パンドラヒーローアカデミア   作:ぐち山ぐち

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やたら気温が安定しないこの頃、皆さま体調など崩してはいませんでしょうか?私は何故か咳が止まりません。やばいマスクのストックが·····

ちょっと文字がうるさい部分があります。それでもいいよという方はどうぞ


宣戦布告

「あ”あ”あ”あ”あ”お”のれA組、A組おのれぇぇえ!!!」

「物間が発狂した! 学級委員んんん!!!」

 

 USJ襲撃によって臨時休校になり、1日明けの清々しい朝の教室に似つかわしくない恨みがましい声が響き渡っていた。

 

「どうしたんですか」

「パンドラ! 丁度良かった。物間の怒りを鎮めてくれ!」

 

 パンドラは持っていたバックを上へ放り投げ

 

「吹き荒れろ! エタナールブリザード!!」

 

 思いっきり物間に向かって蹴りつける

 

「ブエバッッッ」

 

 今バックが凍っていたように見えた? 気のせいだろう。とりあえず一時的だが物間を黙らすことができた。

 

「一体何をそんなに荒ぶっているのですか?」

「パンドラも受けなかったのか!? あのマスコミの屈辱を!」

 

 鼻息荒い物間から話をまとめると

 先日あったUSJ襲撃事件の為取材に来たマスコミに1年A組に間違えられ取り囲まれた挙句、違うと分かった瞬間悪態をつかれながらほっぽり出されたらしい。

 

「あー俺も囲まれたわ」「私もー」「ん」

 

「あっそういえば私も囲まれましたね」

 至極どうでもいい事だったのでパンドラの記憶に残っていなかった。

 

「僕だけがdisられるならまだいいよ!? けどあいつらなんて言ったと思う? 『1年B組とかどうでもいいんだよ』はぁ!? 僕らだって雄英高校ヒーロー科だっ! なんで襲撃にあったA組だけチヤホヤされてB組が虚ろにされなきゃいけないんだ!!」

 

 話がみえてきた。物間が怒っているのはB組が下に見られた事。普通そこはマスコミに怒りが全集中するところだが、怒りですっとばしてA組の方に恨み辛みがいってしまったようだ。

 話している間も物間は怒りで今にもまた暴れだしそうである。

 

 \ピコン/

 

「ん?」

 

 ポケットからスマホを出し確認してみると

 

(心操くん?)

 

 心操 : 昼休み一緒に食べないか? 

 

(珍しいですね)

 

 普段は2人とも同じクラス同士でご飯を食べている。心操とはスマホでは毎日一言二言は言葉を交わしているが、面と向かって喋る機会最近あまりなかった。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙憎い憎い憎い!!! A組いぃぃぃぃ!!!」

 

 再び物間が発狂してきたがもう少しで先生が来るので放置する。それよりもパンドラは心操の事が気になっていた

 

(何かあったのでしょうか······?)

 

 

 

 ✣✣✣

 

 

 

 昼休み

 

(さてパンドラは来るかな)

 

 朝連絡はした。返事も来たし意味もなく約束を破るような奴では無いことを心操は十分承知している

 

「心操一緒に飯食おうよー」

「あっごめん今日他のクラスの友達が来るんだけど」

「おっ他クラスに友達いるのか!?」

 

 この2人はいつも自分なんかをご飯に誘ってくれる。更に心操のヒーロー科に入りたいという夢も笑わずに聞いてくれたとても良い友達だ。今回パンドラをC組に呼んだのも彼らを紹介したい気持ちもちょびっとだけあった。

 

「うん1年Bく「Guten tag!!」みの」

 

「あー!! 誘拐犯!」

「そこのお嬢さん! だぁれが誘拐犯ですって!?」

「お前えええ! 心操は渡さねーぞごらぁ!」

 

 2人は心操がジャスティスに会った日のことを忘れていなかったようだ。

 

「待って、今日は俺が呼んだんだ」

 

 心操は一発触発になる前に慌てて止め、席に座るよう勧める。

 

