鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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63:家族計画

 伊黒小芭内は、憎しみと恨みから赫刀を発動させた。

 

 その様子を確認して裏金銀治郎は、再び頭を抱える事になる。鬼特攻の兵器が、鬼絶対殺すマンの手にあるのだ。そして、その刃の向く先に自らも含められていると思うと誰だって頭を抱えたくなる。

 

 通常の日輪刀なら、問題にすらならないが…… 赫刀は、裏金銀治郎にも十分なダメージを通せる数少ない武器だ。その特性は、流星刀と近い。

 

「銀治郎さん、伊黒さんの刀の色が赤く染まっていますよ。何かやりましたか?」

 

「おかしいな。いつから、怒りでパワーアップするドラゴン○ール世界にログインしたのだろうか。私も自信がありませんが、赫刀ですね。嘗て、最初の呼吸の使い手である継国縁壱も赫刀の使い手でした。その刀をもって、鬼舞辻無惨の再生能力すら超越して討伐あと一歩にまで追い込んだ経緯があります。簡単に言うと、流星刀と近い特性を得たと思って頂ければ構いません」

 

 裏金銀治郎の発言に、胡蝶しのぶはあの時に殺しておくべきだったと少し後悔した。

 

 鬼特攻の兵器というのは、裏金銀治郎が所有している流星刀だけだと思っていたからだ。太陽を克服した彼を殺すのは、この場においては不可能に近い。だが、それを覆せる可能性がある武器が鬼滅隊の手の中に無数に存在する事を知る。

 

「その赫刀で銀治郎さんを殺す事は可能なのでしょうか?」

 

「正直分からないですが、可能だと思います。太陽を克服していないとはいえ鬼舞辻無惨に致命の一撃を与える事ができる刀です。同じ始祖として、無傷で済むと考えるのは甘いかと」

 

 胡蝶しのぶは、珍しいと思っていた。

 

 何事も先手を打って、相手が選べる手段を限定させるゲスいやり方を得意とする男が、率先して邪魔しない。鬼舞辻無惨という敵を前にしている状況で赫刀を封じる必要はないが、倒し終えた後は別だ。

 

「銀治郎さん、貴方らしくありません。だったら、発動させなければ良いんですよ。今のタイミングで、伊黒さんが赫刀に目覚めた。つまり、発現する条件を今満たしたという事です。私達は、頭で闘うタイプの人間ですよ」

 

「その通りですね。では、仮説を立てて一つずつ検証しておきましょう」

 

 こうして、理論派の大人による検証が行われる。

 

 伊黒小芭内が発動でき、胡蝶しのぶが発動できない理由を突き詰める。全ての事象は科学的に証明できる。身体能力で言えば、胡蝶しのぶが勝っているのに赫刀に目覚めない点、刀の色が根元から変わった点などを理論詰めする。

 

 しばらくして、胡蝶しのぶが気がついてしまった。"熱"が関係しているのではないかと。そして、刀の柄部分をシコシコと摩擦熱を加える事で赫刀へと変化した。その際、彼女が放った一言が「なんだ、毎晩ヤっている事でいいなんて簡単ですね」であった。

 

 

◇◇◇

 

 水柱として役目を全うする冨岡義勇。

 

 様々な問題を抱えてる個性豊かな柱の一人である彼は、特にコミュニケーション能力が低い。そのお陰で、あらぬ誤解を生む事が多かった。だが、誤解が功を成す事もあった。

 

「冨岡、コレを使っておけ。それと、熱と腕力が鍵だ。やれるな」

 

「わかった」

 

 伊黒小芭内が緊急活性薬と毒の中和剤を冨岡義勇に渡す。

 

 素直に受け取る彼。だが、時透無一郎に薬が提供されないのが理解できなかった。鬼の首魁であり、産屋敷耀哉の仇でもある鬼舞辻無惨を倒すという共通の目的を前に、柱という戦力は幾らあっても不足では無い。

