鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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ついに!! ついに!!
ここまで辿り着けました^-^

読者の皆様、ありがとうございます!!
ここまでお付き合いただからこそ完結までこぎつけられました。
※外伝は残っているので、本編的意味でね!!

今更になってしまいますが!!
毎回、誤字脱字の修正報告していただけた皆さま本当にありがとうございます。
これがなければ、作者は死んでおりました。
本当にありがとうございます。

では、
裏金銀治郎のエピローグになります。


73:エピローグ~裏金銀治郎~

 アンブレラ・コーポレーションでは、空前のベビーブームが到来していた。子供が親の職場を見学する参観日などを設けており、それに感化された者達が夜の性活を頑張った結果である。

 

 微笑ましいのだが、裏金銀治郎は大変であった。日本全国探しても他にはないと言えるホワイト企業であり、社員やその嫁、子供までもが頭を下げてお礼を言ってくる。その対応は、激務であった。

 

 もちろん、悪い気分ではない。皆が新しい人生を歩んでいる証拠だ。それを祝うのが裏金銀治郎の仕事である。寿命がない存在になっても、今この時の縁は大事であった。

 

「裏金殿!! 今年で二歳になる息子の光秀だ!! ほら、光秀挨拶するんだぞ。パパが大変お世話になっている人だからな」

 

「おしぇわになってます」

 

 たどたどしい言葉で挨拶をする煉獄杏寿郎の息子。

 

「よくできました。これは、ご褒美です。お父さんとお母さんと分けて食べるんだよ」

 

 裏金銀治郎は、この日に備えて用意した飴を子供に渡す。出来た経営者は、いつも準備を欠かさない。そして、子供の母親……煉獄杏寿郎の嫁は、なるべくしてなったというポジションの人であった。

 

「裏金さん、しのぶ様は? せっかくだから、ご挨拶しようと思ったんだけど」

 

煉獄(・・)蜜璃さんや他の人達が子連れでくるから、無限城に籠っていじけています。『お姉ちゃんは、結婚しているのに何で子供がいないの?』という、無垢な一言が相当堪えたんでしょう。炭治郎君の顔から血の気が引いていましたよ」

 

 甘露寺蜜璃は、煉獄杏寿郎の継子であった。彼は、彼女より強い数少ない存在。周りから見てもお似合いのカップルである。落ち込んだ元・師匠を慰めるつもりが、あれよあれよと押し倒して既成事実を作ったという馴れ初めだ。

 

 鬼滅隊の女性は、肉食系ばかりだと言われても否定する要素はない。

 

「それは、フォローできんな!! 実は、裏金殿に一つお願いがあってな!! 時短勤務でいいので、蜜璃を復帰させてもいいだろうか。主に、ここの社員食堂を当てにしている」

 

「そ、それだけじゃないわよ!! 託児施設だってあるし~、これからも家族が増える予定もあるからね。いっぱい稼いでおかないと!!」

 

「好都合です。託児施設で産休予定の三人もいるので、要員補充を考えていました。後、臨時ボーナスが必要でしたら、北九州に出張に行きますか? 調達部を筆頭に準柱級以上の社員達が遠征に行きます。仕事が終われば、経費で現地のおいしい物を好きなだけ食べてきて構いませんよ」

 

 血塗られた手で子供を抱けるかと思うかもしれないが、そもそもアンブレラ・コーポレーションの裏側を知る者達だ。

 

 自らの家庭を守るため、戦うべき時が来たと決意する二人であった。

 

 

◇◇◇

 

 裏金銀治郎と胡蝶しのぶは、裏金書房の居間で裏金両親と対面していた。

 

「銀治郎さん、結婚して5年になりますよね。夫婦の事だからと思い、口出しはしていませんでしたが……いつになったら、孫が抱けるんでしょうか」

 

 テーブルの上に広げられているベビー用品の広告。その半分が、アンブレラ・コーポレーションの製品だ。

 

 裏金母である裏金小夜子は、心配していた。このご時世、結婚すれば数年もしないで子供を産む。それなのに、何年経っても妊娠の報告すらない。世の中には、子供が産めない体というものもあり、実にデリケートな話題であったので今の今まで切り出さないでいた。

 

「お母さん……カナヲは、戸籍上だと孫にあたるかと。その孫にも子供がいるので玄孫までいるじゃありませんか。もしくは、ひなきではダメですか? 今は、学校ですが帰ってきたら連れてきますんで」

 

 血の繋がっていない子供で話を終わらせたい裏金銀治郎。さすがの彼も、人間辞めて鬼になっています、胡蝶しのぶも鬼なので、子供の予定は全くの未定ですとは知らせていない。

 

