鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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いつもありがとうございます!!
本来なら感想をお返ししてから投稿しておりましたが、日次投稿を優先しました。
明日にはお返しさせて頂きます。

読者の皆様の通勤時間の暇潰しになれば幸いです。

誤字脱字報告いつもありがとうございます。
大変助かっております。


25:気持ちは、本当に分かります

 音柱……大正の世まで生き残った忍者の宇髄天元である。忍びというからには隠密に優れているかというと、残念だ。某忍者漫画も同じだが、堪え忍ぶという大前提が抜け落ちてしまっている。

 

 そんな、男が裏金銀治郎の執務室を訪れていた。

 

「嫁からの連絡が途絶えた。これから吉原に向かう。裏金さん、同じ鬼滅隊の者同士協力しよーじゃねーか」

 

「協力といいましても、何時も協力している気がしますよ宇髄天元さん」

 

 音柱は、真剣であった。

 

 大事な嫁との連絡が途絶えて、今すぐにでも吉原で捜索を開始したかった。だが、無策で挑めば、嫁すら助けられずに返り討ちにあう可能性もある。よって、裏金銀治郎に協力の依頼を持ちかけたのだ。

 

 他の柱でも無く、裏金銀治郎が選ばれた事にはそれ相応の理由があった。

 

「吉原の遊郭に隊士を派遣するそうじゃねーか。しかも、時期が俺が現地入りするタイミングとドンピシャだ。あれだけの隊士を動かせる人物は、鬼滅隊でも二人しかいない。お館様と裏金さん――あんただ。まさか、何の情報もなくあれだけの人と金を動かすはずはねーだろう?」

 

「私は、鬼滅隊を支援してくれている人達のお気に入りを避難させたいだけですが、私は柱の皆様と仲良くしたいので、持っている情報を提供しましょう」

 

 裏金銀治郎は、引き出しから調査資料を提供した。

 

 その資料は、吉原の遊郭でペ○ローションを採用していないお店やコンドームを使っていない遊女の情報だ。つまり、鬼である可能性がある女の情報である。夜の道具が、鬼をあぶり出す道具に早変わりする。

 

 資料の情報と宇髄天元が持っている情報を合わせれば、鬼が潜む場を厳選する事ができる。

 

「いい資料もってんじゃねーか!! これで、派手に鬼を殺しに行けるぜ。だが、その前に!! 風柱の一件は聞いている。悪かったな、何も口添えできなくて。言い訳になるが、俺が知ったのは、全てが終わった後だ」

 

「別に気にしないでください。私は、これでも自分の立場をよく理解しています。現場の柱の人が快く思わないのも当然です」

 

「まったく、損な性格してるな~」

 

 宇髄天元は、裏金銀治郎の事を高く評価していた。宇髄天元の嫁については、誰しもがセットで考えている。音柱の嫁1、嫁2、嫁3のように。その為、裏金銀治郎が給与管理を担当するまで、不憫な思いばかりをしていたのだ。つまり、給料は宇髄天元の分だけ。

 

 全くもって酷い話だ。くノ一である彼の嫁達は、大変優秀である。潜入任務もでき、諜報活動もできる。世間では評価されない項目かも知れないが、鬼滅隊では評価されるべき項目であった。だから、裏金銀治郎が改革したのだ。

 

 待遇改善により、彼等の生活や任務が劇的に効率化された。最近では、ローションとコンドームという女の武器も手に入り、下手な隊士より鬼を殺している。 

 

「当たり前のことをしているだけです。それと、吉原には恐らく相当強い鬼が居るでしょう。宇髄天元さんに、心ばかりのプレゼントを用意させて頂きました。柱専用の緊急活性薬と上弦の鬼すら酩酊させる臭い玉、業務用ローション」

 

 机に並べられる最新の鬼退治武器だ。

 

 音柱も火薬玉など忍具を用意していた。忍具は、確かに強い……だが、ソレは対人においての話だ。自己回復する鬼には、効果は薄い。

 

「なぁ、裏金さんよ~。ここ最近、色々と新しい物を作りすぎじゃねーか。俺は、鬼が殺せて嫁達が安全に暮らせるなら何でもイイがな。その材料(・・)が何であれ気にしない」

 

「古来より、敵の兵器を鹵獲して使うのは戦争の常です。私も、宇髄天元さんに同意ですね。貴方とは、仲良くできそうです」

 

