ソードアート・レジェンド外伝ゼルダの伝説編 作:にゃはっふー
雪が吹雪いている山の中、一匹の狼がソリを引いて雪原を駆ける。
大型のソリはその場で作られた簡易な出来物だが、ギリギリ全員を乗せる事に成功して、蒼い銀狼は縄を咥えて必死に引っ張る中、ソリに乗るアスナは複雑そうに狼を見た。
「いいのかな? テイル君、腕は怪我したままなんだよ?」
「狼の姿だと怪我は響かないのか? まあそれにしても、この人数を乗せるソリを作って引っ張るのはな………」
黒の剣士キリトは呆れながらすいすいと引っ張るウルフテイルを見ながら、ユウキたち女子は心配しつつも、固まって温め合っていた。
シノンだけは無茶ばかりしてと文句を呟く。
「焦り過ぎよ全く………」
「ま、まあどんだけ時間があってもよお、タイムリミットがありゃ、人間だれしも急ぎたくはあるわな」
クラインがそう呟くと、シノンは鋭い目で睨み黙らせた。
「けどこの寒さは聞いてないよ~」
「おかしいな……? まだこの時期は雪は降らないし、降ったとしてもここまで酷い事は無いはずだ」
シークが首を傾げながら、猛威を振るう吹雪を見つめる中で、アスナがカタカタと震えていた。
「寒いのかアスナ?」
「へっ? あっ、えっ、ち、違うよっ。わた、わたしは………」
アスナが僅かに震える中、ひと際震える時がある。
それはリーファがアスナの次に気づく。
「お兄ちゃん? 吹雪の中で何か聴こえない?」
アスナは何も聞こえないッ!!と大声で叫ぶが、リズとシリカが落ち着かせ、ユイとフェリサ、チャットが少し飛び、辺りを見渡す。
「吹雪の中、何か声が聞こえるわね? 泣き声?」
「確かに、それに似た声ですね。この山全体に響き渡るほどの声音です」
「確かこの山、スノーヘッドって、ゴロン族の集落があったわね。もしかしたら何かわかるかもしれないわよ」
「道案内できるか?」
チャットにそう訪ね、チャットはすぐにOKと言ってウルフテイルの側に行く。
その毛並みに埋もれながら、方角を支持しつつ、ユウキはシリカと共に肩を合わせていると………
「あれ?」
「きゅい?」
ユウキとピナが声を合わせ、それと共にテイルも停止して周りを見渡す。
「どうしたって言うの?」
「泣き声っぽいのと一緒に、別の声聞こえない?」
「えッ!? そ、それって………」
怯えるアスナ。視界を遮りそうな吹雪の中、その時に聞こえて来る何かは………
『無念だ………くや………ゴ………』
無念と嘆く言葉。それを聞き、リズとリーファ、シリカとユウキは顔を青ざめ、キリトとクラインはなにを言っているか耳を傾け、テイルもまた耳を立てた。
「「イッヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ―――ッ!?!」」
と言う叫び声が響き渡り、男性三人はそれにより耳を押さえ悶絶する。
「なっ、なにッ!? 敵!? 敵なの!?!」
「いえ、シークさんとママが声に驚いて悲鳴を上げただけです」
ユイが事態をそのまま声にして、シークの方は目が蒼くなり、ユウキを抱きしめていて、アスナもまたユウキを抱きしめていた。
ユウキは「むぎゅ………」と潰されていて、チャットは驚きながら文句を言う。
「ちょっとこんなところで大声はやめてよねっ! もし雪崩でも起きたらどうするのよっ!!」
「おい待てやめろ。そういうのはフラグって言う………」
キリトが慌ててチャットに話しかけていると、遠くから地鳴りのような音が鳴り響いていた。
「………テイル、この場合はどうするんだ?」
「ッ!!」
大急ぎで周りを見渡したテイルは、洞穴を見つけて必死に走り出す。
地鳴りは大きくなる中、山の方から白い煙が近づいているのに気づく。
