鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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いつもありがとうございます。
感想ありがとうございます!!

うーーん、この話は書きにくいw
そのそも戦いって苦手!!

日常編の方が執筆しやすいのよね。






37:淫魔は、罪である

 裏金銀治郎は約束通り、刀鍛冶の首根っこを掴んで安全地帯に放り投げた。その一人に、一心不乱に刀を研ぐ変態がいる。その尋常でない集中力は、褒められるが死んでは元も子もない。

 

「助かりました。狸の隊士の方。我々の事はいいので、時透殿の支援を」

 

「鉄穴森さん、あの戦いに私が割り込むと邪魔になりそうですが……まぁ、美味しいところだけ頂戴する方向でいきます」

 

 玉壺の血鬼術を物ともしない時透無一郎の剣術。身体能力が向上した裏金銀治郎の動体視力でも、一瞬ぶれる程だ。人間に出来る動きではない。彼ならば、いつか銃弾を斬る事すら可能とするだろう。

 

 裏金銀治郎は、気配を断ちベストポジションへと移動した。そして、流星刀に持ち替える。触れれば勝ちの刀だが、卑怯でも何でもない。鬼の血鬼術は、初見殺しが沢山ある。人間側にも初見殺しがあって、初めて平等だ。

 

「それは貴様の目玉が腐っているからだろうがアアアア!!」

 

 玉壺が無数の魚を呼び寄せた。血鬼術で作られた魚で、切断されても毒を撒き散らすという二段構えの攻撃である。正直、この攻撃に毒が無ければ、未来に訪れる食料飢饉対策になる。

 

 だが、覚醒した時透無一郎の前には、たった二回の技で全てが無意味となった。一万の魚を切る技とか異次元過ぎて裏金銀治郎の中で、柱のやべー奴ランキング上位にその名を刻む事になった。

 

「そろそろか……」

 

 裏金銀治郎が構えに入る。全身全霊を一刀に賭ける技……黄色い髪の毛をした淫魔を三人も嫁にしているエロイ(・・・)男に教わったこの技を玉壺への手向けとする。そう、下半身が大事な雷の呼吸。すなわち、裏金銀治郎に使えるのは、当然であった。

 

 全身から視覚できるほどの雷が迸る。

 

 時透無一郎との闘いの末、ついに玉壺が壺からその身を出した。ナメプでは限界を感じたのだ。だが、時既に遅し…。

 

「お前には――」

 

「雷の呼吸 霹靂一閃・神速」

 

 ズドンと音が響く。

 

 本家本元より遅い。だが、変身途中の玉壺には、その不意打ちに反応できない。音に反応して、本能的に頸を金剛石より硬い鱗で覆う。その強度ならば、並の使い手なら刀の方が折れるだろう。だが、並の刀ではなければ、何も問題がない。

 

 パリンと頸が砕ける音が響く。玉壺の頭部が宙を舞い地面へと落下した。

 

「えっ!? き、貴様ぁぁぁぁぁ!! 変身途中に攻撃してくるとは、それでも正義の味方か!? 今まで殺した柱ですら変身途中は攻撃してこなかったぞぉぉぉぉ」

 

「ねぇ、ちょっと待ってよ。俺、これから本気を出すところだったんだよ」

 

 鬼の頸が落ちたのを悲しげに見る時透無一郎。

 

 上弦の鬼を倒したにも関わらず、この塩対応は流石に酷いの一言であった。本来ならば、褒められるべき所なのだが、味方である時透無一郎ですら、裏金銀治郎のやり方に異議を唱えた。

 

「変身途中に攻撃して何が悪い。今までの柱が馬鹿だった。私は、ベジータのように、セルを完全体にするような愚かなマネはしない。弱いうちに殺す!!」

 

 裏金銀治郎は、何も悪くない。敵が強くなるのを待つなど愚か者だ。効率よく敵を始末するとはこうやるのだ。

 

「まぁ、いいや。さっさと、これを地獄に送って向こうに加勢に行こう」

 

「私は、死体を処理してから行きますのでお先にどうぞ」

 

 上弦の鬼は、首をはねてもしぶとく生きる。肉体も血も……それだけの時間があれば、回収には十分の時間だ。そんな思いを秘める裏金銀治郎を後に残して、時透無一郎は半天狗の討伐へと向かった。

