鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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日次投稿ができず、落としてしまい申し訳ありませんorz
どうしても執筆時間がとれなく許してクレメンス。

そして、運営からクロスオーバーいれろと怒られてしまったorz





21:リーサルウェポン

 蝶屋敷では、主人公一同が煉獄杏寿郎から鍛錬を受けている。同じ入院患者として、体が鈍らないようにと、実に有り難いものであった。だが、そんな主人公達がドンドン強くなる最中、裏金銀治郎の前に各方面から金の無心がされていた。

 

 無限列車のせいで、鬼滅隊の財政状況は極めて悪い。だが、それを知る者達は僅かである。つまりは、平常運転で領収書や請求書が集まってくるという誰もが逃げ出したくなる職場だ。

 

 鬼滅隊の金庫番として、裏金銀治郎は金策アイディアを提案し、認可を取るため産屋敷耀哉と面談していた。産屋敷耀哉も組織のトップとして、裏金銀治郎からの報告を確認しており、そろそろ来る頃だと思っていた。

 

 産屋敷耀哉の体調は日に日に悪くなっており、現時点で半ば寝たきりである。そんな病人に対しても、容赦なく現実を突きつける男は仕事に誠実な裏金銀治郎だからできる事だ。

 

「お加減は宜しくないようですね、お館様。ですが、鬼滅隊の為、新たな金策アイディアをもって参りました」

 

「銀治郎には、何時も苦労をかけるね。今度は、どんなアイディアなんだい」

 

 産屋敷耀哉は、自らの勘で裏金銀治郎という男を見つけ、鬼滅隊に加入させた事を密かに自慢に思っていた。産屋敷家は、幾度もあった苦難を勘で乗り切ってきた。

 

 例えば、日輪刀の材料となる鉱石を見つけた勘、鬼に見つからない土地を当てる勘、嫁さんの排卵日を当てる勘など、様々だ。今代は、その中でも人材を見つける勘が極めて冴えていたと言える。

 

「いくつか空里を取り壊して、アンブレラ・コーポレーションの工場を建設しましょう。今の時代、人の出入りがある以上、完全な隠蔽は不可能です。なにより、維持経費も馬鹿になりません。土地の有効利用をすべきです」

 

「わかった。空里の選定は、任せよう。それで、何の工場を建てるんだい?」

 

 裏金銀治郎は、空里というシステムも必要性も理解している。だが、そんな予算はないのが現実だ。今後、刀鍛冶の里が襲撃されるのを知っているから、一つは残しておくべきだとも分かっており、それが彼にとっての妥協点であった。

 

 なにより裏金銀治郎が気にくわなかったのが、刀鍛冶の里の連中からの金の無心だ。空里の用意も里の連中からの依頼で幾つも建築された。援助金を貰って、空里まで用意させられ、維持管理費も出さされるとは、笑い話にもならない。

 

「ペ○ローションと新商品のコン○ームの大生産拠点にする予定です。これで、鬼滅隊の資金繰りも改善する見込みがございます。鬼滅隊は、人々の()活を守る為、尽力すべきです。それが、鬼を全滅させる近道です」

 

 鬼滅隊は、裏で鬼を斬る。一般人は、鬼をヌルヌルにして殺す……または、突いて殺す。鬼を狩る人手不足すら、解消してしまう有能な提案であった。こんなマネができる男は、この時代に二人と居ない。

 

「期待しているよ銀治郎。そして、私に何かあったときは、輝利哉の事を頼んだよ」

 

 裏金銀治郎は、危うく「お任せください」と言うところであった。産屋敷耀哉の無駄に人の心を和ませる声色は、こういう場面にこそ使われるべきである。

 

 認可がされたと同時に息子を頼むとか平然と会話に混ぜてくるやり方。まさに、裏金銀治郎がいつも胡蝶しのぶにやっている手である。

 

「何度もお伝えしておりますが、イヤでございます。ご子息の事でしたら、他の柱にご依頼ください。お館様のお体の事は理解しております。ですが、それとこれとは別の事です」

 

「残念だ。気が変わったらいつでも言ってくれ」

 

 裏金銀治郎は、お館様に会釈して退室した。

 

 そして、人々の()活を守る戦いが始まりを告げる。日本中の男達は、もはや蝶屋敷……いいや、胡蝶しのぶが居る方角に足を向けて寝れない。遠い未来、NHK特番「その時、時代がうごいた」が組まれる数で誰にも抜かれない記録を誇るのが彼女である。

