鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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いつもありがとうございます。

ふぅ~、この手の話の方がスムーズに執筆できる。
作者の性格故かしら^-^

感想ありがとうございます!!





38:緊急柱合会議(滅)

 上弦の鬼――半天狗と玉壺の撃破。これで上弦の鬼を4体も倒した事になり、鬼滅隊の歴史上、コレほど多くの上弦が倒された事は無かった。今回に至っては、刀鍛冶への里へのダメージは、極めて少なく理想的だったとも言える。

 

 だからこそ、裏金銀治郎は納得がいかなかった。

 

「困りますよ、鉄地河原鉄珍さん。この里建造と維持管理に毎年幾ら投資していると思っているんですか?」

 

「鬼に位置がバレたこの里は、放棄する。これは、刀鍛冶達の総意。止められてもワシ達は空里へ移住する」

 

 その言い分も理解はできた。だが、コレほどの設備は空里には当然ない。生き残りを全員収容可能だが、食料や医療物資まで破棄していくつもりなのだ。刀鍛冶の者達は、空里に着いたら、真っ先に金の無心をして生活基盤を整える算段をしていた。

 

 だが、鬼滅隊の資産管理を行う立場として断固して、反対であった。

 

「この里は、業者に買い取りをして貰います。温泉街にすれば収益は見込めるので買い手はつくでしょう。後、空里での生活は、刀鍛冶の皆様で整えてくださいね。貴方達の状況も理解できますが、此方の懐事情も分かって頂きたい」

 

「はぁ? 鬼滅隊は、ワシらを見捨てるって事かね。鬼滅隊は、以後、刀の整備も新調も不要と……そう理解してもいいのかえ?元・金柱の裏金銀治郎さん」

 

 刀鍛冶の里の一番偉い長として、裏金銀治郎の提案は受け入れられなかった。鬼滅隊への刀を提供していたから、襲われた。だから補填は鬼滅隊がすべきという主張だ。援助金は生活費などに既に消えており、刀鍛冶の者達は貯蓄という概念を持ち合わせて居なかった。金なら、鬼滅隊に無心すればいいのだから。

 

「譲歩した提案のつもりでしたが、ご納得頂けないとは心外です。日輪刀の原材料である猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石が枯渇した今、その原料は私が調達しています。この里の売却は譲れません……だが、私も鬼ではありません。売価は、全て貴方達に渡しましょう。それで生活基盤を整える」

 

「まぁ、そのあたりが落としどころか」

 

 完全に上から目線である刀鍛冶の里。だから、こいつ等は嫌いなんだと裏金銀治郎は思っていた。職人の技術力が求められる日輪刀……鬼滅隊の隊士の必需品だからこそ強気でいられる。

 

 ローション配備が順調に進む鬼滅隊。そろそろ、一般隊士が日輪刀を持つ時代が終わりを迎える。近接して頸を切るよりローションに含まれる藤の毒で殺す方が安全で効果的だからだ。

 

「では、交渉成立です。これからも、鬼滅隊は刀鍛冶の里と良き関係でいられることを祈っています」

 

「ほんとうに。今度からは、交渉役は女性にするように」

 

 次があれば(・・・・・)、考えても良いと思った裏金銀治郎。

 

 戦いは既に終盤に入った。鬼舞辻無惨を殺した後、鬼滅隊の方針について考える必要がでてきた。何処を切り捨てるかだ。勿論、裏金銀治郎が切り捨てられる可能性もある。だが、その時はスポンサー企業が撤退するだけだ。

 

◆◆◆

 

 お館様が住む屋敷には、柱の全員が集まっていた。

 

 半年の一度の定例会議以外では、集まるのは緊急の要件のみであり、今まさにこの時であった。太陽を克服した鬼の出現により、鬼舞辻無惨が竈門禰豆子を確保すべく動き始めたのだ。

 

 それを察した産屋敷耀哉は、最終決戦に向けた準備に入る事を決意する。だが、当の本人は既に、半分死人であった。起き上がることすら困難になり、寝たきりだ。

 

 そして、お館様を待つ部屋に……原作には居なかった炎柱と音柱。そして、元・金柱の裏金銀治郎が座して待っていた。裏金銀治郎にしてみれば、本当に居心地が悪いの一言である。

 

 現役柱達が集合しているのに、裏方に異動した元・柱がいるのだから、『お前、居場所が間違っている』と目で訴えてくる輩が居る。蛇柱と風柱である。

 

