皆様のお声があるから頑張れます!!
そして、投稿が遅くなり申し訳ありません。
鬼が隠れ人を襲う世の中、平和な日常を送りたいと願う裏金銀治郎。
だが、平和の時間というのは長くは続かない。裏金銀治郎の執務室に、珍客が訪れていた。蝶を模した髪飾りを付けミニスカ隊服を着た栗花落カナヲである。自主的に動くことが珍しい彼女が、一人で執務室を訪れる事を彼も想像できなかった。
別に悪い事はしていないはずなのに、裏金銀治郎は、誰かが彼女が執務室に来たのを目撃していないかと不安を感じていた。若い女性の隊士と給与管理をしている男が二人っきり。
誠に世間体が宜しくない。
裏金銀治郎は、先行投資として栗花落カナヲに私費で色々と配慮していた。言い換えれば、援助していたのだ。裏金銀治郎の心中を知らないものからしてみれば、どう見られるかは簡単だ。鬼滅の金庫番と言われた金銭管理に厳しい男が……美少女に物を買い与えているんだ。そりゃ、盛大に、肉体関係を疑われる。
「子供ができました」
持てなすために珈琲を用意していた裏金銀治郎が思わずカップを落とす。
だが、直ぐに冷静さを取り戻した裏金銀治郎。そして、胡蝶しのぶに文句を言ってやろうと思っていた。親代わり改め……戸籍上で実子となっている栗花落カナヲに対して教育ができていないのは、母親失格だ。
「栗花落カナヲさん、貴方は、私を社会的に殺す気ですか? この状況下で、そんな発言をしたら、まるで私が貴方を妊娠させたみたいでしょう」
胡蝶しのぶに代わり、裏金銀治郎が教育パパとなる。
栗花落カナヲは、決して馬鹿ではない。だから、指摘すれば正しく矯正できる。それが、水柱の冨岡義勇とは違うところだ。
「……胡蝶様に、子供ができました」
「――それだとしのぶさんがご懐妊したと誤解されます。悪気は無いでしょうが、しのぶさんを社会的に抹殺したくなければ、気をつけなさい」
僅かに前進した説明ではあったが、大事な説明が省かれる。その為、事情を知らなければ勘違いしてしまう。
胡蝶しのぶは、大正の世でいえば、結婚していても可笑しくない年齢だ。寧ろ、美貌を鑑みれば、結婚していなければ可笑しいとすら言っても間違いではない。結婚したことすらないのに子供がいるとか、端から見たら地雷にしか思えないだろうが……。
そんな事を考えている裏金銀治郎。だが、彼は胡蝶印のバイアグラを売るために、胡蝶しのぶと栗花落カナヲの戸籍を改竄している。書類上、胡蝶しのぶは30歳……そして、その娘に胡蝶カナヲが居ることになっている。
そこに、お館様の子供が加わるのだ。
誰も血縁者がいないのに、二人も子供がいるとかレベルが高すぎる。大正の世、ここまで複雑な家族構成の人は、片手で足りるだろう。
「どうすればいい?」
裏金銀治郎は、栗花落カナヲに対して、なぜ私にそんな事を聞くと本気で聞き返したかった。そもそも、彼は独身だ。子供だっていない。そんな男が何の役に立つというのだろうか。
だが、彼女の中では、裏金銀治郎は困ったときのお助けキャラ的存在であった。胡蝶しのぶに放置された時に何も言わずに手をさしのべてくれた。だからこそ、今回もと考えていた。
「どうすればいいという発想は、よくありません。何をしたいかで物事を考えるべきです。例えば、しのぶさんに甘えたいとか、構って欲しいとか色々あるでしょう」
栗花落カナヲは、焦っていた。
彼女にとって、胡蝶しのぶという存在は全てに等しい。そんな彼女の暮らしに、お邪魔虫がきたのだ。当然、彼女からしたらお館様の子供など、どうでも良い存在であった。
そもそも、産屋敷耀哉と接点があるのは、柱クラスの人間だけだ。つまり、彼女の状況を現代風に言い換えれば、母親が勤め先の社長の子供を養子にし、この子が今日から貴方の妹よ、という感じである。
それが、何の前触れもなく唐突であったのだから、彼女も困惑していた。自らの立場を奪われるのではと、ダークサイドへの一歩を踏み込もうとする。
「甘えたいし、構って欲しい」
彼女は、素直な気持ちを口にした。
胡蝶しのぶは、独身であり類いまれな母性の持ち主だ。だからこそ、言える。愛情に飢えた栗花落カナヲに母性を注いでいれば、依存するのは当たり前。そんな体にしたのならば、責任を取るのが筋である。
つまり、回答は――
「だったら、「ママ!! 私を捨てないで」とでも言えば、一発ですよ」
この場に、第三者がいたら、何が一発なのか問いただしてくれただろう。
