鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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リアルがいろいろと忙しくて投稿期間が
不定期で申し訳ありません><

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65:貴方は、鬼ですか?

 柱達は、よく頑張った。緊急活性薬を過剰摂取してまで戦う事で、人間という域を超えた戦いを披露した。だが、正義が常に勝利するとは限らない。優位に立っていた柱達だが、僅かなミス一つでそのバランスが一変する。

 

 珠世が残した中和剤の効力が切れ、急に動きが悪くなった柱は、徐々に弱っていく。裏金銀治郎の“爆血”により解毒された柱に負担が掛かる。裏金銀治郎容認派としては、緊急活性薬や中和剤を分けてくれなかった討伐派の尻拭いをしている。

 

「後、少し!! 宇髄も前に出て刀を振るえ!! 」

 

「馬鹿いうな!! 俺は、剣士の腕前じゃ、柱の中でも下から数えた方がはぇーーんだよ。銃で派手に支援してやっているだろう。伊黒こそ、いい加減に目を覚ませ。裏金さんなら、鬼になっても胡蝶とニャンニャンするだけだ。無惨のような鬼には絶対にならねぇ」

 

 心臓と脳を何個も潰しているが、決め手になっていない。持ち直した瞬間に倒しきれなかった時点で、持久戦に持ちこまれるのは分かりきっていた事だ。鬼舞辻無惨としても、中和剤が切れるまで何としても守り切る構えでいた。

 

「信じられるものか!! あいつは、煉獄槇寿郎を気絶させ、泥酔する胡蝶カナエに暴行を働くような男だぞ。そんな奴が鬼になったら、おしまいだ」

 

 伊黒小芭内の言い分は、柱なら誰もが知っている事であった。

 

 本来なら鬼滅隊から除隊させられて、警察沙汰である。お館様の意向と胡蝶カナエの意向を最大限にくみ取って、裏金銀治郎は裏方へ異動する事になった。と、表向きにはされている。

 

 伊黒小芭内の言葉に反応して、血反吐を吐く柱……煉獄杏寿郎。だが、彼も男であった。恩人の名をこれ以上汚さぬ為、覚悟を決めた。

 

「それは、違うぞ!! この際だからハッキリ言っておく!! 裏金殿が胡蝶カナエを暴行したという事実は存在しない。あれは、俺の親父……煉獄槇寿郎が胡蝶カナエを泥酔させてホテルに連れ込もうとした所を裏金銀治郎が助けたというのが真実だ」

 

「貴様等は、鬼退治より先に退治するモノがあるのではないか。日本男子として、女性を蔑ろにするのは、どうかと思うぞ。恥を知れ!! この異常者共が」

 

 鬼舞辻無惨の正論が鬼滅隊の柱達に響く。

 

 口論になれば、時間稼ぎをしたい鬼舞辻無惨としてはありがたい事であった。だが、それと同時にやるせない気持ちになっていた。無限城を取り戻すという課題があるのに、こんな連中と本気で戦わないといけないのかと。

 

 当然の事だが、蔑ろにしてはいけない女性に鬼舞辻無惨も含まれている。

 

「煉獄、そんな事は今どうでもいい!! この野郎をブッ殺してから幾らでも聞いてやる」

 

「あぁ、賛成だね。世迷言より鬼退治を優先する」

 

 刻一刻と毒によるタイムリミットが迫る。

 

 特に小柄な伊黒小芭内は、既に限界であった。視界はぼやけており、勘で攻撃を回避している。裏金銀治郎の所までは確実にたどり着けないと本人も理解していた。命を使い切り、余力があるであろう悲鳴嶼行冥と不死川実弥に後を託す気でいた。

 

 一人が命を捨てたとしても、難しい状況だ。柱が全員命を捨てる気で挑めば、チャンスはある。だが、裏金討伐派以外は、命をここで捨てる気はなかった。皆、生き残ってやる事がある。つまり、柱達の思いがバラバラだ。これでは、倒せるものも倒せない。

 

「いいや、大事な事だろう!! 裏金殿は、無罪なんだぞ」

 

「事の真相など、後で本人に聞けばいい。皆の者!! 今は、無惨に集中しろ」

 

 悲鳴嶼行冥の鶴の一声で柱達が再び一つに纏まる。

 

 彼がいなければ、最終局面で何度空中分解した事だろうか。

 

………

……

 

 伊黒小芭内が限界を迎えた。度重なる奥義の使用、中和剤の効果切れ、体力の限界、おおよそ考えられる全てのマイナス要因が一気にのしかかった。崩れ落ちる最中、致命的な隙を鬼舞辻無惨は見逃さない。

