上弦の参を撃破という報告は、鬼殺隊にとって衝撃的な出来事であった。だが、胡蝶しのぶにしてみれば、上弦程度では姉……裏金カナエの敵にはなり得ないと直感で理解している。
恐らく、他の柱達も裏金カナエの秘める実力に薄々感づいている。だが、触れない。藪をつついて蛇を出す結果になったら困るからだ。
『見てください、銀治郎さん!! 本当に鏡面みたいです。世の中は、不思議がいっぱいです』
『しのぶさんが、喜んでくれて何よりです。にしても……今日は、白ですか』
『って、誰がスカートの中を見てって言いましたか!! 何で、人が感動しているのに、どうして水を差しますか』
鏡面を利用して、妻のスカートの中を覗く変態という名の紳士。下半身的事情で思春期の世界で一番男性がお世話になった淑女。微笑ましい日常がそこには映っていた。
「へぇ~、これがウユニ塩湖。いいな~、世界は広いわね」
裏金銀治郎と裏金しのぶのプライベート写真や映像を閲覧中の彼女。行く先々で現地の民族衣装で逢瀬を楽しむ写真や動画が無ければ、どれほど心が楽になっただろう。そんな夫婦の情緒が挟まれるにせよ、幸せそうな自分がそこに映っている。
胡蝶しのぶは、そんな女の幸せを少なからず羨ましいとすら思い始めた。
そんな思いにふけっていると、廊下を走る足音が聞こえる。そして、胡蝶しのぶの私室の扉がノック無しで開かれた。当然、開けたのは裏金カナエである。
「ママ~、とりあえず上弦の参を処理してきたからパパと<<放送禁止用語>>する許可を頂戴。ねぇ~ママ。カナエ頑張ったんだからイイでしょ。ママの代わりに、重労働も引き受けているし、そろそろご褒美が欲しいな~」
布団にうつぶせになって、足をパタパタとさせる胡蝶しのぶ。
どこからどう見ても、健康そのものだ。寧ろ、タブレットを見ながら布団から出ないその姿は、未来のJKにありがちだ。その様子に、裏金カナエは胡蝶しのぶが未来人という世間一般説を支持したくなってきた。
当然のことだが、裏金カナエが元いた世界では、胡蝶しのぶが未来人ではないかと説がある。未来を先取りしたかのような、エロさは大正時代ではあり得ないとされている。
「ママは、心労でまだ布団からでれな~い。そうですね~、吉原に上弦が潜んでいるって日記にはありましたので、それを討伐してきたら
事実その通りだ。無駄にハイスペックな両親から産まれてきた存在ではない。
裏金カナエは、胡蝶しのぶの思惑を察した。全ての上弦を殺して、無惨まで殺さなければ、許可を出す気が無いと。
だが、従う以外の選択肢は裏金カナエにはなかった。
別次元とは言え、胡蝶しのぶは妹であって母親でもある。よって、たった一言、許可を貰うため、裏金カナエは胡蝶しのぶの従順な犬となり、鬼討伐を履行する。
「――ねぇ、ママ。もしかして、パパの事を気になっていたりする? その映像に映っているのは、ママであってママじゃないんだから、忘れちゃ駄目だよ」
「分かっています。私は、既に女である事を捨てています。確かに、
「うん? 今、パパの事を銀治郎さんって言った?」
「あぁ~、間違えました。裏金さんでしたね」
なにやら、腑に落ちない感じだが、裏金カナエはとりあえず他の上弦を潰す算段を立てる事にした。場所が割れている上弦なんて、まな板の上の鯉と同じである。裏金カナエという強靱な刀が振り下ろされれば、一瞬でケリが付く。その程度の存在でしかない。
………
……
…
太陽が照らす時間。鬼が隠れ潜み、日が沈むのをじっと待つ時だ。そんな時間を有効活用しないなど愚の骨頂だ。
吉原の花魁という所まで、鬼の詳細が割れていれば探せないはずが無い。日頃の行動パターンからの理論詰め、産屋敷耀哉の第六感、竈門炭治郎の嗅覚、我妻善逸の聴覚、柱達の勘――これらが協力し合う。
そして、真っ昼間に吉原で鬼退治が行われる。
本作戦には、柱全員と裏金カナエも参加しており、過剰戦力どころではなかった。初手から全力で殺しにかかり、太陽に照らして焼き殺すという作戦だ。
「みなさん、初手から奥義で殺してください。出し惜しみなんて時間の無駄です。今日だけで、本日のスケジュールは夕方にも上弦が控えています。いいですか、タイムアタックです」
「早く、始めさせろ。俺は鬼を殺したくてウズウズしてんだ」
「俺には、関係ない」
「ほらほら、カナエちゃん。美味しいって評判の金平糖だよ。あーーん」
風柱、水柱、恋柱……どいつもこいつも協調性の欠片もなかった。だが、そんな事など些細な問題だ。ラストダンジョンでしか手に入る事がなかった