ちなみに、栗花落カナヲは、裏金銀治郎の執務室に来るまで、似たような質問を他の者にもしていた。炎柱と恋柱とか……目は良いが人を見る目がない彼女であった。
………
……
…
その日、炎柱と恋柱が盛大に勘違いして、赤ちゃん用品を届ける事件が蝶屋敷で起きる。そして、裏金銀治郎の言葉を一言一句その通りに「ママ!! 私を捨てないで」というセリフを言う勇者がいた。
夜になると、胡蝶しのぶが、般若になっていた。
鬼を人に戻す薬を開発する際に、人を鬼にする薬ができちゃった的な展開かと思うほどであった。しかも、その手には、裏金銀治郎が大事にしている長曽祢虎徹が握られていた。
「しのぶさん、その刀――私の私室から勝手に持ち出さないでください」
「これ、貴方の部屋に落ちていたんですよ。いや~、まさかこんな時間までお仕事をしているとは思いませんでしたよ」
胡蝶しのぶは、裏金銀治郎を問い詰めるために来たのだ。夜であったため、家に押し入ったが誰も居なかったので執務室までやってきた。
「こうみえて、抱えている問題が多くて仕事が終わらないんですよ。――栗花落カナヲの一件なら私は無実ですよ。彼女が、「胡蝶様に、子供ができました」と私に相談に来たんです。私は、誠実に対応したまでです」
「ソレが、「ママ!! 私を捨てないで」ですか?」
「……本当に、それやったの!? 」
裏金銀治郎とて、本気でやるとは思っていなかった。
どんな状況でそうなったか、是非とも再現して欲しいと胡蝶しのぶに頼んでしまう。
「この刀、長曽祢虎徹でしたっけ?
瞬時に逃亡を図る裏金銀治郎を追いかけて、朝帰りする胡蝶しのぶであった。
◆◆◆
陽光山――そこでは、鬼滅隊で使用される日輪刀の原材料が採掘される。「
だが、形ある物がいつかは無くなる。ソレと同じく、鉱石だって掘り続ければ枯渇する。
「どうするんだよコレ」
裏金銀治郎は、執務室で頭を抱えていた。刀鍛冶の里から、緊急の知らせが来たと思えば、日輪刀の原材料が枯渇したから、早く次の採掘場所を……とか謎の連絡を受けたのだ。
彼が何より許せないのが、資源が枯渇してから連絡をしてくる愚か者共であった。採掘量から推察すれば、もっと早い時期にも分かるはずだ。そうすれば、対策の一つや二つを考える時間もあった。
1000年という時間の中で、代替え技術が全く研究されていない。本当に鬼を全滅させる気があるか疑わしい程だ。そもそも、1000年で鬼を殺す新たな方法が、胡蝶しのぶが発見した毒しかないとか、笑い話にしかならない。
一体、どれだけ鬼滅隊の破滅要因があるのかと、胃痛を感じ始める裏金銀治郎。
………
……
…
翌日、裏金銀治郎は蝶屋敷を訪れた。
この時、胡蝶しのぶは、裏金銀治郎と同等に忙しい日々を送っている。鬼を人間に戻す薬の開発、産屋敷耀哉の子供を養女にする件、栗花落カナヲへの対応などなど、柱として鬼を狩る仕事に手が回らない程だ。
だが、幸い、隊士の質は素晴らしい。下弦級の鬼でも無い限り、重傷者はでるが退治ができているのが現状であった。柱の出番は、大きく減りつつある。
そんな多忙な彼女を助けるのではなく、裏金銀治郎は、一直線に竈門炭治郎達の部屋に向かった。その部屋には、主人公一行とは関係ない女の子がいた。裏金銀治郎の手によって、用意された我妻善逸への報酬である
名をシルヴィという。体に火傷のある異国の少女だ。人が発する音から感情まで理解する我妻善逸に、下手な女性は用意できなかった。どんな男であれ本気で寄り添い、無償の愛を注げる綺麗な心を持つ女性――そんな都合の良い女性を用意できたのは、奇跡的であった。
裏金銀治郎も権力者に色々と条件を電話で伝えたら、まさか異国の少女を連れてこられるとは思わなかったのだ。戸籍もないらしく、まさに日本の闇を感じさせられる事案である。
「ご主人様、あーーん」
「はい、あーーーん!! 美味しい!! 俺は、幸せだなシルヴィちゃんみたいな子と一緒にいられて」
一昔前まで、竈門禰豆子を狙っていた様子は、影も形もなくなっていた。竈門炭治郎からしてみれば、妹にあれだけすり寄っていたのに、なんて男だという感情も少なからずあった。だが、今の我妻善逸を見て、竈門禰豆子をこんな男にはやれないと思う気持ちが芽生える。
匂いや音で感情を理解できない裏金銀治郎にも分かるほど、二人からピンクの空気が漂っていた。
「善逸君、シルヴィ……時と場所を弁えなさい」
「裏金さん!! 挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」
