鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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外伝:東京都ち事(2)

 胡蝶しのぶは、美しい顔に沢山の青筋を立てながら公約を大々的に告知する。彼女の望みはただ一つ、実現不可能な公約を掲げて選挙に落ちる事だ。夫と娘の思惑に乗るつもりなどない。

 

 そうでもしなければ、間違いなく当選する。連日ニュースで取り上げられる生きる伝説胡蝶しのぶという特番が組まれる。彼女がいかに偉大であるかという事を民衆は再認識した。彼女がいたからこそ、今の日本があると言って過言ではない。

 

 他にも先進国の富を牛耳る実年齢の割に若すぎる見た目の者達が続々と応援に駆けつけたとなれば、負ける要素などなかった。日頃お世話になっているから、立候補するならもっと早めに教えて欲しかったと嘆く声すらあるほどだ。

 

「絶対に、落選してやる!!」

 

「私は、しのぶさんが他の人に負けるところなんて見たくありません。どんな手段を使っても、公約を実現させてみせますよ。幸い、支援者は沢山います」

 

 その通りだった。

 

 胡蝶しのぶが掲げる公約。

 

1.()活保護。食べられるコンドーム1箱を都内の全高校生に配る。これで、万が一にも困らない。食べられるコンドームの栄養価は、カロリーメイトに匹敵する為、災害にも強く長期保存まで出来る優れものだ。

 

2.就労支援。アンブレラ・ヨットスクールに都内のニートや無職を集めて就労させる。その際、一人当たり300万円の支度金をアンブレラ・コーポレーションが保護者(・・・)の口座に振り込む。

 

3.不正撲滅。過去20年に遡り不正会計や不正受給を調査する。不正が発覚した場合は、延滞金も含めて、必ず(・・)回収する。回収出来ない場合には、アンブレラ・コーポレーションが立て替える。立て替え後は、債権回収はアンブレラ・コーポレーションが請け負う。

 

4.被害者保護。被疑者からの罰金をアンブレラ・コーポレーションが立て替えて、被害者に全額支払う。被疑者からの回収業務は、アンブレラ・コーポレーションに委任する。

 

5.婚活支援。東京都管理の下でマッチングアプリを運営する。都内の高校及び大学生も登録可能とする。本気で結婚したい人のみを対象とし、女性には25歳まで。男性は、30歳以下で年収1000万円以上。

 

6.子供医療補助。日本国籍を有し、犯罪歴がなく、5年以上継続して納税している両親を持つ子供は、5歳までの医療費を完全無料にする。

 

 といった、完全にアウトな政策だ。コレがまかり通っては、独裁国家と言われるレベル。一企業に依存した政策ばかりで多方面から文句が出そうだが、どう考えても出費ばかりするように見えるアンブレラ・コーポレーション。

 

「ママってさ、万が一当選してもパパが喜ぶような政策をしているよね。血鬼術ガチャでパパがこれ以上強くなったらカナエ困るんだけど・・・」

 

『銀治郎さん、美容に特化した血鬼術が出たら下さいね。そうしたら、今度アレをやってあげますから』

 

 段々と卑しさが増してきた裏金カエデ。同じ人物だけあって、徐々に叡智レベルがあがってきている。

 

 それに対抗心を燃やした裏金しのぶは、ベッドの上で初心に返るという卑劣な術を使う。こういうギャップで攻めてくるのは卑怯だと裏金銀治郎は思っていた。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 

 アンブレラ・コーポレーションCEO自らが表舞台に立って、民衆に頭を下げて妻に一票を入れてくれと応援する姿は人々に衝撃を与えた。雲の上の上級国民みたいな男が普通の人みたいに見える瞬間だ。

 

「胡蝶しのぶに清き一票を・・・・・・あれ?清き一票って今更ですが、少し変ですよね」

 

「確かにそうだよね。ママなんだから、ここは胡蝶しのぶに卑しい一票をとかでどう?その方がシックリ来るんじゃ無いかな」

 

 天才的な娘の言葉に裏金銀治郎は、目から鱗だった。清い時代はもう終わった。これから卑しい時代の幕開けだ。

 

「なるほど。では、試しに。胡蝶しのぶに卑しい一票をよろしくお願い致します。彼女なら、必ず公約をやり遂げます。私や支援者達の力があれば、大体不可能はありません。信じてください。正直者が馬鹿を見る時代は終わったのです」

 

「うんうん、ママに卑しい一票を。私の卑しいママに一票を~」

 

 裏金銀治郎と裏金カナエが楽しそうに未来の都知事を応援してくれと有権者に懇願している。彼等にとって、コレほど楽しい時間はあまりないという一時だったが、終わりを迎える事になる。

 

 圧倒的な存在感を放つ学生服の胡蝶しのぶがその場に到着してしまう。気が弱い物は、泡を吹いて倒れ出す。その様子は、まるで某漫画の覇気を彷彿させる。盛りに盛られた属性に覇気使いまで追加されてしまう事を彼女は後で知るだろう。

 

「言い残す事はそれだけですか。久しぶりに頭にきました」

 

 ハリウッド映画も真っ青な迫力有る戦闘シーンが披露される。車の扉を段ボールのように引き千切り、夫と娘をコンクリート壁に岩盤送りにした様子は誰しもが目を疑った。更には、岩盤送りされた方も平然としている。日本人は、戦闘民族ではないかと誤解が広がる。

 

 

 それから数日後、東京都知事戦の開封が始まった。絶対に落選したい胡蝶しのぶに対して、諦めの境地にいる他の出馬者。彼等の身内ですら、胡蝶しのぶに投票すると言うレベルだったのだから仕方が無い。

 

 都知事選始まって以来の投票率が脅威の87%という結果がでる。なんで、あの政策で落選しないのよ~と泣きながら、ダルマの目を黒く塗る胡蝶しのぶは全国放送どころか世界放送されている。

 

 ディストピア政策を行った場合のテストケースとして世界が東京に注目している。

 

 東京都ち事 人妻子持JK3年生胡蝶しのぶ。生きる伝説となる彼女の人生は、まだまだ続く・・・わりと、マジで。

 




東京は未来に生きる事になりました。

胡蝶しのぶが 都ち事の世界線。
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