ソードアート・レジェンド外伝ゼルダの伝説編 作:にゃはっふー
誤字がなかなか無くせない。いつも報告ありがとうございます。
驚くほどあっけなく、勇者モドキは全ての事を話した。
転生したこと、その時に特典と言う名の力を得られること。それで転生先でどうにか生きようとしたことを告げる。
最初は信じられないが、いま実際の状況や彼の行動などでみんな納得してくれた。
そもそも………
「いまの話より、シークさんがお姫様の変装ってのが驚きだ」
クラインの言葉に、リズ、リーファ、シリカはうんうんと頷き、人の出入りを気にしながら話し合う。現在は時計塔内部。その中で覆面を取るシークこと………
「では改めて……。ハイラル王国、現巫女姫『ゼルダ』です」
少し耳の先まで赤くなっている美しい女性。彼女の自己紹介の中で、テイルは正座しながら話を聞く。
「ゼルダ。君は俺がコホリント島で出会った君でいいのか?」
「ええ、昨年の話ですね」
「たった一年しか経ってないのか………」
ゼルダの話を聞きながら、彼女はなぜここにいるのか、ここはどこなのか話を聞く。
彼女は昨年の事もあり、予知夢のような出来事に敏感になっていた。そんな中、【時の祭り】、【邪悪な願い】、【矢に射貫かれた力の勇者】と言う夢を見て、この場所に来るように手配した。
「しかし、これは一体? 確かにあの禍々しい月が落下しかけていたのに、一体なにをしたんですか?」
いま空を見ると、まだ随分と距離がある月に、ゼルダたちは困惑していた。いまはなぜか全員、月を認識できる。
「時の女神の歌さ」
「………時の扉を開いたんですね」
キリトたちにも話しながら、テイルは『時の歌』と言うもので時の扉を開き、過去へと巻き戻った。
そんな話を聞き、町の様子を少し確認してテイルから話の続きを聞く。
「この物語は『ムジュラの仮面』と言う物語で、ムジュラの仮面と言う、危険な仮面の所為で生まれた世界だな」
「確かテイル君の前、ゲームとして知っている、この世界の事、なのよね?」
アスナが考え込みながら、前世の記憶とされる情報。その情報の話の中、ゼルダは首を傾げながら、物語が彼の世界では知られていると言う認識で話を飲み込む。
「つまり、あなたの情報では、ムジュラの仮面なるものは、なんでも人々の願いを叶えることができる。だけどその代償として、ムジュラの仮面は災厄を振り撒く、意思を持った仮面、ですか………」
「だけど、もうその情報は外れたところがある」
「この世界ね」
シノンはすでにその話を聞いている。その事を含めて、なぜシノンがここにいて、いつテイルがここにいるのかの話。
「私はこいつとGGOをプレイしてるとき、例の仮面、小鬼の話を聞いて、近場だから少し見に行ったのが切っ掛け」
そこで話の小鬼を見た時、テイルが豹変した。
なぜならばその小鬼は彼が知る、ムジュラの仮面を付けたスタルキッドそのものだった。なによりも………
「そいつ、GGOプレイヤーを私たちの前で消したのよ」
「なんだって!?」
はた目からしたらNPCに激怒する、マナーの悪いプレイヤーだった。自分の都合通りにならないから撃とうと銃口を向けた瞬間、動きを止められ、ノイズが走ったと思ったら、下から1と0に分解される。見ていたテイルたちも信じられない。
すぐにテイルは切り替わり、剣とスナイパーで撃とうとしたが逃げられ、スタルキッドが使用した道らしい扉を見つけて追いかけて………
「その先であなたたちと出会ったの」
「出会ったのって、あの時シノのん一人だけだったよ?」
「はい、アスナさんの言う通り、テイルさんはいませんでした」
リーファの言葉にあーと納得して、テイルは持っている物を見せる。
「実は俺もシノンも、GGO内のアバターじゃなくって、変化した姿なんだ。シノンはGGO大会での衣服や装備に近くって、弾丸が無制限」
「それマジ?」
「ええ。気にせず撃ちまくれるから助かるわ」
涼し気に答えるシノン。彼女がいつの間にか着替えていた衣類などの中に、ポシェットの中に変えの弾丸がなぜかいくつもあり、何度でも交換可能。やり方もほとんど現実に近い方法で変えなければいけないが、シノンは現実の銃知識もある為、最初は苦戦していたが、いまは難なく変えられる。
そしてテイルもレインが打ってくれた愛剣に盾、それ以外の衣類は別の物。別次元、世界観の勇者が装備する物で、ある道具も取り出す。