 

 触手が伊黒小芭内の胸部を貫いた。

 

「伊黒さんーーー!! このぉぉぉ」

 

 甘露寺蜜璃の日輪刀で触手が破壊される。駆け寄った彼には、胸に10cm程の大穴が空いていた。どう考えても致命傷。唯一、この場から回復させる事ができる緊急活性薬は彼女の手には残っていない。

 

「甘露寺か……無事でよかった」

 

「早く薬を!! あれなら、まだ治せる」

 

 伊黒小芭内の首が左右に振られる。彼の手元にも薬は一本も残っていない。つまり、もう傷を癒す事は不可能になった。

 

「やっと、一人潰れたか。これで、手数は減った。私の再生能力を超える事は、もうできない。ほかの柱達も順に後を追わせてやる」

 

 鬼舞辻無惨の心臓と脳を、合わせて3個にまで減らす快挙を成し遂げていた。だが、押し切る事は叶わない。

 

 死期を悟る伊黒小芭内。最後に、思い人に愛を伝える。甘露寺蜜璃からの言葉を聞き静かに死ぬ予定であった。

 

「甘露寺、最後に……俺はお前が好きだ」

 

 だが、そうは問屋がおろさない。ここにきて、ツケを清算しないで死ぬなど許されない。

 

「死に際にそのセリフは汚いですよ、伊黒小芭内さん。嫌いであっても、状況的に死に際に花を持たせるしかなくなります。甘露寺蜜璃さん、善逸君や炭治郎君なんて未来有望な若者なんてどうですか? 私おすすめの物件です」

 

 急な第三者の登場に誰しもが注目した。

 

 

◇◇◇

 

 伊黒小芭内の問いかけの答えを遮るかのように登場した裏金銀治郎。その狙ったかのようなタイミングは……当然、わざとだ。今まで、散々好き勝手な事を言っておいて、最後に思い残す事無く死なすわけにはいかない。

 

「う、裏金さん、しのぶ様!! お願いです、伊黒さんをたっ」

 

 甘露寺蜜璃が伊黒小芭内の助命を懇願しようとしたが、彼が止めた。助かる可能性がわずかにあっても、それが裏金銀治郎の手による物であるため拒絶した。

 

「あらあら、伊黒さん。せっかく、甘露寺さんが懇願するところでしたのに、止めてよろしいんですか? 銀治郎さんは、優しいですから甘露寺さんからのお願いなら聞き届けてくれるかもしれませんよ」

 

「私は、恩を仇で返すような人間を助ける気はありません。あの世では、君が蛇鬼から逃亡したせいで死んだ一族の者達が首を長くして待っていると思います。早く、挨拶に行かれたほうがよろしいかと。それに、先ほど仰っていましたよね『世迷言より鬼退治を優先する』と。女々しい遺言を言う余力があるなら、鬼退治で華々しく散ってください」

 

 怒りで血と毒の巡りが早くなる。

 

 伊黒小芭内には、立つ体力も残されていなかった。本来ならば、この場で知られたくない過去を暴露されたので、殺したい程であった。

 

「殺してやる、殺してや…る、ころ……」

 

 自らの手を汚さず自滅させた裏金銀治郎。その様子を戦いの最中見ていた、柱達は哀れな最期に同情した。

 

「い、伊黒さん、嘘でしょ!! そんな……私、まだ何も返事をしていないのに」

 

「甘露寺さん、彼はもう死んでいます。さすがに、死者を蘇らせる事は不可能です。伊黒さんは、ネチネチしていて性格がねじ曲がっていた人でしたが……無惨相手に頑張ったことだけは認めます」

 

 胡蝶しのぶも裏金銀治郎同様に、伊黒小芭内の死を何とも思っていない。

 

「ちなみに、甘露寺蜜璃さんは、なんて答えるつもりだったんですか?」

 

「ごめんなさい、伊黒さんの事は恋愛対象と見れなくて」

 

 裏金銀治郎は伊黒小芭内をトドメを刺すつもりでいたが、まさか助ける結果になっていたとは思いもよらなかった。真実を知る前に天国に行けた男は、幸せであった。

 

 そして、裏金銀治郎は、甘露寺蜜璃への認識を改めた。間違いなく異常者であると。

 

「あの~銀治郎さんが言う分には問題ないと思うんですよ、鬼ですから。でも、そのセリフを死に際に言うつもりだったなんて……貴方は、鬼ですか?」

 

 甘露寺蜜璃は、人の感情に対して敏感なほうではなかった。

 

