パンドラヒーローアカデミア   作:ぐち山ぐち

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評価、誤字報告ありがとうございます。



相変わらず稚拙な文ですがよろしければどうぞ


乞うご期待

 怪我を治療して貰った緑谷出久は急いで観覧席に戻ってきた。まだ寝ている心操相手に言いたいことはいっぱいあったが、どうしても伝えときたい言葉はパンドラに伝言を頼んだ。

 

「あっデクくんおつかれー席空いているよ!」

 

 出迎えてくれたのは麗日だ。

 お礼を言って席に座らせてもらう。

 

「怪我大丈夫?」

「うん。リカバリーガールに手当してもらったから大丈夫」

「なら良かった! それにしても普通科の人すごかったね」

「うん······」

 

 心操との戦いは身体的な痛みも酷かったが、殴り殴られながらの隙間に聞こえた言葉。個性にかからない為にも返事や反応は出来なかったが自分と重なりすぎて精神的にくるものがあった。

 

 自分が今スタート地点に立てているのは周りに恵まれていたからだ。だからこそこちらも負けるわけにはいかない。

 

「ところで今これどんな状況?」

「轟くんと瀬呂くんは轟くんが勝利」

 

 数秒にも満たない時間で会場を覆うほどの大氷壁をつくりだし拘束して勝負を決めたらしい。

 

「で今は上鳴くんがB組の塩崎さんに瞬殺されて運ばれているところ」

「うんそれは見たら分かるね」

 

 現在ステージ上で上鳴はアホ面になっている。全力放出を防がれた後、あのツルで拘束されてしまったのだろう。凄い個性だ。

 

「そんでもってこれから飯田くんと発目さんが戦うところ」

「なるほどありがとう」

「いえいえー」

 

 結果、飯田が勝った。と言うより発目さんが10分間アイテム解説付きで鬼ごっこしただけだった。

 

「っしそろそろ控え室行ってくるね」

 

 気合いを入れた麗日を見送る。

 

「えっと次は······芦戸さんとパンドラくんか」

 

 いよいよパンドラの個性が見られる時がきた。今までの競技で彼が個性を使った場面はなかったが、宣戦布告の様子から随分自信を持っているように感じる。

 

(一体どんな個性なんだろう?)

 

 緑谷は今からノートをスタンバイしてワクワクしていた。

 

『続けていくぜぇ!! 次は第5回戦!! 今のところ大人しいぞどうしたぁ!? あだ名はパンドラ! ヒーロー科鈴木二重! (バーサス)あの角からなんか出るのねぇなんか出るの!? ヒーロー科芦戸三奈!』

 

「にしし悪いけど勝たせてもらうよ〜!」

「それはこちらのセリフですね! 可愛らしいお嬢さんを傷つけるのは趣味ではありませんが」

 

『START!!』

 

 先に動いたのは芦戸だった。

 

「てりゃぁっ!」

 

 足から酸を放出しスケート選手のように移動して攻撃を仕掛けようとする。それに対してパンドラはどこからか軍帽をとりだし······軍帽? 

 

『芦戸勢いよくパンドラにアッパーを仕掛けるも避けられるぅ! 一方パンドラは軍帽をかぶりだしたぞ? どこから出したァ!?』

『何やってんだアイツ』

 

(パンドラくんが何かしらの個性を使った? 軍帽を出す個性? 不味い何をしたのか全然分からなかった)

 

「なんで軍帽!?」

 思わず芦戸もつっこむ

 

「これがないとパンドラズ・アクターではありません!」

 なぜか自慢げに返事をする。

 

 芦戸の攻撃を再度かわし、少し距離をとろうとしたのか後ろへジャンプと同時にパンドラの姿が崩れ落ちて

 

『えっ』

「えっ」

(えっ)

 

 着地したのはパンドラではなくプレゼント・マイクだった。

 彼は大きく息を吸い込

 

 

 

 

YEARRRRRRR!!! 