「自己紹介しといた方がいいですかね。私のな「鈴木二重、あだ名はパンドラだろ」おやまぁ」

 

「すまん、勝手にこいつらに教えといた」

 

 心操はプライバシーの侵害かと手を合わせて謝るが、紹介する手間が省けましたとパンドラに顔をあげるよう促される。

 

「それでは早速私とお友達に!」

 

 2人はじっとパンドラを何秒間か見つめた後「マジで心操が言ったまんまだな」と息を吐いた。

 

「「よろしくね/な。パンドラ」」

 

 険悪な雰囲気だった気がするが解消されたようだ。

 

「はい! よろしくお願いします。······ところで心操くん、何か私に相談したいことでもあるんですか?」

「ああ。相談というか俺の中では確定しているんだが一応聞いて欲しいなと思ってな······俺、1年A組に宣戦布告しようと考えている」

 

 パンドラの様子を伺うがまだアクションはない。心操は続けろという意味だと解釈したので話し続ける。

 

「この行為は俺の覚悟を示すものだ。それとチヤホヤされて調子のってるA組にさ······俺みたいな奴がいるってことを知っていて欲しい」

 

 一瞬間が空いた──次の瞬間

 

「素晴らしい! 素晴らしいですよ! 心操くん! 自らを追い込むその心意気! アッパレです! 宣戦布告! まさに王道主人公じゃないですか!?」

 

 答えは心操の予想していた3倍の勢いで返ってきた。

 

「で」

 

 と思えばパンドラはずいっと心操に顔を近づけてくる。

 

「私には宣戦布告してくれないのですか?」

 

 とんちんかんな言動で皆忘れかけているが、彼もあのヒーロー科の人間である。ならば心操がするべきことはただ1つ。

 

「俺はお前に勝ちを譲る気はない」

 

 パンドラならこの布告を大袈裟に受け取って無駄な語彙力で返事してくるだろうと心操は思った······が

 

「······私だって譲って貰う気はないですよ?」

 

 その声色は深かった

 ゾクッとした感覚が心操の体を這いずり回る。

 

「私が行うのは」

 

 やけにパンドラ言葉はゆっくりだ

 数秒前まではいつも通りの日常だったはずだ。

 動かないと思い込んでいた彼の空っぽの目が形を変えていく。

 

「一方的な蹂躙ですよ?」

 

 パンドラが笑った。なのにどうしてか心操はまるで得体の知れない何か恐ろしいものを目の前にしている気分になった

 そしてこの感覚は前に彼は似た感覚をどこかで

 

「そう、体育祭。血気溢れる少年少女達が己の全てをぶつけ合う舞台。それはまさに古代のコロッセオを彷彿とさせるじゃあありませんか! あるものは力であるものは知略でまたあるものは技術・経験・運あらゆるものを駆使して掴むのは栄光の証! なんてドキドキする催しなのでしょう! 何よりも父上に私の! 私の勇姿を思う存分ご覧いただける絶好の機会! ああ今この時から胸から溢れるだしそうになるこのワクワク感! たまりません!」

 

 心操はズッコケそうになった。体をくねらせるパンドラの姿にホッとするような複雑な気持ちになるやら

 

(気のせいだったのだろうか?)

 

「そういえばいつ宣戦布告をするのですか? 今日ですか? 放課後ですか? なんなら私がカッコイイ宣言の仕方を「お断りします」何故ですかァァァ!?」

 

 机に頭をガンガンと打ちつけて不満を表現してきた。教えて貰えばいいのにーと外野がワイワイと騒いでいるが、今までの言動から碌でもないセリフになりそうだと心操は確信していた。

 

「実行は今日の放課後」

「じゃあ私もA組に宣戦布告したいです」

「えっ」

 

 何がじゃあなのだろうか

 

 

 

 ✣✣✣

 

 

 

 

「うおおお···何ごとだァ!!!?」

 

