鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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投稿間隔が遅くなり申し訳ありません。

しのぶさんの"誘い受け"が書きたかったんです。



43:尊い犠牲

 裏金銀治郎は、胡蝶しのぶと作戦会議をするため、秘密の場所へと案内した。

 

 会議場所は、東京湾の倉庫にある一角――の地下だ。そこには、テロリストの拠点かと言える程の物資が揃っている。警察に押収された日輪刀数十本、大日本帝国陸軍が正式採用している三八式機関銃が20丁及びその弾薬、爆薬600キロ、液体窒素500キロ、その他諸々の劇薬が多数。

 

 他にも、下弦の鬼の皮膚を剥いで作った特性の隊服が数着、柱専用の緊急活性薬が20本も揃えられている。

 

「万が一に備えて、私がコツコツ集めたコレクションです。この場所を知っているのは、しのぶさんだけです」

 

「あれ~、銀治郎さんって職業は、死の商人でしたっけ? いいえ、言わなくても分かっています。それで、この外国語で書かれた書類は、何ですか?」

 

 胡蝶しのぶは、写真が貼られている書類を確認した。何が書かれているか分からないが、重要な書類である事は、理解できた。

 

「それは、金で買った外国籍です。両親と私、しのぶさんと栗花落カナヲさん……おまけで、産屋敷ひなきさんの分があります。アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス分を用意しました。胡蝶印のバイアグラを渡したら、すぐに用意してくれました。換金した外貨も準備済みです」

 

「鬼滅隊が負けたら、海外ですか……。勝てますよね?」

 

 未来を見通しているような行動を取る裏金銀治郎。そんな男が、既に逃げる支度をしているのだから、不安に駆られるのも当然だ。

 

「犠牲は出ますが、勝てると思います。これは、鬼舞辻無惨を倒した後に必要になります。今は、材料()があるから胡蝶印のバイアグラを資金源にできます。鬼舞辻無惨が死ねば、全ての鬼が滅ぶ可能性が濃厚です。つまり、資金源がなくなれば賄賂を払えない。賄賂は、払い始めるのは簡単です。ですが、止めるのは難しい」

 

「厄介ですね。でも、それを見据えてお金も貯めていますよね。 徐々に、賄賂を減らしていけば良いじゃありませんか。ここ最近、例の宗教団体から横流しで潤っているのは知っています」

 

 裏方の手伝いで胡蝶しのぶは、鬼滅隊の財政状況を知っていた。だが、それは少し古い情報だ。

 

「"柱訓練"とお館様が自爆特攻する為の爆薬代金で、お金は殆ど残っていません。定期的な賄賂が無くなれば、国家機関各所から鬼滅隊が追われます。それこそ、我々が鬼を探して殺していたように。次期当主は、未成年なので少年法で守られるのが、不幸中の幸いです」

 

「銀治郎さん、どうしてそんな状況になっているんですか!! 姉さんの仇を倒すのは、大事です。でも、鬼滅隊が無くなったら鬼舞辻無惨は、どうするんですか!?」

 

 詰め寄る彼女をなだめる裏金銀治郎。青筋を立てる彼女は今日も美しい。

 

「次期当主命令だったから、中間管理職の私にはどうする事もできない。後の事を考えて貯めていた資金を、一気に放出させられました。しかし、彼は本当に有能です。未成年という特権を最大限に利用すれば、どんな罪でも問題にならない。全ての罪を被ってくれるはずです」

 

「その何処に、問題がないんですか!!」

 

 大事な事だが、そんな事は一切考えていない。当然、罪を被って投獄される心構えも産屋敷輝利哉は、持ち合わせていない。裏金銀治郎の勝手な解釈に過ぎない。

 

 だが、その発想は悪魔的に素晴らしかった。当主は、責任者である。その責任者が未成年なら名前の公表も控えられるし、情状酌量の余地もあると捉えられる。

 

「"柱稽古"に向けての資金利用が決まった段階で、私は勿論、しのぶさん、栗花落カナヲさん、産屋敷ひなきさんが鬼滅隊と関わっていた証拠は全て破棄済みです。蝶屋敷の利権も全て、私の方で処理しました。国家機関の手が及んでも我々との関係性は、書類からは見つけられません。隊士の事情聴取がなされている間に、海外渡航すれば、誰も追いかけられません」

 

 胡蝶しのぶがため息を吐いて、裏金銀治郎に寄りかかる。そして思い出したのだ。彼は、こういう男である。一人でこの先に起こる問題に対して、対策を練っている。

 