「『シーカーストーン』。俺たちからすれば携帯端末のような物で、道具を仕舞えたり、色々な機能が付いてる。こんな風に俺も妙な能力が付いてね」
そう言った途端、影がテイルを包み込むと、四足歩行、狼の姿に変わる。
盾は無く、剣もよく見れば面影があるが、形が多少変化していた。それにユウキたちが驚く中、ユウキはモフモフと撫でながら、嬉しそうに微笑む。
「そっか~、あの時助けてくれたのって、テイルだったんだ」
「後はキリトと共に、この世界の前知識交換。まあ正直こっちは期待無しって思ってたんだけどな」
元々この物語は、時のオカリナを元にした物語。勇者が辿る歴史の分岐点と言って良い物語の一つなのだ。
彼がいくつもの時代、その世界で勇者とされる者が、いくつもの結果を導き出し、いくつもの未来があることを説明する。
「この世界は時の勇者とされる者が居て、その人が一度退魔の剣を引き抜く際、その力で時を超えた」
その後、その時代で魔王を倒すことにより、世界を救った後は元の時代に戻り、魔王が国を転覆する前に捉えて封印すると言う歴史がある。
その話を聞き、ゼルダは静かに答えた。
「歴史ではそのような逸話はありません。ですが、聖地を犯そうとする邪悪なる者を封印すると言うのは聞き覚えがあります」
「………そうか、そっちなのか………」
表現できない表情をするテイル。悲しそう、辛そう、暗い、様々な負を織り交ぜたような複雑な顔でようやく呟いた言葉。
この言葉にどんな意味があるかはゼルダも深くは聞かず、この物語について説明を続ける。
「この物語は、邪悪な仮面によってできた世界に、過去の時代に戻った勇者が巻き込まれる。その際に時のオカリナが必要だから、これをどうするかキリトたちと話し合ったんだ」
「その中で町の人、この祭りにとある一国の姫君が顔を出すって聞いて、ああって彼が納得して、ゼルダ、シーク、テトラって言う人物を探し出したの。後はインパ、だっけ? その人たち」
「………変装する時、もっと考えた方が良いのでしょうか……?」
少し悩みだすゼルダに、テイルは苦笑する。
「ともかく、何も打開策が無い現状は、沼、山、海、谷に行くしかないな」
「そうよ、早く行ってスタルキッドを止めてよね!!」
そう騒ぎ立てるのはスタルキッドと別れていた妖精『チャット』だった。
「あなたたちの話が何なのか訳が分からない。だけどこのままじゃスタルキッドが大変なことをしでかして、あの子………弟が巻き込まれる。あなたたちに酷いことしたの謝るからお願い、スタルキッドを止めてッ!!」
その言葉を聞き、みんなが静かに頷く。
「チャット、ムジュラの仮面に付いては話は合っているか?」
「ん~それは分からないの。スタルキッドが一人の時に手に入れたらしいから、ただ」
「ただ?」
「態度が物凄く大きくなったって言うか、自信が付いたみたいに話したり、仲良しのはずの町の子にイタズラしてたり、あたしたちの知らないところでのイタズラも増えたり、オイラって自分で言ってたのに、いつの間にかオレって言うし。イタズラは後で謝ったりするんだろうな~って気にしてなかったの」
「謝れば良いってもんじゃないぞ」
呆れながらそう呟き、もう話すべきことは無いか確認しておく。
「時間が惜しい、ともかく最初は沼に行こう。君が案内してくれチャット」
「ええ任せてっ♪」
そう飛び周る妖精に、シノンがすっと小さく手を上げた。
「けど、移動はどうするの? タイムリミットもあるでしょうし、早くしないと」
「移動の方と宿はこちらで手配します。一応は一国の姫ですので、ご心配なく」
そう言い終え、すぐにシークの姿に戻る。クラインが少し残念がり、リズに叩かれた。
「とはいえ、あまり姫の権限は使いたくない。ボクにあまり頼らないでくれ」
「ここからはシークってことか」
それに静かに頷くシーク。
「暗示のようなものでね、シークとして接して欲しい。姫だとバレると都合が悪いんだ」
「どういうことだ?」
キリトの問いかけに、シークは手に持つ暗器など確認しつつ、この世界の事を教えた。
この世界で語られる勇者、勇気のトライフォースに選ばれし者『リンク』は大昔に活躍したとされている。
彼の勇者は太古の昔、聖地侵略を企てた一族が追放された世界。この世界に追放されし者が、その世界を統治する者へ反乱を企てる者に力を貸し、その者を使い、この世界へと戻ろうとした大罪人の物語。
(黄昏の勇者か)