 

 なぜ、自分と同じ中立派の者に薬が提供されないのか、不思議であった。

 

 冨岡義勇は、【人を食う()なら殺す。だが、冷静になって考えて欲しい。竈門禰豆子という前例もあるので、鬼だからといって全てが悪だという捉え方は古い。それに、分かっているはずだ。胡蝶しのぶが洗脳されるタマではない事を。柱である我々は常に冷静に物事を判断しなければならない。一度、話し合いの場を設けて、真偽を確認してからでも遅くはない。その為にも、まずは、(・・)目の前の敵である鬼舞辻無惨を殺す(・・)。】と、本気で言ったつもりでいた。

 

「冨岡、俺はお前を誤解していた。倒したら、一杯やろう」

 

「あぁ、勿論だ」

 

 冨岡義勇は、初めて飲みに誘われる。

 

 ポジティブ思考の彼は、伊黒小芭内が"誤解していた"といった事を【人を食う()……(以下、略)】の中の言葉が全て理解して貰えたと考えた。そして、だからこそ、薬が分けられたと。

 

………

……

 

 鬼舞辻無惨は、度々ピンチから蘇り強くなる柱達に我慢の限界が来ていた。

 

 特に、赫刀には良い思い出が無い。その為、過去に致命傷を負わせてきた継国縁壱の影がちらつく。赫刀の威力は、日輪刀を遙かに凌ぐ。切られた箇所の再生力を激減させ、当たり所によっては、肉体を崩壊させる。

 

 それを回復させる為には、周辺の肉体をごっそり捨てて再生するという手間が掛かる作業を行う必要があった。この時、柱の全員が赫刀に目覚めていれば、鬼舞辻無惨を滅ぼせていた。鬼舞辻無惨が未だに健在なのは、柱が仲間割れしている事と悲鳴嶼行冥が赫刀発現に苦戦しているからだ。

 

 悲鳴嶼行冥の日輪刀は、もはや刀ではない。斧と鎖とガンダムハン○ーである。斧御部分ならまだしもガンダムハン○ーに熱を与えるにはどうすれば良いのか考え物であった。ボールは友達的な感じでなで回すにしても棘が邪魔になってしまう。最強の柱が赫刀を使いこなせるかは、別問題だ。

 

「異常者共め。なぜ、貴様等は理解しない。無限城のコントロールを奪われていると言う事は、私が死ねば貴様等も生き埋めになるんだぞ」

 

「その程度の覚悟はとうに出来ている。貴様が倒せるなら本望だ、無惨!!」

 

 悲鳴嶼行冥が斧を振るう。

 

 柱として立派な考えを伝える。だが、"痣"覚醒により命が今日までの男である事は忘れてはいけない。未来を考えている柱も居る。"痣"覚醒条件を知っていても、覚醒させずに鬼退治に勤しむ宇髄天元……妻帯者は、後の事もちゃんと考えている。

 

 

◇◇◇

 

 人類史に残せないほど悲惨な赫刀覚醒をさせられた胡蝶しのぶの日輪刀。刀の声が聞こえる事があれば、泣いているだろう。そんな事を考えつつ、裏金銀治郎は、鬼舞辻無惨と柱の戦いを観察していた。

 

「柱の人達が全滅する可能性の方が高かったですが、これは鬼舞辻無惨を倒せるかも知れません」

 

「そうなると嬉しいですね。……で、カナヲはさっきから私の服を掴んでいますが、どうしたんですか?」

 

「師範、炭治郎さんの態度が先ほど変でした。裏金さんも眼で何かを伝えていましたよね」

 

 栗花落カナヲが笑顔で胡蝶しのぶに迫る。

 

 女の勘が何かを捉えたのだ。勿論、彼女とて具体的に何があったかは分かっていない。だが、竈門炭治郎が関連している事だけは察していた。そして、裏金銀治郎と胡蝶しのぶが、それを知っているという事も分かっていた。