この時、鬼殺隊からの総攻撃が始まろうとしている最中、竈門炭治郎だけがソワソワしていた。それは、どのタイミングで上弦の血液を取得するかだ。妹を人間に戻す為のキーアイテム。だが、柱達の総攻撃で尻の毛一本残さず殺される可能性の方が高かった。
ぼりぼりと金平糖を食べつつ、裏金カナエは竈門炭治郎の不安を解消させてあげようと行動に出た。鬼の血液を手に入れるため、邪魔される可能性は排除したかったのだ。
「ピュア治郎君、上弦の血を集めている事もその目的も知っていますよ~。私が居た世界じゃ、鬼と人間を何度も行き来した竈門炭治郎という人が実在します。それを行ったパパとママがいつまでも私を野放しにしていると思えないので、近い将来にコチラに来るでしょうね。その時に、頼めば人間にしてくれますよ。禰豆子さんとも知らない仲じゃありません。ですが~、その時、私の口添えがあれば事がスムーズに運ぶと思いません?」
この言葉で竈門炭治郎の心の風景が一変した。つまり、上弦の血液を無理に集めなくても妹を人間に戻せる。不確実な珠世案より、確実で近い将来現実になる案がそこにある。どちらが有益かは言うまでもない。
「犬とお呼びください。カナエ様」
「そこまで卑下にならなくても良いんだけどね。でも、鬼は全滅させておかないといけないのよ。確か、この世界にも無惨の呪いから解放されている鬼が居ます。後は、言わなくても分かっていますよね、ピュア治郎君改め、炭治郎君」
炭色に染まった心を持つ男には、それが何を意味するか直ぐに分かった。人は、こうして大人になる。
その日、遊郭の傍らで日が沈むのを待つ、鬼の元に赫刀を持った一撃必殺を心に誓った歴代最強の柱達が強襲をかけた。当然、逃げる事も反撃する事も出来ず、秒殺される上弦。これが、数百年倒される事が無かったと言われる鬼の末路だ。なぜ、ここまでお手軽で倒せる鬼に今まで鬼殺隊が苦戦していたのだろうかと悩まされる事になる。
………
……
…
鬼殺隊の活躍は、歴代最高の輝きを見せる。
上弦の参、上弦の陸が倒された。しかも、上弦の陸に至っては、裏金カナエの力を借りずに柱達だけで倒したのだ。そして、次なる上弦が日を置かずに狙われる。
芸術家気取りの鬼…上弦の伍だ。
産屋敷耀哉の直感、超能力紛いの第六感があれば、正体不明の壺を売る芸術家を探すことなど造作も無い。それに、この世界ではビルゲイツ並みに金をもつ産屋敷家だ。直感、人脈、金が合わさりあい、該当者は直ぐに浮かび上がる。
そして、商談を称して呼び出したのだ。壺を褒め称えたら、チョロ過ぎる位に一人で現れる上弦。今まで、数々の柱を返り討ちにした事、夜ならば何があっても負ける事がないと考えた慢心からくる行動だ。
「貴様等ぁーーー。こんな罠を用意するなんて!!」
「ばぁーか、いいからさっさと死になさい。私は、ママから許可を貰うため、鬼を全滅させないといけないのよ。弱点を持っているくせに、人間を舐めすぎ。さぁ、後は任せたわ、私は自分の仇を討ちにいきます」
裏金銀治郎ですら、人間に対しての警戒を決して忘れていない。寧ろ、鬼である世界最強の一家を殺す事ができるジョーカーだと思っている。人の進歩は早い。だからこそ、それをコントロールし、情報を手に入れられる立場にいる。
「任された」
上弦の伍は、既に手足をもがれて床を這いつくばっていた。更には、背中に何本も赫刀が刺さっており、じわじわと崩壊が進む。そこにトドメで鬼殺隊最強の男―悲鳴嶼行冥が得物をブンブン振り回す。
上弦の参が討伐されてから、数日も経たず、2匹の鬼が後を追う。
目標は残り数話。
既に終わりは考えました^-^
PS:
パズドラでコラボやっていたので、
しのぶさんを召喚できて大満足だわ。
来てくれたから、しのぶさんをムチャクチャ(幸せ)にしてあげる。
折角なので、裏金一派に乗り換えた人達の子孫一覧を作ってみた。
完全にネタです^-^
さぁ、幾つ元ネタがわかるかしら。
●アンブレラコーポレーションが誇る武力解決部隊
※困ったら、殴って黙らす。主にワールドワイドで活動中。
竈門 勇次郎…背中に鬼がw
我妻 拳志郎…雷の呼吸 終の型 無想転生 とか使えます。
セガール・冨岡…食堂コックとして、テロリストすら制圧できます。
宇髄 ケンジ…「ドウモ ウラガネ=サン」が口癖のニンジャ。
デューク・時透…俺の後ろに立つな とかいつも言っています。
煉獄 皐月…どこぞの生徒会長をしています。神衣なんちゃらとかw