こんな期間空いたんだからさぞかし話が進んでいる。もしくは内容が濃密な話になっているんでしょうねっ!申し訳ないです。実践試験すら始まってないです。うっすいです。それでもいい方はどうぞ
「重要な武装で行う戦闘は活動に問題は無いですが見るものに凄惨さを印象づけてしまうことから人それぞれの個性やキャラクターに合ったアイデンティティをコスチュームで強調するようになりました。例にあげるとプレゼント・マイク等が分かりやすいですかね? さて、このコスチュームの多様性が生まれたことをクラウン・ショックと呼ぶんですけど今回のテストには出ないので覚えなくていいです」
「「「じゃあ説明すんなっっ!!」」」
「パンドラアア! 俺今情報詰め込みすぎて頭パンパンなんだよ! 余計な情報を与えるんじゃねぇー! 覚えちゃったよクラウン・ショック!」
そう頭を抱え机に顔を打ち付けるのは鉄哲だった。ただでさえテスト期間まで時間が無いのだ。膨大なテスト範囲の単語や数式を頭に無理やり詰め込んでいるところに余計な知識などいれ込まれたらたまったものでは無い。ちなみに【スティール】を発動しているので鉄哲の身体にダメージはない。打ち付けた衝撃で単語のひとつやふたつはとんでいる可能性はあるかもしれないが
「パンドラ〜数学分かんないよ〜」
「数学は公式を当てはめていけばいいだけでしょう!? 貴方が躓いているとこだって問題の出し方が違うだけです。やり方は前のと一緒です。パズルみたいなもんだと思って諦めないでください」
「英語の存在意義とは?」
「外国人との円滑なコミュニケーションのためです。泡瀬くん、貴方はまず単語が問題です。単語からやって下さい。五感身体記憶全てに染み込ませてから出直してらっしゃい」
「歴史ながい! 細かい! お前が何したとか興味ねえわっ!」
「故人に八つ当たりしても意味ないですから! 無理やり興味持ってください。歴史は流れ!」
放課後の教室のあちらこちらから悲鳴があがり、その度パンドラは駆けつけ教え、宥め、励ましサポートしていた。宝物庫守護者の仕事もそれなりに大変な業務であったがこちらはこちらで違う意味で大変である。アイテムは寡黙で決まった効果しか発揮しないが生物は見当違いな思考に着地し勝手に想定外のことをやらかす。
「ふふふ、僕はきっともうダメだ。B組の汚点になるくらいなら今ここで清く死を選ぶううう!!!」
「そんなことで死を選ぶとかバカの考えですよ!? 窓に手をかける暇があるなら単語のひとつでも覚えてください!」
パンドラは追い詰められ窓から足を出そうとする物間を無理やり教室に引っ張り込み息を吐く。本来ボケの役割が多い彼もここ連日ツッコミばかり担当している。今すぐにでも宝物庫に閉じこもりマジックアイテムをひたすらに磨きたいと口には出さないが心の中で何度も願ってしまうほど精神的に疲れきっていた。
(拳動さん、取陰さんと骨抜くんがいなかったらどうなっていたことやら·····けどあの3人、本格的にやばい奴ばっかりこっちに残してくれやがりましたね)
パンドラは想像の中にいる綺麗な笑顔で敬礼している3人に恨みがましい目を向ける。そんなことをしている合間にもまた教室の端っこでうめき声が発生していた。その顔は思考を放棄してしまっている。
(もう! シャルティア様じゃないんですから!!)