 緑谷出久は困惑していた。授業も終わったので帰ろうとしたら教室が生徒に囲まれている。これでは家に帰れないどころか教室からも出られない。

 どうしようかと迷っているうちに幼なじみである爆豪勝己が口を開いた。

 

「意味ねぇからどけ モブ共」

 

(アワワかっちゃん今ので結構な人数を敵に回したんじゃ·····)

 

 この人だかりは襲撃を耐えた1年A組がどんな奴らなのかを偵察しに来たらしい。確かにもし自分がA組ではない他のクラスの生徒であったなら興味津々で出待ちしていただろう。

 

(かっちゃんは大胆すぎるんだよ。もっとマイルドな表現に出来ないかなぁ。それはもうかっちゃんと呼べるかどうか分からないけどさ。でもその言い方だと反論してくる人が1人か2人絶対)

 

「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

 

「ああ”!?」

 

 (出てきちゃったあああ)

 

緑谷の予想通りくまを目の下で飼っている紫髪の男の子が挑発的な言葉を口にしながら前に出てきた。

 

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」

 

ズモモモモ

 

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ知ってた?」

 

ピシャーっン!!! 

 

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって」

 

パァァァァ!!! 

 

「その逆もまた然りらしいよ·····」

 

ズンッッッ

 

「敵情視察? 少なくとも普通科(おれ)は」

 

 シーン

 

「調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつ──宣戦布告しに来たつもり」

 

ドバァァァァン!!! 

 

(((この人も大胆不敵だな!! ······けどそれよりも)))

 緑谷・麗日・飯田の気持ちが1つになる。

 視線は宣戦布告してきた人ではなく

 

 宣戦布告してきた人も困った顔をして後ろを向いた。

「なぁパンドラ······」

 

「? なんですか」

 

「「「「何してんのパンドラ/パンドラくん?」」」」

 

 4人の言葉が重なった。そしてこの疑問はここにいる全員が持っていたものであった。

 

 心操が宣戦布告をしている間、ずっとパンドラは後ろで壁紙とサンプラーを持ってスタンバイしていた。そしてさっきからセリフの場面ごとに雰囲気にあった背景を設置し、効果音を垂れ流していたのだ。

 

「私なりのエールです。こっちの方がカッコイイでしょう?」

「確実にエールの仕方間違ってるよ······」

「いい宣戦布告でしたよ心操くん」

「話を聞こうかパンドラ」

 

 (この人パンドラくんとのお友達なのかな·····)

 

「心操くんに乗っかる形になりますが······はじめまして私は1年B組、鈴木二重と申します。パンドラと呼んで貰えると幸いです」

 

 心操より前に出て、パンドラは大袈裟に腰を曲げる

 

「まず最初に······襲撃を無事耐え抜いたこと。誠に感服いたしました!」

「テメェは何が言いたいんだよ。簡潔に話せ」

 

 やたらキザったらしいセリフが爆豪の琴線に触れたらしい。目に見えてイライラしている。

 

「言葉にちゃちゃを入れるのはあまりよろしくないですねぇ? 心操くんのような普通科だけではなく私達B組もあなた達を叩き潰そうと牙を研いでいることを·····くれぐれもお忘れのないように」

 

「······」

 

「とわざわざ忠告しにきてあげたんですよ。ねえ? 入試首席合格の爆豪くん?」

 

 パンドラは小首を傾げた。

 爆豪はおもむろに手を挙げ

 

「去れ、カス!!」

 

 中指を立てた。

 

「喧嘩売られてしやいましたね心操くん」

「首洗って待っとけとでも言っとくか」

「だそうですよ! 首どころか全身洗って待っときなさいですって!」

「毎日全身洗っとるわクソが!!」

 

 宣戦布告をした2人組は踵を返して野次馬の中に消えていった。

 

「な·····なんだったんだ? 今の?」

「緑谷達あのパンドラだっけ? あいつのことなんか知ってんのか!?」

「あっうん、入試の時ちょっとね」

 

 緑谷はパンドラのことについて話そうとして気づく

 自分はパンドラについて多くのことを知らないと

 個性すら知らないということを

 

「けどよー紫髪にしろパンドラって奴にしろ、今回の事でおめーのせいでヘイト集まりまくっちまってるんだけど!!」

「関係ねぇよ······」

「はぁ──ー!?」

 

「上に上がりゃ関係ねぇ」

 

 その言葉にハッとする

 

(バカか·····僕は·····!)