 彼の中で、裏金銀治郎という男は、岩柱同様に得体の知れない存在に位置づけられていた。表向きには胡蝶しのぶが作ったとされている最新兵器が、裏金銀治郎考案だとウスウス勘づいていたのだ。

 

 だが、賢い男はそれを口にしない。

 

………

……

 

 任務を終えて、愛しの妻達が待つ蝶屋敷に戻ってきた我妻善逸。

 

 鬼退治に連れて行くには危ないので、血の涙を流し妻達をおいて仕事に赴いていたのだ。仕事をしないという選択肢は、我妻善逸には存在しない。裏金銀治郎との契約を守る使命があった。

 

「まっててね~、お土産沢山買ってきたから」

 

 我妻善逸の給料は、全て妻達へのお土産と変わっていた。お土産の中に業務用ローションや箱入りコンドームがダース単位であるのを除けば、至って普通のお土産である。鬼滅隊のフロント企業の商品を隊士が買う……そして、その売上げが給料になる。

 

 鬼滅隊の隊士達は、我妻善逸の性活のおかげで飯を食っている事になる。これが知られれば、我妻善逸ブッコロし隊の隊士は、首を吊るかも知れない。

 

 朝の訓練、昼の訓練、夜の訓練と柱も真っ青な訓練のおかげで、我妻善逸の能力は飛躍的に向上していた。下半身の強化により、重心が安定したのだ。今では、壱ノ型 霹靂一閃 神速を3連続で使える程になっていた。

 

 流石は、原作でも一度も刀を折った事がない有能である。その才能は、竈門炭治郎より上ではないかと裏金銀治郎は考えていた。

 

「助けてくださいご主人様」

 

「善逸様~」

 

 蝶屋敷の方から聞こえてくる妻達の声。声を聞くと同時に、トップスピードで妻達の許に駆け寄る。その速度は、音柱でも油断をすれば危ないと思うほどで有り、並の隊士が出せる速度でない。

 

 そこには、宇髄天元が二人の我妻善逸の妻達を抱えていた。その目的は、吉原での潜入任務に女が必要であったので、蝶屋敷で調達していた。そこで、目に付いたのが何処に出しても恥ずかしくない淫魔がいたので、採用したに過ぎない。

 

 彼女達に目を付けた宇髄天元の目は正しい。彼女達なら、花魁も夢では無い。

 

「シルヴィちゃんとすずかちゃんを返して貰おう。例え、あんたが筋肉の化け物であっても俺は一歩も引かない」

 

「……」

 

 我妻善逸から迸る殺る気は、ヒシヒシと宇髄天元にも伝わっていた。自信に満ちたその声は、訓練の成果と実績、嫁達の前で恥ずかしい姿は見せられないという意地からきたものだ。

 

 だが、それでも負けないのが柱である。宇髄天元も対抗し殺気を飛ばす。

 

「あっそぉ。じゃあ一緒に来て貰おうか。こいつ等の代わりに来るんだから、それ相応の働きはして貰うぞ。で、こいつ等はお前の親戚か? 俺の目から見ても、かなりの女だ。誇って良いぞ」

 

「俺の嫁達だ」

 

 我妻善逸の言葉に、嘘だと断定する宇髄天元。コレほどの上玉が、へんちくりんの嫁など、天地がひっくり返っても無いと考えていた。隊士の誰もがそう考えていた。よって、一つの結論に行き着く。

 

「おめぇ~、幾らモテないからって脅迫とかサイテーだぞ」

 

「ちげぇーーーよ!! 本当に俺の嫁だって!! そうだろう、炭治郎!!」

 

「気持ちは、本当に分かりますが……善逸の言っていることは本当なんです。裏金さんが、連れてきた子です」

 

 竈門炭治郎も匂いで分かるとは言え、裏金銀治郎が絡んで居なければとうてい信じられなかった。町で評判の美人と言われた妹と同等以上の女の子を簡単に見つけ出して、我妻善逸の嫁に仕立て上げたのだ。しかも、相思相愛に至っているなど誰が信じられるか。

 

「武器だけじゃなくて、人まで売り買いしているのか……何やってんだか」

 

 本人の居ないところで酷い言われ様の裏金銀治郎。

 

 

◆◆◆

 

 吉原の一角にある空き屋。

 

 鬼滅隊が所有している物件の一つだ。本来であれば、壁屋という一風変わった遊郭がオープンしている筈だった。だが、組織のトップであるお館様の意向で不認可となり、事前に確保していた土地と家だけが残っていた。

