【完結】真約・桃太郎伝説   作:ふくつのこころ

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なんちゃって鬼退治伝説。

桃太郎伝説の原典、考霊天皇の皇子・吉備津彦(あるいは、ヒコイサセリヒコノミコト)のお話。
題材としては珍しいかなって。

ちなみに桃太郎のモデルのパパさんもまた鬼退治の逸話があります。




桃太郎伝説・生前篇
“ももたろう”


「桃太郎、ですか?」

 

 人理継続保障機関フィニス・カルデア。

 

 魔術王による人理焼却から正しい歴史を取り戻し、2015年以降の未来を取り戻すこと。

 それが彼ら、カルデアの目的だ。

 

「うん。日本人なら誰もが知ってる話だし、私も小さいときに読み聞かせしてもらってるんだけどさ。ほら、改めて、お話を読んでみると見つかる発見とかあるじゃない?」

 

 カルデアの白い制服に身を包んだカルデアのマスター、藤丸立香は水差しからコップに水を注ぐマシュ・キリエライトに一冊の本を見せた。

 

 “桃太郎”。

 

 日本人なら馴染みが深い、桃から生まれた男の子が成長し、やがて人々を脅かしていた鬼をお供の猿・雉・犬と倒し、金銀財宝を持って養父母のおじいさんとおばあさんの元に帰ってくる。

 それが大筋でほとんどの場合、それが変更されることはない基本的なお話の内容である。

 

 様々な英雄がその側面(クラス)を持って召喚される、このカルデアにおいてより相手を知るために藤丸がとった方法は英霊と親交を深めることだった。

 最近、召喚されたゴールデンこと坂田金時も藤丸にとっては馴染み深い英霊である。……なぜ金髪でサングラスを着用しているのかは分からないけれど。

 

「そうですね。ゴールデンさんも言っていました、桃太郎と言えば、日本で知らぬものがいない名前だと」

 

「おとぎ話って原典があるよね?だから、元になった話とか読んでみよっかなって思ってさ。そのほーが桃太郎のことをよく知れると思うから」

 

 カルデアにやってきたサーヴァントの中で日本以外の出身の英霊はともかく、ゴールデンをはじめとする日本のサーヴァントたちは桃太郎と顔を合わせると十人十色の反応を見せたことは新鮮だった。

 だけど、その桃太郎の格好はどうもイメージと違う(、、、、、、、)のだ。

 

 日本一の旗に羽織りに下駄、腰に差した日本刀のきび団子を持った青年。

 

 それが桃太郎であるはずなのだが、このカルデアで召喚された桃太郎と言うのは、白い装束に勾玉の連なった首飾りをした長身の男性で鬼が持つような金棒を持っている。

 決して悪い人ではないと藤丸は思っているが、だからこそ、そのイメージとかけ離れた姿をしている桃太郎のことが気になって仕方なかった。

 人類を守る抑止力の使い、守護者である白髪褐色の紅い弓兵(アーチャー)曰く、

 

「桃太郎と一言で言っても色んな逸話がある。彼はその中の一人なんだろう。“ロビンフッド”だってそうさ、無数にいる“誰か”から選ばれた。……マスター、食器を出してくれ。夕飯にしよう」

 

 と厨房で鍋をかき混ぜながら、語っていた。

 

 無数にいる“桃太郎”の中の誰か。

 “桃太郎”の名前を持つ誰かの代表。

 

 自分と同じ名前の誰かが存在すると考えればいいのだろうか、と首を傾げていた。

 いまいち、藤丸にはピンと来ていなかったのである。

 

「そういうことでしたら。このマシュ・キリエライト。先輩のサポートをさせていただきます」

 

「うん、頼りにしてるよ。マシュ」

 

 えっへんと胸を張るマシュ。

 カルデアでよく見かける、その眼鏡をかけたパーカー姿は安心感を覚える。

 今日もマシュはかわいいなぁ、と思いながらも藤丸は頭を振った。

 とりあえず、本を開かなくてはとカルデアの書庫にあった現代語訳の一冊の本を開いた。

 

 

 タイトルは、『真約・桃太郎伝説』。

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