鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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64:最恐の血鬼術

 柱達が鬼特攻の赫刀に目覚める事で、状況が一転した。

 

 鬼舞辻無惨の再生を著しく阻害する事が可能となり、手数が多い柱達が優勢になってきた。再生が追い付かなくなり、次第に鬼舞辻無惨の顔にも焦りが生じる。

 

「忌々しい!! 忌々しい!!」

 

「見えた!! 無惨は、心臓と脳が複数存在している!! 恐らく、それらを同時に潰せば、殺せるはずだ」

 

 悲鳴嶼行冥は、この戦いに全てを賭ける覚悟をした。緊急活性薬と中和剤で一時的に体力を取り戻した。だが、上弦の壱に続き、鬼舞辻無惨との戦いで命を消耗しすぎた。余命いくばくもない事を彼は感じている。

 

 事実、その通りであった。短時間で"透き通る世界"にまで昇華された力は、寿命の前借に過ぎない。鬼舞辻無惨を討伐した後に、裏金銀治郎の下にまで辿り着くのは不可能だと察している。仮に辿り着いたとしても、鬼となり未知の戦闘力を持つ者を短時間で討伐する事は出来ない。

 

「おっしゃーー!! ぶっ殺してやる。心臓と脳の位置は?」

 

「脳が頭と腹部と……。心臓が胸部の左右と腕と……」

 

 柱達に伝達される急所の位置。

 

 悲鳴嶼行冥は、これを聞いているであろう裏金銀治郎にも内心で期待していた。ここで柱達が全員命を落としたとしても、裏金銀治郎と胡蝶しのぶという柱が残っている。彼らならば、必ず鬼舞辻無惨の時代を終わらせると確信していた。

 

 裏金銀治郎が鬼舞辻無惨を手助けをしないという事は、鬼舞辻無惨が死んでも裏金銀治郎には、何ら問題がないという事の裏付けであった。鬼を殺す毒を開発し、鬼の生態を一番理解している胡蝶しのぶがあちら側にいるのだから、疑いようがなかった。

 

 一人の鬼の時代が終焉を迎えて、新しい鬼の時代が幕を開けたとしても二人の性格を知る故、さして問題にはならないだろうと理解していた。

 

 だが、悲鳴嶼行冥は現役最強の柱であり、纏め役でもあった。だからこそ、彼は鬼を放置するとは言えない立場。条件付きで、裏金銀治郎を討伐するといったのもそういう理由だ。

 

「岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征」

 

 悲鳴嶼行冥は、身を削る方法で赫刀を使っていた。篝火を使って炙る事で日輪刀に熱を与えた。そして、加熱された鉄球に腕力で圧力を加えた。手を火傷するが、緊急活性薬で治癒するという力技だ。

 

 だが、その威力は最強の柱に恥じない物である。

 

 鬼舞辻無惨の触手を吹き飛ばし、一撃一撃で確実に脳か心臓を粉砕していった。寿命という掛け替えのないものを対価として。

 

「何度やっても同じ事だ!! 私は死なん!!」

 

 肉体をごっそり削り落として再生する鬼舞辻無惨。鬼舞辻無惨も必死であった。複数の柱と対峙する事は、彼の中でも想定範囲であった。だが、その柱達が赫刀に目覚めている事は想定していなかった。

 

 なにより厄介なのは、後方支援で軽機関銃を遠慮なく撃ってくる二人である。赫刀と違い再生こそ容易だが、手数が違いすぎる。

 

 虚勢を張って、不利を悟られないようにしているが……“透き通る世界”が見える悲鳴嶼行冥は、心臓や脳の再生が遅くなっている事に気が付いた。

 

「確実に効いている!! このまま押し切るぞ」

 

 悲鳴嶼行冥の声に呼応して、柱達が命を振り絞る。

 

 冷静な男である宇髄天元は、鬼舞辻無惨を倒し切った時か、裏金討伐派が全員倒れた時こそが、撤退するタイミングだと理解する。

 

