鬼は嘲笑う、鬼が嘲笑う   作:ねこのふすま

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ちょっとした箸休め、セリフは殆ど無いし
本編には…関係ないんじゃかいかな???
 やまなし、おちなし、いみなし


箸休め、小話

 鬼舞辻無惨を祖とする人喰い鬼、鬼として生きる酒呑童子は平安時代から長く息を続けている。

 無惨は人として生まれ、病弱な身体に施された薬により日を浴びれぬ人喰い鬼へと変わり大正の時代まで生きてきた。

 酒呑童子の出生は不明ではあるが、無惨が鬼となった頃には大江山にて鬼の居城を構えていた。

 決定的に違う部分は本来討伐するはずの源の者がおらず、酒呑童子の頸を斬る者がいなかった。

 そして暴虐をつくし、若い姫君を攫う筈であった酒呑童子はあまり人を攫いはしなかった。しなかったとは言えど、気分がのった時には京へとおりて愛でたいと思った者を誘惑し、陥落させ側に仕えさせてはいた。

 飽きるまで愛で、飽きるまで可愛がり、飽きるまで蕩けさせ、酒呑童子がいなければ生きられない程に依存させた。

 

「あな、大江の鬼、貴女に喰はるればほいにさぶらふ。いかでか、いかでか我を食はせ給はぬや?」

 

 顔を紅潮させる懇願する姫君の頬に手を這わせ、心の底まで握り潰すような冷徹な眼で姫君を食する。肉体的に、肉欲的に、腹も性も満たして満足して逝くように食べ尽くす。

 口元を紅く濡らしながら、酒呑童子は満足して息を吐く。

 

「ごちそうさま」

 

 鬼は平安時代、鎌倉時代、室町時代、安土桃山時代、江戸時代、明治時代、そして大正時代。長く、とても長く生きてきた。

 それぞれの時代で色々な人や化け物とも出会い、殺し合い、愛で愛でられ。

 

 その中で酒呑童子が印象に残っている者が戦国時代に一人いた。

武の才に愛された者。全てにおいて規格外の強さを有している剣士、名を縁壱と言った。

 

(頸を斬られかけそうになったのはあの時だけやったなぁ)

 

 縁壱が振るう剣先は滑るように頸へと走り、本気で回避していなければ頭と身体が二つに分かれていたであろう。

 小さい時はあんなに可愛かったのに、どうしてこうも拗れてしまったのかと、その時だけは酒呑童子さえも溜め息を吐いた。

 

 この世界の親子、兄弟、姉妹、双子、恋仲、全てにおいて言葉も足らず態度も足らず。死んでからでは遅いと言うのに、言いたいことは言わなければ伝わらないというのに。

 兄の事を語る縁壱の隣で酒呑童子は思うが、口にはせず酒を呷る。

 

(兄の事を語るときだけ、嬉しそな顔しとる)

 


 

 時は変わり江戸時代。無惨の目の前で酒を呷り、不快そうな無惨の顔の近くで(おくび)をかける。

 心底嫌そうな表情をするので、酔っている酒呑童子は腹を抱えて笑って貶す。

 貶された無惨は殺そうと腕を振うが、酒呑童子は笑いながら避けてまた一献を傾ける。

 今回無惨を呼びつけた理由はとばっちりに対する文句を言い、ついでに揶揄って楽しむ為に酒を呑む。

 とばっちりの理由は人喰い鬼を殺す為に作られた鬼殺隊が、酒呑童子を同じ鬼と思い襲ってくる事について。

 人から見ればどちらも鬼に違いは無いが、無惨が醜くも生き続けている事で同じに見られてしまうのだ。

 腹が立って出会い頭に無惨の頭を蹴っ飛ばした事もあった、あの時は流石に無惨も抵抗をしてきたので何日も殺し合いを続けた記憶が懐かしく感じる。

 

 しかし悪い事もあるが実は良い所もあって、最近では天狗の面をつけた少年を気に入って付け回したりしている。

 天狗の面を取ればとても可愛らしく、優しい顔をしている。

 それを揶揄うと本気で怒ってくるのだが、怒ってくるのが楽しいのでついつい揶揄ってしまうのだ。

 勿論、鬼と分からぬ様に少女の姿で会うようにしている。

 角を頭巾で隠す事の方が楽だが、変幻して鬼の角を隠し誤魔化す方が不意な出来事に対応できる。

 江戸時代では面倒事を避ける為に常に変幻で角を隠し、少女として振る舞うのが日常であった。




なんか外伝書くとしたら、ギャグ風味の方がいいかな…?
どんなのを期待していますかね…??

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