パンドラヒーローアカデミア   作:ぐち山ぐち

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今回職場体験まとめです。ストーリーは全く進んでいませんがそれでも良い方はどうぞ


そして日常へ

 ──エンデヴァー事務所休憩所

 

 

「──なんでですか!?」

 

 ヒーロー殺し騒動から3日後、休憩所で昼食をとっている最中パンドラは声を荒らげていた。

 

「気持ちは分かるが落ち着けパンドラ」

 

 パンドラを宥めるのは現在パンドラの職場体験先の責任者エンデヴァー。こちらもこちらでヒーロー殺しを後一歩のところまで追い詰めたのにも関わらず謎の人物に連れ去られ、ヴィラン3体は倒したがヒーロー殺しを逃したヒーローとして世間からは少し叩かれ監督不届きで減給も喰らった可哀想な人物である。マスコミやら事後処理に追われ若干疲れが顔に出てしまっていた。

 

 話を戻すがパンドラが何にそんな興奮しているかと言うとパンドラが3日前遭遇した女のことについてであった。

 あの後すぐに応援が到着し、パンドラとマニュアルは警察署で話を聞かれることになった。

 

その際、パンドラはあの時謎の女の姿をしれっとコピーしていたことを告白。パンドラの手柄によって女の顔や装備は明らかになったが、バックパックを脱いだ時点でコピーしてしまったので女の身元が分かるものは何も無いという残念な結果になってしまった。

 しかし腰についていた小さなポーチに今までヒーロー殺しによって回収されていたと思われた多くのヒーロー免許証を発見し、個人の個性によって現れた証拠とヒーローによる証言と根拠は弱いが見逃す訳にはいかない情報に警察は女について調べることを表明していたが、エンデヴァーによると完全に女についての捜査が打ち切られたらしい。理由は先程あげた通り根拠が薄いこと、証拠能力のある物が何も無いのがトドメだそうだ。

 別にそれだけならパンドラは声を荒らげたりしない。

 

 そもそもパンドラは女については正体を知っている。ヒーロー殺し騒ぎの夜、月一回の集まりの場でヒーロー殺しにストーカーという名の調査をしていたウルベルトはヒーロー殺しに便乗して殺しをしている女に気づき、独自に捜査、集まりで正体を暴露していた。

 

 そして問題は昨日の夜、いつもの通り<転移門(ゲート)>によって家に帰り父と夕ご飯を楽しんでいたそんな時、女が殺した人物の写真、パンドラが最後に看取った女性がテレビに映ったことにより幸せな時間がぶち壊されてしまった。

 

「っこの子·····。そうか·····殺されてしまったのか·····」

「なんとっ! 父上はこの女性とお知り合いでしたか?」

「いや知り合いって程じゃないんだけど·····。女性ってのも今知ったし·····。この子俺が困っている時助けようとしてくれたんだよね。連れの人達とも仲良さそうでその日朝からすごい良い気分になれたんだ。そうかー殺されちゃったんだ·····」

 

 明らかにモモンガはしゅんとしている。多分気持ち的には荒らされた花壇を見てしまった程度なのだろうが、それでも愛しい父の気分を害した原因である女と取り逃した自分自身にパンドラは腹をたてた。

 

(あの時殺しておけば·····)

 

 そうして今現在、捜査が打ち切られたことによって忌々しい女のことを思い出してしまいつい声を荒らげてしまったのだ。

 

「パンドラがそんな不機嫌なのは珍しい·····」

 

 パンドラの隣で蕎麦を啜っている轟もいつも通りクールだが3日前、幸いにも怪我はなく一応警察病院で検査してもらい緑谷、飯田と共に警察官から何時間に渡り説教を受けた身だ。轟曰くしばらく街ゆく犬にビビり倒すレベルまでこってり絞られたらしい

 

 さて色々なことがあったが職場体験も残すところあと1日、明日の昼頃にはエンデヴァー事務所とおさらばである。

 

「そういや今回の脳無とヒーロー殺し、焦凍、お前ら雄英高校を襲ったヴィラン連合? と言うやつが1枚噛んでいるらしいな」

「新聞に載ってた3体のヴィランってやつは俺らを襲った脳無そっくりだった。けどヒーロー殺しの方は知らない。本当にステインとヴィラン連合が繋がってるのかは分からねぇ」

