鬼滅の金庫番   作:新グロモント

16 / 100
いつもありがとうございます!!

今更と言われるかも知れませんが、誤字脱字報告もありがとうございます。
沢山あり、皆様に読み汚しをさせている自覚はあるんですorz
音声読み上げ機能を使い、確認作業もしているのですがごめんなさい。

とりあえず日次投稿を維持するため頑張っているという事で許してクレメンス。




16:夢と現実

 無限列車……鬼が出ると噂され乗客が行方不明になる事件が発生していた。その為、鬼滅隊から隊士が派遣されたが、帰ることはない。そこで派遣される事になったのが、炎柱と原作主人公一同だ。

 

 そして、秘密裏に動く裏金銀治郎と胡蝶しのぶ。

 

 二人は、人間離れした身体能力を有しており、動いている列車に飛び乗ることすら可能であった。そして、人知れず最後尾の屋根に無賃乗車をする悪がいた。

 

「銀治郎さん、なぜ発車した列車に私達は飛び乗らないといけないんでしょうか? というか、この列車は煉獄さんが乗車しているアレですよね」

 

「下弦の壱とその手下に我々の存在を隠匿する為です。我々の存在に気がつかれたら、そもそも上弦の参がこない可能性があります。一番最悪なパターンは、他の上弦がおまけで派遣される事です」

 

 この時、二人の格好は隊服を着ていない。両名とも洋服を着込み、カツラまで付けている。人相から二人が鬼滅隊であるとは誰も想像ができない。

 

 鬼舞辻無惨は、鬼と視界を共有できる。

 

 つまり、裏金銀治郎という男は、鬼舞辻無惨に素性がバレたくないと考えている。人を餌にして鬼を退治するのは問題ないが、自分が餌になるなどあり得ないと考える良識人であった。

 

 鬼舞辻無惨とて、認識していない相手に手持ちの戦力が次々削られているとは思っていない。裏金銀治郎は、比較的安全なポジションで鬼を効率的に狩る……そんな男である。

 

「ねぇ、銀治郎さん。私、上弦の参の話は聞きましたよ。でも、下弦の壱がいるって全く聞いていません。そこら辺、どうお考えですか?」

 

「人を眠らせる能力を持つ鬼です。しかし、夢の中で自決すれば目が覚めます。だから、柱にしてみれば、大した敵ではありません。上弦の参が控えているこの状況なら、前座にもならないでしょう」

 

「なるほど、だから炭治郎君にアドバイスをしたんですね。――本当に、銀治郎さんは何者なんでしょうね。凄く気になります」

 

 裏金銀治郎ににじり寄る胡蝶しのぶ。そして、彼の耳元で「絶対に逃がしませんから」艶っぽい声で囁く。

 

 

◆◆◆

 

 竈門炭治郎は、煉獄杏寿郎と合流を果たしていた。

 

 彼は、少し話しただけで煉獄杏寿郎という人柄を把握する。柱会議での印象は既に無くなった。人のため、鬼を倒すという強い意志が匂いから読み取れたのだ。

 

「しかし、裏金殿は物知りだな。俺でも知らない事を知っていようとは」

 

「煉獄さんから見た裏金さんってどんな人なんでしょうか?」

 

 竈門炭治郎は、裏金銀治郎という男の評価が気になってしまった。色々と世話になっている身とは言え、裏で想像を絶する事をやっているのを知り、大人になった。

 

 だからこそ、現役柱達は、彼の何を知っているのだろうか。鬼滅隊の資金源を知っているか、探りを入れたくなったのだ。

 

「難しいな!! 彼は、新しい呼吸を生み出したと言うだけで天才だ!少なくとも、俺には同じ事はできない。彼が引退し、裏方に回ってから異様に金回りの管理が厳しくなったな!! だから、彼が嫌いな者も多いだろう!!」

 

「煉獄さんは、裏金さんの事が嫌いなんですか?」

 

「嫌いでも無いが好きでも無いな!! 人を一面だけ見て評価するのは良くない事だ。俺は、彼の執務室の電気が何時も最後まで点いていることを知っている。――まぁ!! 若い女性隊士や蟲柱を連れ込んでいるとも最近は耳にする」

 

 あまりにもまともな意見であった。その髪型やしゃべり方からは想像もできないほど、人をよく見ている。だが、竈門炭治郎は噂の真実を知っていた。夜遅くまで、鬼滅隊の資金繰りをやっていたのだ。