「おぃ、どういうことだ。柱でもない奴が緊急柱合会議に混じって居るぞ。下座に座っているとは言え、立場をよく理解していないみたいだ」

 

 ネチネチと嫌みを言ってくる蛇柱。

 

 だが、裏金銀治郎とて、この場に居たいとは思っていない。お館様の言葉と産屋敷あまねが頭を下げなければ決してこの場には来なかった。裏金銀治郎が抱えている案件は多い。その多忙さは、柱以上であるのは間違いない。

 

 アンブレラ・コーポレーションのトップという立場。鬼滅隊の金庫番としての立場。宗教団体のコンサルの立場。それらの業務を全てこなしているのだから、人間を辞めている働きぶりだ。

 

「まぁ、良いでは無いか!! 裏金殿は、引退したとは言え柱!! それに、彼が居たお陰で俺は生きている。きっと、ここに居るのにも理由があるはず」

 

「その件も含めて、お館様から話があるだろう」

 

 炎柱と水柱が、裏金銀治郎の肩を持つ。実に珍しい組み合わせだと全員が思った。勿論、裏金銀治郎も同じであった。そもそも、彼は冨岡義勇と縁が全くない。それなのに、肩を持たれる理由がなかったのだ。

 

 不思議に思っていると真打ちが登場した。お館様に変わり、産屋敷あまねが代理で現れる。

 

「大変お待たせしました。本日の柱合会議、産屋敷耀哉の代理を産屋敷あまねが務めさせて頂きます。裏金殿は、私がお呼び致しましたのでご承知おきください」

 

 頭を下げて、当主不在の理由を告げる産屋敷あまね。お館様を敬愛する柱達が頭を下げて心の底から心配していたが、一人だけ早く終わらないかなと会議が始まる前から終わりを祈る不敬な輩――それが裏金銀治郎だ。

 

 それから、産屋敷あまねの口から太陽を克服した竈門禰豆子とそれを狙ってくるであろう鬼舞辻無惨。大攻勢に向けて、備えてくれとおおざっぱな指示がなされた。具体性の無い指示だが、彼女の管理能力ではそれが限界であった。元より、神職の家系で嫁いできた彼女。殺人集団への訓練指示などできるはずもない。

 

「上弦の弐と参との戦いで甘露寺様と時透様のお二人に独特な紋様の痣が発現したという報告が上がっております。お二人には、痣の出現条件を御教示頂きたく存じます」

 

「痣って、裏金さんが言っていた事ですよね。……あれ!? いっちゃ不味かった!?」

 

 甘露寺蜜璃も裏金銀治郎の顔色を確認し、まずかったと認識した。彼女も成長した証拠である。だが、周りの柱達は、彼に注目していた。痣という謎の模様について、何を知っている。何故知っていると、蟲柱と恋柱を除く皆が考えた。

 

「やはり、ご存じでしたか裏金殿。是非、御教示願います」

 

 ちなみに、裏金銀治郎はこの為だけに呼ばれていた。恐らく、痣について何か知っているだろうと予想していたら案の定だった。

 

「産屋敷あまね様、一言余計です。『やはり、ご存じでしたか』など言われたら、私が悪者にしか聞こえません。当主代理で発言している事をお忘れなくお願い致します。痣の発現条件ですが、体温39℃以上 且つ 心拍数200以上で間違いありません。ですよね、時透無一郎さん」

 

 産屋敷あまねに注意をする裏金銀治郎。柱の者達は、そのやり取りが理解できなかったようだ。当主代理である者に注意するなど、理解に苦しむ様子であった。只一人、胡蝶しのぶだけが、『やっぱり、言っちゃいましたか』と、納得する。

 

 柱のほぼ全員が、ブラック企業精神に汚染された戦士となっている。何でも、Yesと答えていれば最善な状況になると勘違いしている。

 

「うん。でも、その言い方は辞めた方が良いよ。一応、先日のお礼もあるから味方にはなるけど、危ないよ」

 

 出待ちしていた裏金銀治郎に恩義を感じる時透無一郎。彼は、実に優れた人間性を獲得しているのがよく分かる。礼には礼で応えるのは、人間性が高まった証拠だ。

 

「そうですね、私も不死川実弥さんや伊黒小芭内さんに殺されたくありません。産屋敷あまね様、ご無礼な発言をして申し訳ありませんでした。この裏金銀治郎、半年ばかり謹慎して心を入れ替えて参ります」

