ソードアート・レジェンド外伝ゼルダの伝説編 作:にゃはっふー
時計台へと向かうユウキとシーク。スタルキッドは空を飛び、そのまま真っ直ぐ屋上へ行く中で、曲がり角でアスナたちと合流した。
「ユウキっ!! それに」
「あなた、確かテイルの仲間の」
「話は後だ。このまま時計台へっ!!」
「はっ、はいっ!」
アスナと共にいるユイ、リーファ、リズベット、シリカ、クラインは驚きながらも走り、ユウキはアスナの隣を走る。
「アスナ、キリトやシノンは?」
「ううん、こっちじゃ見つからなかったの」
「みんなと別れたんだけど、お兄ちゃんらしいデクナッツ族? や、シノンさんらしい人はいるんだけど、いまお祭りが近いから、人が多くって」
「ですけど、途中で町の皆さんが虚ろな目になって、ここまでくる間に人がいなくなっていったんです」
リーファとシリカからそれを聞き、アスナたちは走る。
そして一度時計台の中に入り、その中を駆け上っていく。
外の喧騒が聞こえない中で、なにか異常な雰囲気を肌で感じながら、屋上へと出た。
「って………」
ユウキだけでなく、アスナたちも絶句した。
時計台の屋上、時計台はこの町で一番高い建物であり、町の周りに比較できる山などはない。ここから見る景色は広々としている。はずだとユウキは思う。
いまはなぜか、人の顔をした月が迫り、町の空を覆い隠す、いやそれよりも巨大であり、町を含めた平原まで覆い隠すほど巨大な瞳を見つめる。
(まるでこっちを見てるみたい………)
「なんじゃこりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
「さっきまであんなの無かったわよね!?」
クラインやリズが驚愕すると、それをあざ笑うように声が響き渡り、何かが駆け抜けた。
すぐにそれを避けると、馬にまたがる、巨大な角を持った騎士がいる。
『おいッ! わざわざ異次元から連れ出したんだ。ちゃんと役に立てよ』
【………仰せのままに】
そう言って空を駆ける馬に乗った騎士は槍を構え、アスナたちへと迫る。
【我が名は『異次元悪霊ファントムガノン』。お前たちも月の贄と成れッ!!】
その宣言と共に景色の違う絵画が出現して、時計台の屋上を囲む。
消えるように姿が消えたファントムガノン。その姿は絵画の中にあり、掛け声と共に絵画の奥へと進み、姿を消した。
◇◆◇◆◇
絵画の中に消えて、身構えるアスナたちだが、すぐにクラインの側にある絵画から馬の声が響き渡る。
「危ないッ!」
ユウキの言葉にクラインも気づき、その突撃を躱す。
槍を構えながら走り抜け、そのまま別の絵画へと姿を消した。
「こっのおおぉぉぉ!!」
近くにあったその絵画に斬りかかるリーファだが、すぐに空へと離れ、剣が届かない。
「いまのあたしたちに遠距離攻撃なんて無いのにッ!!」
「ピナのブレスで………」
「ダメだよ!! 下手に近づいたら危険だわ」
アスナの言葉に全員が絵画に警戒しつつ、スタルキッドは空高く浮きながら腹を抱えて笑っている。この状況はまずい。誰もがそう思うが手が思いつかない。
その時だった。
絵画が突然、ユウキの背後に現れる。
「しまっ!? ユウキッ!!」
「ッ!?」
ユウキが振り向くと、絵画の世界から槍を構えて迫る騎士。
それに剣を構えようとするが、間に合わないと察する。
(この世界でダメージを負うとどうなるの……?)