我妻善逸は、裏金銀治郎を見ると、雷の呼吸ノ型にも匹敵する速度で彼の前に跪いた。そのさまは、忠臣であった。
彼視点でみれば、裏金銀治郎に後光が見える。一ノ型しか使えない自分を理解し、褒めてくれるだけでなく、女の子まで手配してくれる。そんな理想の上司は、いないだろう。どこぞのパワハラ上司とはここが違うのだ。
「君に相応しい女性は、私の伝手でもなかなか難しくてね。近いうちに、後数名も必ず探して届けるから待っていてくれ」
エロゲーにリアル出演しても不思議でないほどのチョロインを集めるのは、裏金銀治郎でも大変であった。我妻善逸の信用を得るため、努力を怠らない裏金銀治郎である。
「今日はどうしたんですか?」
「あぁ、炭治郎君にちょっと仕事を頼みたくてね。少し、社会見学にいこうか」
………
……
…
原材料がないなら、現物を溶かして再利用するしかあるまい。当座の間は、この方法でしのげるだろうと考えていた。だが、一番の問題は、どれが日輪刀であるかという問題だ。
色代わりの刀と言われるので、持てば分かる。そもそも、色が変わるほどの才能を持つ者が少ない。そんな連中は、現場に回しており、招集を掛けたとしても集まりはよろしくない。よって、活用されるのが竈門炭治郎の嗅覚だ。
警察の押収物が纏められている倉庫……そこには、裏金銀治郎からの要請で警察のお偉い様が、各地から押収した刀が山のように並べられている。
「裏金様!! 所長から伝言がございます。刀一本で一錠との事です」
「ありがとう。君も、これを一錠キメて待っていてくれ。少し時間がかかるだろうから」
裏金銀治郎は、胡蝶印のバイアグラを賄賂として案内役に手渡した。
竈門炭治郎の嗅覚は、知りたくない真実を知ってしまう。病院食だけでなく、薬として既にアレが世間に出回っているのかと驚きを隠せなかった。
そして、人気が居なくなったタイミングで裏金銀治郎に問いかける。
「今の薬からは、鬼の匂いがしました」
「勿論、説明しよう。だが、その前に時間が惜しいから、君の嗅覚を使ってこの山のようにある刀から日輪刀を探してくれ。刀鍛冶の里で原材料が無くなったと連絡がきてね……このままでは、鬼を倒す武器がなくなる」
「え!? 冗談……じゃないんですね」
「1000年も同じ場所から材料を採掘していれば材料だってなくなるさ。それに、引退した鬼滅隊の連中は、刀を返さず辞める馬鹿が多くてね。会社の備品は退職した際に返すのが常識だというのに」
竈門炭治郎は、裏金銀治郎の発言から怒りの匂いを感じ取った。
だが、その怒りは当然だとも彼も思っている。実家が炭を売る商売をしてたから、資源の大切さは分かるのだ。
「コレとソレ……後、そっちの右上のも」
竈門炭治郎は、押収品の中から次々と日輪刀を見つけていく。馬鹿みたいに簡単に見つかるのには理由があった。鬼滅隊では、刀の再支給が簡単に行われる。その為、紛失や警察に押収された場合、新しい刀が打たれるのだ。刀鍛冶の里も仕事で、お給金がはいりwin-winであった。
「やはり、君を連れてきて良かった。私一人だと、色代わりをさせないと分からないからね。で、さきほどの質問に回答しよう。あの薬は、胡蝶印のバイアグラとして政財界の重鎮達に鬼滅隊が売っている。今では、鬼滅隊を支える資金源だ」
裏金銀治郎は、竈門炭治郎になんでも用意すると約束した。そこには情報も含まれている。
だが、彼から提供される情報は、十五歳の少年である竈門炭治郎には、あまりにも重い。妹を人間に戻すという目的が無ければ、直ぐにでも逃げ去りたいと少なからず思ってしまった。
「その薬は、安全なんですか? 飲み続けたら鬼になったりしないんですか?」
竈門炭治郎は、蝶屋敷で鬼肉の入った病院食を食べている。だから、気になってしまったのだ。薬を飲み続けるも鬼肉を食べ続けるも最終的にどうなるのかと。
「少なくとも、
竈門炭治郎は、裏金銀治郎の発想に狂気を感じた。その時、胃袋の中身をはき出さなかったのは、彼が成長している証である。
シルヴィって誰よと思う方……XXとの生活のあの子です。
それ以上、深くの追求は受け付けません!!
さて、そろそろ、ヌルヌル列車が迫ってきました。
武器、防具、回復アイテム。
そろそろ、新しい武器も欲しいよね
裏金銀治郎「半天狗、私は君に会うためにここまで来た!!」
今後のアップデートでは、属性武器が実装予定。
雷属性と風属性!!