 

◇◇◇

 

 裏金銀治郎と胡蝶しのぶは、ウォーミングアップを開始していた。

 

 柱達が鬼舞辻無惨を討伐してくれる事が理想だと考えている。だが、彼の私見では、一時的に持ち直しているに過ぎないので、時間の経過と共に鬼舞辻無惨が有利になると確信していた。勿論、鬼舞辻無惨を倒し切るという事もあり得るが、厳しいと考えている。

 

「銀治郎さん、見た感じ鬼滅隊の方が有利に見えますよ。このままだったら、出番がないと思うんですが……」

 

「そうですね。私の目から見ても現状だとそう見えます。ですが、同じ鬼の始祖としての見解を言うと、血鬼術を全く使っていないのは疑問です。私が同じ立場なら、今まで集めた血鬼術で切り抜けます」

 

 1000年も生きて鬼滅隊と戦い、鬼を生産し続けた始祖が背中から触手をブンブン振り回すだけしか能がないとは考えられない。元貴族の身分である鬼舞辻無惨に戦いの才能が乏しかったとしても、この状況で血鬼術を使うという発想ができないとも思えなかった。

 

「え、無惨の血鬼術って"おめこ券"じゃなかったんですか? 今だって女性姿ですから、これで心と体が一致した能力だと思っていました。血鬼術って、生まれ、環境、思いなどが関連して開花するじゃありませんか」

 

「うーーーん、うーーーん。あ、ありえなくもないのかな~?」

 

 裏金銀治郎も完全に否定する事はできなかった。

 

 今現在、鬼舞辻無惨が柱達と戦いの最中に披露している能力は、ほぼ全てが鬼の始祖ならば必ず持つ基本能力ばかりだ。裏金銀治郎の目から見て、血鬼術だと判断できるのが、触手と毒のみである。心臓や脳が複数あるのは、再生能力の延長線に過ぎない。

 

「ほら、あの券……私や銀治郎さんが全力でも破れないんですよ。日輪刀でも切れませんでした。つまり、無惨が初―」

 

「ストップ!! しのぶさん、言わんとしている事はわかります。想像したくないので、それ以上は言わない」

 

 裏金銀治郎は、胡蝶しのぶが膜が破れない限り破壊不能と言おうとしたのを止めた。人差し指を彼女の唇に押し当てた。

 

(裏金銀治郎)、赫刀も使えるようになりました。いつでも、お供できます」

 

「相変わらず善逸君は、有能です。戦いが終わったら、延命措置をしますので、"痣"の力を存分に解放なさい。君の聴力と剣術ならば、無惨の急所を探し処理する事も簡単でしょう」

 

 我妻善逸は、歴代最高の柱に肩を並べる程の成長を見せた。だが、成長期である彼はこれから更に伸びる。それこそ、岩柱を超える逸材である。

 

「裏金さん、私も頑張りますので、炭治郎さんの延命もお願いします」

 

「別にカナヲは残ってもいいんですよ。銀治郎さんと私、かまぼこ隊の皆さんがいるんですから戦力としては問題ありません」

 

「その通りですよ、栗花落カナヲさん。炭治郎君が君の分まで働いてくれます。私は、妊婦さんを戦場に送り込む程、外道じゃありません。遅くなりましたが、ご懐妊おめでとうございます」

 

 裏金銀治郎は、鬼の始祖となり生命感知能力がずば抜けて高くなっていた。

 

 そして、似たような感じをここ最近感じ取る機会が多く、栗花落カナヲが妊娠している事にいち早く気が付いていた。竈門炭治郎は、長男としてヤる事はヤっていた。最終決戦を前に実に喜ばしい情報だ。

 

「えっ!? 私に子供が……。あ、ありがとうございます!! 炭治郎さん、やりました!! 私、炭治郎さんの子供を妊娠しているって」

 

