これで30話目になりました!!
10/20の初投稿から、日次投稿を続けられたのも読者様のおかげです^-^
※途中途絶えたけど、日に二話投稿した事もあったのでセーフで。
どこまでこのペースを守れるか分かりませんが、よろしくお願い致します^-^
感想を何時も楽しく読ませて頂いております。
鬼柱様のファンが多かったので、次回ネタも考えねばと苦悩中@@
PS:
誤字脱字報告、ありがとうございます!!
裏金銀治郎の執務室に積まれている決裁書を片付けていく裏金銀治郎と胡蝶しのぶ。例年であれば、彼一人で対応した。だが、裏の仕事も理解している彼女のおかげで、書類は通常の倍の速度で片付く。
そのお礼に彼が珈琲を入れている最中、電話が鳴る。
「すみません、今手が離せないので対応をお願いします。大方、賄賂の催促かクレームのどちらかですよ」
「いえ、だから出たくないんですが……」
賄賂を求める者達やクレーマーに鬼滅隊がお世話になっているのも事実だ。彼等が居なければ、鬼滅隊は存続できない。
だからこそ、出たくない電話でも取らないといけない。それが仕事だ。勤め人の悲しい宿命だ。
『お待たせしました。裏金銀治郎に代わり、ご用件を伺わせて頂きます』
『あら、女性の方がでるのは初めてですね。すみませんが、銀治郎に替わって貰えますか?』
銀治郎――電話の主は、声からして女性。しかも、銀治郎と当たり前に呼ぶ人であった。短いやり取りだが、度々電話をしてきている様子が窺える。胡蝶しのぶは、このまま電話を切ってやろうかと思っていた。
だが、万が一政財界VIPであったら困ると思い、ムカムカを我慢して胡蝶しのぶは電話の相手を確認した。場合によっては、夜にじっくり話し合わないといけない。
『申し訳ありません。どちら様でしょうか?』
『失礼しました。
胡蝶しのぶに到来した試練。
人様の経歴を面白おかしくした裏金銀治郎と同じ姓を名乗る女性。考えられる関係で一番高いのは、肉親である。声から察するに母親、姉、妻といった順であった。ちなみに、最後の候補であった場合、彼の脳天を彼女の日輪刀が貫く結果になる。
裏金銀治郎は、電話から漏れ聞こえた声で理解した。そして、胡蝶しのぶの耳元で囁く。「大丈夫、母ですよ」と。この時ほど彼女は、裏金銀治郎が人の子であったと思ったことはなかった。
胡蝶しのぶですら、裏金銀治郎の経歴や家族構成などは知らない。鬼滅隊にあるはずの書類は、軒並み破棄されている。唯一知るのは、産屋敷耀哉のみだ……生きている者で。
『銀治郎さんのお義母様でしたか、直ぐにお電話をお替わり致しますね』
電話を替わる胡蝶しのぶ。だが、堂々と電話の中身を盗み聞きする為、裏金銀治郎と顔をくっつける。その動作は、無自覚であるが男心を揺さぶる。悪女である。
『母さん、今日はどうしたの?』
『銀治郎に聞きたい事があるのよ。いい加減、年なんだからそろそろ身を固めましょう。お母さん、そろそろ孫の顔を見たいわ。必要ならお見合い相手を探しても良いのよ』
横に居る胡蝶しのぶがご機嫌になる。
裏金銀治郎が胡蝶しのぶと結婚した瞬間、もれなく孫が二人も見れるのだ。だから、安心してよい。下手したら、大きい方の子供が竈門炭治郎と結婚して、曾孫を見れる日も遠くはない。
ツンツンと胡蝶しのぶが彼の頬をつつく。無言のアピールだ。
『大丈夫です。今、とても素敵な女性とお付き合いしておりますので、その内ご紹介も兼ねて連れて行きます』
ぐりぐり げしげし
胡蝶しのぶから、肉体的ダメージを受ける裏金銀治郎。照れ隠しの攻撃は思ったよりも威力があった。そろそろ、彼女も自分の肉体スペックを考えるべきである。既に冨岡義勇に匹敵するパワーを秘めているのだ。
『あらぁ!! 前に連れてきた
空気が凍り付く。先ほどまでの暖かな雰囲気は一変し、部屋の温度が一気に氷点下に下がったかのようだ。
裏金銀治郎は真横にいる胡蝶しのぶの整った顔が、今日ほど恐ろしいと感じた事はない。美人故に、その怒った顔は怖い。裏金銀治郎の頬から汗が垂れる。
「どうしたんですか、銀治郎さん。早く話を続けてください」
裏金銀治郎の腰に提げられた長曽祢虎徹が奪い取られ、頸元に当てられていた。
『その話は、息子の命に関わるので下手な発言は辞めて……で、今日はその話をするためだけに電話を?』
『違うわ。銀治郎が、変な宗教にハマっていないか不安に思って電話したのよ。えーーと、