その瞬間、ゾッとし、背筋が冷える。
アスナも同じだったのか、駆けだす様子が視界に入る中で………
「させると思うか?」
それは信じられないほど不機嫌な、ある男の声が響き、絵画が吹き飛んだ。
何かが閃いたと思った瞬間、絵画が地面へと無理矢理叩き付けられ、砕かれた。騎士は馬から落馬して地面に降り立ち、馬の悲鳴が響き渡る。
「えっ………」
ユウキたちが分かったのは、何かが一瞬のうちに接近して、とんでもない速度で絵画ごとファントムガノンを切り伏せた。
「なんだ、お前……?」
スタルキッドもそれに反応することができず、苛立ちを隠さずに呟く。
粉塵を剣風で吹き飛ばした男は姿を現す。
ハイリアのフードから顔を出し、蒼い服を着込んだ剣士が口元を釣り上げて笑う。その目は一切笑っていない。彼は不機嫌そうに告げた。
「ただの勇者モドキだクソッタレ」
「テイルッ!?」
彼が愛用する、赤髪の
◇◆◇◆◇
「さすがにキレると怖いな彼奴」
「まあしかた無いわね」
「キリト君、シノのんッ!?」
彼と同時に現れたのはシノンとキリト。少し呆れながら、銃を構えているシノン。馬を消したファントムガノンは、槍に雷を集め、テイルへと放つ。
「効くか」
それを叩き返すように剣を振るい、ファントムガノンに弾く。
何度も雷光が弾き、弾き返したりを繰り返すが、ファントムガノンは弾き返せず、雷鳴を受けて吹き飛ぶ。
瞬間、それは閃光のように接近して斬りかかり、痺れる中でテイルは剣で斬りかかる。槍を突き出したが突き刺さる瞬間に飛び上がり、槍先を踏み走り、すれ違うに切り裂く。
【ぐっ、おの】
「邪魔だ」
何かを告げようと振り向いた瞬間、ファントムガノンの口に矢が突き刺さり、それがいくつもファントムガノンを貫いた。
悲鳴を上げ、絵画の中に入り、馬の雄たけびと共に蹄の音が鳴り響く。
「絵画の中に入ればノーダメ。んなのはゲームの中だけだくそったれッ!!」
爆弾が彼の手の中に現れ、手当たり次第に爆破させる。その中でシノンもまた、愛銃を使い絵画を撃ち抜く。
【ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!】
絵画が砕けると共に悲鳴が響き、馬が吹き飛んだ。
「時間が無いんでね。いま、ここで、終われッ!!」
即座に斬りかかるテイル。その剣が身体を切り裂くと血飛沫のように黒い液体が噴き出し、再度槍に雷鳴を込めて放ったが………
「何千回もやってるんだッ!! 効くわけないだろんな攻撃ぃぃぃぃぃ―――」
そう言い、雷鳴を貯めに貯め込んだ攻撃は跳ね返され、ファントムガノンは悲鳴を上げて光り出す。その光が収まると共に消え去り、ファントムガノンがついに消滅した………
◇◆◇◆◇
「あーあ、あっけないな魔王の幻影って」
空に浮かび、その様子を眺めていたのか、スタルキッドが巨大な月の前に現れた。
テイルを見るスタルキッド。テイルは気にも留めず剣を振り回し、静かに剣先をスタルキッドに向ける。
「遊びは終わりだ。月モドキを落とすなんてこと、俺がさせると思うか?」
「ケケッ。粋がってもお前じゃなにもできないよ~」
そう言い、両手を広げるスタルキッド。暗闇があふれ出し、世界から雫のように、スタルキッドへと落ちていく。
「なんだこりゃ?」
「………なにか聞こえませんか?」
「なにこれ………」
何か声が聞こえる。とても小さく、それでも背筋を凍らせるような言葉がぶつぶつと聞こえ出す。
ユウキたちが青ざめる中、刃を構えるテイルは静かに目でシノンを見る。それと共にシノンはスナイパーライフルでスタルキッドを撃つが、弾丸が止まり、軌道を変えてテイルへと向かっていく。それを弾き、テイルは何事も無かったようにスタルキッドを睨む。
「お前じゃ無理さ。『勇気の勇者じゃない』お前じゃな」
「お前!?」
「さあ落ちろ月ッ!! 全てお前に捧げようッ!!!」
月へ暗闇が流れ込み、ゴゴゴッと言う音とともに月が動き出す。
それと共に地震で世界が揺れ動き、全員がその場で手を付く。
「スタルキッドっ!? いつものイタズラにしちゃ冗談にならないわよっ!?」
その時、スタルキッドから紫の妖精が現れる。
「勇者ッ!! お願い、沼、山、海、谷にいる四人の人たちを連れて来てッ!!」
「余計なことを言うなッ!!」
紫の妖精はスタルキッドから生えた巨大な暗闇の腕に殴られ、もう一人の妖精は悲鳴を上げる。
「おいおいおいおい、まずくないかキリトっ!?」
「だからって、こんな揺れの中じゃどうすれば………」
クラインたちもまずいことは分かってきたが、どうすればいいか分からない。
