どうもお久しぶりです。今回パンドラほぼ出ないのに加え、全然内容進んでない。こんなはずじゃなかった。多分次で終わる。いや終わらす。
そんなんでもいいよという方は本編へどうぞ
──保須市 路地裏
死柄木の放ったヴィランが街中で暴れている中、飯田は兄の仇であるヒーロー殺しと向かい合っていた
「僕の兄さんを、インゲニウムを襲った──」
「おい待て·····? インゲニウム·····? はぁ····そんな奴知らん」
ステインは何言ってんだこいつとばかりに首を捻る。その態度は飯田を激怒させるには十分だった
「ふっ·····ふざけるな! ふざけるなあっ! お前は自分が粛清した相手の名前すら覚えていないのか!?」
「覚えてるに決まってるだろ·····それを踏まえて言っているのだ。俺は社会を導く者として嘘などつかん。お前の兄を粛清した覚えはない。言いがかりも甚だしいぞ」
「黙れっ」
怒りに任せ個性を使いステインに蹴りかかる。しかしそれは難なく躱され、逆に足の棘が飯田の腕を傷つける。さらにそこから押し倒しもう片方の腕を刀で刺さされた。
「ぐぅっ」
「弱いのに加え、勘違いで人を襲う。しかもそこに倒れている偽物は無視。最悪だ。お前はヒーローとして最悪だ。きっとお前の兄とやらもそうなのだろう·····」
ステインの言葉に飯田の目の前は真っ赤に染まった。立派なヒーローである兄を殺人鬼に侮辱された。その事実に途方もない怒りが身体中を駆け巡る。もう腕の痛みなどどうでもよかった。
「·····取り消せ·····その言葉を取り消せえぇぇ!!」
「? 何に怒っている? 俺はお前の行動を見てそう思っただけだ。お前の兄を1番貶めているのはお前では無いのか?」
飯田ははっと息が詰まる。冷水のように浴びせられた言葉で沸騰した脳が正常に動き出した。それと同時に自身の行動の身勝手さを理解してしまった。
「おっ·····俺は、俺は! ····けどお前は兄を」
「だから俺はお前の兄など知らんと言っているだろう·····まぁどうでもいい。お前は粛清対象。それ以上でもそれ以下でもない」
ステインは刀に付いた血を舐めとる。その瞬間飯田の体はピクリとも動かなくなった。
「じゃあな偽物」
一片の慈悲なく刀を振り上げる。飯田はそれをただただ涙を流して見つめることしか出来なかった。
──ドゴォ
「ぐふ」
刀は振り下ろされなかった。そして目の前にいたのは
「助けに来たよ飯田くん」
「緑谷くんっ! なぜ·····!?」
緑谷出久だった。
どうも彼は今までのステインの動向を推測してここまでやって来たようだ。襲われているかもしれない飯田をわざわざ助けに
「助けに来た·····か、いい台詞じゃないか。だがぶつかり合うのなら弱いものが淘汰される訳だが、さあどうする」
起き上がったステインの目は殺気に満ちていた。緑谷含むこの場にいる全員を殺そうとしているのは明白だ。だが緑谷は笑って言い返す
「オールマイトが言っていた。余計なお世話はヒーローの本質だってね」
それを皮切りにステインは笑顔で襲いかかる。緑谷は授業の時には見せていなかったはずの動きで猛攻を捌く。そんな中飯田は地面に這いつくばっていることしか出来ない。そんな己が不甲斐なくて、緑谷をのように他人のために真っ先に動くことが出来なかった自分がさらに惨めで、心はもうぐちゃぐちゃだった。もしも本当にステインが兄を殺していなかったとしたら? 自分は?