『職業柄、身に覚えの一つや二つはあります。それで、その人達は?』
『息子さんと連絡が取れたら、是非教えてくれと名刺を残して帰ったわ。今朝に』
裏金銀治郎は、どこから素性が漏れたのか考えた。
一応、柱として働いていた期間もあったが、逆恨みを恐れて極力素性が分からないように努力していた。鬼滅隊にある書類にも自らの情報が分からないように手を尽くしている。産屋敷耀哉が鬼側に情報を漏らさない限り、バレることはない。唯一、知っていた胡蝶カナエは既に故人であるのだから。
『ありがとう。直ぐに帰るから、その名刺は残しておいて』
『えぇ~、構わないけど随分と急ね』
受話器を置いた。
流石の胡蝶しのぶも既に刀を鞘に納めている。色々と聞きたい事ができたのは事実だが、万世極楽教が誰も知らないはずの彼の親族に接触してきた事実が大変危険だ。
鬼滅隊の、代えが利かない男となっている裏金銀治郎。その親族が鬼側の手に落ちれば、彼が鬼滅隊を裏切る事もあり得た。そうなれば、全ての内情を知る男が敵側に回ったら、組織は終わりだ。
「しのぶさん、一緒に実家に来てくれませんか。私には、貴方が必要です」
「もう少し別のシーンで聞きたかった言葉です。構いませんが、行き際に姉さんがご実家にお邪魔した件について詳しく聞かせて頂きますからね」
「えぇ、その位でしたらお安いご用です。なーに、つまらない話ですよ」
………
……
…
火急の用件との事で、裏金銀治郎は産屋敷耀哉に面会を求めた。
具合が悪く寝たきりの産屋敷耀哉。数日と持たないと医者から言われる彼だが、鬼舞辻無惨を倒すために命を繋ぐその意志は素晴らしい。
「やぁ、銀治郎。寝たままで済まないね。それで、どうしたんだい?」
「私の実家に、鬼の手の者が接触してきました。親が心配なので、しばらくお暇を頂きたく思います。場合によっては、上弦との戦いになるやもしれませんので、しのぶさんもご同行して頂く予定です」
鬼滅隊の代えが利かない二人がお暇を頂きますとか、組織のトップとしては許可を出したくない案件だ。だが、行くなとは言えない。代わりに柱を向かわせるとしても、確定情報でもないのに柱は動かせない。裏を知らない一般家庭である裏金家に、日輪刀を持った者は滞在できない。
そもそも、裏金銀治郎が情報封鎖をしている実家に隊士を派遣するとか彼が許さない。
「許可しよう。小夜子さんにもよろしく伝えてくれ。仕事の方は、あまねと子供達で対応するから、気にせず行ってきなさい」
「ありがとうございます」
産屋敷耀哉は、裏金銀治郎を見送る事しかできなかった。彼の親族について詳細を知るのは、産屋敷耀哉だけである。つまり、この場では何も言わなかったが、不信感を募らせていただろうと察していた。
産屋敷一族は、鎹鴉を使った監視も行っている。色々と裏金銀治郎に対して言えない事をしていた。鬼滅隊の為、誠実に仕事をこなす者に対して組織のトップは彼の行動を監視する暴挙を行っていたのだ。
◆◆◆
裏金銀治郎は普段通りの顔をしているが、その内心は焦っていた。
一体、何処の誰が自分を売ったのかと。そもそも情報を可能な限り隠蔽しており、裏金銀治郎が鬼滅隊の隊士である情報など、外部の者は知らない。そして、彼の親の情報を知るのは産屋敷耀哉のみ。情報共有されていれば、産屋敷一族という事になる。
「しのぶさん、私は鬼滅隊から売られたのかな? これでも鬼滅隊の為、役に立っていたと自覚していたんですが」
「少なくとも、私が知る範囲で銀治郎さんを売ろうなど考える愚か者は居ません。それに、本当なんですか? お館様以外に、
「いない。身内が人質にされないように、徹底した管理を行っていた。普通に、私の事を調べても出てくる情報はせいぜい警察の下請けをしている個人事業主や本の著者という程度だ」
裏金銀治郎と胡蝶しのぶは、車で移動している。時間がなかったにも関わらず、胡蝶しのぶは化粧をして身だしなみをしっかり整えていた。気合いが入りまくっているのがよく分かる。
そんな胡蝶しのぶとは裏腹に、車に物騒な物が沢山積み込まれていた。
日本刀、銃、注射器、弾丸……警察に止められれば一発アウトな品物を多数積み込んでいた。開発中の鬼を人間に戻す薬も持ってきており、最悪に備えていた。
「本当に、徹底されていますね。まぁ、安心してください。どんなことになっても、私は銀治郎さんの味方ですよ。貴方が、私の味方で居てくれる限り」