 

 柱同士が仲間割れをする最中、何故このタイミングでというレベルで栗花落カナヲが問いただしてきた。彼女としては、竈門炭治郎が不在の今がその機会だと思っている。彼が止めに入れば、聞くことを止めてしまうからだ。愛しているが故に、その男性に止められたらそれ以上の追求は出来なくなる。

 

 大人である裏金銀治郎は、模範解答を用意していた。

 

「あぁ、炭治郎君の家族構成は覚えていますよね? 実は、幸いな事に彼の血縁者が見つかりました。鬼舞辻無惨は、炭治郎君に追っ手を差し向けていた事もありましたので、血縁者の安全を確保するため、私が匿っています。人質にされたら、困りますからね」

 

「えっ!! でも、炭治郎さんは親兄弟を無惨に……」

 

 胡蝶しのぶは、実にうまい言い訳だと思った。

 

 これが人生経験の差である。真実を告げているのに、巧みに核心部分を誤魔化す悪い大人の例である。

 

「えぇ、炭治郎君は親戚の存在を知らないのでしょう。私も戸籍を調べて分かった事です。役所が管理していた古い戸籍標本に彼の叔父さんの存在が……。まぁ、このご時世子沢山ですから一つ遡れば、親戚が居ても不思議じゃありません」

 

 誰も一言も親戚を匿っているとは言っていない。親戚が実在したとも言っていない。裏金銀治郎は、血縁者を匿っていると言ったのだ。そして、血縁者には、当然子供も含まれるが、そこまでの発想は彼女にはできない。親戚と血縁者という微妙に近い言葉に翻弄される。

 

「良かったですね、カナヲ。家族が増えますよ」

 

「はい!! 師範」

 

 胡蝶しのぶが、ぎりぎりのラインをせめる。だが、彼女にはいけるという自信があった。家族愛に飢えている栗花落カナヲの思いを理解している。当面は、コレで凌ぎきる。

 

 そして、落ち着いたら神崎アオイの子供を竈門炭治郎の親戚の子供として紹介する。神崎アオイの架空の旦那を作り上げて、国外で仕事をしている事にする。それが出来るだけの財力も権力もアンブレラ・コーポレーションは有していた。

 

 これぞ、裏金銀治郎と胡蝶しのぶが考えた幸せ家族計画である。中身は、親戚の子だと思ったら実は、旦那の子供だった計画だ。

 

………

……

 

 竈門炭治郎と我妻善逸が鬼の頸を討ち取り帰還する。

 

 鬼討伐の報告をする最中、竈門炭治郎は栗花落カナヲから疑惑の匂いが取れた事に気がついた。

 

「よくやりました、二人とも。君達二人なら不可能はないと信じていました。それと、炭治郎君が居ない時に申し訳なかったが、私の家で預かっている竈門家の血縁者について、栗花落カナヲさんに伝えておきました」

 

 全集中の呼吸を使い、脳をフル回転させて裏金銀治郎の意図を読み取る努力をする竈門炭治郎。あの衝撃の事実を伝えて、一体どのような回避をしたのか。本当に神だと思ってしまう男がココに生まれる。

 

(裏金さん)、ありがとうございます」

 

「君にも褒美を与えましょう。流星刀と特製の隊服です。今の隊服より強度は遙かに高いから、着替えておきなさい。これから、激戦になるかもしれません」

 

 裏金銀治郎は、口裏合わせ用の原稿と一緒に竈門炭治郎を別室に転送する。そして、信徒が狂信者へと変わる切っ掛けとなる。もはや、竈門炭治郎は嘘を突き通して真実にするしかない。




以降、オリジナル展開になりますが、ご容赦をください。

無惨様……追い詰められる。肉片をバラバラにして逃げるにしてもこの閉鎖空間では逃げ場所がないぞ。
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