感想本当に感謝感謝です!!
読んでいるだけで執筆意欲がわいてきます。
間もなく新年……読者の皆様も体調には気をつけてください。
胡蝶しのぶは、裏金銀治郎との約束通り彼を守る。
「伊黒さんの方こそ、隊律違反です。隊士同士の殺し合いは御法度です。私が止めなければ危なかった」
「なーに、巫山戯た事を言っている。裏金は、間違いなく鬼だ。それが分からないほど耄碌したわけじゃないだろう」
胡蝶しのぶは、那谷蜘蛛山の一件を思い出した。冨岡義勇が、竈門禰豆子を守った。まさに、そのリスペクトだと。だが、違うとするならば、守っている存在……裏金銀治郎が柱と戦える実力を持っている事だ。
「あぁ、分かった。裏金に脅されているんだろう。その首筋の鞭打ち傷――拷問でもされたか」
「えぇーー!! そうなんですか、しのぶ様」
胡蝶しのぶは、咄嗟に首筋を隠した。
鬼の体液をその身に取り込み抜群の治癒能力を有している胡蝶しのぶ。本来であれば、鞭打ち傷など簡単に治る。だが、それだと色々と捗らない為、敢えて傷を残しておいた事が状況を悪化させる。
似たような事が過去にもあった気がしてならない裏金銀治郎。
「時間の無駄だとは思わないのですか、伊黒小芭内さん。我々が言い争いをしている間にも鬼舞辻無惨を殺す絶好の機会が刻一刻と去っています。"鬼を人間に戻す薬"を解毒しているあの男は、今無防備。殺すには、又と無い機会です」
「そう思うんだったら、今すぐ殺されろ。そうすれば、直ぐに終わる」
「あ、あの~、禰豆子ちゃんの時も同じような事があったので――お館様がこの事を把握していないとは思えません。一度聞いてみてからでは」
甘露寺蜜璃の素晴らしい提案がなされる。
元・柱が鬼となって蟲柱と行動を共にしている事を知らないはずがないと明言する。先代のお館様という枕詞があるなら、間違っていない。だが、今代のお館様は就任してまだ数時間も経っていない。
「いいだろう。ただし、お館様が知らないと言えば、殺すね」
「お館様にお伺いするのは承知しました。ですが、知らないと言われても――私も銀治郎さんも殺されたくありませんので抵抗はさせて頂きます」
一匹の鎹鴉が伊黒小芭内の元にやってくる。そして、事の真相を確認する為、産屋敷輝利哉へと連絡される。
◇◇◇
伝達される情報を元に無限城のマッピングを行っている産屋敷一族。聞いた情報だけで正確な図面を引く能力は、大人顔負けであった。
だが、マッピングの手を止めるほどの重大な情報がもたらされる。
『裏金銀治郎は、鬼だ――恐らくは、上弦級。そして、胡蝶しのぶと行動を共にしているが、事情は把握しているか確認したい』
伊黒小芭内からの情報に産屋敷輝利哉は吐き気を催した。
まさに、混沌の状況であった。
鬼滅隊の中枢を担っている裏金銀治郎と胡蝶しのぶ。いつ鬼になったと言う事もあるが、休暇明けのご挨拶の時には裏金銀治郎が鬼になっていたと考えるのが普通。胡蝶しのぶが意図的に報告していなかったと結論が出る。
この場で、知らないと回答するのは簡単だ。
だが、回答すれば産屋敷と二人の関係に修復不可能な傷が入る事は確実。今後の組織運用を考えれば、知っていて見逃しているという体裁を作るのがベストアンサーだ。
その時!! 立ち上がる一人の男が居た。部屋の中から漏れ聞こえてくる音を盗み聞きしていたのだ。
「お館様、この私に名案がございます」
返答に困る産屋敷輝利哉に助け船を出す忠臣……煉獄槇寿郎。彼は、胡蝶しのぶから致命傷にもなる一撃を受けて、目が覚めた。そして、改めて鬼を滅する為、立ち上がった男である。産屋敷輝利哉を守る為、元・柱として警備も兼ねて鱗滝左近次と共にこの場に居た。
「どういった案でしょうか、煉獄さん」
「鬼を生かしておく必要はございません。幸いな事に実力を兼ね備えた隊士達や柱が何人も現場におります。裏金銀治郎は、危険な存在。今、殺さなければ、力を蓄えて殺す事がより困難になります」
まさに正論であった。