 

「なんで、みんな裏金さんの事が苦手なんだろうね。すごく、いい人じゃん!! 音だって、凄く澄んでるよ」

 

 我妻善逸は、裏金銀治郎という男の綺麗な部分しか見えていない。なにより、シルヴィという世界中探しても出会うことが難しいであろう理想の女性を連れてきてくれた恩人であった。加えて、裏金銀治郎は我妻善逸に対して期待しかしていない。

 

 だから、綺麗な音しかでない。

 

「あの~、切符を拝見いたします」

 

 病的なまでにやつれている車掌が切符を切りに来た。

 

 竈門炭治郎は、嫌な匂いを感じた。だが、身につけている隊服から放たれる匂いかと思い、深く追及はしなかった。

 

………

……

 

 車掌の手によって、乗客が全員眠りに落ちる。

 

 最後尾車両で、そんな眠りに落ちた客に混ざり平然としている二人の男女……裏金銀治郎と胡蝶しのぶ。寝静まった観客を確認し、車内へと移動してきたのだ。

 

「つまりは、この列車自体が下弦の壱と融合を果たすという事ですね。だったら、融合したタイミングで私が壁でも一突きすれば、すぐに終わりますよ」

 

「あっ、その発想はなかった。ですが……このままやり過ごします」

 

 下弦の壱と胡蝶しのぶは、相性が良い。列車と融合したでかい鬼なんて、何処を突いても倒せる。だからこそ、裏金銀治郎は天秤に掛けた。国鉄列車を壊す事の賠償金 と 主人公一行の成長 どちらを取るべきかと。

 

 だが、原作を可能な限りなぞる事が大事である。

 

「いいのですか? 鬼の体内に居るという事は、一般人が犠牲になるかも知れませんよ」

 

「毒でも同じです。列車と融合していると言う事は、毒でもがき苦しむと脱線事故を起こします。ならば、鬼の首が切り落とされるまで大人しく、乗客に紛れていましょう。我々の目的は、上弦の参だけです」

 

 裏金銀治郎の説明に、胡蝶しのぶも納得した。そもそも、柱の中でも上位の実力者である煉獄杏寿郎がこの場に居合わせている。下弦の壱に後れを取るなど、考えもしていない。加えて、機能回復訓練でめざましい成長を遂げた主人公一行もここに加わるのだ。これで倒せない下弦が居るはずも無い。

 

「では、このまま二人で寝たふりを続けましょうか。……ところで、少し気になっていたんですが、アンブレラ・コーポレーションでペ○ローション藤の香って商品を売り始めましたよね」

 

「えぇ。鬼滅隊のフロント企業ですが、何の商品も販売しないのは問題でしょう? それに、あの商品は画期的です。間違いなく、世間の闇に隠れ潜む鬼を退治してくれます」

 

 年齢=彼氏無しの歴の胡蝶しのぶには、ローションという商品の使い道が分かっていない。製品として売り出したのに、そこの企業トップが詳細を知らないとは些か以上に問題があった。だが、鬼を人に戻す薬の開発などで多忙であったから、仕方ないとも言える。

 

「確かに、鬼に対してかなり強力な毒を配合していますが……どういった状況で鬼が倒せるのかがサッパリです」

 

「子作りする際、濡れてないと色々と不便でしょう? その代わりになるのがローションです。人間のふりをして一般社会に紛れ込む鬼を殺すのには最適です。男女一緒に居ればやる事は大体決まっています。これが、一家に一本というレベルで普及すれば、一般人が勝手に鬼を殺してくれるわけです」

 

 事実、販売から一ヶ月しか経過していないのに、濡れ場で鬼が死ぬ事件が多発した。しかも、警察が駆けつけたときには死体は残っておらず、事件は迷宮入りしている。そもそも、鬼という存在は戸籍が無かったり、既に死亡扱いされている者達が殆どで、税金で動く警察が非納税者の為に、真剣に働く事はない。

 

 当然、裏金銀治郎が賄賂をばらまいているので、世間的にこの事件が大きく取り上げられる事はない。その事まで、丁寧に胡蝶しのぶへと説明がされた。

 

「えっ!? そんな話、初耳ですよ」

 

「しのぶさんが、お忙しいと思ったので此方で全て対応しました。安心してください。ちゃんと、正しい使い方をして夜の生活が充実したと感謝の手紙を沢山頂いております。それに、政財界の重鎮達にもご好評で、援助金も頂けました」