そんな中、テイルは何か考え込んでいた。
「テイルッ!! いまは考え事しないでどうにかしないとッ!!」
彼の懐から顔を出して叫ぶ妖精。それに我に返る。
「フェリサッ!? あっ、くそ、そうだな」
そう言って首を動かし辺りを見渡してシークを見つける。
「シーク『時のオカリナ』だッ! それを俺に貸してくれッ!」
「ッ!? あれか」
そう呟き、懐を探るシーク。その時、無数の人の形をした何かが現れ、襲い掛かり始めた。
「ちょ、なにこれ!?」
「き、気持ち悪いですッ!?」
ピナがシリカを守りながら、リズたちも驚く中、シークは自分を捕まえようとする手を払いながら、懐を探る。
「このッ! 邪魔を………」
「シークすまない時間が無いんだッ!!」
「へっ? キャ―――!?!」
いつの間にかテイルが側にいて、シークの懐に手を突っ込む。シークから誰か別の声が聞こえそうになったが、シークが僅かに見える顔を赤くして口を閉ざす。
テイルはシークからオカリナを取り出し、そして………
「力を貸してくれ、時の女神………」
響き渡る歌に、スタルキッド以外の全員がテイルを見る。
響き渡る音色の中、スタルキッドは高笑いをしていた。
「落ちろ月ィィィィィィッ!! 全部、全部壊れちゃえぇぇぇぇ!!」
そう叫ぶ中、月が時計台に激突した時、キリトたちの意識はそこで途切れた………
◇◆◇◆◇
「………ここは………」
「キリト君……? キリト君ッ!?」
その時、キリトの側で何かが落ちた。それに驚き足元を見た時、変化に気づく。
「元に戻った……? けどこれはソードアートオンラインの装備じゃないかっ!?」
そう叫び、キリトは足元の仮面を手に取る。それは先ほどまで、キリトが変えられていたデクナッツによく似た仮面だ。
「テイル」
「ああ。ともかく巻き戻ったようだ」
そう言ってほっとするテイル。キリトもあの場にいたみんながここにいることに気づき、ほっと息を吐く。
「いまなにがどうなってるの?」
シノンの言葉に、テイルは気まずそうに頬をかき、明後日の方角を見るが、その前にユウキがガシッとテイルの手首を掴む。
「ユウキ?」
「ねえ」
その時、ユウキにしてはドスが利いた声であり、目も何か光が無い気がする。
「とりあえず、テイルが色々隠してて、テイルがボクたちに内緒でシノンと一緒に事件を解決しようととか、
「ユウキ?」
「けどね………」
その光が消えた目でテイルをジッと見ながら………
「シークさんから女の人の声がしたんだけど、なにしたの?」
「………ユウキ待て、いまはそんな」
『そんな?』
◇◆◇◆◇
勇者の紛い者が新たな事件へと関わることになる。
呪われた仮面に関わる事件に巻き込まれキリトたち。彼らは彼と共に世界を救うことができるのか………
ともかく、キリトが全てのことを説明しなきゃいけない。彼が抱える全ての問題、いまの状況全てを、彼らに話さなければいけない。
「だけど………」
そう呟き、クラインと共に隅の方に避難して、ちらりとそちらを見た。
「そんなってなによそんなってッ!! あんたまでそんなんじゃこっちが困るのよッ!!!」
「テイルさんダメですッ! テイルさんはそんな人じゃないって思っていたんですよッ!!」
「テイルさんまでそんな人だなんて思っていませんでしたッ!!」
「あんたって奴はいつからそんな………」
「テイルさん。今回の事件と共に、その辺りユウキと共に、しっっっっっかりお話ししましょうね」
「テイル? ねえテイル? どうしてボクの目を見ないの? テイルってそんな人なの? ねえ? ねえねえねえねえ―――」
「すいません全部話しますからどうか勘弁してくださいお願いしますホント―――」
「このバカッ!! 破廉恥ッ!! アホッ!! 女の敵ッ!!」
「………」
懐から出て来た妖精、フェリサが何度も髪の毛を引っ張り顔を叩き、ユイはなにも言わず悲しそうに見ていて、シークは何も言わず、非難するように見ている。
リズたちはテイルを囲って文句を言いだしながら、テイルはなにかこのまま放っておけば土下座しそうな体制であり、心が折れかけていた。
「ねえ、あんたたち凄いの? バカなの? どっちなの?」
「あー今回ばっかはなんも言えねえなキリの字」
「ああ……落ち着くまで待とうぜクライン」
スタルキッドと共にいた妖精の姉はその光景に呆れ、キリトたちはその様子を見守っていた………
この先どうなるか、いまだ始まったばかりである………
みんなについに面と向かって説明。する前にひと騒動です。
ユウキはお兄ちゃん大好きだから、もうぷんぷんです。
それでは、お読みいただき、ありがとうございます。