「だが世間ではヒーロー殺しはヴィラン連合に属していたとされている。あの夜メディアのカメラに連合のリーダーの姿も確認されている」

 

 エンデヴァーは持っていた新聞を開き、死柄木が写っているページを2人に見せつける。

 

「うわっ1ヶ月で随分と趣味が変わってるな」

「うーん嫌いではないですけど趣味ではないですね」

 

「巫山戯ている格好なのは同意する。いや違う、今それは俺にとってはどうでもいい。俺が気になるのはヒーロー殺しを連れ去った奴だ」

 

 エンデヴァーは当時を思い出してしまったのか一気に目付きが悪くなった。普通の人なら恐縮してしまう形相だが対面するのはパンドラと轟だ。特に動じることはない。

 

「あれだけのヒーローの攻撃をあいつは打ち消した。少なくとも俺か、それ以上の実力の持ち主と思われる。無視することは出来んはずだ。なのにっ警察も公安もそいつが存在した物的証拠がないことを理由に清々しいほどに無かったことにしたっ! そうまるで圧力をかけられているようにな·····くそっ本当にあいつは一体何者なんだ!」

 

 ドンッと机を叩いたせいで轟の食べていた蕎麦のつゆが机に零れる。机から零れ落ちるつゆと連動して轟のエンデヴァーに対する好感度がどんどん落ちていくが、エンデヴァーはそれに気づかず体を震わすばかりだ。

 

「それにしてもどうしてこの動画にはその謎の敵は写ってないんでしょうかねぇ。不思議ですねぇ」

 

 そんな轟親子を横目にパンドラはスマホを取り出し動画配信サービスを開き半殺し動画を再生していた。パンドラはとことん知らないフリをしているが正体がウルベルトであることはもちろん、動画に映っていないのもウルベルトの部下によって撮影者が霧発生前に退散させられたからということまで知っている。しかしエンデヴァーにわざわざバラすような真似はしない。

 

「思ったよりバッシングは少ないですね。ひとまずヒーロー殺しは活動できなくなり束の間の安泰は手に入れたから?それとも3体のヴィランはきちんと制圧したからでしょうか·····?その代わりか違う意味でのバッシングは盛んです。やりすぎですって、エンデヴァー達がヴィランに見えるってコメントもありますよ」

 

「ほっとけ! その動画は削除されているはずなのになんでまだ出回っとるんだ」

 

「転載、削除、転載、削除でイタチごっこ。無限ループに陥っているからですよ。人の噂も75日、インターネットは永遠に消えず。これは一生残り続けますね。多分50年後ぐらいに特集組まれて当時の貴重な資料が──てなるパターン。良かったじゃないですか」

 

「良くない。何言っとんだ貴様」

 

「そんな気にしなくてもいいってことですよ。貴方たちは別にルールを破ったわけでもないですし。それより気づいてます? 職場体験あと1日ですよ! なんだかんだ言ってこの経験は非常に参考になるものでした。まさかやらかした時のマスコミへの対応、処理まで間近で見られるとは! お呼びいただいて本当にありがとうございます! さすがNo.2ですね! いやはやNo.2は伊達じゃない! No.2!」

 

「No.2を連呼するなァァァ!」

 

「おいやめろ2人とも顔を突き合わすな、俺の視界に同時に入るな。·····うっ蕎麦·····吐くっ·····!」

 

 マイペースなパンドラ、怒るエンデヴァー、トラウマが治らない轟、職場体験最終日まで同じようなテンションが続き、パンドラと轟は事務所のヒーローから沢山のエールとお土産を手に雄英高校へ帰って行ったのであった。

 

 

 

 ✣✣✣

 

 

 ──??? 

