二話→一話→三話、四話→五話
どうもこんにちは、こんばんは元下弦の肆、零余子です。
運も悪く鬼狩りから逃げようとしていたら、もっと恐ろしい人と出会ってしまいました。
出会い頭の暴力、次は脅迫、そして実験台になりました。死にはしませんが死ぬところでした。
改めて思いますが、よく生きていたと自分を褒めたくなります。
(涙出そう……)
……今は何をしているか?
あの人の隠れ家で一人お留守番をしている所です。
あの人は何時も唐突に出かけ、唐突に帰ってくるので、今は自己防衛の力を得るまではここでゆっくりとしています。
あの時、意識を失っていた私はここへ連れて来られ、目が覚めたら衝撃な真実を告げられました。
ついでに
今の私は血鬼術は使えない。
きっ……鬼舞辻の力で鬼になっているのではなく、鬼其のものになっているらしいので使用する事が出来ないらしい。
その代わり身体能力は今までの倍以上、身体の再生能力の
前のように頸を鬼狩りが持っている刀で斬られるか、日光に浴びて殺されると言う事は無いそうですが。
え、それって弱くなっていませんか?
そう口には出したかったけれど、ぐっと心の中で抑えていた。
しかし表情から考えていることを読み取られたのか、私の角を掴まれて折檻されました。痛い……。
あの人はやれやれとため息を吐きながらも説明はしてくれた。
これがあの御方だったら、命が磨り減っていたのだろう。まぁ、今の状態でも色々なモノが磨り減っていますけど……。
死ぬと言う恐怖は生きる故で大事な事、頸や日光を浴び無ければ死なないと言う傲慢は油断や隙を生む。
日光を浴びれる様になったのだから、日光浴でもしながら生きる為に色々と考えろ。
丸投げされた気分ですが、言いたい事は何となく分かったような気がする……?
そんなこんなで縁側で日光浴しながらお茶を啜り、お留守番をしていると言う事に繋がるわけだ。
日光って暖かくて、荒んだ心が癒やされる様な気持ちになる。
今までは恐怖しか感じなかった物がこうも変わるとなると、ほんの少し……本当にほんの少しだけこの身体に変わった事を喜ぶべきかと思った。
(ふわぁっ……眠いなぁ)
この身体になってから色々な欲を感じるようになった。
食欲、これは人間を食べたいという飢餓ではなく普通の料理などに対する食欲が生まれた事。
睡眠欲、今のように日光の暖かさで眠くなる様な事も起きるようになった。
あとの欲求は……割愛で、聞かないで。
(今日はどこに行ってるのかなぁ……えっと、珍しく行き先を言っていたけれど確か)
場所は浅草だったっけ?
──東京府、浅草。
夜になれど眠らぬ街。灯りが夜なれどこんこんと行き交う者達を照らし続ける。
三階建ての建物が立ち並ぶ中、人に紛れて酒呑は行く。
今紫色の着物、万寿菊の模様をあしらえた特別な着物を着て、頭巾を被る。
着物に合わせた羽織りを着崩しながら歩く様は酒呑が小さな背丈であろうとも、艶姿は気づく者を振り返らせるぐらいに美しくあった。
(相変わらずやかましい、賑やかなのはいい事だが)
道中、何度も声をかけられたがのらりくらりとやり過ごして表通りから少し離れた路地で一休みをする。
こうも厚着をするとどうも動きづらい、何時もの服装の方が快適だとため息を吐く。
態々、夜の浅草に顔を出した理由はただ一つ。
(流石に下弦に手を出せばバレるよねぇ……)
──鬼舞辻無惨との密会の為に訪れた。
零余子を掌中に納めてから数日後。伝言役兼酒呑を殺す為に使われた使い捨ての鬼から、浅草にて待つと言われた。
別に行く必要も義理もないのだが、無闇矢鱈に刺激するのも後の厄介事に繋がる可能性がある。
それに、丁度暇でもあったので茶化す為に酒呑は赴く。
「辛気臭い面やろうなぁ……えんがちょ、えんがちょ」
「無惨とうち、どっちがつらい……?」
「……両方です(確固たる意思)」
その後、隠れ家がでは(ry
それでも貴方に生きてほしかった……!
本誌は辛いのぅ……サム。
けど、その死は大事な死なんやな……いつも思うけど言葉にするのが遅すぎるよ、遅すぎるんだよ……!
これもう救えるかわかんねぇなぁ……。
あっ、カナエさん……。