 

 

◆◆◆

 

 裏金銀治郎の執務室に、胡蝶しのぶがソファーに深々と座り寛いでいる。しかも、部屋にあった輸入品の珈琲豆を勝手に使うあたり、既に持ち主と同じくらい部屋の構造を知り尽くしていた。

 

 その対面には、裏金銀治郎も座っている。

 

「それで、銀治郎さん。いつになったら、姉さんの仇の情報を教えてくれるんですか?」

 

「聞いても、直ぐに飛び出していかないとお約束頂けるのでしたら、いつでも」

 

 裏金銀治郎は、当然約束を守るつもりでいる。だが、情報を聞いた瞬間に、飛び出す未来が見えたから、胡蝶しのぶから急かされるまで黙っていた。

 

「――もしかして、近くに居るんですか!?」

 

「まぁ、現在地は把握しております。ですが、しのぶさんが特攻しても無駄死にします。準備が整うまで大人しく待って頂きたい」

 

 胡蝶しのぶは、怒っていた。

 

 それも当然だ。胡蝶カナエとも面識があり、自らが鬼滅隊に居る理由が復讐だと知っている男が、姉の仇について一切の情報を鬼滅隊にすら提供していない。しかも、その仇が今どこに居るかも把握しているとなれば、誰だって怒る。

 

 彼女からしてみれば、上弦の参を特に苦労せず完封できており、上弦の弐である鬼を相手にしても負けることは無いと思っていた。勿論、それには裏金銀治郎というキーマンが必要なのも事実である。

 

「上弦の弐を殺す時は、銀治郎さんも惜しみない協力を期待して宜しいのですよね?」

 

「約束します。ですから、しのぶさんも無茶しないでください。しのぶさんが死んだら、私が仇を取るとか期待しては駄目です。しのぶさんが居ない鬼滅隊なら、国外に逃げ込んで天寿を全うするまで隠れ住みます」

 

 鬼滅隊を見限る事を何とも思わない裏金銀治郎。ここまで清々しい男は、鬼滅隊でも殆どいない。

 

「約束と違うと言いたいですが……分かりました。まず、姉さんの仇と言っていた上弦の弐の素性を教えてください」

 

「名を童磨といいます。風貌は、胡蝶カナエさんがしのぶさんに伝えた通りですよ。頭から血を被ったような文様の髪に、洋風の着物を着た青年の鬼。虹色の瞳が特徴的です。後は、扇子を武器にしています」

 

 胡蝶しのぶとしては、姉が亡くなる際に自分だけに伝えた事をなぜ知っているのかと疑問に思っていた。だが、知っているだろうとも思っていた。それほどまでに、謎が多い男のポジションにいるのが裏金銀治郎である。

 

 いつも集○社情報と伝えているのだが、全く信じて貰えないのは裏金銀治郎の人徳のなさである。

 

「本当に!! 色々と物知りなんですね!! 私以外なら、情報を無理矢理吐かされて殺されている可能性もありますよ」

 

「何時も言っているじゃないですか、しのぶさんだから教えているんですって。それに、私は殺されるくらいなら逃げますよ」

 

 胡蝶しのぶのコーヒーカップが空になった。そして、何も言わずに新しい珈琲を注ぐ事ができる男が、そこに一人いる。砂糖とミルクまでいれて、渡す所まで完璧な動作である。

 

「それで、素性の続きです。童磨は、新興宗教「万世極楽教」の教祖をしています。本当に、上弦の鬼はおかしな連中ばかりです。吉原の花魁、ツボを作る芸術家、臆病者、脳筋、教祖、呼吸の使い手とか。そのうち、琵琶を弾く女とか誰かの兄弟子とか加わる未来もあるかもしれません」

 

「……その名前の新興宗教なら耳にしたことがあります。なるほど、あそこの教祖が鬼でしたか」

 

 裏金銀治郎が聞いてもいない、他の上弦の情報を公開したがスルーする彼女。良い具合に成長している。その位のスルー力がなければ、若白髪になってしまうだろう。

 

「では、私が無駄死にするといった理由は?」

 

「しのぶさんの毒では、殺しきれないからです。上弦の鬼ともなれば、毒への耐性は神がかっています。耐性もついて、効果も薄れてしまう。最後には、鬼の餌食になります」

 

