ソードアート・レジェンド外伝ゼルダの伝説編 作:にゃはっふー
一応、この先の事はある程度説明したが、全てが全てその通りになる訳ではないだろう。テイルは俺たちに物語、ムジュラの仮面のストーリーの進み方は教えたが、内容は教えていない。
教えてくれたのは、今から行く四つの場所にボス戦があり、タイムリミットがある事。
「タイムリミットですか?」
「ああ。三日の間に、勇者は時の歌で巻き戻りなどを繰り返して、四つの場所を巡るのが本来の流れだ」
だが、俺たちはそう何度も時の歌に頼る事はできない。本物の勇者はいないのだし、また同じことができる保証は無い。
だからこそ俺たちは三日の内に全ての場所を回ることにする。場所らしい場所には、テイルの情報通りの町や集落がある。まずは情報集めにデクナッツ族の王国、沼へと進む。
馬車に揺られる中、俺はテイルの事を考えていた。
あの時ユウキが、彼が全てを話してくれた後、ユウキが気づいた事が真実かどうか。
「どう思うシノン?」
「………正直、言われ無きゃ気づかなかったわよ」
そう話し合いながら、ユウキを膝に乗せて、フェリサを肩に乗せて馬を操るテイルを見てみる。彼自身に問題がある訳では無い。あるはずがないのだ。
ならこの違和感はなんだ?
喉に魚の骨が刺さったような違和感に気づきながら、馬車は進んでいく。
「この先は沼か、なにが待っているんだか」
「うんそうだ………って、キリト君!?」
アスナが俺が持つ物に気づいて驚き、シノンたちも気づいて、驚いたり呆れたりする。
「キリト君、それって……?」
「デクナッツの仮面だよ。もう外れたから、問題ないと思って拾ったんだ」
「あんた、収集癖をそんなところで………」
「ん? あーキリトー」
馬車を操るテイルが首を傾け、馬の扱いを隣に座り、案内するシークに預ける。どうもこの中で、生きている馬を操れるのはテイルとシークだけ。当然と言えば当然だな。
「どうしたテイル?」
「その仮面、俺が知っている『デクナッツの仮面』は取り外し自由で、デクナッツ族に成れるからな~」
「呪いのアイテムかなにかか?」
「呪いって言うより、その種族の魂が宿ってる」
「えっ!?」
その話を聞き、仲間たちは一斉にチャットを見る。
「し、知らないっ! そんなの知らないわよ!!」
チャットは驚きながら馬車の中を飛び回り、ピナが目で追う。
なんとなく居心地が悪くなり、テイルたちの方へ移動するチャットを見ながら、俺は仮面を懐に仕舞う。その様子にアスナたちは呆れた目で見ていた。
そんな中で、俺たちはジャングルのような場所へとたどり着いた。
◇◆◇◆◇
「ここがデクナッツ族が暮らす国………のはずなんだが、これはなんだ?」
ジャングルのような熱帯林が広がる中、独特の臭いが辺りから出ている。川らしい水辺は、うっすら紫色であり、チャットはおかしいわね?と悩む。
「なんか臭くない? なにか腐ったような臭いがするわよ?」
「はい、いくらなんでもおかしいです」
シークが首を傾げ、リズとシリカが鼻を押さえる中、テイルだけは難しい顔をして、水を見る。
水に僅かに触れようとした時だ。
「待ってッ!!」
そう声が聞こえたと思ったら、木々の間から無数の猿たちが現れ、すぐに手を引く。
「あなたたちは?」
「オイラたちはこの辺りに住んでるモンだ。いま水に触れない方が良いぜ」
「この辺の水はもうドクが混ざって飲めないんだ」
「毒だって? どういうことだ?」
キリトの言葉に、猿たちは安全な場所を紹介して詳しい話を話し始める。
ここ最近、沼地に毒が広がって住めなくなってきて困っていた。
そこにデクナッツ族の姫が、川の上流にある神殿が怪しいと猿たちに相談して見に行くと、化け物が姫を捕まえてしまったとのこと。
「姫さんはオイラたちの大切な大切な友達なんだっ!!」
「オマエたち、武器持ってる。強いか?」
「バケモノ退治して、姫さん助けてくれよ!?」
猿たちに懇願される中、テイルは難しい顔をしながら聞いていた。