「あの~、小夜子お義母様。これには深い理由がありまして――」

 

「それは、銀治郎がここ10年ほど老いていない事やしのぶちゃんも妙に若々しい事かしらね?」

 

 裏金銀治郎の容姿は、鬼となった頃から変わっていない。周囲と比較すれば老化が遅い程度では済まなかった。そもそも、10歳程年下の胡蝶しのぶと並んでも見劣りししない若さがある。月日が経つに連れて異常性は、露見していく。

 

 胡蝶しのぶが裏金銀治郎に目線を送る。

 

 当然、この場をどう切り抜けるかというアイディアを求めての事だ。だが、裏金銀治郎としては、別に困る問題でもなかった。両親の性格を知るが故に、話せば理解してもらえるとも思っている。

 

「実は、前職の都合で人間を辞めました。具体的には、今は鬼をやっています。そのおかげで、中々子供ができない体になってしまいました。ですが、しのぶさんが不妊治療の研究をしております。時間は掛かるでしょうが、死ぬまでには必ず子供を抱かせます」

 

「唐突すぎますよ、銀治郎さん。ちゃんと経緯を話してからじゃないと」

 

 その発言を聞いて、考える裏金両親。

 

 まさか、子供の口から人間やめて鬼になりましたと言われて、すぐに理解できる大人はいない。だが、実の息子やその嫁を信じていないわけでもなかった。少なくとも、人間を辞めているという点に関して言えば、老化していない点などで思い当たる節があったからだ。

 

「冗談だと切り捨てたい気持ちはありますが……嘘ではないようですね。詳しくお話を聞かせてもらいます。私達が納得するまで帰しませんから、そのつもりでいてください」

 

 それから、ほぼ三日三晩、裏金銀治郎と胡蝶しのぶは、両親に今までの事を説明していった。前職が警察関係という就職先から嘘であった事を暴露、命を懸けたボランティア事業で雀の涙みたいな報酬で馬車馬のごとく働いていた事を暴露、職場仲間に貶められた事を暴露、他にも列車事故の隠ぺい工作をした事や政財界の者達に非合法の薬物を売りさばいている事などもすべて暴露した。

 

………

……

 

「銀治郎、色々と言いたい事はあります。ですが、胡蝶カナエさんの件は、よくやりました。誇っていい事です。ですが、何がどうなったら二人がアンブレラ・コーポレーションのトップをしているのか、まったく理解できません。あの企業って、『子作りから墓場まで』というキャッチフレーズで有名なコレよね?」

 

「えぇ、その企業です。元々は、鬼滅隊の活動資金を稼ぐ為にしのぶさんと立ち上げたフロント企業なんですけどね~。壊滅した鬼滅隊から独立して、一部隊士を社員として再雇用しています。あぁ、社割で買えるので欲しい商品があったら、直接連絡してくださいね」

 

 裏金銀治郎の母は、改めて息子の事を理解した。

 

 頭のいい馬鹿というのは、自分の息子みたいなことを言うのだと。だが、たった一人の息子を大事に思う母の気持ちは変わらなかった。何より、その息子が今は幸せだというのだから、それで満足していた。

 

 

◇◇◇

 

 裏金銀治郎は鬼である。その為、睡眠を取らなくても体調を崩す事がない最高の企業戦士であった。だからこそ、アンブレラ・コーポレーションを完璧に回す事が出来ている。

 

 だが、人であったころの名残もあり何日かに一度は睡眠をとっている。もちろん、胡蝶しのぶも同じベッドで疲れて寝ていた。夜の運動を終えた二人は、淫匂が漂い部屋で快眠する。

 

 そんな快眠を妨げる者が存在した。

 

『やぁ~銀治郎。そちらでは、冬だったかな? そろそろ、例の艶本の新刊が出ているから、お焚き上げをしてね』

 

『耀哉君~、新刊発売時期になったら人の夢の中に現れるとは人間辞めているね。というか、なんで平然と私と話せるの? 艶本の心配するより、子供たちの心配しろよ』

 

 夢で語りかけてくる産屋敷耀哉。

 

 本来ならあり得ない事態だが、裏金銀治郎は原作を知っているので、このような事態が存在することを理解していた。死者が生者に話しかけてくる。確かに、そういうシーンは数々あった。

 

 感動的シーンでなく、エロ本を送ってくれとお願いしてくる元・上司。だが、その馬鹿さ加減は嫌いではなかった。

 

『そんな事ないさ。私以外(・・・)だって、君の夢に来ているじゃないか。それはそれとして、子供達は、どうなったかい?』

 

