吸血鬼はダンジョンに潜るか?   作:ユーベル

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なんか誤字報告有ったけど、オリガは「ヘファイストス」の事を「ヘファイスト」で記憶しているので無視してください。


オラリオへ

私達は今、商人の荷馬車に同乗させてもらっている。

あの戦闘と言う名の蹂躙の後話しかけて見たところ、商人と冒険者志望のグループだったようだ。

迷宮都市オラリオ(・・・・・・・・)へ向かう途中で、腕に自信の有る男二人が戦ったが歯が立たずあっという間に殺されてしまったそうだ。

恩恵(・・)を授かっていないから、このまま輪姦されて殺されるか奴隷として売り飛ばされるかってところだったらしい。

ここまで話を聞いて、私はここが何処なのか理解した。

“ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか”、通称“ダンまち”の世界だ。

ならば、行き先は決まったも同然だ。

死んだ男二人の替わりに護衛するからオラリオまで同行させてほしいと頼み込んだ。

すると商人は「命の恩人だから良いですよ」と快諾してくれた。

女性逹はどうやら私逹の強さに興味があるようで、レベルは幾つなのか聞いてきたが、恩恵無し(レベル0)と言うととても驚かれた。

と言うか、私逹からしたら当たり前の事(・・・・・・)でしかない。

私の旅してきた世界はどれも基本的に神は存在しない。

アラガミ(地球の抗体)とかシオン(全知存在)とかサイモン(自称人間のエゴ)とかを除いて。

ヴェインにおいてもそうだ。

アラガミの侵入を防ぎ、誰も外へ出ることを拒んだ赤い霧の壁。

ある種の蠱毒の壺となっていたあの場所には、少数の人間と多数の吸血鬼(レヴナント)堕鬼(ロスト)が暮らしていた。

そこに神は存在しない。

存在するのは人類滅亡の恐怖、ただそれだけ。

私逹吸血鬼は堕鬼を倒した時に手に入るヘイズと言うもの(経験値兼お金)をヤドリギを介して自身に還元し身体とブラッドコードを強化した。

だからこそ強靭な肉体と驚異的な身体能力を手にしたのだ。

それに対して神の恩恵は魂の階位を上げ、それに見合った肉体に強化するだけ。

私の推測だけど、おそらく合ってる。

だから身体能力が上がったとしても、神の恩恵が無効になった(消失した)とたん一気に身体能力が低下する。

つまりこの世界の人類は、技術と自身の体を鍛えず神の恩恵に頼りきったごり押ししかしていないと言うことになる。

まあそこらへんは都市最強とレベル5辺りを軒並みボコせば分かることか。

聞いた話では、さっき殺した盗賊逹はあの威張りくさってたリーダーがレベル3で、それ以外がレベル1と2だったそうだ。

あの程度の速さに着いてこられないなんて、なんて貧弱なんでしょう。

 

「大剣両手に持って暴れまわって、カウンターで武器奪って心臓一突きした人が言うと説得力有るわね」

 

なんかトゲ入ってない?ミア?

 

「何かしら武器を両手に持って堕鬼の群に飛び込むだけの事はあります」

 

それ、褒めてるの?貶してるの?

どっちよ、イオ?

 

チェッ( ・ε・)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

~ミア~

 

あ、いじけた。

オリガは一度いじけるとしばらく戻ってこない。

それこそ食事時になるか戦闘になるか目的地に着くか、それぐらいしか戻ってくる切っ掛けが無い。

それまではずっと考察しているか、ゲーム、読書、工作、不貞寝のいずれかをしている。

勿論、周囲を警戒しながら。

この時彼女は、凄まじい勢いで最低でも四つの(・・・・・・・)思考をしている。

聞けば、あと数時間程でオラリオって言う都市に着くみたい。

そこで“ファミリア”ってのに入れば冒険者に成れるそうだ。

つまり、今オリガはオラリオに着いてからの行動を考えていると言うことだ。

オリガの思考パターンからすると、大手に入ろうとしないわね。

長いとは言えないけども、それなりに付き合いだからわかることもある。

彼女は大手特有の空気を嫌う。

そしてこの世界の常識、レベルが高ければ高いほど強者と言う空気。

それら全てを嫌う。

殺したくなる程に(・・・・・・・・)

実際に彼女が殺しをしたのを何度か見ている。

間接直接問わずに。

 