「でしたら、例の鬼を人間に戻す薬を使えば良いだけじゃありませんか」

 

「……やっぱり、そこに気がつきます? 正直、その通りです。上弦の参相手に、一定以上の効果がありました。その改良版ともなれば、上弦の弐相手でも効果はあるでしょう」

 

 薬の開発者ともなれば、当然行き着く結論であった。裏金銀治郎もそれを切り札の一つ(・・)としている。鬼舞辻無惨を除けば、その方法で殺せない鬼は存在しない。

 

「ならば、簡単じゃないですか。銀治郎さんの血鬼術_血界(けっかい)で相手の血鬼術を封じて、私が相手に毒を与える。毒が効いている間に首を落とせば良いだけです」

 

「問題は、その血鬼術です。上弦の弐の血鬼術は、恐らく全鬼でも最強です。私の血鬼術のキャパを超えています。冷気を操る血鬼術で、肺を壊死させたり、自動攻撃する氷、広範囲の凍結攻撃。なにより恐ろしいのが、本体と同等の戦闘力を持つ分身を複数体つくれる事です。場合によっては、薬品が凍結して薬の役目を果たさない可能性もあります」

 

 まさに、上弦の弐だけで、鬼滅隊を壊滅させられる強さを誇っている。チートオブチートだ。

 

「なんですか、それ。卑怯じゃありませんか。ですが、手はあります」

 

 胡蝶しのぶは、裏金銀治郎の手助けがなくても殺す算段は考えていた。だが、胡蝶しのぶの身を案じる男としては、許しがたい行動であった。

 

「鬼に喰われる事を前提に自爆など、不確定要素が多いのでお勧めしませんよ」

 

 鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をする胡蝶しのぶ。なぜ、誰にも言っていない秘策がバレたのかと。

 

 だが、それならそれで彼女は勝ち筋が明るくなったと思っていた。裏金銀治郎がその手を既に考慮していたなら、それを上回る手段を用意していると践んだのだ。鬼を殺す事に関しては、柱の誰よりもやり手である男だと信頼している証拠である。

 

 否定するなら代案はあるべきだ。それは、社会人として当然である。

 

「分かりました。銀治郎さん、それでは上弦の弐を殺す方法を教えてください」

 

「数に限りが有るので絶対に無くさないでくださいよ」

 

 裏金銀治郎は、何の変哲も無い刀を一本テーブルの上に置いた。それは、日輪刀ではない。だが、鬼に対して絶対的な武器となる。

 

「普通の刀に見えますが……これがなにか?」

 

「しのぶさんは、日輪刀の材料をご存じですよね? 陽光山という一年中陽が差している山から取れた鉱石。……世の中には、太陽の光が更に当たる場所が有るんですよ。それも、地上とは比にならない程にね」

 

「えーーと、つまり、どういう事ですか?」

 

「隕鉄で作られた刀……流星刀です。既に、何匹かの鬼で試しましたが、凄まじいですよ」

 

 知識人である胡蝶しのぶは理解した。

 

 日本でも希少で数に限りがある品物で、裏金銀治郎の伝手でも集められたのは数本だけだった。そんな希少な一本を胡蝶しのぶに惜しみなく渡す。

 

「銀治郎さん、そんな素敵な刀をお持ちだったのに、誰にも内緒にしていたなんて罪な男ですよ。すこし、施設の下弦相手に試し切りしてもよろしいですか?」

 

「えぇ、私も試しました。その刀と()のしのぶさんの力なら、上弦の鬼相手でも首を落とせます」

 

 刀の刀身を眺めて、素敵な笑顔になる胡蝶しのぶ。その笑みは、ぞくりと背筋が凍る程冷たく、美しい物だった。

 

 下弦が切れれば、上弦はどうなのかと気になるのは人の性である。都合の良いことに、政財界のVIP達が大好きな吉原……そこの被害を最小限に抑える必要がある。煮ても焼いても美味しい、更には斬っても楽しい鬼退治の時間が始まる。

 




***************大正コソコソなんとか!!***********
竈門炭治郎「善逸、禰豆子が何処にいるか知らない?」

我妻善逸「禰豆子ちゃんなら、シルヴィちゃんとすずかちゃんと遊んでるよ。なんでも、夜の呼吸法を教えるとかで」

竈門炭治郎は、底知れぬ恐怖を感じてしまった。
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↑こんな感じ原作一行についても、少し触れようかなと。






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