どこぞのポンコツ吸血鬼の幻覚を見つつパンドラはうめき声を止めるべく移動する。期末試験はすぐそこまでやってきていた。
「ああ問題文! なんで君はそんな意味の分からないことを聞くんだ? こんだけの情報で何が導き出せるんだってんだい!?」
「問題文にキレても現実は何も変わりませんよ物間くん」
回想終了
(──とまぁそんなこともありましたね)
筆記試験が無事終了し一息つく間もなく演習試験の当日、パンドラ含む1年B組はコスチュームを着用し指定された場所に集まっていた。
「やあ筆記試験お疲れ様! みんな大好き校長先生なのさ! 君たちなら事前に情報を仕入れているかもしれないけど今回から内容を変更しちゃっているのさっ」
ブラドの肩に乗り、ニコニコしながらそう言い放った校長に一部首を傾げている生徒はいるものの大半は同意を示すように頷く。1年B組の演習試験はA組の次の日であったことからパンドラ含む大半の生徒はA組の生徒から試験の内容を聞き出していた。
「一応説明するけど今回の試験はこちらが事前に独断で組ませてもらった2人1組で教師1人と戦闘をおこなってもらうのさ! 試験の詳しい概要については各々の対戦相手に説明してもらってね。さぁさぁ時間もそんなないし皆気になっている組み分け発表に入ろうかな!」
その言葉に生徒たちは思わず身構える。パンドラも制限時間は30分、教師相手にハンドカフスをかけるか1人でもステージから脱出すれば勝利、教師には超圧縮重りのハンデがある諸々はA組からの情報収集で知っていた。しかし、誰とペアになるのか、どの教師と当たるかについては一切分からない状態だった。もちろん聞き出した情報を元に脳内シュミレーションは繰り返したが、聞いていた教師陣も何名か違うヒーローに変わっておりあまり参考にはならないと思われる。ペアと教師が決まった瞬間からが彼の勝負は始まるのだ。
「まず最初にパンドラと吹出でチームで相手が──」
「わーたーしーが──」
突如ブラドの声に割り込んできた既視感のある声にパンドラは膝から崩れ落ちたくなったが微かな希望を胸に耐えきる。しかし願い虚しく上からオールマイトは落ちてきた。
「うっわ」
「·····え?」
「ヴィラン役として君たちの相手をする!」
「うっわ」
「くぁwせdrftgyふじこlp!?!」
今度こそパンドラと、ついでに吹出も膝から崩れ落ちた。
✣✣✣
「ねっねぇ·····」
「お黙らっしゃいオールマイト! 吹出くんがまた泣き出しちゃうでしょうが!」
「さめざめっ! さめざめっ!」
衝撃の組み合わせ発表から数分後、パンドラ・吹出ペアとオールマイトはバスに揺られていた。
「いやぁ割と私達のステージ近いからそろそろ着いちゃうん·····だけど、その·····大丈夫?」
「これが大丈夫に見えます?」
信じられない物を見るような目で視線をよこすパンドラにオールマイトはうぐっとうめき声をあげた。普通齢15の子供がNo.1ヒーローと戦わなければならない状況について絶望を覚えない訳が無い。だが彼は先日戦った緑谷と爆豪、特に爆豪の好戦的な態度のおかげで生徒のオールマイトとの戦いに対する心境というものをおおいに誤解していた。現にパンドラに並ぶと言われている超ポジティブ男、吹出でさえ親への遺言状を書かせてくれと泣き叫んでいる。嫌だ帰ると喚いていない時点で戦うことに関しては受け入れているのであろうがただただ感情云々が受け入れ辛いのであろう。
オールマイトもこうも項垂れている様子を見せつけられるとチクチクと罪悪感を刺激された。
(でもなぁ、こっちも仕事だし·····)
吹出を慰めているパンドラの様子をチラリと伺う。先程は地面に膝を着いて絶望感を醸し出していたがすぐに立ち直ったようで彼の様子は普段と特に変わらない様子だった。
(パンドラズ・アクターを見極めろ·····か)
──数日前
話は試験前の会議室に戻る。
「「「異議なし」」」
「じゃあ鉄哲と宍田はセメントスに任せます。次は·····と」
「パンドラ・吹出ペアですね。彼らの長所はバリエーションの豊かさ····。パンドラは状況によって個性を、吹出は攻撃と環境を変化させられる。伸ばすべきは状況に数ある戦略から正解を導き出す判断力ってとこですかね。パワーローダー、彼らの相手やりたくないか?」
「冗談じゃないよブラド、空飛ばれたらこちとら手出しできねーてかその点で相手出来る教師は限られてるんじゃないの?」
1年A組の組み合わせが終わり教員数名を入れ替えての組み分け会議が始まってから30分以上が経過していた。今まですんなりと決まっていたがここで初めてつまづき会議室の空気がつまる。後回しにしようと誰かが口に出す直前に根津校長が手をあげた。
「オールマイトを相手にするのはどうなのさ?」
「私·····ですか?」
指名されたオールマイトは顎に手をあてる。確かにオールマイトならば空を飛べる訳ではないが空への攻撃手段は事欠かない。
「そうさ! 圧倒的なパワーを持つ君を相手にした時、どう立ち回るかによって彼らの真価が問われるのさ。これこそまさしくパワーVS戦略の戦い!」