 

 

◆◆◆

 

 裏金銀治郎が鬼退治を頑張る最中、胡蝶しのぶも仕事を全うしていた。

 

 刀鍛冶の里に出現した魚人討伐。怪我人の手当など、蟲柱として久しぶりに任務を真っ当していた。当然、上弦の鬼の武器確保が最優先であり、それを忘れずにこなす彼女。

 

「鬼の武器が人でも使えるのは、革命的ですね」

 

 胡蝶しのぶが集めた武器は、扇3個と錫杖2個というほぼ理想値であった。一部欠損している物もあったが、それでも武器としては十分活用できる。

 

 やるべき事を終えてから、遅れながら胡蝶しのぶは、甘露寺蜜璃と合流した。

 

 そこに待ち受けていたのは、最終形態の憎珀天。もちろん、能力やその詳細は既に裏金銀治郎から連絡されており、二人とも特に驚く様子はなかった。だが、憎珀天は言ってはいけない一言を言ってしまう。

 

「貴様、あばずれだな。儂には分かるぞ、男を堕落させる淫魔の力が」

 

「酷い言われようですね、甘露寺さん。怒っても良いんですよ」

 

「えぇぇぇ!! 今のって私の事なの!? し――縁壱様の事じゃないの」

 

 憎珀天の一言で、仲間の絆にヒビが入る。

 

 血鬼術で作られた存在の割に有能であった。女同士の絆とは、脆く崩れやすい。そこにつけ込むとは、鬼の鑑である。

 

「淫魔は、罪である。存在その者が男を堕落させる、犯罪に走らせる。この、極悪人共が」

 

 男を惑わす罪は重い。独身男性隊士がいれば、鬼に共感しただろう。そして、議論されただろう。胡蝶しのぶと甘露寺蜜璃――この二人のどちらがより淫乱なのかと。

 

「憎珀天でしたね。先ほどの問いですが、私と横のエロイ服の女性……どちらに向かって言ったのですか?回答次第では、楽に殺してあげます」

 

「二人共に決まっているだろう。愚か者共め」

 

「撤回しても許しませんから」

 

 胡蝶しのぶが笑みを浮かべる。笑うという行為は本来攻撃的なものであり獣が牙をむく行為が原点である。静かにぶち切れた彼女。裏金銀治郎より『心拍数と体温が上がると痣が出現します。寿命の前借りで力を得られますが、25歳までに死ぬので止めてください』と釘を刺されてなければ、痣が出ていただろう。

 

「見た目、子供だからって許さないんだから!!」

 

 悲しい事に、甘露寺蜜璃の寿命はこの時25歳までが限界となってしまった。淫魔と言われて、胡蝶しのぶと裏金銀治郎の濡れ場を思い出し興奮した。更に、胡蝶しのぶと同じ淫魔扱いされた事がトドメを刺した。彼女も、胡蝶しのぶ同様に裏金銀治郎から痣の出現条件を教わっていたのに、この結果である。

 

「血鬼術で作られた鬼には、どんな毒が効くんでしょう――蟲の呼吸 蜂牙の舞い 真靡き」

 

 瞬きするより早く突きが、憎珀天の目を抉る。

 

 だが、やはり血鬼術で作られた鬼には効果はイマイチであった。毒による効果がない為、単なる物理ダメージとなる。頸がもげても死なない鬼にとって、目玉一つなど蚊に刺された様な物であった。

 

「これなら、先ほどのガキ共の方がまだマシだったぞ」

 

「まぁ、予想の範囲内でした。甘露寺さん、前衛は任せました。私は不意打ちでアレをバラバラにします。何度もバラせばいずれ力尽きるでしょう。私達が倒れるのが先か、相手が倒れるのが先か勝負といきましょう」

 

 胡蝶しのぶは、刀を持ち替えた。鬼に対するメタ兵器である流星刀。血鬼術への効果を確認する目的もあり、その威力が存分に発揮される。

 

………

……

 

 竈門炭治郎は、必死に逃げる上弦の鬼を追いかけていた。よもや、ネズミほどのサイズであるとは、戦略的には素晴らしい鬼であった。本体だと思われる鬼を幾ら倒しても、血鬼術であり、力が続く限り何度でも蘇る。