 

 後から吉原の鬼退治で拠点として利用しようと思っていたので、そのまま残していたのだ。日輪刀、緊急活性薬、爆薬、銃、ローション、コンドームなど必要物資が全て揃っていた。

 

 その拠点には、裏金銀治郎と胡蝶しのぶが滞在している。

 

 上弦の鬼との戦いを目前だというのに、胡蝶しのぶの機嫌はとても悪かった。流星刀の実験ができる絶好の機会だというのに、何故だろうかと裏金銀治郎は納得がいかなかった。

 

「しのぶさん、ほら笑顔笑顔」

 

 裏金銀治郎は、両手で胡蝶しのぶの頬を触り笑顔を作り上げる。頬を触ると、赤らめて女の顔になる胡蝶しのぶ。男に顔を触られるなど、今まで想像した事もなかった彼女だが、存外悪くないと思ってしまう。

 

 甘露寺蜜璃にチョロイと言っていた本人も存外チョロかった。

 

「銀治郎さん、私ってそんなに子供っぽく見えますか? ここに来るまで、どいつもこいつも!! なぜ、お父さんに売られる子供だとみんな勘違いしてくるんです!!」

 

 だが、裏金銀治郎とて同じであった。なぜ、父親だと勘違いされ、『あんた、娘を売るつもりかい? 人間のくずだね……で、幾ら欲しいんだい?』とあからさまな値段交渉が幾度も行われた。

 

 胡蝶しのぶ程の器量の女性なら、吉原で花魁確定である。見る目があるスカウトマンがこぞって声を掛けるのは当然だ。

 

「大丈夫です。しのぶさんは、大人(・・)です。私が一番理解しています」

 

「……なんか、含みがある言い方ですね。で、鬼滅隊の拠点が吉原にあるなんて聞いたことありませんでした。普段、金がないと嘆いていたのに、何故こんなのがあるんですか?」

 

 胡蝶しのぶへの回答を一瞬迷ってしまう裏金銀治郎。だが、常日頃、彼女にだけは正直でいようとする男であるので、素直に教える。

 

「隔離施設で確保している下弦の肆。アレの下半身だけをここで遊女として活用しようと思ったんです。鬼滅隊の新たな資金源としてお館様に提案したら却下されました」

 

「へぇ~、初耳ですよ。でも、下弦の肆といえば、私も協力して確保したアレですよね。裏金さんは私を口説きつつ、陰では女の裸をね~」

 

 可愛らしい人だ。それが、彼女の今を見た裏金銀治郎の感想だ。

 

 胡蝶しのぶの色々な顔を見てたい。反応を楽しみたいと考えてしまうのは男の性だ。決して、裏金銀治郎は悪くない。彼女の方から誘っているのだ。

 

「しのぶさん、いじらしい貴方は本当に可愛らしい。私は、しのぶさんの事を好きになれて本当に幸せです」

 

「この男はぁぁぁぁ!! どうして、二人っきりの時にそんな台詞を言うんですか。真顔でそんなこと言わないでください。恥ずかしいでしょ、銀治郎さん」

 

 二人以外だれも居ない吉原の一角。鬼退治の備品……ローションとコンドーム。必要な物は全て揃っていた。当然、布団も一つはあった。

 

「そういえば、甘露寺蜜璃さんが領収書を持ってきた際、『裏金さんって、ケダモノだったんですね』と言っておりました。どういうことでしょうね、しのぶさん」

 

「さ、さぁ。どうしてでしょうね」

 

 マズイと思った胡蝶しのぶ。だが、後の祭りである。すでに、裏金銀治郎によってホールドされていた。

 

「知っていましたか、上弦の鬼との戦いは、明後日なんです。つまり、今夜から明日は、お互いフリーです。今度は紳士的にと思っておりましたが、気が変わりました。ケダモノはケダモノらしくやらせてもらいます」

 

「話し合いましょう!! 落ち着いてください。まだ、本調子じゃないんですって」

 

 布団に押し倒される胡蝶しのぶ。だが、逃げ出すことはしない彼女は、割とこの展開を望んでいた節があった。

 




アンケート機能なるものがあるらしいので、今度使ってみます。

『陰』の後藤の話、鬼柱の話、我妻善逸の3人目の嫁の話、裏金銀治郎とお館様の出会い、胡蝶しのぶが強盗に入った日の話など色々候補を検討中です^-^

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