 柱の一人が死んだ。だが、裏金容認派と中立派の雰囲気は明るい物であった。静観を貫いていた者達が一斉に表舞台に出てきた。つまり、確定した勝利を掴みにきた。

 

「よっしゃーーー!! これで派手に勝利が確定した。安心しろ!! 俺の譜面が正しければ、不死川と冨岡と甘露寺は後2分。悲鳴嶼さんでも3分持てばいいって所だ。煉獄と時透も死なない程度に流してけ!! 後は、裏金さんの指示で戦えば勝利は確実だ」

 

「さすが忍者、味方をこうも簡単に切るとは実に汚い。ですが、そういうところ嫌いじゃありませんよ、宇髄天元さん」

 

 仕えるべき主君であった産屋敷耀哉は、死んだ。次代の当主では、先行きが不安な忍者。恩義なき今、自分をいかに高く買ってくれるところに売り込むかが大事である。妻三人を路頭に迷わせる訳にはいかない。

 

 鬼舞辻無惨が穴が開くほど、裏金達を見つめてきた。彼は、記憶を漁った。そして、辿り着く。

 

「……貴様が裏金銀治郎?嘘をつけ!! いや、貴様達には見覚えがある。裏金金太郎と官能作家の胡蝶しのぶ先生!! 何故、ここにいる」

 

 怨敵からの官能作家と呼ばれる胡蝶しのぶ。おかげで、今日も青筋が胡蝶しのぶを美しくする。だが、この一言が現場を混沌に陥れる。

 

 裏金銀治郎が鬼舞辻無惨と面識があるなら、誰しもがやっぱりと納得であった。だが、胡蝶しのぶまで面識があったとなれば、柱達は驚いた。

 

「え、官能作家? しのぶ先生? どういう事だぁぁぁ、胡蝶!! 裏金だけじゃなく、お前まで鬼側に通じていたのか」

 

「いいえ、まったく知らない人です」

 

「そんなはずはない!! この間、神保町でサイン会であったではないか。握手だって!! 」

 

「別人だって言っているでしょ!! 世の中、似ている人間が三人はいるといいます」

 

 必死に否定する胡蝶しのぶ。

 

 絶対に知られたくないもう一つの顔……。だからこそ、肯定するわけにはいかなかった。

 

「そこまで否定されると、こちらも強情にならざるをえない。そうだ、新刊の一部を朗読してやろう」

 

「イヤーーーー!! 銀治郎さん、アレを殺しますよ。死にぞこないの柱は邪魔です。どけておいてください」

 

「怖い怖い。私を討伐したい派の皆様、これでお別れです。地上に送りますので、あとは好きに死んでください。最後に、言い残す事は?」

 

「無惨ごと、死ねぇぇぇぇぇ!! 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」

 

 不死川実弥の攻撃は実に理にかなっていた。二人纏めて粉砕する。全身全霊の一撃にふさわしい。だが、直線上に彼の弟である不死川玄弥がいる事に彼は気が付かなかった。

 

 パチンと裏金銀治郎が指を鳴らす。無限城内部であれば、どこへでも転移できる。神速の攻撃でもない限り回避する事は難しくない。鬼舞辻無惨を切り刻んだ攻撃は勢いを落とす事無く、一人の隊士を巻き込んだ。

 

「兄貴ーーーー!!」

 

 不死川玄弥は、走馬灯を見た。そこには、優しかった兄の姿が確かに映っている。

 

 人間なのに鬼化できる稀有な才能を持った隊士がこの世を去る。彼の肉体は、鬼と同様に崩壊してこの世から去っていく。

 

「不死川玄弥君は、限りなく鬼に近い人間でした。鬼化できる人間なんて彼以外知りませんでした。鬼退治は、貴方の本分……たとえ、弟であっても容赦しないその姿勢は、評価しています。あぁ、後で退治した鬼にカウントして給金は支払います」

 

 煽りの呼吸を極めている裏金銀治郎。ここぞとばかりに、不死川実弥をせめたおす。実弟を何よりも大事に思う彼の心をへし折るには十分であった。

 

  




柱達の役目は終わった!!
すこし柱を間引かないとね。


〇可能性のある未来
天然ジゴロの妹『胡蝶先生、最近眠れなくて睡眠薬を処方してもらえませんか。強力なヤツ』

察した大人『鬼の時の後遺症ですかね、朝まで絶対に起きない物を処方しておきます。無色無臭なので、安心してください。カナヲは、お腹の子の定期健診で明日は泊りがけです』

完結+アフタストリーまでは絶対やるのでよろしくお願いいたします。
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