 

だが涙の再会もつかの間、徹底的に自分の計画を邪魔されて怒り心頭のマリーンが起き上がった。

 

 

「そんなに死にたいかぇ……!! だったらあたしもそろそろ本気を出させてもらうよっ!!」

 

「マズイっ! みんな、備えて……っ!!」

 

 

マリーンのただならぬ様子にユルールが自分のパーティーだけでなく、後方で戦っているレイク達にまで大声で呼びかける。

 

 

「おおっ!? ユルール、遂に俺ちゃんの出番かな??」

 

「エレット、マズイのが来る!」

 

「まーまーレイク、どんな攻撃がきたっておれちゃ……!?」

 

 

レイクのただならぬ声に思わず視線の先のマリーンの様子を見て、エレットもその異様性に気付いた瞬間。

 

 

「みんなくたばりな!!! ギガトンハンマァァァッッ!!!」

 

 

コロシアムが、真っ二つに割れた。

 

 

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