「あーーーーーーッ!?」
「テイル早くッ! もっと早く!!」
「「ご、ごめんなさーーーいーーーッ!!」」
「いいからタイミングを見て飛び込むぞッ!!」
妖精たちがテイルを僅かにでもいいから先に進むよう祈りながらテイルを押し、ソリの上のキリトたちは、ソリから飛び出して洞穴に飛び込むよう、タイミングを見る。
テイルはそれを気にしつつも、ただ前に向かって全力を持ってソリをギリギリまで運ぶ。
白い津波が辺りを押しつぶす間際、彼らが洞穴へと飛び込む瞬間があった。
◇◆◇◆◇
「ぜえ……ぜえ………」
「て、テイルさん、大丈夫ですか?」
「な、分けないでしょ!?」
「て、テイルさんっ!?」
リーファ、リズ、シリカの順で洞穴の中で大の字で倒れているテイルに駆け寄り、アスナとシーク、いや変装が解けていてゼルダが申し訳ない顔でテイルを見る。
「むーむむ、むーむーむーっ!!」
「俺は良いから………ユウキ、が、つぶ、されている」
二人にしがみ付かれているユウキが手をじたばたさせているが、二人とも泣き顔で離そうとしない。
キリトとクラインもテイルと共に肩で息をして、洞穴を見渡す。
「本当に洞窟か何かか? 熊でもいそうだな」
「お兄ちゃんそれこそフラグだよッ!!」
『無念だゴロ………』
その瞬間、声なき悲鳴を上げる二人。ユウキが「むきゅう」と言う悲鳴を出す。
テイルは息が整わず、ぜえぜえ言い続け、キリトが剣を掴む。
「なんだ……?」
奥の方をのぞき込むと一枚の板があると思ったとき、うっすらと光が浮かび上がり、それが姿かたちに変わった。
『無念だゴロ………』
それは岩のような人のようなものであり、ただずっと、無念、くやしいとつぶやき続ける。
「テイル、彼は?」
「………ゴロン族、岩を食べられ、岩のような体を持つ種族です」
シーク、ゼルダが震えながらも説明して、ユウキを開放する。ただいまだにアスナを抱きしめられて、胸に顔をうずめているために苦しそうだ。
テイルはそれにツッコミを入れるべきか、こっちに話をするべきか、息を整えようとしている。
「確かこの辺りに住んでるんだったな」
『………おめえ、オラの声が聞こえるゴロ……?』
そのゴロン族は話しかけてきたため、キリトはクラインと顔を合わせる。シリカ、リズは、アスナからユウキを引っ張り出そうとしていて、リーファはテイルの背中を擦っている。ゼルダは顔は怯えていないが、震えていた。
「………」
ゼルダに服の裾を掴まれているシノンが顔で「あなたたちが話なさい」と訴えていた。
「俺の名前はキリト、こっちはクライン。あんたはいったい……?」
『オラの名は『ダルマーニ3世』。誇り高き、ゴロン族の戦士の一人だゴロ』
「その戦士さんが、なんでまた……幽霊って奴なのか?」
クラインの言葉に違うと呟き、自分の身に起きたことを語りだす。
◇◆◇◆◇
ゴロン族が住むスノーヘッドに住まう彼らは、この土地から採れる石を食い、繁栄していた。
だが山に『仮面機械獣ゴート』という魔物が現れ、集落を含めた山全体を雪で閉ざしてしまったのだ。
『オラは戦士として、ゴートを倒さなければいけなかったゴロ』
だからダルマーニ3世はゴートに戦いを挑んだ。
『オラのパンチで雪も氷も粉々にしてやるゴロ!!』
『ふん、頭の中も石でできた種族が』
最初は一対一で戦っていた。
必殺の炎のゴロンパンチを決め、トドメを刺そうとした瞬間、変化が起きる。
『ゴロッ!?』
突然何も無いところから衝撃が走り、バランスを崩したところ、突然見たことも無い魔物たちが流れ込む。
刀を持った大型の魔物とその配下が流れ込み、そのうえ見えない攻撃が加わり、追いつめられる。
『ひ、卑怯だダロッ!! 正々堂々勝負しろ』
『そんなことをする必要は無い。お前はここで倒れ、いや』