 

 

「あーあつまんないなぁ」

 

 ヒーロー殺し騒ぎから数日後、どこにでもあるような薄暗い路地裏で、1人の女がゴミ箱に腰かけ心底つまらなそうに空を見上げていた。

 

「ヒーロー殺し捕まっちゃったし」

 

 女は人を殺すことに対して異常な愛情を持っていた。その欲求はそこら辺にいる雑魚を殺すだけでも満ち足りていたはずだった。

 しかし彼女はこの日本で変わってしまった。日本に来てすぐの頃、我慢ならず適当な人間をいたぶっていた彼女の目の前に1人のヒーローが現れた。いや現れてしまったと言うべきか。そのヒーローは何か偽善めいたことを喚いていたが女にとって取るに足らない存在。最初は勇ましく襲いかかってきたが次第にその勢いは無くなり、最終的には顔を歪まして己の力不足を嘆き涙を流しながらねじ伏せられた。

 女はその様子にたまらなく満たされてしまったのだ。最初から助からないと絶望するのもいい。泣き喚き抵抗するのも良い。だがそのヒーローのように正義は勝つと信じてやまない者が力及ばず無様に散っていく姿は未だかつてなく、最高に愉快であったのだ。

 そしてその罪はたまたま日本で話題になっていたヒーロー殺しが被ってくれた。これ幸いにと女は自らの嗜虐心を一般人よりもヒーローで満たすようになってしまったのだ。

 だがそのヒーロー殺しはもう居ない。動画も見てみたがあの怪我ではしばらく動くことは不可能だろう。今までのように大っぴらにヒーローを殺していてはその内捕まってしまう。法国にもそれが伝わってしまえばおしまいだ。自分は強大な力に対して抵抗できるような特別な個性()など持ってはいないと女はよく分かっていた。

 

「もう他の国行こっかなー。そもそもこの国来たのって丁度いいタイミングで乗り込んだ船が日本行きだっただけだしーとにかくあの大陸から離れられればそれで良かっただけ。うん、食べ物うまいしアニメが面白いからちょぉーと居心地が良かっただけ、別に離れるのは全然いいんだけど! あまり長い間同じ土地にいても危ないからねーうん! そうだね離れよう! でも日本以外であんな美味しい抹茶アイスとか売ってんのかな·····幼女⚫記の2期もまだだし·····あーもうなんかイライラしてきた。ヒーローこーろーしーたーいなー! 拷問したーいなー!」

「じゃあ用意しようか?」

 

 女は全身の穴から一気に冷や汗が吹き出すのを感じた。声は自分のすぐ後ろから聞こえてきた。ここまで気づかれず接近することなど果たして可能なのだろうか。女は全力で声から距離をとる

 

「そんな驚かないでくれよ。僕は君を勧誘しに来ただけなのに」

 

 振り向いた先にいた声の人物は異様な姿をしていた。髪も目も鼻もない。口元にはごついマスクをつけ首から下はやたら質の良いスーツを身につけている。女はいちいちそんなことで動揺はしない。だが女の持つ戦士としての勘が声の人物に対して危険信号をガンガンと鳴らしていた。あれはバケモノであると、自分が知っている最強の存在よりもさらに強いと

 女は勝手に震え出す身体を必死に押さえつけ相手に向き合った。

 

「私に一体なんの用·····ですか?」

「さっき言ったじゃないか。僕は君を勧誘しにきたんだよ。なぁもし良かったらヴィラン連合に入らないか?」

 

 聞き覚えのある単語に女は首を傾げる

 

「ヴィラン連合·····ってヒーロー殺しが所属していたあの?」

「うん。実はそこでは僕の教え子がリーダーを務めているんだ。だけどまだまだ発展途上。だから君にその子を手伝ってもらいたいんだ。お仕事の内容は簡単さ。ヴィラン連合の邪魔となる者を殺すだけ。もちろんその邪魔者はヒーローもいっぱい含まれているよ」

「いやでもあんまり目立ちすぎる所に所属するのはちょっと」

「君が追われているのは知っている。その点は大丈夫、僕が守ってあげようじゃないか。さてこれで君が断る選択は無くなったかな?」

 

 女は考え込む。この人物の加護内に入ればもう追ってから逃げなくても済むかもしれないと。たとえあの法国最強の称号を手にするアイツや特別な個性()を持った兄が追ってきたとしてもきっと難なく撃退することができるだろう。更にヒーローを殺すのがお仕事など至れり尽くせり、はっきり言って断る理由はない。

 

「うーんこれでも足りないのかい? じゃあ入ってくれたら僕は君にプレゼントをあげよう」

「プレゼント?」

「そう。プレゼントさ。このプレゼントがあれば君はお兄さんよりもずぅっと強くなれるはずだよ」

「っ!!」

 