それについては、産屋敷輝利哉も危惧している。鬼滅隊の全てを知っている裏金銀治郎が敵となったら、破滅の道を一直線だ。だが、裏金銀治郎という人柄を信じて、清濁を飲み込めば鬼滅隊も滅ばず、誰もが幸せになる道が開ける可能性もある。
「裏金さんと胡蝶さんを切り捨てるのは鬼滅隊の破滅を意味します」
「お館様は、勘違いをされています。人間である胡蝶しのぶを殺す必要がどこにあります?彼女なら、裏金銀治郎の代役が務まるのでしょう? 簡単じゃありませんか、彼女を生け捕りにすれば、後は鱗滝の刷り込み技術で
悪魔の囁きであった。
煉獄槇寿郎の言葉の通り、胡蝶しのぶさえ手中に収めてしまえば鬼滅隊の運営は回せる。裏金銀治郎の排除後に懸念される胡蝶しのぶへの対応も鱗滝左近次の催眠術をもってすれば不可能ではない。それを、竈門禰豆子で証明していた。
「ほ、本当に大丈夫なのですね」
「勿論でございます。煉獄家は古くから鬼滅隊に尽くしてきております。どうか、信じてください。いざとなれば、煉獄家が産屋敷家をお支え致します」
煉獄槇寿郎は、心の中で上手くいったと思っていた。
今まで散々邪魔され、世間的な立場を失った事への復讐が今行われようとしている。ここまで順調に事が進んだのも産屋敷輝利哉が子供であったという点が大きい。子供には大人が必要だ……そして、今の産屋敷輝利哉にとって頼れる大人は煉獄槇寿郎だけだ。
鬼の襲撃に備えて、自ら立ち上がり守ってくれる頼りがいのある男に見えていた。そして、古くから鬼滅隊に仕え産屋敷と共に居た事も大きく起因している。
「分かりました、煉獄さん」
「ご英断感謝致します、お館様。では、私が全隊士へ連絡しましょう。辛い役目は、子供がやる必要はございません。大人である私の勤めです」
煉獄槇寿郎は、産屋敷輝利哉の札を自らに付けた。
◇◇◇
裏金銀治郎は、返答が遅い事を疑問に思っていた。
容認している以外に返事が出せるはずも無いと信じ切っている。鬼滅隊の財政と外交を掌握している為、切っても切れない関係である事は明白。
『お館様に代わり……元・炎柱煉獄槇寿郎が全隊士に連絡する。元・金柱である裏金銀治郎が鬼になった。嘆かわしい事に、蟲柱胡蝶しのぶがその男の手によって洗脳されている可能性が高い。胡蝶しのぶは、生きて捕らえるようにとお館様からの厳命だ。裏金銀治郎は、鬼として処理するように。伊黒君、応援が駆けつけるまで頑張ってくれ』
鎹鴉から伝達される声に裏金銀治郎と胡蝶しのぶは、耳を疑った。
「はぁ~、これ私が言って良い台詞じゃないんですが――それが人間のやることかよぉぉぉぉぉ」
「銀治郎さん。大丈夫です、私はちゃんと分かっていますから」
裏金銀治郎の心にも流石にダメージがあった。
毎日朝から晩まで働いて尽くしてきた鬼滅隊。隊士達を路頭に迷わせないように、鬼討伐で被害のあった者が少しでも元通りの生活を取り戻せるように尽力した日々。まさか、切り捨てられるとは想像の斜め上を行っていた。
胡蝶しのぶからのお願いで柱達を少しでも助けてあげようと上弦の壱に関する情報を惜しみなく提供したのにコレがそのお返しだ。
「そういうわけだ裏金。煉獄さんからの依頼だ。胡蝶しのぶは生け捕り……裏金銀治郎は殺す。甘露寺は、裏金を殺せ。胡蝶しのぶだと、流石にやりにくいだろう」
「あのあの!! 伊黒さん、裏金さんにも色々と融通してもらった恩があるので助けられない?」
甘露寺蜜璃は、存外頭が良かった。
美味しい物をお腹いっぱい食べるには誰を救うべきかという計算で動いている。鬼に恨みがない彼女ならではの思考である。
「甘露寺蜜璃さん、だったら何もしないでください。鬼討伐の邪魔をしたら隊律違反ですが、何もしないのは違反ではありません。私は、手を出してこない限り何もしませんので」
「すみません、甘露寺さん。私、今まで貴方の事を唯のお馬鹿さんと思っていた事がありました。訂正しますね……貴方は、伊黒さんと違って、とても賢い人です」
裏金銀治郎と胡蝶しのぶの中で甘露寺蜜璃の株が上昇した。