ゴートは静かに何かを呟くと、暗闇が浮かび上がり、それが矢の形になる。
『お前はスノーヘッドが雪に潰される様を見ていろ』
その矢が放たれ、矢に刺さると共に谷へと落ちていく。
雪のおかげで死ぬ事は無かったが、矢が身体に溶け込むと、身体を自由に動かす事が出来なくなり、そして………
◇◆◇◆◇
『そしてオラは一枚の仮面になったゴロ………』
「仮面になった? だって……?」
テイルは驚きながら仮面を持ち上げる。それはゴロン族のお面であり、ダルマーニ3世は悔しいと呟く。
『戦いに負け、里も守れず、あの子との約束も守れないゴロ………』
「あの子?」
『この吹雪と共に聞こえる泣き声の子ゴロ………』
雪によって閉ざされているが、洞窟の外はずっと吹雪いている。吹雪の音とともに聞こえる泣き声は、小さな少年のもの。
『長老の息子、オラが帰ったら、炎のゴロンパンチを教えるって約束した。その約束すら守れず、あの子に寂しい思いをさせて、何もできず、ただ泣き言しか言えないゴロ………』
「ダルマーニ………」
やっと落ち着いて、ユウキも呼吸を整え、テイルと共に話を聞く。ゼルダとアスナは距離を置くが、話を聞いてしんみりしている。
「まだだ」
そうクラインが呟くと、キリトが持つお面を持ち上げた。
「ダルマーニさんよ、まだ終わってねえよ」
『ゴロ……?』
「俺がお前さんの力を使って、そのゴートを倒してやるッ!!」
そう言ってそのお面、『ゴロンの仮面』を付けることにより、姿を変える。
「うおおぉぉぉぉぉぉッ!! 熱いハートが沸き上がるゴロォォォォッ!」
『お前、オラの代わりに戦ってくれるゴロか?』
「当たり前だ。ほかの奴だって俺たちがなんとかしてやるし、いま泣いてる坊主も任せておくゴロ」
「いや、ゴロはいいでしょ?」
「けどまあ」
「やる事は変わらないわね」
リズは苦笑しつつ、シリカとシノンは微笑み、キリト、テイルも頷き合う。
「ダルマーニ3世、後は俺たちに任せてくれないか?」
『ああ、ああ頼む、頼むゴロ!!』
その時に、この洞窟の奥があり、そこを通れば出られるかもしれない。その話を聞き、彼らは洞窟の奥を進み、そこからまずは里に向かい、そこからゴートのもとに向かう話になる。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉ―――ッ!!」
テイルの代わりに、ダルマーニ3世の熱いハートを受け継いだクラインがソリを引き、雪の中を進む。
「………忘れてくれ」
「ごめんなさい、ほんっとごめんなさい………」
シークに戻ったゼルダ、正気に戻ったアスナが謝り続ける。
「ゼルダ、お前力を持っているから、慣れてないのか?」
「むしろ見えるから苦手なんだッ!」
僅かに暗示が解けているシークが文句を言い、テイルは腕をさすりながら先を見る。
「テイル、ゴートの話だけど」
「ゴート一人のはずだ。なのに見えない何かや手下の従えた魔物は知らない」
「テイルも知れない事か、気を引き締めていかないとな」
「ああ」
テイルは山の頂上を睨むように見つめる中、ユウキはテイルを心配しながら、フェリサのように傍に居続けた。
「うおぉぉぉぉぉぉ―――」
こうして彼らはゴロンの里に向かい、ダルマーニ3世の遺志を継いだのだった………
テイル「ゼルダだと暗示が解けて女の子に戻るんだな」
シーク「普段なら問題ない、問題ないんだ………」
テイル(よく近衛隊長とかがこいつの旅を許可してるな………)
ユウキ「テイル~しばらくでいいから狼になってよ~」
そんな会話をしながら、テイルはゴロンになれば転がり、より早くなることを伝えるのに、数時間かかった。
お読みいただきありがとうございます。