突然緑谷の動きが止まった。ステインはそのまま隣を通り越し、飯田の前で足を止める。
「お前は生かす価値がある。こいつらとは違う」
本当の兄の仇を討つことも出来ず、自身の私欲を優先させた大馬鹿者として死ぬのか
飯田は虚ろな目で今度こそ振り下ろされる刃を見ていた。だが突然横から熱気が伝わってくる
「?」
赤い炎だった
「遅くなっちまったな」
声の方向に振り向くと同じクラスの轟焦凍が炎を纏いながらそこに立っている。緑谷のメールで駆けつけたようだが何故駆けつけたのか飯田には分からなかった。だけどひとつ分かったことがある
(君も·····君も僕と違ってヒーローなんだな)
続いて炎と氷が交差する光景の前に飯田は漠然とそう思った
激しい戦いが繰り広げられているが少しずつ轟も押されている
その様子に飯田は思わず叫んだ
「もうやめろ! やめてくれ! 僕なんかのために君たちが傷つく必要はない! 私欲で動いて! 仇でもなんでもないやつの前にしゃしゃり出て! 返り討ちされるような僕なんかに」
「よく見ろ飯田! こいつがお前の仇じゃなかったとしてもヒーロー殺しは人々の生活を脅かすヴィランだ! 私欲だろうがなんだろうが捕まえなきゃいけねぇヴィランには間違いないだろうが!」
飯田に向かって轟は怒鳴った。攻撃を何とか防ぎながら言葉を続ける
「確かに私刑で動くのは良くないことだ。けどお前がいなかったらネイティブさんは死んでいた! お前の行動は人を救ったとそう納得しとけ! 反省も後悔も後回し、自分が今何をするべきか考えろ! 間違えたのなら今後どうするかが問題だろうがぁ!」
轟に凶刃が迫ろうとした瞬間緑谷が動き出す
それによって導き出された条件からステインの個性は【凝血】だということが判明した。血液型によって拘束時間が変わるらしい。相手の様子からA型はまだかかりそうだった。
(今後、どうするか·····)
今飯田がやらなければならないこと。それは傷ついたネイティブと友達2人を守る。2人と違って自分が自分のことしか考えていないことは嫌という程理解した。だからと言ってそれを理由に項垂れているだけなんてあってはいけない。たとえそれが取り繕ったものだ言われてもやらなければならないのだ。やらなければ何も変われない。もはやヒーロー殺しが兄を本当に殺していないかどうかは関係なかった。ヒーローと犯罪者として戦うだけだ
(兄さんはあの日から意識を取り戻さない。だからどう思っているかは分からないけど·····なぁ兄さん俺はインゲニウムの名を貸してもらって良いだろうか)
インゲニウムは飯田に夢を抱かせてくれた、インゲニウムは他人のためになれるのが嬉しいと語っていた
(インゲニウムの名を背負わせてくれ、兄さんのようなヒーローになってみせるから、目が覚めたらインゲニウムの名をちゃんと兄さんに返すから)
「動け、動け動け動けぇぇえ!!」
またしても轟にステインの刃が迫る。
「僕の」
脚がちぎれたとしても
「友達に」
ここで立たなければ
「手を出すなああああ!」
一生インゲニウムのようなヒーローにはなれない
もう飯田は2人にもネイティブに血を流させる訳にはいかなかった
繰り出した蹴りは轟に当たる前に刀を折った。もう迷いはないとステインを睨みつける
「俺は! インゲニウムの名の元に、ここにいる全員を守り通してみせる!」
「愚か·····感化されたようだがお前の本質は変わらない。お前は偽物でしかない」
飯田を蔑んだ目で見つめるステインは姿勢を低くした。今までと似ているようで違う。さっきまでとは殺気の濃さが段違いだ
(くそっなのにレシプロバーストは切れている。とにかく轟君を守るには·····)
「いい加減死ね」
「いや、死ぬのはお前だヒーロー殺し」
突然頭上から声が聞こえたかと思うとステイン目掛けて炎が降り注いだ。
その際、炎を突っ切って轟の方にナイフが2本飛んできたが飯田は轟ごと横に避け、距離をとる。腕の痛みに飯田は顔を顰めたが乱入者の顔を見ようと顔を上に向けた。いや、見なくても相手は誰なのかは予想がついていた。
「クソ親父っ!?」
轟が驚いた顔をしている後ろでは「小僧ぅぅぅ!」と老人に飛び蹴りをくらっている緑谷とさらにその後ろではドタバタと足音が響き渡ったあと、数名が汗だくでひょこっと顔を覗かした。
「エッエンデヴァーゼェさっきまでグフヴィランと難戦していたのにハァなぜ我々より先に到着しているんですか!?」
「·····」
〜エンデヴァーの回想〜
1匹目のぶちのめしたエンデヴァー達は2匹目の方へ向かっていた。
「全く、まだ倒しきれないとは何をやってんだあのヒーロー共は」
「無茶言ってやるな轟、相手は個性複数持ちの化け物だ。苦戦するのはしょうがない」
倒しきれていないのなら自分が倒せばいいと、パンドラ達には周囲の市民を避難させるように言っといたのでさっきのよりは倒しやすいはずだと、エンデヴァーは出来るだけ早く焦凍の方へ向かうため全速力で移動していた。
現場につくとヴィランとヒーロー以外に周りに人の気配はなかった。彼らはきちんと仕事をこなしたのだと心の中でエンデヴァーは少しだけ褒めてやる。
『こちらエンデヴァー、お前の側にパンドラはいるか?』
『はい、現在避難所に待機、パンドラは【治癒】で怪我人を治しています』