「カナヲ!! 俺も嬉しいよ。今日は、最高の記念日じゃないか」

 

 だが、その情報は、竈門炭治郎の胃に今までに経験した事がないダメージを与える。これから向かう場所も修羅場、終わってからも修羅場……彼の人生には修羅場が付きまとう。だが、男としてヤった事に責任を負うのは当たり前だ。

 

 まるで、第一子が誕生したかの如く喜びを表現し、カナヲを抱きしめる竈門炭治郎。我妻善逸同様に彼も裏金銀治郎の想像を上を行く成長を見せる。嘘をつくと変顔になっていた頃の彼は既に死んだ。

 

「おめでとう、炭治郎。神がいるからいいけど、最終決戦前なんだし、コンドー〇は使おう。計画的にしないとダメだぞ」

 

「おめでとう、カナヲ。これで私は、戸籍上ではおばーちゃんですか……まだ、10代なんですけど。カナヲ、分かっていると思いますが、しのぶおねーさんと教えるんですよ」

 

 柱達が壮絶な死闘を繰り広げる中、裏金一派は仲間の妊娠を祝っていた。

 

 

◇◇◇

 

 煉獄槇寿郎は、苛立っていた。

 

 愈史郎が討伐された事で彼の血鬼術による伝達機能が完全に消失した。その為、内部の状況が何も伝わってこない。鬼舞辻無惨や裏金銀治郎の動向が分からない。

 

 彼としては、共倒れしてくれる事が理想形であった。だが、どちらかが生き残った場合でも切り札は手中に収めておく必要があると考えた。その切り札の一つが、竈門禰豆子である。

 

 人間に戻ったとはいえ、太陽を克服した鬼であった。つまり、再び鬼にすれば太陽を克服する可能性が一番高い鬼ともいえる。裏金銀治郎が既に太陽を克服しているとは知らないので、交渉の駒にも使えると考えたのだ。

 

「どういう事だ、鱗滝!! 竈門禰豆子が消えるなんて事があるか。隠し立てはやめろ!! 鬼滅隊の存亡がかかっているんだぞ」

 

「分からぬ!! 寝ていた布団と一緒に消えた。だが、一瞬だが炭治郎の匂いがした。何ら心配はないだろう。それより、何をそんなに焦っている。おぬしからは、よからぬ匂いがする」

 

 煉獄槇寿郎は、危険な男だと思った。五感の何れかの優れた隊士は、厄介だと知っていた。彼は、過去に同様の特異な能力を持つ者と共に戦った事があるのだ。故に、味方であるならば心強いが、今の状況では邪魔にしかならないと判断した。

 

「何も問題はない。お館様の守りは頼んだ。私は、民間人がいる蝶屋敷に向かう」

 

「鬼滅隊の拠点に一般人などいるのか」

 

「あぁ。隊士達の治療を手伝ってくれている、隊士の妻が三人程な」

 

 淫魔三人衆の噂は、隠居している煉獄槇寿郎の耳にも届いていた。

 

 都合がよい事に、我妻善逸が裏金銀治郎の信奉者である事も“柱稽古”で知った。我妻善逸という才能ある駒に対する人質に使える都合の良い存在であった。そして、女日照りが続いた彼としては、この機に溜めた物を解放する気でいた。

 

 恨むなら裏金銀治郎を恨めと酷い文句を使う気満々であった。

 

 しかし、我妻善逸の妻達は既に無限城に避難済みである事を彼は知らない。蝶屋敷には怪我を負った隊士達と蝶屋敷で働く少女達しか残っていない。   




投稿間隔があいて申し訳ありません。

引っ越しで執筆環境が変わりいろいろ準備に手間取りました。

無惨戦に飛び込むかは、迷いましたが……裏金一派も参加予定!!
無限城のコントロールを奪っている時点で負けなしという事もありますが
それだとちょっと寂しいなと^-^

風柱にも挨拶しないといけないからね!!
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