「みんないいよな?」
「俺たちにも関係あるんだろ? いいぜ、助けに行こうぜ」
キリトは即座に頷き、ユウキもやる気に満ちた顔で頷く。
だがクラインが少しだけ疑問に思い、尋ねてみた。
「そのデクナッツ? の姫さんなんだよな。国の奴らはなにしてるんだ?」
「それは………」
猿たちは言いにくそうに口を閉ざし、テイルは難しい顔をする。
「ともかく情報が欲しい。その毒が流れているところに行くためにも、一度デクナッツ族の国には行ってみよう」
テイルはそれに静かに頷き、彼らは奥地へと足を勧めた
◇◆◇◆◇
案の定と言うか、デクナッツ族の王国はすぐに見つかり、中に入るだけになるが………
「ここはデクナッツ族の王国の城だッピ」
「よそ者は来るところじゃないッピ!!」
そう言われ、門番が通してくれず、少し離れた位置で様子を見る。
「んでどうするよ? こんなんじゃ神殿に出向いた方が速いんじゃないか?」
クラインがそう言うが、できれば止めておきたいことがある。
「悪いが中の様子が気になる。俺の知識通りなら少しまずいことになってるはずだから」
「だけど、デクナッツ族以外は入れてくれないですよ?」
アスナの言う通り、デクナッツ族じゃ無ければ城には入れない。
だがここはゲームじゃない。
「俺は入れるさ」
そう言いながら狼の姿へと変わり、この姿で使える『センス』を研ぎ澄ます。匂いはもちろんの事、この姿なら通れそうな道を視覚化できる能力。
剣を弾き咥えながら、俺は俺で城の周りを確認する。
城は木の城壁で囲まれていて、ほとんどは木材で作られた建物だ。その中で隙間を見つけて、そこに潜って壁の向こう側へと向かう。
ユウキたちには悪いが、狼に成って理由も言わない為か騒いでいたが、あえて無視して先に進んだ。
◇◆◇◆◇
テイルが狼の姿になると、臭いを嗅いでから、土を掘って壁の向こう側に行ってしまった。
「テイルって時々勝手に動くよね」
「あのバカッ!! 一人で行動するなんて………」
ボクは呆れながらテイルの通った道を見ながら、そうシノンが眉間にしわを作りながら呟いて、頭上に生えている木々の枝を見る。
そして《アルティメットファイバーガン》、略してUFGを取り出して、枝に飛び移った。
「シノのん!?」
「ごめんなさい。銃が重いから私一人で行くわ」
「ボクもこちら側から行こう」
そう言ってお姫様にしては身軽に動かして木々を飛び回り、シノンの側に来るシーク。そのまま二人して城壁を飛び越えて行ってしまう。
「シノのん!? シークさんまで!?」
「行動力あり過ぎだぜ全く………」
「そうねって………あたしたちの中で一番行動力のあるバカはどうしたのッ!?」
リズの言葉にボクらはすぐにキリトを探した。
だけど見渡している中でキリトの姿は無く、門番の所で黒い服を着たデクナッツが通り過ぎていくのを確認する。
「キリト君ッ!?」
アスナは驚きと共にその名前を呼んだけど、黒いデクナッツはそのまま城内へと進むんで行った。
◇◆◇◆◇
俺が入口から堂々と入っていくと、懐からユイが出て来て呆れた顔で見て来る。
「パパ、ママたちに黙って来ていいんでしょうか?」
「いいんだよ。こうでもしないとテイルは先に進んでたし、テイルが言うまずいことってのも気になるんだ」
テイルがいまの状況を無視して城の中を優先するには意味があるはずだ。
ユイが少しだけ悲しそうに考え込み、俺の肩に座り込む。
「どうしてテイルさん。全部ご自分だけで解決しようとするんでしょうか……?」
「それは………」
分からない。彼の性格だからと言えばそれで終わってしまうが、もしも【何か別の意味】があったとしたら………
そう考えていると、様々な動物の鳴き声、いや泣き声が聞こえ出す。
「? なんだ?」
俺が木造の廊下、その先を覗き込むと、多くの動物が木の棒に括り付けられて、その下に火を点けられようとしていたところだった。
「なんだこれは!?」
◇◆◇◆◇
キリトが見たのは、デクナッツ王の横暴だった。