 

 

 

 

 思わず耳と目を塞ぐほどの爆音が会場を襲った。

 

 こわごわと目を開けると

 

『っ勝者鈴木二重ェェェエ! けどその絵面はヤメテ欲しい! 俺が倒したみたいでヤダッ!』

 

 ミッドナイトも慌てて鞭を掲げる

 

「·····っ勝者! 鈴木二重!」

「ミッドナイト、出来ればパンドラとお呼びください。パンドラと」

「勝者! パンドラー!」

 

 予想斜めの展開にうわあああ!!! と遅れて会場のボルテージが急上昇する。

 主にプロヒーローの席からの動揺が凄かった。

 

 パンドラもそのざわめきに応えるようにプレゼント・マイクの姿のまま色々な方向にポーズを決める。

 

『ちょっ俺の姿でそんなポーズ······えっヤメテヤメテこの年でそのポーズはキツイ! パンドラ? パンドラァァ!?』

『いやお前いつもこんな感じだろ』

 

「HAHAHA!! ねぇ見た!? 塩崎に続いてパンドラも勝ち抜いたよ!? やっぱり多けりゃいいもんじゃなくて大切なのは質だね質! その点僕らB組は大変優秀で」

「物間シャラップっあ」

「甘いな拳動! 僕の危機察知能力は短い間でプルスウルトラ、君の攻撃など恐るるに足ら「シャラァップ!」ぐえっ」

 

「個性のコピー? 物間くんと同じ個性か? けれど彼と違いパンドラは姿も変えることが出来る。ならば個性だけではなく身体能力もコピーしていると考えられるな······そういえば服もちゃんと変わっていたけど服のサポートアイテムまで再現出来る? だとするとさっきの軍帽も誰かの服をコピーした? 個性はストックできるのかなそれとも何か条件を満たさないと変身出来ないのかそれによって戦い方は変わってくるけどどっちだろう。どっちにしても状況によって個性を使い分けられるとなると万能型な個性であり八百万さんと通ずるものが」

 

 会場はカオスな状況になっているが、緑谷はそんなこと気にならないぐらい考察に没頭する。パンドラの個性を用いた戦い方、特徴、性格·····相手になった場合の対策、自分の個性をどう使うか······ペンで文字を書くことを止められない。

 

「緑谷絶好調だな······」

「ブツブツうるせぇ」

 

 クラスメイトが何か言っているが内容など緑谷の耳には入ってこない。確かにこの個性ならあんな自信に満ち溢れた態度が取れるだろう。紛うことなき強個性の分類だ。

 

 (んっ待てよ?)

 

緑谷は手を止める。今のところパンドラの個性は相手の体をコピーし相手の個性を使えると仮定しているが、オールマイトにもなれるのだろうか? だとすると

 

(パンドラくんはまさかオールマイトの秘密を······?)

 

 パンドラがどこまでコピーできるか分からない。もしかしたらコピー出来ない条件などもあるかもしれない。だがもし誰でもなれるのなら、全てをコピーできるとしたら······

 

(僕がオールマイトと同じ個性を持っていることもそのうちバレるんじゃ·····)

 

『あーっとパンドラァァァ!? 意識を失った芦戸を華麗に姫抱っこで運んでいく! けどいつまで俺の姿でいるの!? お姫様抱っことか俺のキャラじゃないからね!?』

『うわぁ』

『イレイザーは何に引いているの!?』

 

 かといってストレートにパンドラに聞くのはリスクが高い。

 

 突如として現れた問題を緑谷はどうすればよいか分からないまま、ルンルンと退場門に向かうパンドラを見送ることしか出来なかった。

 

 

 ✣✣✣

 

 一方緑谷に警戒されてしまったとはつゆ知らず、パンドラは結果に満足していた。

 

(予定通りですね)

 

 観客の反応もプロヒーローの驚いた顔も無事拝むことが出来た。次も更に自分の個性の有能さをその目に焼き付けて貰わなければならない。

 芦戸を保健所に送り届け、パンドラは考えを巡らしながら観客席へ移動していた。時間的に次の試合は見ることは叶わなそうだが問題は無い。

 

(多分常闇くんが勝つでしょう)

 

 常闇の【黒影】は攻撃、防御、移動全てをこなせる強力な個性だ。八百万の個性も悪くはないのだが1体1では勝利するのは難しい。弱点さえ分かっていたらまた違う未来もあるのかもしれないが

 