 

 この男はぁぁぁ!! この男はぁぁぁぁ!! と、隣に座って寝たふりを続ける裏金銀治郎に肘鉄を続ける胡蝶しのぶ。

 

 世の中の男性達からの信仰を一心に集めつつある胡蝶しのぶは、順調に英霊への階段を登っていた。しかも、その容姿も極まって良い為、信仰は留まることを知らない。夜の生活の守護者として、冬木の○杯戦争に参戦する事も夢ではないだろう。

 

 

◆◆◆

 

 裏金銀治郎と胡蝶しのぶが寝たふりを続けている時、竈門炭治郎は、夢を見ていた。

 

 その夢は、鬼舞辻無惨に殺されたはずの家族がいる。何事もない日常を渇望する彼にとっては、理想郷の世界。夢の世界に人を留めるという血鬼術は、素晴らしいものだ。

 

 だが、幸か不幸か竈門炭治郎は、夢を夢だと自覚する。

 

「お兄ちゃんどこ行くの?」

 

 竈門禰豆子がいた。鬼にもならず、普通に過ごしている妹。彼が望むものが全てそこには揃っている。

 

「禰豆子、俺は!!」

 

 振り返り、最後に一目家族の姿を目にしようとした竈門炭治郎。だが、そこには、夢も希望もないシーンが待っていた。

 

 竈門炭治郎がよく知る人物……鬼滅隊で世話になり力になってくれている裏金銀治郎がなぜか居たのだ。そして、竈門禰豆子を抱き寄せていた。

 

「お兄ちゃん、私、銀治郎さんと結婚するの」

 

「これから、お兄さん(・・・・)と呼んだ方が良いかな?炭治郎君」

 

 頬を赤く染め女の顔をする禰豆子を見た。その時、彼に掛かった精神的負荷は、自決するにも等しい物だ。

 

………

……

 

「うああああぁぁぁぁぁぁ!! 禰豆子!! 考え直すんだ!! お兄ちゃんは、絶対許さないからな」

 

 悪夢から目を覚ました竈門炭治郎は、竈門禰豆子を抱きしめた。

 

 そして、温厚な彼であったが、久しぶりにぶち切れた。下弦の壱、絶対ぶっ殺すマンが生まれたのだ。

 

 

◆◆◆

 

 我妻善逸は、夢の中でシルヴィと素晴らしい日々を堪能していた。

 

 朝起きて、シルヴィを撫でる。昼も撫でる。夜も撫でる。そして、夜戦……人がおおよそ夢見る最終形であった。

 

 だが、流石は下弦の壱である。そこに、竈門禰豆子という存在が追加されるのだ。

 

「善逸さん、私もシルヴィちゃんみたいに…好きにしていいですよ」

 

 ちなみに、我妻善逸は、既に夢だと自覚している。だが、自覚してなお、この夢を満喫する彼は、男の中の男であった。

 

『善逸!! 起きろ!! 夢で禰豆子を出演させるんじゃない!! 』

 

「やめろーーー炭治郎!! お前は、俺になんの恨みがあるんだよ!! 少しくらい良いだろう!!」

 

 夢から覚めたくない我妻善逸は、必死の抵抗を見せた。竈門炭治郎の物理攻撃と竈門禰豆子の血鬼術に抵抗し、夢を継続させる彼の強い意志は、この場に居るだれにも負けなかっただろう。

 

『善逸……これ以上、寝ているなら。裏金さんに、善逸が働きませんでしたと報告するぞ。そうなれば、シルヴィちゃんが可愛そうな事に』

 

 我妻善逸は、我に返った。

 

 よくよく、考えれば現実に戻ってもシルヴィちゃんとは夢と同じような性活(・・)を送っているのだ。自分を慕う女性を不幸にするのは、彼の矜持が許さなかった。

 

「ごめんな。シルヴィちゃん、禰豆子ちゃん。俺、起きないといけない」

 

 覚悟を決めた善逸は、現実で守るべき女のため、自決した。

 




これで、下弦の壱は、死んだも同然だ!!

吉原で、ぺ○ローションを採用していない遊郭がある。
……じつに怪しいですよね^-^


PS:
禰豆子の名前を一太郎から転記すると謎のスペースが入る現象が困るw
SS投稿した時にしか分からないので、何も考えずに投稿するとスペースがはいるのよね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。