 

 血鬼術の詳細がバレなければ、童磨とも良い勝負ができる鬼であった。

 

「貴様ァァァ!! 逃げるなァァァ!! 責任から、逃げるなァァァ」

 

 竈門炭治郎の叫びを半天狗は、華麗にスルーする。待てと言われて、待つ馬鹿はいなかった。命が掛かっていれば当然だ。それに、彼が逃げるのは当然である。

 

 この状況で真面目に向き合って闘うなど自殺行為を行えば、例え生き残ったとしてもパワハラ上司改め鬼柱様から、折檻が待っている。お前は無能かとネチネチ言われるのだ。心が弱い半天狗には耐えがたい苦行である。

 

 竈門禰豆子と不死川玄弥も攻撃に徹するが、的が小さい事と逃げる事に関しては相手が一枚上手であり、決定打に欠けていた。

 

 その時、竈門炭治郎は思い出した。追いつけない半天狗を切り捨てる方法を。我妻善逸の言葉――『雷の呼吸ってさ~下半身じゃなかった、一番足に意識を…』という有り難い言葉であった。やるせない気持ちになりつつも、足に力を溜めて一気に解放した!!

 

 激痛に耐えながらも、竈門炭治郎の刀は半天狗の頸に届く。肉に食い込み、あと少しと所まで追い詰める。

 

「お前はぁぁぁ、儂があああ、可哀相だと思わないのかァァァァ!!」

 

 絶叫し巨大化した半天狗が竈門炭治郎に襲いかかる。

 

 半天狗のような鬼を誰が可哀相だと思うのだろうか、真剣に話し合いたいと誰もが思った。竈門禰豆子のような可愛い鬼ならまだしも、このオッサンが可哀相だと思う人がいたら医者に掛かるべきである。

 

 襲いかかった半天狗だが、力の大半を憎珀天に使われていた。その為、竈門炭治郎を握りつぶす絶好の機会だというのに、無念に終わる。

 

 彼の仲間である不死川玄弥と竈門禰豆子が助けに入った。不死川玄弥が鬼の腕を引きちぎり、竈門禰豆子が爆血で鬼に致命傷を与える。だが、位置が悪かった。鬼が逃れるために、竈門兄妹を連れて崖から落ちたのだ。

 

………

……

 

 日が昇りつつある状況を確認し、崖の下から彼等を見守る裏金銀治郎。

 

 竈門炭治郎は頑張った。崖から落下した後にも、体を動かして半天狗の頸を落としたのだ。その強靱な肉体と精神は賞賛ものだ。だが、半天狗の方が一枚上手であり、その頸が偽物であったのだ。

 

「原作通りとは、有り難い。やはり、日頃の行いのおかげであろう。しかし、酷いな炭治郎君。私だからって、妹の方を優先するとは……」

 

 全身負傷した半天狗が再生もできないほど衰弱していた。そして、目の前にいる人間を喰い体力を補充しようと裏金銀治郎の方へ駆け寄る。

 

「会いたかったよ半天狗。君にお礼が言いたかったんだ――ロマン兵器をありがとう。そして、さようなら」

 

 裏金銀治郎は、この日のために外国からある物を取り寄せていた。彼の横には、大きなボンベがあり「N2」と書かれている。そう、これこそ液体金属のターミネーターすら倒した有名な物だ。

 

 ボンベを半天狗へと投げる裏金銀治郎。そして、背中から散弾銃を取り出し狙いを定める。そして、引き金を引く。弾丸は、ボンベを撃ち抜く。

 

 液体窒素が飛び散り、半天狗を襲う。

 

 温度差により半天狗周辺に白い霧が立ちこめた。霧が晴れると、そこには、実に醜い氷の像があった。

 

「き……なにをした」

 

「このあたりだったな」

 

 ズブリ

 

 氷の像となった半天狗。その本体が隠れている場所に流星刀でトドメを刺した。そして、太陽の日差しがあたりを照らす……そんな日差しの下を歩く竈門禰豆子。

 

 おめでとう竈門禰豆子。これからは、君を巡った争いが始まる。




やっとここまできた!!

柱が揃ってやる訓練・・・蟲柱様の訓練は、"誘い受け"かしらね!!
まぁないけどね!! 絶対だからね!!

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