「じゃあ、ここはしのぶさんに任せて私は鳴女を確保しに行きます。甘露寺蜜璃さん、全てが終わったら美味しい物を食べきれないほどごちそうします。期待していてください」
「伊黒さんを黙らせたら、私も後を追いかけます」
裏金銀治郎は、胡蝶しのぶと二人を残して部屋を後にした。彼は、胡蝶しのぶの実力に絶対的な信頼があった。一手先の未来を読んでいると錯覚するほどの動き――鬼の始祖に目覚めた裏金銀治郎と本気で試合をやっても彼女を組み伏せるに至らなかった。
………
……
…
無限城を駆ける裏金銀治郎。
道中で幾人もの隊士達とすれ違う。異能の鬼に苦戦している隊士がいれば、能力を奪うついでに助けて回った。だが、既に全隊士に向けて、裏金銀治郎が鬼になったと連絡がされている。
彼に、助けられた一人の隊士が裏金銀治郎に問いかける。
「金柱様……貴方は、本当に鬼になられたんですか?」
「また、その質問か。その通りだ。で、君はどっち側だ? 見て見ぬふりをするなら、そうしておけ……命を粗末にする必要は無い」
鬼絶対殺すマンという隊士は少なからず存在する。その鬼が裏金銀治郎であっても例外では無い。殺しに掛かってくる隊士は正当防衛の下、裏金銀治郎も処分していた。死体は後から鬼に喰われて、鬼を殺す餌になる。無駄死にはならない。
「俺は、誰にも会っておりません」
「良い判断だ近衛幸村隊士。これは、私の独り言だが……鬼舞辻無惨を殺した後、再就職先に困るようならアンブレラ・コーポレーションを訪ねるといい。私と胡蝶しのぶが代表を務める企業だ」
アンブレラ・コーポレーションという企業は、大人なら誰でも知っている企業になっている。鬼を討伐し終えた後の生活を考えれば、どうすべきかは簡単に答えは出た。
「信用できる仲間を誘っても宜しいですか?」
「勿論だ。鬼滅隊の全員の給料を支えていた企業だ。頭のいい君なら理解できるね。100人以上誘う場合は、事前に相談してくれよ」
鬼滅隊の中でも、裏金銀治郎を信じる者も存在していた。
彼が真摯に仕事をする姿勢をしっかりと見ている隊士もいるのだ。その事が、裏金銀治郎にとっても救いであった。
執筆を終えた作者の思い……どうしてこうなった!!
だが、筆がのったから仕方ないと思い、この路線で進める事を決意した。
少し気が早いかも知れませんが、アンケートを実施したいと思います^-^
怪しいタイトルもありますが、本SS同様に全て健全な内容となる予定です。
エッチなのは、いけませんからね。
アンケートって20文字しか入れられないから、色々削りました。
本当は、こんな感じで書きたかった。
1)NHK特番(その時歴史が動いた~東洋のジャンヌダルク~)
2)時間跳躍のバイアグラ(50話の後書き参照)
3)時空淫界のドグマ(52話の後書き参照)
4)キメツ学園~JK3年生の夜の部活動~
完結後に外伝的な話を投稿を計画しております。読者の皆様がどれを読んでみたいか是非教えてください。言うまでもないかもしれませんが、全て、しのぶさんが絡んできます!! 基本的に数話程度に纏める予定です。※アンケートの〆 1/5日(日)24:00までになります。 ※アンケート結果で一番投票数が多い一つを執筆予定です。同数近い場合は、一考しますが2)と3)の両方投稿はありません。
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1)NHK特番(東洋のジャンヌダルク)
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2)時間跳躍のバイアグラ(50話後書き)
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3)時空淫界のドグマ(52話後書き参照)
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4)キメツ学園~JK3年生の夜の部活動~