 

「いい心構えじゃねーーか。お前の方から、俺の前から消えるなら何も問題がねぇ。さっさと、出て行け」

 

「二度と甘露寺の前に姿が出てこないのなら、今の発言を忘れてもいい」

 

 半年と冗談で言ったつもりが、まさか風柱と蛇柱の後押しもあり実現する事になった裏金銀治郎。中間管理職として、役員会議で決まったことは従うのが社員である。鬼滅隊で無くなったとしても、胡蝶しのぶとの約束は守るつもりで居るいい男がここにいた。

 

「それでは、皆様お元気で。"痣"とは、寿命の前借りで力を得る手段です。その為、発現した者は、25歳までに死にます。私は、二人ほどそれを回避した人物を知っていますが、必要ありませんね。それと、大日本帝国陸軍との爆薬の取引は、私が居なくても頑張ってください」

 

 当主代理にも嫌われ、幹部達にも嫌われた裏金銀治郎。産屋敷あまねと裏金銀治郎は、基本的にそりが合わない。その子供達もだが……裏金銀治郎の事を信じていないのだ。勿論、彼自身の疑わしい行動が全ての原因ではある。だが、産屋敷耀哉はそれでも全て許容して全幅の信頼を寄せていた。

 

「待て待て裏金さんよ~!! 産屋敷あまね様も悪気があったわけじゃねーんだ。他の連中だって、本気で言っているわけじゃねーんだから、分かるだろう?」

 

「そうですよ、銀治郎さん。私、言いましたよね。絶対に逃がしませんと」

 

「宇髄天元さん、少なからず理解者がいて嬉しい限りです。後、大丈夫ですよ、しのぶさん。仇の頸は、必ず一緒に落とします。鬼滅隊の業務が無くなった方がサポートできる範囲も広がるので、寧ろ好都合です」

 

 ここまでやっても、未だに謝罪の言葉一つもない。実に、悲しい事だ。これだけの時間があれば、両者を取り持つなど色々できる事は多かったはず。だが、彼女は待っていたのだ裏金銀治郎が折れて謝罪するのを。

 

 だが、それは無駄である。

 

「あまね様……危ない橋を渡るのは止めてください。銀治郎さんを少しは信じてください。彼は、職業鬼滅隊という人です。鬼に恨みも持っていない人なので、直ぐ辞めたがります」

 

「失礼しました裏金殿。私の発言が至らぬばかりに、不穏を招いてしまいました」

 

「謝罪を受け入れます。では、続きをどうぞ」

 

 煽りの呼吸を極めている裏金銀治郎は、この場で『先日も同じ謝罪をされましたよね。鎹鴉で人を監視していたとかで。頭を下げるだけなら、猿にもできる』と本音を言わないだけ大人であった。

 

「ちっ。今回は、聞かなかった事にしてやる。"痣"が発現で寿命が25歳が限界となると……二人ほど、やべーな」

 

「あぁ、発現した瞬間に死なれたら寝覚めがわるいからね。仕方ないね」

 

「なーに、気にするな蟲柱!! その分、俺達が頑張れば良いことだ!!」

 

「馬鹿かお前等!! 女性に年のことを言うからモテねーんだよ」

 

「しのぶ様、気を悪くしないで。みんな、しのぶ様の事を気遣っているだけだからね」

 

「皆の者、いい加減にしろ。子を持つ女性に無理をさせては、ならぬ。こういうときこそ、男の出番だ」

 

「蟲柱って、凄い若作りだったんだ。産屋敷あまね様より年上だとは思わなかったよ」

 

「俺には、関係ない」

 

 上から順に風柱、蛇柱、炎柱、音柱、恋柱、岩柱、霞柱、水柱である。みんな、胡蝶しのぶ30歳という噂を信じている。それ故に、気を遣った発言であった。悪気の欠片もなかったが、胡蝶しのぶへのダイレクトアタックが決まる。

 

 青筋を立てながら、横に座る裏金銀治郎を睨む彼女は今日も美しい。

 




裏金銀治郎の鬼滅隊での立ち位置は、こんな感じかなと^-^
……書いていて思ったこと、理解者が居ないと裏切るわね。

次は、緊急柱合会議(殺)になります。

最強の柱が、大暴れしてくれると信じましょう。
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