 彼女も裏金銀治郎の話を聞き理解してしまう。全ては救えない。救うならば、この人だけは、というポイントをしっかりと押さえて、話を持ってくるあたり卑怯であった。代案が出せないほど用意周到である。

 

「なんで、私に一言も相談してくれないんですか」

 

「しのぶさんは、優しすぎる。この手の役割は、私が適任です。安心してください。しのぶさんだけは何があっても守り抜きます。私は、中々できる男なんですよ」

 

 最大の資金源である胡蝶印のバイアグラがなくなれば、鬼滅隊を支えるなど到底不可能。政財界は、金が掃いて捨てるほどある為、バイアグラが要求される。そんな、日本の闇を敵に回して鬼滅隊が生存できる可能性はない。

 

 だが、胡蝶しのぶの目の前に不可能を可能にできそうな人物がいた。そして、胡蝶しのぶも覚悟する。この際、恥を忍んで頼むしかないと。

 

「何とかする方法を教えてくれたら……あのエッチな下着を履いてあげます」

 

 胡蝶しのぶがイヤらしい手つきで裏金銀治郎の体を触る。服の隙間から、手を差し込み筋肉に触れ優しく撫でる。胸を押し当てつつ、上目遣いでおねだりまでされては……男ならば誰でも我慢ができなくなる。

 

「くっ!! しのぶさん、幾ら私でも"できる事"と"できない事"が……」

 

 だが、胡蝶しのぶはその反応で気がついてしまった。

 

 裏金銀治郎と肌を重ねるうちに、彼の考えていることが分かるようになった。ちょっとした、筋肉の動きから隠し事があるかないかなど、全てお見通しである。彼女に対して、嘘は言わない裏金銀治郎。よって、できる事を口にしていないだけである。つまり嘘はついていない。

 

 胡蝶しのぶは、ベッドに座った。アンブレラ・コーポレーションの売れ筋商品の未使用"近藤さん"を口に咥える。そして、何故か目元を手で隠す。

 

「今なら、いっぱいサービスしちゃいますよ。ぱぱ(・・)

 

 裏金銀治郎は、夢遊病患者のように胡蝶しのぶに吸い寄せられていった。

 

 胡蝶しのぶの得意技……"誘い受け"の餌食になるまいと必死に堪えるが本能が逆らうことを拒絶してしまう。本当に彼女は大正時代の人間なのだろうか、確かめたいと思う裏金銀治郎。

 

「方法は、あるにはあります。鬼舞辻無惨を殺した上で、鬼滅隊を支えられる唯一の方法が」

 

 胡蝶しのぶが、さりげなく黒い下着を見せつける。それは間違いなく、デパートの店員がこっそり入れ替えてくれた穴ショーツである。そもそも、彼女は最初からエッチな下着を履いている。

 

 これから、鬼退治なのに、とんでもない下着を履いて一体ナニ(・・)を狩りにいくのだろうか。一度本気で話し合うべきだ。

 

「コッチは、こんなに素直なのに~」

 

「聞いたら、絶対協力して貰います。その覚悟がありますか」

 

 裏金銀治郎は、ベッドに胡蝶しのぶを押し倒した。そして、一枚ずつ服を脱がしていく。

 

「真面目な話ですか……だったら、一度椅子に」

 

「大丈夫です。ベッドの中でも教えられます。それに、しのぶさんが悪いんですからね」

 

 アンブレラ・コーポレーションのトップの二人は、自社製品の使い心地を責任を持ってレビューする義務がある。そして、使用感を人に説明できる位になるのが責任者だ。

 

◆◆◆

 

 胡蝶しのぶは、聞いて後悔した。

 

 裏金銀治郎からの提案は、鬼舞辻無惨を倒した後を考えれば最善である。その案を実行しなければ、鬼滅隊が人滅隊になりかねない。鬼が居なくなったら、国を相手に殺し合いなど狂気の沙汰である。

 

 だが、高確率で実現するであろう予想図だ。捕まった次期当主を取り戻そうとする柱達……間違いなく、テロまっしぐらだ。

 

「あぁ~、もう!! どうして、問題を解決しても問題しか起きないのよ!! 銀治郎さんの案は理解できますよ。それだけは――でも、他に案がないのも事実ですが~」

 

「だから、聞いたら後悔するって言ったじゃありませんか。約束通り手伝って貰います。毒と薬は、表裏一体。"鬼を人間にする薬"が製造できたなら、その逆ができない理屈はありません」