「頼りにしています、しのぶさん。実家は神保町なので遠くはありません。着くまでの間に、胡蝶カナエさんについて誤解を解いておきます」
裏金銀治郎は、胡蝶しのぶに快く協力して貰うためにも、胸くそ悪い事件について話す事にした。
「えぇ、是非。私が銃の整備を間違って、引き金を引かないような話を期待しています」
「大した話じゃありませんよ。以前に、胡蝶カナエさんが元炎柱に
「いやいや!! 酔い潰されたって初めて聞きましたよ!! 以前は『元炎柱が、酒に酔った勢いで』だったじゃないですか!! どういう事ですか。何者ですか、煉獄さんのお父さんは」
「えぇ、ですから~元炎柱は酔った勢いで持ち帰ろうとしたんですよ。酔いつぶした彼女を。で、元炎柱は酒と女とギャンブルが好きな一般的な男かと。煉獄さんには、お前は大した男にはなれないと酷い暴言をいう亭主関白で古い考えの男性です」
冒頭だけで胡蝶しのぶは、裏金銀治郎に感謝の念を覚えた。万が一、そんな男が自分のお義兄さんになっていた可能性があったのだ。
「それで、続きは?」
「神保町近辺で鬼が出たと耳にしたので、プライベートで現場に向かいました。すると、胡蝶カナエさんと元炎柱が共闘して鬼討伐していました。不思議ですよね~、元炎柱の担当エリアは別の場所なのに」
「……元炎柱は、なぜそこに?」
「胡蝶カナエさんの尻でも追っかけていたんでしょう。だって、ご自身の担当エリアの鬼は、他の隊士にやらせていましたから」
煉獄杏寿郎という立派な青年を知る胡蝶しのぶは、鳶が鷹を生むとはこの事かと納得していた。親が反面教師になるとは、こういう事例をいうのだと。
「煉獄さんに罪はありませんが、ぶん殴りたくなってきました。それで、続きは?」
「私は関わりたく無かったので、遠目で観察しました。仕事が終わって食事に無理矢理付き合わされたようです。隊士の中でもあれほどの美人は居ないですからね。立場上、断れず……仕方なく胡蝶カナエさんが付いていくのが見えたので、気乗りはしませんでしたが尾行しました」
「銀治郎さんも同類じゃありませんか!! やっぱり、男はみんな姉さんみたいな人がいいんですか!?」
「私はしのぶさんが居たから彼女を尾行したんですよ。あの時から貴方一筋です」
裏金銀治郎という存在を知るより遙か前から自分がロックオンされていたとは、彼女自身も驚いていた。一体、何年掛けて獲物を捕らえたのかと。悪い気はしなかったが若干病んでいると感じてしまう。
「銀治郎さんが常軌を逸した変態だったのは理解しました。続きを!!」
「顔が真っ赤に照れるしのぶさんも可愛いです。まぁ、そんな訳で寒空の下、居酒屋から出てくる二人を待ちました。見事酔いつぶされた胡蝶カナエさんに肩をかし、HOTELに入ろうとした所を私が殴り飛ばしたんです。背後からの強襲で意識が刈り取れたのが良かったですね……殺し合いでは勝てませんでしたから」
「だんだん聞いていてムカムカしてきました。今度、煉獄さんのお父さんに焼きを入れに行きます」
「お供しましょう。まぁ、そんな訳で胡蝶カナエさんを放置するわけにも行かず、実家で母に介抱して貰ったというストーリーです。さて、裁判長、私は有罪ですか?無罪ですか?」
「姉さんを運んだ時の感想は?」
「酒臭かった点を除けば、女性らしい肉付きで最高でした。役得とはまさにあの事ですね。ですが私の一番はしのぶさんですよ」
「銀治郎さんがお持ち帰りしているじゃないですかぁ!!有罪!!」
裏金銀治郎は、太ももを抓られながらも安全運転を心がけた。そして、昔話が終わる頃には裏金銀治郎の実家の前に到着した。
『裏金書房』――神保町にある平凡な本屋であった。胡蝶しのぶの想像とは違っていた。大豪邸でもない。ヤクザの事務所でもない。個人金融でもない。鬼滅隊の金庫番と呼ばれる男からは想像すらできないほど平凡であった。
「どうしました、しのぶさん。まるで駅を降り間違った人のような顔をしていますよ」
「何を売っているお店ですか?」
「……言わんとしていることは分かりますが、本以外売っていませんよ」
信じられないという顔をする胡蝶しのぶ。彼女は、存外失礼であった。
後1話、日常編を挟んでから温泉や!!
日常編にあまり時間は読者の皆様を退屈させそうなのでサクサク終わらす!!
現物ドロップの半天狗様の出番や^-^