鬼は嘲笑う、鬼が嘲笑う   作:ねこのふすま

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お短め。

最新話読んたけど、やっぱり無惨は頭無惨やった。


鬼と鬼蜘蛛

 竈門炭次郎の物語が那田蜘蛛山(なたぐもやま)に差し掛かる間近、山の調査を任命された十一名の鬼殺の剣士達は闇世の森の中を進む。

 剣士の一人、村田(むらた)は辺りに鬼の気配がないか警戒する中、一つの違和感を感じていた。

 どうしても山へ訪れた時の人数と、今いる人数に違いがある気がする。

 

(一人多い……誰が増えたかは分からない。けど、やっぱり一人多い!)

 

 疑問に思っても口にできない理由は、確固たる確証が村田自身が用意出来ないためだが、他の九名の剣士達も心中では同じ事を思っている。

 村田の視線が左後ろを歩くダボついた隊服を着る小柄な女剣士に向けられる。袖頭巾を被り、表情が判別しづらいが口元だけははっきりと見えた。

 笑っている、この状況下で小柄な女剣士は笑っている。

 しかし疑おうと頭を働かそうとするが、何故か上手く考える事が出来ず頭に(もや)がかかっているような宙ぶらりんな状態になっていた。

 この山に入って、人数に違いを感じてから甘い果物の香りが漂う。最初は鼻をつくような刺激臭が風に漂ってきていた。しかし今は果物の山の前にいるように、甘ったるくて蕩けるような感覚が全身を包む。

 

(まあ、いいか……うん)

 

 村田は考える事を止め、ぼんやりとしたまま歩いていく。

 十名の剣士たちを見ている袖頭巾の剣士はまたくすりと笑い、後をついていく。

 一人、また一人と力が抜けていき座り込んでいく。その姿を心配もせずに残った者達は先に進んでいく。

 

(甘い、甘い、甘ったるい)

 

 村田は最後の一人になりながらも、必死に考えながら歩いていく。

 不意に肩を叩かれて振り返る、そこには袖頭巾の剣士が村田の後ろで覗き込む形で嗤っていた。

 

「もう一人やで」

 

 鬼は最初からいた、紛れていた。甘い空気が一瞬で霧散、柄に手をかけようとするがそれよりも先に刀の頭を手で押さえられて抜刀する事が出来なくなった。

 空いた手で袖頭巾を捲り上げる、視線が合う。呼吸の音を聞いてしまい、その存在を認識していく度に村田な意識は朦朧となる。

 鬼は頬の上に、描いたような笑みを漂わせながら言の葉を紡ぐ。

 それが村田が意識を手放す前に聞いた最後の言葉だった。

 

「ねんねしなはれ」

 


 

 物語が蜘蛛の山に近づく最中、偶然にも出会った鬼殺の剣士とひと悶着あり。どうしてか意識を手放した剣士から衣服だけを奪い取り、那田蜘蛛山を調査しに来た剣士達に紛れてみた。

 直ぐにバレてしまうんでないかと、ワクワクはしていたがこちらをチラチラと見はするが誰も声を上げなかった。

 しかしこれでは身動きが出来ない、仕方がなく剣士達を酔わせ蕩けさせてようやく一人となれた。

 遠目からぼんの成長具合を見るためだけに来たのだが、これなら普通に入山していた方が楽だったかもしれない。

 

「えらい着心地がええわ、こら気に入りそう」

 

 通気性が良いが濡れづらく、燃えづらい。実験してみたから分かるがちょっとやそっとの力では破けない。

 隊服を剥ぎ取られた剣士に感謝をしつつ、倒れた剣士達を一箇所に纏めて置いてから先へと進む。

 

(蜘蛛、蜘蛛、子蜘蛛。やっかいな奴ら、いっその事酒で満たしてしまえば蜘蛛の心配をしなくてすむかな? いや、山が臭くなるなぁ……)

 

 糸に絡めとられない様に歩きつつ、何処か高みで見物出来ないかと場所を探す。この山に来るぼんならば見ていて飽きはしない。

 軽い足取りはさらに軽くなり、鬼殺の服を着ている鬼と言う冗談の様な鬼は那田蜘蛛山の中を歩いていくのであった。

 

(そういえば最後の一人、何処かで知っている様な……いないような。うーん……誰だっけ?)

 

 哀れ村田の名前は思い出せず、せめてもと隊服を奪った剣士の事を思い出す。総髪の美人な女剣士、ありがとう。流石に全裸は可哀想なので羽織をあげたので許して欲しい。




隊服を奪われたのは尾崎さんです。
那田蜘蛛山で死なずにすんだから許してくれるよね……けど、サイコロステーキ先輩はどの世界線でもサイコロになるだろうな。

なお、酔わされたといって生き残るかは不明なもよう。
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