「そうですね。オールマイト、俺からも頼みます。桁外れのパワーを見せつけてやって下さい。それがきっと彼らの成長を引き出すいいきっかけになるはずです」
「ブラド·····分かりました。お受け致しましょう。私に任せてください」
「よし! じゃあ次は──」
「オールマイト、ちょっといいかい?」
会議が終わり職員室に戻る途中でオールマイトは根津に呼び止められた。なんだなんだと歩き出した彼の後ろをついて行くと仮眠室に引っ張りこまれる。
「ここに来ると言うことは何か皆には聞かれたくない話が?」
オールマイトがすかさず話を振ると根津はおもむろに頷いた。
「実は·····さっきの組み分け会議のことなんだけど、パンドラ・吹出ペアに君をあてがったのはあの理由だけじゃあないんだ。もちろんその理由が8割は占めている。けど·····残り2割は鈴木二重のことについて」
「パンドラがどうかしたんですか·····?」
「うん、君にパンドラズ・アクターの実力を見極めて欲しいのさ。なぜ? という顔をしているね。君が疑問に思うのは当然なのさ、教育者として1人にこだわり過ぎるのは宜しくない」
「·····ましてや彼が我々の敵になった場合の対応策を考えるためだとしたら」
「校長は彼が将来私達と対立すると考えていらっしゃるのですか!?」
無意識に机を力いっぱい叩いてしまったことによる痛みを気にすることなくオールマイトは根津に詰め寄った。教育者とは生徒を導く者である。その教師が生徒をなんの根拠もなく悪とみなすことはあってはいけない。たとえその素質があったとしてもそうならないよう寄り添い導くのが彼の考える教師の使命である。根津も拳を握りしめて苦しそうな声で言葉を続けた。
「ああ分かっているのさ! 私が彼に対して考えていることは教育者としてあってはいけないことも! だけど私の残っている野生の勘が反応しているのさ! 彼が何か得体の知れない、我々と違う何かであると、悪でもないが正義でもない。絶対敵に回してはいけない何かだと。オールマイト、君にはそう感じたことはないのかい!?」
常日頃冷静な校長の取り乱しながら投げられた問いにオールマイトは直ぐには答えられなかった。なぜなら彼もパンドラに対して根津と同じようなことを感じたことがあるからだ。自分のオールマイトとしての勘は信用しているが実際のパンドラと関わりあってからは気にしなくなっていた。たとえ正義感がひとつも感じられなくとも軍帽を被ったあの生徒はB組と切磋琢磨しながらヒーローになるための日々を過ごし、入試では心操を救い、なんなら巻き込まれたのにも関わらず自分に向かって協力を申し出てくれた。オールマイトはパンドラにヒーローの素質は備わっていると認めていたのだ。少なくともヴィランになるはずないと
だがそれと同時にほんの少し感じる違和感
例えばオールマイトというヒーローを見る目、緑谷へ向ける目、食堂のTVに映るヴィラン達を見つめる目、そして緑谷と同じようにAFOについて説明する自分を興味なさげに眺めているあの目
底なし沼を思わせる黒い穴のような彼の目は世界の裏まで見透かしているようで、それはまるで全てを知りつつ1歩離れた所で自分たちを観察しているように
(そしてあの体育祭で見せたあの一瞬の動きも····)
考えが突拍子過ぎるはずなのに嫌な想像に溺れていく。どうして自分がそんなことを考えてしまうのか分からなかった。そしてそこまでしてパンドラを信頼しきれていない自分自身に嫌気がした。
「その反応は·····」
「パンドラはヒーローの卵です。それでも校長がそこまで心配するならお願いを引き受けましょう。それでこの話は終わりです」
「ああ·····私だって自身の生徒を疑いたくない。けれど確実にパンドラは何かを隠している。入試のあの映像を見てからその疑いが頭から離れてくれないのさ」
「·····では仕事が残っているので」
普段よりも少し荒く閉められたドアの音で、オールマイトは根津のぽつりと漏らした独り言に気づけなかった。
「出来ることならこんなこと気づきたくなかったよ。全くこの身が恨めしいね·····。私だって本気で彼が敵になるとは思っていない。だって彼は──パンドラズ・アクターは雄英高校の、私達の生徒なのだから」
そこに居たのはただの1人の校長であった。
続く
パ 「えぇっ!緑谷くんオールマイトが相手だったんですか!?私だったら絶対戦いたくないですね!だってあの人嘘みたいに強いんですもん当たったらどうしましょう!?これは爆豪くんにも話聞いた方がいいのでは·····ああ!!でも!私は!彼の連絡先を把握していない!緑谷くん教えて貰ってよろしいでしょうか?」
緑 「僕がかっちゃんに殺される」
ここまで読んで下さった方ありがとうございます。
確かにパンドラは役者の1人としてヒーローアカデミアの舞台に立っていますが、今のところ御方達がプレイヤーのシュミレーションゲームの主人公と言った方が近い気がします。
思ったんですけど皆さん模擬戦闘でハンデがあるとしても世界最強レベルのヒーローと齢15歳で戦えますか?私は無理です。怖すぎます。チビります。デクくん達マジすげーなオイって話です。