鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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なんか、急に思いついたので!


外伝:A社とB社

 令和のとある日の出来事……日経平均を大きく下げる大事件が発生した。GAFAの一角であるアンブレラ・コーポレーションの株価が10%も下落した。

 

 それもそのはず、あの傘のマークで有名な某企業の不正発覚。更には、調査を進めれば出てくる不正の嵐。保険会社へも波及し、その波は津波へと変化をして各業界に影響を及ぼした。

 

 民意による結果、アンブレラ・コーポレーションのCEOが国会に参考人招致される。そのヒアリング内容がコレである。

 

『アンブレラ・コーポレーションCEO裏金銀治郎……失礼ですが、ご本人で間違いありませんか?資料では、今年で【ピーー】歳だとあります』

 

「間違いありません。我が社のアンチエイジング技術は、世界一です」

 

 有象無象の国会議員達に囲まれた場で裏金銀治郎は平然と応対する。何もやましい事はない。こう言う場合、影武者などを用意した方が後から困るのは明白だ。だから、素直にご本人が国会に来ていた。

 

 その中継は、全国生放送。

 

 一部の国会議員達は、特権階級……上級市民と呼ばれても差し支えない者達が大嫌いだ。なぜなら、その恩恵を受けていないため、ここぞとばかりに自身のフィールドに出てきた、アンブレラ・コーポレーションのCEOをフルボッコにしてやろうと思っている。

 

『○ックモーター(以後、B社)とアンブレラ・コーポレーション(以後、A社)の関係について、いくつか質問があります。まず、B社のロゴマークがA社のログマークと大変酷似しております。ある筋からは、A社から許可を貰っており、A社と親密な仲であるとも情報もありました』

 

「全く関係ありません。弊社は、子作りから墓場までをモットーにあらゆる業界に進出しているのは認めます。その中で、少なからずB社とも何かしらの取引はあったでしょう。寧ろ、弊社の製品を全く利用していない業界を探す方が大変なレベルです」

 

 ここまでは、予定調和である。裏金銀治郎としても、こんな茶番を終わらせて早く家族の為に、夕食の準備をしたいと思っている。そもそも、このような事態にならないように、何人もの子飼いの議員が要る。

 

 裏金銀治郎が、議席に座っている議員に目を向けると、脂汗をかいて頭を下げる議員達が何人も居た。

 

『それはおかしいですね。B社の経営陣からは、「商品に穴を開けて、修理費を稼ぐアイディアは、A社から得た」と言っておりました。数年前にA社の製品(食べられるコンドーム)に穴を開ける仕事をしている者がいると内部告発があったのは記憶に新しいです。人の生死に直結する大問題であったのに、何故か厳重注意で終わった案件です。その際に、A社からの告知は覚えていますか?』

 

「無論です。弊社では、ベビー用品も作っております。ですが、件の厳重注意を真摯に受け止めて、穴が開いているけど食べられるコンドームを製品化した記憶があります。コレで満足ですか?」

 

 この頭のおかしい製品開発者は彼の妻だ。オブラートからヒントを得て作ったとかで、実は結構売れている商品だ。他にも、尿をリンゴジュースの味にする薬など、採算を度外視しているアホみたいな製品が沢山ある。

 

 ちなみに、それらの商品を購入している中には、この場にいる汚い大人達も含まれている。

 

『……製品名は別として、貴方の言うとおりです。つまり、B社は、A社に習って製品に穴を開けたのだから、我が社も厳重注意で終わらすべきだ。だというのに、B社だけ国交省を交えた検査や第三者機関の調査を受けるのはおかしいと疑義がありました』

 

「聞いていて思うのですが、正直、我が社は全く関係ない案件ですね。ただ、ロゴが似ていることを良い事に既に解決した問題を蒸し返して、注目を逸らそうとしているのは明白です」

 

 聞いている誰もが思った。どう考えても言いがかりである。この程度の事でA社のCEOを国会に呼び出したとなれば、許されない。しかし、世論を味方に付ければ、A社に第三者機関による査察を実行できる。コレこそが、無理矢理今回の事を行った議員達の目的だ。

 

 彼等は、国外の有力者達から支援を受けている。どうしても、A社の企業秘密や謎多い人物である裏金一家の情報を欲していた。だからこそ、今回のような事が起こってしまった。

 

『我々としては、A社も査察を受け入れて無実を証明して欲しいと思っています。A社に何ら問題がないというならば、大した事では無いと思いますが、いかがですか?』

 

「面白い冗談を言いますね。議員、今からメールを一通送りますので、それを確認した上で今の発言を撤回するか、ご判断下さい」

 

 トカゲの尻尾切り。A社の息の掛かった議員達は、今回の発端となった議員のスキャンダルを提供した。議員仲間であっても、A社に喧嘩を売るなら癌でしかない。日本においてA社と敵対すると、最低限の人間らしい生活を送れるかすら怪しい。それほどまでの金と権力を持っている。

 

 裏金銀治郎を問い詰めている議員の携帯に、数々の汚職、未成年との援助交際、浮気、議員特権を使った様々な犯罪行為の証拠が届けられた。これが世に出れば、本人だけで無く家族もお終いのレベルだ。

 

 顔面蒼白になる議員。

 

 その様子が全国生放送だ。自称一般人が、議員を脅しているようにも思われるシーンだが、何も問題はなかった。TV局も既に手中に収められており印象操作はお手の物である。

 

「おやおやおや、顔色が優れませんよ議員。ちょうど、近くにA社が運営をしております病院があります、検査入院なさいますか?今なら、VIP待遇でご案内致しますよ」

 

『―――す、全てを取り下げします。この度は、ご足労ありがとうございました』

 

「それはよかった。私としても誤解が解けて何よりです。後、B社への対応は期待してもよろしいでしょうか?今後このような事がありましたら大変困りますので」

 

………

……

 

 こうして、裏金銀治郎の華々しいTVデビューが終わった。当然、彼の顔を知る妻の同級生達からは、様々な質問が寄せられる。総資産額が兆という大台の資産家妻であるのだ。そりゃ、友達も増える。だが、そんな夫より、裏金しのぶの方が総資産が多かった。未来を知る血鬼術がある彼女に勝てるトレーダーなどこの世に存在しない。

 

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