(そう弱点! 私は彼の弱点を知っているのです)

 

 パンドラは常闇に変化した際、本人のより少し小さめのダークシャドウを発現することが出来た。召喚のような扱いなのか彼はパンドラが主であると最初から認識していたので、自分の弱点やらなんやら全てさらけ出してくれたのだ。

 戦いは始まる前から終わっている。

 この教えは父に出会った頃から耳にタコが出来るほど言われ続けた。

 本当にその通りだと思う。おかげで次に変化する人物はもう決まっている。プレゼント・マイクなどより知名度も話題性も格段に上のヒーローだ。

 

(ふふふ、観客にはもっともっと私に夢中になって貰いましょうか)

 

「パンドラ1回戦突破おめでとう! さぁ席にお座り! 一緒に徹鉄を応援しようじゃないか!?」

 

 考え込んでいると上に着いていたらしい。物間をはじめとするB組の生徒達が声をかけてきた。一つ一つに反応をかえしながら目線はA組の方に向ける。パンドラには席に着く前にやらなければならないことがあった。

 

「緑谷くん!」

 

「あっ·····パンドラくん」

 

 目的の緑谷は今観客席に戻ってきたようだ。それにしても何だか反応がよそよそしい······? 

 

「心操くんから伝言です。『俺は絶対諦めない。みっともない負け方すんなよ』だそうです!」

 

「っ! 分かった! 伝えてくれてありがとう」

 

「ところで態度がよそ『両者ダウン! 引き分け!』ありゃま」

 

 疑問を口にしようとした瞬間ミッドナイトの声で遮られる。その間に緑谷は意識をステージに向けてしまっていた。

 

(うーん気になりますね)

 

 とりあえず心操との約束は果たしたので自分もステージに集中しよう······とは言ってもそこまで心動かされる出来事はなかったが。

 爆豪VS麗日は麗日の方は工夫をしているなと感じただけであり

 緑谷VS轟も両者の威力の強さを再確認するだけであった。この年では凄いなとは思うが、興味を持つほどではない。今の緑谷のパワーぐらいならナザリックにゴロゴロいるし、氷と炎を両方出せるのも魔法という概念がある身としたらだから? という程度だ。

 

 次は塩崎VS飯田。ステージ修復で時間がかかるらしいが早めに行動しとく。クラスメイトの声援を聞きながら下に降り、適当に時間を潰していると

 

(おや?)

 

 異形種ならではの発達した聴力が聞き覚えのある声を拾う。

 

「けどな私も無個性だったんだぜ」

 

(っ!?)

 

 いきなりの衝撃発言でパンドラは思わずズッコケそうになった。オールマイトは無個性だったのか。それが【ワン・フォー・オール】に何か関係あるのかと聞かれれば疑問だが、至高の御方達が注目している存在の新情報を棚ぼたで聞いてしまい密かにラッキーと思ってしまう。

 だけどこんな誰に聞かれるか分からない場所で堂々と言ってしまっていいのだろうか

 

「あっあとパンドラくんのことなんですが」

 

 自分の名前がいきなり出てきてドキッとする。

 どうやらパンドラの試合を見た緑谷があの個性によって自分達の秘密がバレてしまうのではないかと懸念しているらしい。先程の態度に納得する。なるほど傍から見ればパンドラの個性としている【ドッペルゲンガー】ならばやろうとすればやれるなと改めて思う。

 

(尋ねてきた場合どう答えましょう······)

 

 試合前なのに悩みが出来てしまった。さすが至高の御方達が認めたお方。恐るべしオールマイト(と緑谷)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ✣✣✣

 

 

 

 轟焦凍は考えていた。

 

 内容は先程の試合のこと

 

(俺は一体どうしたいんだろうな)

 

 自分は今までエンデヴァーを見返すために努力してきた。今回の体育祭でも母の個性だけで優勝してあいつの曇った顔を拝んでやろうと思っていたのに

 

『君の! 力じゃないか!!』

 

 緑谷の声が頭に響く。あの時だけはあいつへの憎しみを忘れていた。

 あいつの·····忌まわしいはずの個性を使ってしまっていた。

 それが正しいのか間違っているのか

 

(俺は·····)

 