 女は様子を伺うように目を向けた。

 

「さあ君の答えを聞かせてもらっていいかな」

「·····1ついい?」

「なんだい?」

 

 

「なんで私?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでって·····君が優秀だからだよ」

 

 

 女はその言葉を聞いてきょとんとした表情を浮かべた。しかしそれも数秒後には消え去り、女は無言で首を縦に振る。

 

「良かった、交渉成立だね。しばらくしたら義爛という者が君の所に訪れるはずだ。後は彼についていけばいい。ああ! そういえば名乗るのを忘れていたね。僕の名前はオール・フォー・ワン。良ければ君の名前も教えてくれないか?」

 

「私は·····」

 

 女は今まで被っていたフードを取り去り、亀裂めいた笑みを浮かべる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名前はクレマンティーヌ。よろしくね?」

 

 

 続く


 小ネタ

 

<露出>

 

 ──警察署

 

 

「それは本当か!その君たちが見た女の姿になれるって言うのかい!?」

「ええ、私の個性は見ることさえ出来ればコピー出来ます。更にストックにも空きがあったので保存することも可能」

「じゃあ悪いけど変身してもらっていいかな?」

「もちろんです」

 

 その瞬間パンドラの姿が溶けだしマントとフードで身体全体を隠した女の姿に変わった

 

「さあ刮目せよ! これが私たちの見た犯人の姿!」

 

 一気に上に着ていたものを剥いだパンドラにその場にいた皆が、特に男共は絶句した

 

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! パンドラが露出魔になったあああ!」

「ビミョーに誤解されるようなこと言わないでください! 名誉毀損で訴えますよ!」

 

 

 顔を隠しながら悲鳴に近い声をあげたマニュアルにパンドラはツッコミと権利を主張するが、パンドラはどちらかと言うと名誉毀損で訴えられる側である。

 しかしマニュアルが声を上げるのはしょうがないことでもあった。

 

 パンドラは今、ボブカットの美しい金髪、肌は白く猫を思わせる可愛らしくも整った顔立ち、女性らしさを残しつつ鍛え上げられた均整が取れた身体と美女と呼べるにふさわしい姿になっていた。

 そこは問題ないのだ。ただ少し、いやかなり露出が激しかった。

 簡単に言うとビキニアーマーをもう少しマシにしたレベルの露出だ。

 

「普通に機動性を重視した結果でしょう。そこまで騒ぐ程のものでは·····というかミッドナイトとかMt.レディとかの方がやば」

「とにかくマント!」

 

 慌ててマニュアルはマントを投げつけるがパンドラは無視して女の装備を弄くり回している

 

「うーん女の身分証明出来る物が見当たりませんねぇ。もしかしたらあの投げ捨てられたバックパックに手がかりが入っていたのでは? ああっパンドラズ・アクター一生の不覚! あの時マニュアルさんほっといてさっさとコピーしとけば! こんな失態きっと父上に知られたら叱られてしまう! けどそれはそれでご褒──」

 

「マント羽織ろう?!!? 君そろそろいい加減にしとかないと訴えられたら負けるぞ!?」

 

 

 




死柄木「おい黒霧ィ!この写真使った新聞社襲撃しに行くぞ!」
黒霧「落ち着いてください死柄木弔。それだけのために派手に動くのは――」
赤ストライプ「人生最後の言葉はそれでいいのかな?下等生物共?ピキビキ」

ここまで読んで下さった方ありがとうございます


はい、女の正体は皆大好きクレマンティーヌさんでした。本当はクレマンに絡めて世界観を語ろうかと思ったんですけど無理でした。
なのでここに書いときます。オバロ世界の王国、帝国、法国他多数、このヒロアカ世界に存在してます。後は長くなるのでまたいつか
そしてAFOはそんなホイホイ外行かんじゃろと思った皆様、私もそう思いましたが義爛さん話しかけた瞬間クレマンさんに刺されそうだったので出張って貰いました。AFOもきっといい気分転換になったでしょう

次回、職場体験によって帰ってきたパンドラ。懐かしい友に付きまとう末にとある人物と関わることに?
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