「さあ自白しろ、姫を攫ったのはどいつじゃ!! 隠すと全員火あぶりじゃッ!!」
「王よ、どうかお気を鎮めくださいませ」
執事であるデクナッツ執事は、こんな事よりも姫を探し出す方が良い。そう言うが王は聞く耳を持たず、兵士たちに火を点けるように命じた。
「待ってくれデクナッツ王ッ! 彼らは犯人じゃない。姫を攫ったのは沼地の神殿にいる怪物だッ!!」
急いでキリトが大声で叫んだが、デクナッツ王は気にも留めず、執事だけがえっ?と顔を上げていたが、兵士たちが火を点けようとした時、一匹の狼が閃光のように動く。
「なんだっピ?」
兵士たちが混乱する中、木の棒に括り付けられた動物たちの縄を、咥えた剣で斬り助け出す狼。
「彼奴じゃ~~~ッ! 彼奴が姫を攫ったんじゃ、間違いないッ!!」
「お、王よ。それよりも先に、あの黒服の者から詳しい話を」
「ええいうるさいッ! 王家に立て付く者を捕まえよッ!!」
その叫びに兵士たちが狼へと卒倒するが、すぐに壁や床を蹴り、縦横無尽に動き、兵士の手をかいくぐる。
「うまい。この隙に王様を止めるぞ」
「パパッ!?」
ユイの叫び声に気づき、足を止めたキリト。
いつの間にか蛾が羽ばたき、城の至る所を飛んでいた。
「いつの間に……この蛾は?」
瞬間、女性の悲鳴のような声が響き渡り、壁が壊された。
「なんだ?!」
キリトが土煙の中から巨大な剣を見つけ、崩れた壁の向こう側から巨大な蛾が入り込む。
それと共に入ってくるのは、仮面を付けた大男。
『我は
「か、神ッ!?」
「おお神よ~~!!」
王がすぐに頭を下げ出したが、オドルワは気にせず、王に告げた。
『デクナッツ王は我への貢ぎ物を怠けた。よって姫を生贄をもらい受けた』
「ひ、姫をッ!?」
「か、神よッ! どうかそれだけは、それだけはッ!!」
『ならぬ、この城にいる全ての者に罰をッ!!』
盾と剣を持つ密林仮面戦士オドルワが『ガモーズ』を引き連れて暴れ出す。
女性のような叫び声を上げるガモーズ。動物たちに襲いかかろうとした時、別の悲鳴が響き渡る。
「もう一匹かッ!?」
「イッヤァァァァァァァァァァァァァ、蛾、巨大な蛾ッ!!」
「あ、アスナさん。落ち着いてください」
ガモーズに泣き叫ぶアスナと、それをなだめるリーファ。ユウキたちも壊されていく城に驚きながら、シノンたちも中に入ってきた。
「騒がしくなったと思ったらこれはなに?」
「………邪悪な気配、とても大きなものが三つ……?」
そうシークが呟く中、仮面を取り、キリトはオドルワの剣を止め、仲間たちに叫ぶ。
「こいつらが元凶らしいッ! クライン、アスナはこっちに。後のみんなは巨大蛾を頼むッ!!」
「そっち!? わたしそっちでいいのねッ!?」
大急ぎでこちらに来て、その細剣を振るい、オドルワを押し出すアスナに、内心先ほどの勘違いがバレないことを祈るキリト。
そんな中テイルも狼から人に戻り、最後の動物を助け出した。
「キリト、一気に畳みかけるぞ」
「おうッ!」
そうして剣を構え出した時、オドルワの仮面の奥、その目が怪しく輝く。
『神に逆らう愚か者たちよ、神の裁きを受けよッ!!』
その時、空気が一変した。
「? 暑い?」
急に現れた熱気に驚き、次の瞬間、お城の天井が吹き飛んだ。
「ひぃぃぃぃぃ!?」
「あ、あれは……?」
王と執事が驚く中、空にとぐろを巻く、赤い竜に、テイルは息を飲む。
「な……んで………」
「テイル?」
「なんで彼奴が、違うあの時は子供だったはずだ。だけどこの気配、そんなまさかッ!?」
「テイル君?」
テイルは青ざめた表情で竜を見る。
『さあ偉大なる竜よ、愚かな者どもを火に包み込めッ!!』
それと共に雄たけびを上げる邪竜の名、『灼熱穴居竜ヴァルバジア』。
テイルが偽物だった頃、勇者の友人にして、
突然現れた神を名乗る仮面戦士。その後に続き現れる魔物。テイルたち、テイルに刻まれた傷が開く。
来年もよろしくお願いします。お読みいただきありがとうございます。