 

 自分は最高のヒーローになる為にここにいるんだと

 

 

 

 ✣✣✣

 

 

 

 ──次の日

 

「ハハハハハァ聞いたよパンドラァァァ!? あの1年A組に宣戦布告したんだってぇ!? 君なら何かやってくれると思ってたよ!!!」

 

 パンドラは朝っぱらからテンションが壊れている物間に絡まれてしまった。視界の端ではこちらに向かって手を合わせ頭を下げている鉄哲がいる。昨日あの野次馬の中に鉄哲が居たのは分かっていた。多分その時の様子を事細やかに話してしまったのだろう。

 だからといって話を聞いただけで物間がこの状態異常になるのだろうか

 

 数日前までは少し頭がまわる策略冷静キャラだったはずだ。なのに今となってはただのA組アンチモンスター。大半のクラスメイトがヤバい奴リストに物間を追加している。

 

(もうこれは呪いか精神汚染なのでは?)

 

 そんなことを考えている自分もとっくの昔にヤバい奴リストに乗っていることをパンドラは知らない。

 

「さあさあさあ一緒にあの憎きA組にギャフンと言わせてあげようじゃないか! 楽しみだなぁァァァ」

 

 体育祭は団体戦ではなく個人戦なのだが、物間はそこら辺を分かっているのか心配である。

 まぁ楽しみなのはパンドラとて同じ気持ちだ

 

「ええそうですね、楽しみですね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──体育祭当日

 

 

「何故この世に体育祭などあるのだろうかと私は考える。女子高生に囲まれて暮らしたい」

 

「何があったパンドラ!?」

「女子高生なら囲まれてるだろ。週6日で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


<需要>

 

「死柄木という名前···触れたものを粉々にする個性······20〜30代の個性登録を洗ってみましたが該当なしです」

 

 そう報告するのはオールマイトとの古くからの友人である塚内だ。

 いわゆる裏の人間。こちらは敵について何も分からない。ただ今回の襲撃でみえてきた死柄木の人物像は

 

「幼児的万能感の抜け切らない”子ども大人”だ」

 

 力を持ってしまった子ども。そしてその子ども大人に従う裏の人間達

 

「抑圧されてきた悪意たちはそういう無邪気な邪悪に惹かれてるのかもしれないね」

 

「······」

 

「肝心なところで転んでしまうようなドジっ子属性に保護欲でも湧いたのかな」

 

「······‪w」

 

 死柄木のドジっ子属性に需要はあるのだろうか

 

「ないよ!?」

「No!!!」

「無いな!」

「ないわ!」

「ナイ」

「ないだろ」

「HAHAHA!」

 

 

 

 




今頃ですけど視点変えすぎですかね?見にくいですか?
スパッと体育祭にいきたかったんですけど宣戦布告は必要イベントかなと思いひとクッション入れました。次から体育祭です。ここまで来るのに10話も消費してしまった·····。嘘やろ·····?



Q.なんで心操ゾッとしたの?
A.覚悟には覚悟を、パンドラ人間ではないですからね·····すごめば人間ではない何かを感じてしまうんじゃないでかねと思ったんで

Q.なんで普通科の人若干敵意むき出しだったの?
A.心操を大切に思っているからこそです。1回連れ去っている前科もありますし(誤解ですが)ところで誰か本誌で心操の友達っぽい男女2人組の名前知りませんか?今回出てきた心操の良い友達はその2人のことを書いているつもりなんですが名前が分からないのです

次回、体育祭開幕!だがしかしパンドラは元気がなかった·····

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