オリガの前世であるイムカに会った時聞いた話しなのだが、生き延びるために在りとあらゆる技術を学び、数多の人生の中で、文字通り死線を潜り続けてきたそうだ。

それを天才ともてはやされている馬鹿や、才能の一言で片付ける輩がその努力を馬鹿にし、貶すのを一番嫌っている。

実際に希代の天才と言われ周りを小馬鹿にし、世の中を舐めきった奴を正面から叩き潰し、在りとあらゆる罠にはめて、富みも名声もプライドも何もかも全てを奪い磨り潰して、最終的に廃人にまで追い込んだそうだ。

何でもそう言う奴等はメンタル面が弱い傾向にあるそうで、そこを上手くつつけば簡単に追い込めるそうだ。

 

なんとも恐ろしい話よ。

彼女ほど「触らぬ神に祟り無し」と言う言葉が似合う人は居ないわね。

実際「アンタッチャブル」の二つ名を持ってたそうだし。

色々とやらかしまくってる性で、二つ名が大変な事になったりもしたそうだ。

「理不尽大魔王」「戦場の死神(ジェノサイド)」「正論撲殺者」とか。

 

まあ、とにかく敵に回すといろんな意味で手に終えなくなる人ってことね。彼女は。

でも、ニコラの事も有るし、色々と助けてもらった恩が有るからね。

堕鬼(ロスト)に堕ちるまで付き合うわ。

それが私なりの恩返し。

 

~ミアend~

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

大分長く行動方針を考えていたようだ。

ただ、考えている最中に根本的な事を忘れていた。

お金が無い。

正確にはヴァリス硬貨を持っていない。

一応、アカシックレコードによると

 

1ヴァリス=1ヘイズ=1フェンリルキャッシュ(fc)=1セメタ=1ハク

1.000ヴァリス=1セメタ

 

となるそうだ。

そして、現在私の所持資金は

 

0ヴァリス

562.873.995ヘイズ

897.563.274fc

1.375.113.958セメタ

1.563.744.386ハク

合計1.378.138.139.655ヴァリス相当

 

であり、ヴァリス硬貨の形状が解らない限り換金できないのだ。

ヘイズは身体強化にも扱うから保留とするが、取り敢えず手持ちの物資から何か売りに出して資金を手にする必要が有る。

と言うか、ヘイズ抜いても1.377.575.265.660ヴァリス相当の大金になるんだけどね。

そしてシオンの情報によると、主人公たる「ベル・クラネル」は9才。

つまり原作開始の5年前になる。

それと同時に、釜の神「ヘスティア」が降臨しているのも確認した。

原作ではいつ頃下界に降りてきたのか解らなかったからちょうどいい。

鍛冶神「ヘファイスト」に仲介を頼もう。

ヘスティアとヘファイストは血縁関係だしね。

ついでに鉱石や収納の肥しになってる武器も売っぱらおっと。

よし、プランは決まった。

 

オラリオに着いたらギルドへ行き、ヘファイストに紹介状を書いてもらう。

ヘファイストで物資の買い取りとヘスティアの紹介を頼む。

ヘスティアに恩恵を刻んでもらう。

ギルドへ結成の報告とパーティー?

 

こんなところかね。

 

「そう言えばお嬢さん方、名前を聞いていませんでしたね」

 

確かに自己紹介してねえや。

オリガ・エストフィリアよ。

よろしく。

で、そっちの二人が。

 

「イオです」

「ミア・カルンシュタインよ」

 

でどしたの?

 

「いや、そちらのイオさんはともかくお二人の身なりが綺麗なので、どこぞの貴族の出なのかと思いましてね。」

 

なわけ無い無い。

私達は探索者、冒険者みたいな事をしていただけよ。

 

「女王討伐隊の第一功労者が何言ってんだか」

 

弟の為に危ない橋を渡り歩いたあんたも似たようなもんでしょうが。

話がずれたわね。

 

「そうですか。ちょうどオラリオの外壁が見えてきたんですがね、お嬢さん方、先立つものお持ちですかい?」

 

一文無し、の一言につきる。

いらない物をいくつか売ろうかとも思っているけどね。

 

「それはそれは。後で見せていただけませんかね?ってそうじゃなくて。検問を抜けたあとでですが、いくらか御礼金を渡そうと思っていたのですよ」

 

あー、適当に包んどいて。

手持ちの嗜好品を幾つか売るんだからその分は別で。

 

「解りました。でわそのように」

 

簡単な商談は成立した。

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