テイルはそれを黄昏の勇者。あの『時の勇者と魔王の戦い』が起きなかった時空列と断定し、時の勇者が敗北した世界の歴史で起きた『夢をみる島』を、この世界で自分が担当したと考える。
(だとしても、どういう意味があるんだろうか? キリト、とシノンか。さすがにこの二人には相談するか)
そう内心思い、シークの話を要約すると、次の通り。
魔王の影が無い状況で、巫女姫であるゼルダが動くのは危険だと大臣たちが揃っていい、自粛するように言われている。
魔王など、世界に仇成す者がいるのならば、まずは勇者を見つけるのが先決だと言う始末で、コホリント島ではまともに動けそうになかったとのこと。
「確かに、ボクらの歴史は姫と勇者。この二人とその時代に生きる者たちが手を取り合い、魔王を倒す歴史だ。だからと言って何もかも勇者に任せるのはおかしい」
「だからまずは自分で、ってことですか?」
「そうだよリーファ。心強い事に、ゼルダ姫の乳母、姫を支えている近衛騎士が協力してくれている。後で小言はあるけどね」
苦笑しながらシークは国の事や、シーク側の事情説明をし終えた。いまもまた、お祭りに姫がご来日すると言う名目で、いま姫はこちらに向かっているらしい。
「姫の影武者って誰がしているんだ?」
「マリン」
「おい」
少しばかり呆れながら、シークが手配する馬車で移動することに。
泊まれる場所や、向かう土地の地図など、全員分のアイテムも集めながら、準備に取り掛かった。
「しかし射貫かれたね」
スタルキッドは吹き矢で攻撃するが、ゼルダが言うそれが気になる。他にも幸せのお面屋が現れないことに不信感を抱きつつ、テイルたちは各々自由行動に移る。
◇◆◇◆◇
「全く、キリト君もテイル君も水臭いんだからっ!」
そう怒るアスナに、俺は大変困っている。
アスナたちが怒るのは無理はないが、彼の立場も考えて欲しい。
「テイルだってすぐに説明したかったら、説明してただろう? 言ってしまえば、未来の情報を持ってるんだ」
「まあな、こっちのことをラノベやアニメでうっすら見たって言われても、信用できねえしな」
クラインも困りながら納得して、リズも困った顔をする。どう思えばいいか、分からないのだろう。
「しっかし、彼奴も難儀よね。確定してるんならともかく、起きるかもなんて言われれば、どっち付かずでストレスが溜まるし、言えば狂人扱い。ソードアートオンラインが売られ始めたとしても、きっと誰もテイルの言葉なんて信じなかっただろうしね」
「そうですね……あの時はデスゲームになるなんて、考える方がおかしいです」
「ああ、シリカの言う通りだ。ソードアートオンライン。あれが発売されることを知った時、テイルの事だから絶望しただろう」
あのゲームは大勢の被害者、死亡者を出している。事前にそれを知っていて、何もできない。彼の性格からしておかしくなるくらい、抱え込んだろう。
「ある意味、彼奴のコミュ障じみたのも、この先に何が起きるか考え込んでればね」
シノンは苛立ちながら呟くと、全員、テイル以外がため息を吐く。いま彼はこの世界の事をよく知っているため、アイテムの買い込みでシークと共に出かけている。
「みんな、テイルのことなんけど」
「言いたいことは分かるよキリト君。ううん、きっと誰にも答えなんて出ないよ」
「ああ、デスゲームのこと、俺はテイルができる範囲のことはしていたと思う。彼一人じゃ、できないことばかりだったんだ。その中で彼は、最も幼い最年少プレイヤーたちを支えていたのは事実だ」
あの過酷な現実で、レーティングより下の年齢層がいまも元気に過ごしているのは彼のおかげだ。少なくても俺はそう思う。
みんなそれは分かるからこそ、この話はもう終わりだ。
そう考え込んでいたら………
「ユウキ?」
「あのねアスナ。少し、
そう呟いた時、俺はテイルの話、テイルの考え方でおかしなことがあるかと首を傾げたが、ユウキの言葉で気付くことになる。
それは本人がそんな事は考えていない。いないからこそ気づかなかったこと。
それがどういう意味を持つか、この時の俺は想像もできなかった………
◇◆◇◆◇
「信じています、信じていますよ。あなたのことを………」
そう呟きながら、彼らを見守るお面屋。
「例え傷を受けていても、必ずや成し遂げると」
暗闇の中、ただ静かに、静かに見守り続けた………
ユウキが気づいた違和感、ムジュラの仮面により自信を付けたスタルキッド。
謎が謎呼ぶ中、次はついに沼へと急ぐ。
それではお読みいただき、ありがとうございます。