『うむ、引き続き避難所に待機、そちらにヴィランの被害がいかないよう守れ。パンドラにも避難所を守ることを目的とする場合のみ個性の使用を許可すると伝えてくれ』
『了解』
「さて、やるか」
結果を言うとこちらは直ぐに終わった。足止めしていたヒーロー達によるダメージが蓄積していたのもあったのだろう。
「次は、あれか·····」
「うーむ俺の【ジェット】で届くか届かないかギリギリの所にいるな·····厄介な」
エンデヴァー達の目線の先にいるのは空を飛び回っているヴィランと空中戦が可能なヒーロー数人が追いかけっこをしていた。鬼役はヴィランだ。
エンデヴァーは空中に浮くことはできるが飛べるかと聞かれると微妙なところだ。かといって下からだと死角に入り込まれたらめんどくさい。
また戦っているヒーロー達も地味に邪魔だった。ヒーローが離れようとしてもヴィランが親の後を追う子供のようについてきてしまうのだ。
(時間もない、出来ればプロミネスバーン1発で決めたい。市民は避難したことだし多少無茶しても大丈夫だろう)
「戦闘中のヒーロー! 退避しろ! 後は俺がやる!!」
エンデヴァーの言葉で空で戦っていたヒーローは全力でその場を離れる。エンデヴァーは体から炎を放出して宙に浮いた。今までのパターンからヴィランはエンデヴァーの方に来るかと思われたがヴィランは背を向けて逃げ出した。その様子は叱られて逃げ出そうとする子供のようだ。
「おいそっち行くなヴィラン! やめろ避難所だ!」
よりによって向かった先には避難所があった。そこに行かれるのは非常にまずい。早めに決着をつけなければとプロミネスバーンの体制に入る。もう少しヴィランの行動が制限されていれば当たる可能性も高くなるのだがしょうがなかった。何よりも市民の安全が第一だ。
「おい轟! 建物に当たるかもしれんぞ、もっと確実に当たる瞬間を狙った方が──」
その時ヴィランの行く先に、鋭い羽先を向けた赤いハート型の壁が作られる。思わずヴィランはその場にとどまった。
「はぁ?」
エンデヴァーはその羽に見覚えがあった。この羽の落ち主は今この街にいない。だとするとハートの壁を作り出したのはただ1人
「パンドラァ!」
ヴィランに直接被害は加えていなし、そもそも避難所の防衛に関しての個性使用は許可しているのでダメではない。ダメでは無いがパンドラに少なからず助けられたのは何故か癪に障る。
どこかで「ラァブアンドゥピイイイイイス」と聞こえた気がするが多分気のせいだ。とにかく止まった瞬間をNo.2が見逃すはず訳もなくヴィランは灼熱に包まれあっさりとやられた。
「よし終わった! 待ってろ焦凍ぉぉぉぉぉぉ!」
〜回想終わり〜
「俺の実力だ」
間が空いたがエンデヴァーは言い切った。
「贋物·····」
炎が消えた奥から地獄から響くような声が響いた。血走った目でステインは上を向く。尋常ではない姿に思わず周りはギョッとした。
「贋物贋物贋物贋物贋物贋物贋物おぉ!」
横の壁を蹴ってエンデヴァーの元にナイフを振り下ろそうとする。
がまた炎に阻まれてしまった
「さぁ表に出てもらおうかヒーロー殺し」
ステインは炎を突っ切った手にむんずと腕を捕まれ、広い道路に投げ飛ばされる。直ぐに体制を立て直すが近くにいるヒーローが休む暇を与えず攻撃を仕掛けてくる。いくら体術、戦術を10年間鍛えてきたとしても広い場所、歴戦のヒーロー達、No.2に囲まれてはステインに勝ち目はなかった。ないはずだった
炎に体を焼かれ、あらゆる方向から打撃を浴びせられ、斬られ、骨を折られ、壁に叩きつけられ、至る所から血を流しても、ステインは戦うのを辞めない
その姿はまるで怨念に取り憑かれた亡者のよう。ステインはずっと血反吐を吐きながら叫んでいた。この世は贋物が蔓延っていると、誰かが血に染ってでも変えなければならないと、本物のヒーローを取り戻さなければと、その場にいた全員が何か得体のしれない化け物と対峙しているようだと思った。
──だけどそれも長くは持たない。遂にステインは動かなくなった。だが倒れもしなかった。立ったままステインは気絶したのだ
「·····」
そこからしばらく誰も動けない
ステインは紛うことなき犯罪者だ。殺人鬼だ。だがどうにも後味の悪い感触だけが残る。
こちら側が正義だと言うのに
「·····現時刻を持ってヒーロー殺しを確保する。誰か拘束具を持っていないか」
「·····っ路地裏のゴミ箱に縄とかあるかもしれません」
真っ先に動きだしたのはエンデヴァーだった。その次に飯田、縄を探しに歩きだそうと
「あーあ、可哀想」
ステインの姿は消えさった
続く
――避難所にて
パ 「ほらーお空にハートがあるでしょう。綺麗でしょう?なので早く泣き止んでくれませんかねお嬢さん」(退路塞いだんでさっさとヴィラン倒してくれませんかね)
ぐずる男の娘「僕お嬢さんじゃなあああい!」
パ 「なんで男の子に女の子の格好させてんですか紛らわしいです!はよ出て来い親あああ!」
飯田くん挽回しようとした瞬間ヒーロー来ちゃいました。残念すまん飯田くん。ちなみに飯田兄に何があったのかは開演時間にご注意をに書いてあります
次回、ステインを連れ去った謎の人物、その正体とは!?一方その頃親に頼まれ子供を探しに避難所を離れたパンドラとマニュアル、そこで出会ったのは·····?