『はぁ~。ひなきは、先天性の遺伝子障害を治療したよ。鬼にした後に人間に戻した。これで、男を生んでも真っ当な人生を送れるだろう。産屋敷輝利哉は、不死川組の神輿になっている。姉妹達同様に()()()()()()()()()()()()()()()()に売れたんだけどね。襲撃されて、彼だけが強奪されたよ。来月には彼だけがそちら側にいくだろう。悪く思わないでくれ』

 

『運命だったと思うことにするさ。それで、遊郭の出資はどこなんだい?』

 

『勘がいいね。アンブレラ・コーポレーションだよ。ひなきには、定期的に会わせているから心配不要だ。多少の不自由は強いているが、殺さないだけ慈悲があると思ってほしい。それと……彼女達に子供を産ませる気はない。遺伝子障害を抱えているんだ。生まれてくる子供も不幸になる』

 

『ありがとう、銀治郎。そうだそうだ、今日は新しい人を紹介するよ。どうしても、君にお礼が言いたいと』

 

 裏金銀治郎は、夢の中だというのに早く眠りにつきたいと思ってしまった。どうして人様の夢に土足で踏み入れてくる連中が多いのだと。

 

 元・上司の横に一人の女性がいた。もちろん、会った事すらないが見覚えがあった。

 

『いつも、炭治郎と禰豆子がお世話になっています。もう、本当に……本当に』

 

『竈門母!? なんで、こっちの夢に出てきているんですか!! 炭治郎君や竈門禰豆子さんのところとか行くべきところがあるでしょ』

 

 涙を流して深くお辞儀をする女性。

 

 紳士である裏金銀治郎には、それ以上言えなかった。死んだ母親にここまで心労をかける兄妹は罪な連中だ。本当に、罪深い事をやっているのだから、擁護できない。

 

『禰豆子は、鬼であった頃なら多少干渉できたのですが、今はできません。禰豆子を人間に戻していただきありがとうございます。二人は、元気でやっているでしょうか?』

 

『あっ……。二人は、元気でヤってますよ。今では、子供もいて竈門家は安泰です』

 

 裏金銀治郎は、察した。竈門母の情報は、禰豆子が人間になった時点から更新されていないと。つまり、禰豆子が第二子を懐妊した事すら知らない。だからこそ、裏金銀治郎は、心配をかけないように真実だけを教えた。

 

 これが紳士の仕事だ。

 

『そうですか。二人に【母はいつも二人の幸せを祈っています】と、お伝えください』

 

『わかりました、【母はいつも二人(・・)の幸せを祈っています】と必ず伝えます。そして、盛大な結婚式もさせましょう』

 

 たとえ、それが第三次竈門炭治郎の乱になったとしても!!

 

 子を思う母親の気持ちを台無しにするような二人ではない。そんなことは、裏金銀治郎がさせない。結婚式の資金くらいポケットマネーでいくらでも出す所存でいた。それをネタに食べる料理は実においしいだろうと考えていた。

 

………

……

 

 夢の中だというのに、目の前に裸の女性がいる。

 

 その女性は、胡蝶しのぶではなかった。だが、同じ胡蝶の姓を持つ女性である。夢とはいえ、完全にアウトだ。

 

『今更、拒絶したって駄目ですよ。大丈夫ですよ、夢の中ならばれません。現実では、しのぶが、夢では私が……姉妹が協力しての夢のコラボですよ』

 

『それがまずいんですって、カナエさん。貴方も、夢に出るならしのぶさんの方に出るべきでしょ!!』

 

『関係ありません勃てなさい 金柱 裏金銀治郎』

 

『関係あるでしょ!! 胡蝶カナエさんの妹さんの事ですよ』

 

 これが本当に夢のコラボであった。

 

 現実では、胡蝶しのぶが裏金銀治郎のムスコをお世話している。そして、夢では胡蝶カナエがそれをリスペクトする。一粒で二度おいしいとはこの事である。背徳感も混ざり最高に興奮するシチュエーションであった。

 

『あら、じゃあ、しのぶの夢に出てもいいのね。もちろん、ここでの事を全て話しちゃうかもしれませんが~』

 

『許してクレメンス。カナエさん、なんでも言ってください』

 

『じゃあ、女の子が産まれたら、カナエって名付けてくださいね』

 

 裏金銀治郎は、理解した。

 

 人間は、鬼を食い物にする存在なのだと。

 




最後の最後まで、お付き合いただきありがとうございます。

こんなノリの作品でしたが、長い時間お付き合いいただき
本当にありがとうございました。

特に感想をくださった皆様。
本当にありがとうございます。
鬼滅の刃SSで当面は抜かれない感想数を記録できたのは、皆様のおかげです!!


外伝のNHK特番は、頑張って執筆いたしますので、しばしお待ちください。
外伝が終わったら、完結にチェックいれる^-^


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