 

 大事な事だが、鬼滅隊の目的は"鬼舞辻無惨"を倒す事だ。その過程で鬼を滅ぼしているに過ぎない。では、鬼舞辻無惨が討伐対象になったのは何故か。それは、人を襲ったからだ。

 

「血が少量でも生きられる鬼、太陽を克服した鬼……確かに、これだけ揃っているのだから銀治郎さんがいう事も不可能じゃありませんよ。でも、肝心の原材料と言われる"青い彼岸花"が……」

 

「――これ、な~んだ」

 

 裏金銀治郎がベッドの下からガラスのケースに入った、青い花を見せた。赤い彼岸花と異なり、その花の色は青い。胡蝶しのぶは、思わず目の前の花を見つめ直してしまった。

 

 鬼達があれほど探して見つけられなかった品が、つい先ほどまで二人で汗を流していたベッドの下から出てきたのだ。

 

「ぎ、銀治郎さん。これをどこで……」

 

「正倉院。政財界VIPと親しくなったお陰で、色々と探せる範囲が広がりましてね。目録で見つけたので、こっそりと拝借しました。悪いとは思いましたが、コレも世界平和のためです」

 

 柱の身体能力を悪事に使う者がここに居た。

 

「"青い彼岸花"について知ったのは、それほど昔じゃありませんよね!!」

 

「えぇ、鬼達が"青い彼岸花"を探しているのは最初から知っていました。なので、ずーーと探していたんですよ。一人で」

 

 裏金銀治郎は、永遠の命に興味はない。だが、備えは必要だ。両親が天寿を全うする為、鬼舞辻無惨が脅威であるなら、それを排除する為、あらゆる手段を取るつもりでいた。

 

 鬼を殺すなら、鬼になるしかないという究極の選択だ。

 

 勿論、無惨配下の鬼では意味がない。同格の鬼になる必要がある。

 

「この男はぁぁぁぁぁ!! なんで、こんな男を愛しちゃったんですか、私!! これじゃあ、珠世さんが第二の無惨とか言っていた事が、現実味が出てきたじゃありませんか」

 

「女装癖があるパワハラ上司と一緒にするとは、失礼です。血が少量で生きる術もある。太陽を克服した鬼も手元にいる。血肉も既に押さえているので、太陽克服も目処が立っている。鬼側陣営と違いコチラは、全てが揃っています」

 

「でも、他に手がない。鬼が滅んだら、鬼滅隊が滅びる。かるく詰んでいる状況ですよね」

 

「だから、あの貯金は使いたくなかったんです。私だって、しのぶさんとイチャイチャして年を取りたいです。皆を見捨てないというなら、選べる道は他にない。不幸中の幸いなのは、私が鬼になれば全てが解決できる点です」

 

 胡蝶しのぶが、裏金銀治郎に抱きついた。

 

 あれほど鬼滅隊で冷遇されているにも関わらず、裏で全てを背負って働く彼があまりにも報われないと胡蝶しのぶは涙した。鬼滅隊の為、尊い犠牲といえば聞こえは良いだろう。

 

 だが、裏金銀治郎は、鬼になったらなったで楽しい人生を送る気でいた。その為、落ち着いたら普通に胡蝶しのぶにも誘いを掛ける気でいる。愛する女性と一緒に静かに暮らしたいのだ。

 

 そして、"日本が誇る偉人の胡蝶しのぶ"という番組をリアルタイムで、本人と一緒にテレビ視聴するという野望がある。その時、彼女が恥ずかしがり顔を真っ赤にするのを是非見たいと思っていた

 

「――一緒じゃなきゃイヤです」

 

「元よりそのつもりです。私を逃がしたらダメですよ。見張っていないと、やんちゃしちゃいます。――必要な機材は、新たに手配します。ここで研究を進めてください」

 

 童磨と会う日だというのに、いつまでもベッドの中で抱き合う二人。それを邪魔する者は誰も居なかった。

 




やっぱり、そうなったかという流れですが><仕方がなんです!!
材料がないと、みんな死んじゃうんだからorz
ローションとコン○ームじゃ、支えられないです。

最初は、「第二の・・・」ってタイトルにしたんですが
内容がバレるのはつまらないとおもって変えました。


章管理したかったけど、区切りが分からなくなっている始末。
こんな章立て予定だったけど……まぁ、いいか!!
"材料確保"編
"柱会議"編
"ローション列車"編
"吉原"編
"温泉"編
"柱稽古"編 ← now
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