『次はパンドラVS常闇!!』

 

 プレゼント・マイクの声で我にかえる。そうだ、まだ試合は終わっちゃいない。戦うかもしれない相手はしっかりと観察しとかなければ

 

 ステージ上に立っているのは攻守両方優秀な常闇と·····もう1人は鈴木? パンドラ? プレゼント・マイクの姿に変身していたやつだ。鈴木の方はまだ未知数な部分が多いとは言え、どちらも厄介そうな相手のように思える。

 

『START!!』

 

「いけっダークシャドウ!!」

「アイヨ!」

 

 素早くダークシャドウが突進していく。

 

「ふんっ」

 

 鈴木はダークシャドウを避けるように宙返りを決めながら常闇の後ろへ着地した。頭にはさっきまでなかった軍帽をかぶっている。前の試合でもかぶっていたが何か意味があるのか? 

 

 ダークシャドウが引き返してくるのと同時に鈴木の姿が崩れ落ちる。これも前の試合で見た光景だ。またプレゼント・マイクになるつもりなのか、それとも別の人物にでも

 

「Verbrennend Faust」

 

 ステージに眩い炎が揺らめき立つ

 

「Jet Burn!!!」

 

「ギャンッ!」

「ダークシャドウッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ?」

 

 炎を纏った拳に殴られたダークシャドウは一気に勢いがなくなる。

 ステージに立っているのは軍帽を被ったエンデヴァーの姿? 

 いや違う、あれはあいつじゃない。鈴木だ。

 

「黒き影をその身に宿す者よ·····」

 

 常闇はそんな名前じゃない

 

「陰が光を嫌うのはこの世の運命(さだめ)

 

 あいつはそんなこと言わない

 

「っ! それでも立ち向かわなければならない時がある」

「フフッ·····フーハハハ!! それが貴方の選択ですか? この身に纏いし獄炎は唯一無二の陰を焼き尽くす! 降参をオススメします」

「ぐっ」

 

 片手で顔を覆いながら常闇を指さすな

 

「エル・プサイ・コングルゥ·····貴方へ送る最後の言葉です。さあ選択を!」

 

 やめてくれ。荒ぶる鷹のポーズをしながらその言葉はやめてくれ。なんだエルプサイコングルゥって·····

 

「トコヤミィ······」

「·····降······参だ」

「苦渋の決断に賞賛を·······しかしこれで終わりではない! これからが始まりなのです! 我が同士

 

 ビッ······ビブラートだとぉっ!? 

 

「パンドラ·····同じ世界を見る者よ·····」

「常闇くん降参! パンドラの勝利!!」

 

 盛り上がる会場に向かって鈴木は溢れんばかりの笑顔で役者のようなお辞儀をする。

 やめろ。あいつの満面の笑みとか洒落にならないし頭なんてさげない。

 あいつは母さんを壊した。

 

 俺はあいつの思う通りになりたくなくて、その思いでヒーローを目指して

 

 母さんだけの個性でNO.1をとって

 

 けれど俺の個性は俺の力だって

 

 何が正しいのか分からなくなって

 

 今そこで内股でピョンピョンしているのは一体誰だ? 俺が憎んでいた奴はあんなこと·····

 何が正しくて何が間違えているのか??? 

 

「·····しょ·····焦凍の頭がショート·····?」

 

「何言ってるんだ轟!?」

「おいっ白目向いているぞ!」

「轟くん落ち着いて! あれは君のお父さんじゃない! パンドラくんだ!!」

 

「······ふぇ?」

「轟ィィィイ!!?」

 

 もう何も考えたくない

 

 

 

 

 続く?




エンデヴァー「鈴木二重ェェェエ!!!」
理不尽な風評被害がエンデヴァーを襲う!

???「いやあ”あ”あ”あ”あ”」
とある人物にも大ダメージ!


体育祭前や後の轟くんなら「ざまぁ‪w」と言えたのですが、緑谷くんとの戦いで混乱気味だった時にさらに混乱する視覚情報を取り込んでしまったのでこんなことになりました。

多分今回1番ダメージくらったのは轟くん

次回、本編優勝者爆豪と戦うことになったパンドラ、彼は爆豪に勝てるのだろうか?



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